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2014/08/17 (Sun) S&W M586,M686
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明けましておめでとうございます。

2016-1

本年も宜しくお願い致します。

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すっかりご無沙汰していますが、
クリスマスということで一枚。

クリスマス2015

ミリブロの方は順調に?更新しており、最近は映画,ドラマなどの
キャラクター愛銃紹介カテゴリ「あのひとのガン」が好評だったりします。
こちらもまた順次再開していくつもりですが、向うも是非宜しく!

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今回は、連発式散弾銃の初期に登場,ヒットしたものの、その後短命に
終わったレバーアクション式のウィンチェスターM1887を。

1887/08

[概要]
M1887は、銃器設計の天才、J・ブローニングが開発、ウインチェスター社が
1887年に発売した手動連発式のショットガン(散弾銃=複数の弾丸を一度に
発射する銃)である。
薬室(チャンバー)への装填,排莢は機関部下のレバーを利き手で前方へ
円弧状に操作して行う。
弾倉(マガジン)への装填も、レバー操作後機関部後方から行う、特異な
後方装填,排莢方式となっている。

1887/01

[1/1]
マルシン工業は映画「ターミネーター2 Judgment Day(T2)」のコラボレーション
商品としてM1887ショート(ソウドオフ=切り詰め短縮モデル)を8mmBB弾
使用のガスガンで製作、これを基に銃身を延長、ストックもフルサイズとした
M1887ガーズガンもバリエーションモデルとして開発した(上の画像)。

手元のものは、上級版として木製のハンドガード、グリップが付属している。

1887/14
マルシン M1887はガスタンクの位置に特色があり、レバー操作で露出する
機関部内に収められており、通常は(実物では存在しない)ガス注入ノズルが
見えないように配慮されている。


[1/6]
1/6では、以前からホットトイズ ターミネーターフィギュアの付属品など
複数存在したが、昨年ZYTOYSからレバー操作も可能な精密なモデルが
単体発売された。
これも映画「ターミネーター2」を意識しているらしく、トリガーガード、ストック、
バレルが切断されたものをモデルアップしているが、更にループレバーは
下が広がったタイプで、グリップ部に鉄板が追加された映画のバイク搭乗
シーンなどで使われたものを再現している。

1887/10
マルシンのM1887(後方)と、ZYTOYSの1/6サイズ、ターミネーター
フィギュア付属と思われる(ホットトイズではない)1/6サイズのもの(左)。


1887/15
ZYTOYSの製品は、レバーが可動で、機関部を開いてショットシェル
を装填することも可能だ。


[レピーターの開発競争]
ショットガン用のカートリッジ、ショットシェルは紙を筒状にして散弾を
入れたものが1830年代に仏でカシミール・ルフォーショーが発明しており、
拳銃,ライフルのメタルカートリッジより実用化は早かったのかもしれない。
1882年にポンプアクションは発明(クリストファー・スペンサー&
シルベスター・ローバー 発売は1884年らしいが、1855年代に発明、との
記事も見つかる)されており、それ以前にも回転式、レバーアクション
という銃(ライフル,拳銃)の構造自体はあった。

また1883年にはグリップ部をスライドさせて装填するバージェス・
ショットガン(Burgess Shotgun)が登場しており、ウィンチェスターは
このあとM1887を発売したことになる。

M1887はレバーアクションのショットガンとしては世界初だが、レピーター
(連発銃)としては決して新しいものではなく、むしろショットガンの分野で
出遅れまいと、発売を急いだ製品かも知れない。

当初設計の依頼を受けたジョン・ブローニング(以下J・ブローニング)は
ポンプアクションを主張したが、レバーアクションライフルで会社を
成功させたウィンチェスター側が譲らなかったという。

結果的には、後に出したポンアクションのM1893(更に改良されてM1897)が
成功し、レバーアクションの改良型M1901も短期間で消え、ショットガンは
ポンプアクションが定着することとなる。

そして、レバーアクションのショットガンといえばM1887、というように、
この形式で成功したモデルは戦前ではM1887だけとなっている。

1887/11
M1887(右下)とポンプアクション式の各種ショットガン。
左から、モスバーグM500、ウィンチェスターM12、イサカM37、
ウィンチェスターM1897。


[M1887の構造]
レバーアクションでも、ライフルでは直線状に動くボルト(尾栓)がチャンバー
(薬室=発射時カートリッジが入る場所)を塞ぐが、M1887では余りに
カートリッジが大きすぎるためか、レバーと同じくボルトが円運動する。

しかも、レバー操作で開いた機関部の上方からカートリッジ装填,排出を
行う、という他の方式を知る現在の目から見れば誠に苦しい構造で、
(煙の多い)黒色火薬のカートリッジを使ったこともあり、作動は繊細で
頻繁なメンテナンスを要求したという。

そして機関部はほぼ左右の側面板のみとなり、しかも他社との競争もあり
軽くしなければならないため、強度,耐久性に問題(といっても後に10ゲージ
型を作ったように、すぐに破壊するのではなく、歪みや伸びが、ガタつき、
作動不良の誘因になる、といった程度だと思うが)を残したのではないか。

1887/12
マルシンM1887で、レバー操作により機関部を開いたところ。
一部下部も開き、上下に空間が空く。
マガジン(弾倉)への装弾はこの状態で、チャンバー(薬室)下部へ
ショットシェルを押し込んでいかなければならない。


1887/16
各種のカートリッジ(弾薬)。
左から、32-20、44-40、30-30(ケースのみ)、12ゲージショットシェル、
発射済み(前方のクリンプが開いた)12ゲージショットシェル。
ショットガンのケースは紙,真鍮などからこのプラスチック製に変遷
しているが、散弾を保持する部分が前方に残るので、ケースから出ている
弾頭が無くなって全長が短くなるライフル,拳銃弾と異なり、このように
発射前より全長が長くなる。
そしてレピーターではこの長いケースを抜くだけの排出ストロークが必要になる。


それでもこれを形にしたJ・ブローニングはやはり天才かも知れない。
それは、この構造が彼の一連の作品と重複しない、という点からも伺える。

[天才J・ブローニング]
J・ブローニングは、自動装てん式の分野で機関銃からショットガンまで
幅広く特許を取得したが、手動式でもウィンチェスターM1892(M1894)
ライフルでは上下動する閂状のラグをロッキングに使っており、
ポンプアクションのショットガン、M1893(後に改良されてM1897)では
全く異なる手法を、と実に豊富なアイデアを持ち、それぞれに適した
システムを使い分けている。

1887/03
1/1で、J・ブローニング設計、ウィンチェスター製造の銃を。
左からM1897(タナカ モデルガン)、M1892(マルシン ガスガン)、
M1887(マルシン ガスガン)。


しかし彼の経歴の初期の作品とはいえ、M1887の形状、システムは
決して洗練されているとは言い難く、他の製品が長く作られているのに
比べ、生産期間が短い。

ウィンチェスターを大成功に導き、自ら拘ったレバーアクションは、
ライフルでも弾薬の小口径/尖頭化でチューブマガジンが使用で
きなくなったこと、カートリッジの大型化に対応するにはストロークに
限りがあること、などから20世紀に入ると急激に支持を失っていった。

18887/05
44-40(右の2発)と尖頭弾頭の30-06をチューブマガジンに沿って並べたところ。
尖頭弾頭では何らかの措置を講じないと弾頭がプライマー(雷管)に当たり、
暴発の危険がある。


1887/07
ウィンチェスターM1892ライフルとボルトアクションの三八式騎兵銃。
機関部下にマガジンを持ち、機関部も大きく開く。
ボルトアクション式では更にストロークを増やすことも容易で、20世紀
始めから現在まで手動式ライフルでは主流の形式となっている。


手動式連発銃では、ライフルのボルトアクションも19世紀末に実用化、
ウィンチェスターはショットガンではポンプアクションに、ライフルでは
ボルトアクションに切り替え、また軍用の自動装てん式ライフルでは
M1カービンを作るなど、その後も成功していくのだが、J・ブローニングと
ウィンチェスターは20世紀に入ると契約金支払い問題などから関係を
解消、J・ブローニングの自動装てん式ショットガンは欧州のFN社
のほか、ウィンチェスターのライバルであるレミントンで生産される、
という結果になった。

1887/06
1/1で、ウィンチェスターのライフル、ショットガンを。
左からM2カービン、M1897ショットガン、M1892ライフル、M1887ショットガン。


[適者生存]
様々な形質を持つ個体群のうち、最も環境に適したものが生存,
繁殖の機会を得られ、生き残っていく、という考えがあり、ちょうどこの
M1887が登場する少し前、哲学者ハーバード・スペンサーが発表、
チャールズ・ダーウィンがそれを進化論の原理として採用している。

銃の開発では、まずメーカーが意識して(当然だが)”よく売れるもの”
を選択する。
それは構造的により優れたもの、安く作れるもの、使いやすいもの、
などの要件が検討されるはずだが、今回のM1887のように、
経営(販売)側は、同社のライフルと共通の操作方式で相乗効果
を狙い、設計側はショットシェルの特殊性に着目して適した構造を
推す、という状態になり、結果としてこのように短命な”不適合”
(それでも多数作られ、メジャーになるほど売れたのだが)な商品
が生まれることもある。

現在では、自然界におけるそれぞれの個体の生存選択はほとんど
確率的に起こっており、適応形質はせいぜいその確率を少し上昇させる
に過ぎず、必ずしも環境の変化に最適な形質が選択されるのではなく、
確率的に生き残ったものが”適者“となる、と考えられているようだ。

くしくも企業が“恣意的”に取捨選択して製造する製品も、自然界で偶然
に発生し、生き残った”進化”の結果も、必ずしも”最も優れた形質”
ではない、ということだ。

[復活]
カートリッジの開発、ボルトアクションの登場、そして弾頭の尖頭化、
更に後には自動装填式の開発など、この時期の銃の進化は
目まぐるしく、メーカーも激しい開発,生き残り競争が展開された。

激しい製品の刷新は、逆に旧いものへの回顧趣味という“新しい環境”
を生み、第二次世界大戦後のウエスタン・ブームでは、前世期の銃が
もてはやされる事態が発生する。

米国ではショットガンのジャンルでいまだにレバーアクションが存在し、
マーリン社などが今も作っているようだ。

また、410ゲージなどの小口径ではライフルを基にしたショットガンがあり、
これはライフルの所持許可が厳しい日本でも人気があるようだ。

性能的には、レバーアクションのライフル,ショットガンは、もはや強者でも
適者でもない。

そして、現在は、その時代を生きた人間ではない(もはや郷愁ではない)、
また西部劇などでその時代を知った訳でもない者が、今度は新しい
アクション映画で、レバーアクションショットガンを知るというように、
既に第三世代に影響は及んでいる。

映画「ターミネーター2」も、西部劇で活躍したジョン・ウェインへの
オマージュとして、馬上でレバーアクションライフルを回転させ操作する様を
オートバイとショットガンに置き換えて再現したものだ。

1887/13
1/6で、「ターミネーター2」に使われたショットガンを2つ。
左はラスト近くで使われた現代の標準的ショットガン、レミントンM870
(ピストルグリップ付き)。
右が前半からターミネーターが使うM1887のソウドオフ。


M1887は一度廃れたが故に、逆に新鮮味を持って受け入れられ、
トイガン化するほどの人気を得たのではないだろうか。

そう考えると、現代は“過剰な淘汰”が進んだために、逆に“不適者生存”
“再評価”を生んでいるのかも知れない。

1887/09

しばらく更新が滞ってしまい、楽しみに待ってくれていた方々には
申し訳ない。

次回の予定もまだ決められないのだが、ネタだけはまだまだあるので、
気長にひとつ宜しく。

では、今回はここらへんで。

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2015/01

明けましておめでとうございます。

本年も「Gun 1+1/6」を宜しくお願い致します。

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もうすぐクリスマス、ということでここでも一枚。

2014cs01

個人的な今年の銃、ということで、狙撃カスタムの検証に登場し、
グリップなども充実したパイソンをあしらってみました。

通常記事モードに戻るのはどうやらまだ先になりそうで、
楽しみに待っていただいている方には申し訳ないのですが、
また宜しくお願い致します。

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きょうは通常の記事ではないのですが、
こちらでもハロウィーンということで一枚。

141031A

従来のOTHER SIDEに加え、最近、塔四郎様のBBSにも
お邪魔するようになっています。

こちらはすっかり放置状態になっており、申し訳ありませんが、
記事は鋭意制作中ですので、もうしばらくお待ち下さい。

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5An05231.jpg

今回はちょっと趣向を変えて、警察庁長官狙撃事件の使用拳銃について
考えてみたい。

まず、この事件の被害者となられ、今も後遺障害と闘っておられる元警察庁長官 
國松孝次氏には、謹んでお見舞い申し上げる。
そして、敢えて今このような文章を発表するのは、事件について個人も含め
幅広く立場の違う視点から検討、意見交換がなされ、真実が追求されることが
有用かつ必要な事ではないか、また真相の解明こそが被害者である氏の望み
ではないか、と考えるためである。

この事件は容疑者とされた人物の渡航歴を考慮しても、既に公訴時効を
迎えており、今後被告の立場となる者はないと思われること、この文章を作成する
にあたって、直接資料などを見聞きした訳ではないこと、また犯行などの行為に
ついては厳しく追及したいが、個人的に容疑をかけられた者、捜査関係者に
対し、中傷や非難の意図は無いため、わかりにくくなる可能性はあるが、関係者
は敢えて実名ではなく、イニシャルのみ記載することをご了承願いたい。

[経緯]
今年8月31日、TV朝日系列で、「世紀の瞬間 未解決事件」という番組が放送
された。
この中で、1995年3月30日に発生した警察庁長官狙撃事件について、
鹿島圭介氏の著作「警察庁長官を撃った男」をベースに追跡取材を行い、
Nの犯行を疑っている。

この番組を見て、疑問に思ったことがあり、今回それを検証してみた。
ただ、番組自体は最初から見ようと思っていたものではなく、録画も行って
いない。
この点、記憶違いがあるかもしれないので、あらかじめことわっておく。
また、この番組の元となった、鹿島圭介氏の著作もチェックしてみようと思い、
文庫本が出ていたためそれを求めた。
事件については、多数の著作や報道、個人見解などがあるが、今回の検証は、
TV番組で紹介された事項、そしてこの元本の内容に限る。

[疑問点]
まず、犯行に使われた銃は警察 科捜研の検討によると米コルト社のパイソン
8インチバレル(銃身)付きで、目撃者の証言もこの大きさを伺わせるものだ。

py8/10
画像右がパイソン8インチ、左は日本の警察でも使用されることのある
S&WのM26チーフスペシャル(2つともタナカ ガスガン)。


また、犯行に使用された弾丸は38口径のフェデラル社製ナイクラッド弾で、
損傷程度から38スペシャルをオーバーロード(火薬量を増す)したものか、
.357マグナム(.38スペシャルと弾頭径は同じ)とみられている。

py8/11
.357マグナムと.38スペシャルのダミーカートリッジ。
両者はケースの長さが数mm長い(.357マグナム)以外基本的に共通サイズだ。


気になったのは、当事者しか知らない”秘密の暴露3 拳銃の加工”として
『(犯行に使ったコルト社のリボルバ=回転式けん銃)パイソン用に自分で
製作した「着脱式の銃床」』【()内は当ブログ主の注釈、参考資料② P208】
を使った、としている点だ。
形態は『小型の松葉杖のような形状』【参考資料② P208】で、取り付ける
ために『銃把(=グリップ)の左右両盤(両方?)の上端をカットして、3つの
ボルトを埋め込み、そこに銃床の先端が着脱できるようにしました』
【参考資料② P208】とある。

py8/03
自作でこのストックを再現したもの。

更に放送では、この銃床の図が示され、等間隔に3つの穴が銃床先端に
開けられ、これが銃本体の機関部側面に開けた穴にはまるボルトによって
固定されるようである。
図は一面しか写されなかったと思うが、資料②によると、左右両方の銃把を
カットしているので、上から見てU字状になっている
(板を3枚重ねた)形状だと思われる。

[検証1 負荷荷重]
ボルトの径については記述がなく不明だが、目的が.357マグナムの反動を
受け止めるストックの固定なので、曲げモーメントによるせん断荷重に耐える
だけの強度が必要だと思われる。

.357マグナムのエネルギーは、弾のメーカー,種類によって差があるが900J
(ジュール)ほど、初速は400m/sec2くらいが平均だとすると、バレル(銃身)を
通過する時間は0.001sec、エネルギーがこの間に伝達されると考えると
900÷0.001=900000N(ニュートン)になる。

これを3本のボルトだけで支えるとすると、非常に大きなものが必要となる。
せん断方向の許容荷重を570N/平方mm(F10T)とすると、
900000÷3÷570=526平方mm

円柱のボルトと考えると、
√(526÷3.14)×2=26mm(直径)
これは曲げモーメントを考慮していないので、実際はもっと大きなものが
必要になる。

但し銃の動きはこれより遅く、またストック側の固定は人間の体に
よっており、こちらははるかに遅い速度で”逃げる”(反動で後退)ので、
一桁伝達時間が大きくなれば、直径8mm程度になる。

拳銃に着脱式ストックを付けるのは19世紀のパーカッションリボルバー
でも流行し、自動装てん式の初期では、ボーチャード、モーゼルミリタリー、
ルガーP08など、各社がこぞって開発を行った。
これらをみていけばわかると思うが、全てグリップフレームの後部を
ストックの前部と接触させ、大きな面積で荷重を受け止めている。

ボルトの、しかも引っ張り,圧縮に比べ弱いせん断方向の負担だけで
もたせるような構造は、設計としては”上手くない”。

少し形は違うが、MONARCHのRITLE-ETTEショルダーストックというものがあり、
これはM1911でグリップ部にストックを付けたものだ。
弾薬は45ACPで.357マグナムの比ではないが、それでも大きなネジを使い、
広いピッチでグリップに付けている。
M1911のグリップ自体は4mmほどの小さなネジで止まっているが、これは
グリップの荷重を受けるのではなく、そのベースとなるもう一段太いナットを
フレームに埋め込んでそれが荷重をグリップに伝えている。

今回、フレームに3本納まる形で検討し、M6(外形6mm)のネジを使っているが、
上記の検討だととても”持たない”。

また、ストックの素材にアルミを使ったともあり、合金で高い強度を持つものを
使ったとしても、この大きな荷重を受け止める(ボルトとの接触部で、こちらは
圧縮荷重)には、相当の面積が必要だ。
下の画像では3mm厚2枚で銃本体のフレームを挟むように配置しているが、
これではボルトの許容せん断荷重以下で、ここから曲がり、折れ(座屈)が
発生すると思われる。

[検証2 ボルトの位置]
次にボルトの位置だが、グリップを切ってもボルトを植え込む場所はないのだ。
『3つのボルトを埋め込み』【参考資料② P208】という記述だが、そのまま解釈
するとグリップを切った部分にボルトが入ることになる。
これをトイガンではあるが再現、検証してみよう。

グリップの切断は避け、取り外した状態で装着の検討を行ったのが下の画像だ。
一番後ろのボルトは空間があり、そこに配置できるが、前の2つは機関部を
貫通することになる。
Fig2に示す通り、機関部内にはトリガー(引き金),ハンマー(撃鉄)シア,
リバウンドバー、ボルト、シリンダーハンドなどが入っており、ここにボルトを
入れることは不可能(やったら銃の機能が失われる)だ。

py8/04

これはタナカのガスガンで見ているが、下のコクサイ製モデルガンと比べても、
この機構部分は大差ないことがわかると思う。更に、これらの機構に付いては、
月刊Gun誌の本物vsモデルガンなどでも比較されており、後述のフレーム厚さ
などは実物グリップが装着可能であることなどから再現度の高さがわかる。
”実物なら可能”とはいえないはずだ。

py8/09

TVで放映された図とは異なるが、グリップを半分切断し、トリガー後方に3つの
ボルトを並べる形なら配置は可能だ。
しかし、そうなるとこのストック保持(固定)は、3つのボルトの締め付けによる
摩擦力のみ(グリップの残りが当たっていても、大きな力には耐えられないと
思われる)で、上記のようにこのボルトの許容せん断荷重でも危ないものを
もたせることは出来ず、更に今度は銃を握るのに不具合を生じる。

より現実的な方法は、左右両側にストック先端をもってくるのを止め、どちらか
の”片持ち”とすることだ。
左側は装填,排莢に難を生じること、サイドプレート(上の画像 Fig3参照)
という、ネジ2本でフレームに止まっているパーツに付けるのは強度上また
無理があるので、右側がまだマシだ。

py8/05

しかし、こちら側のフレーム厚さは、厚いところで5mmほど、中央~前部では
ポジティブロック(上の画像 Fig4参照)という安全装置を納めるための
切り欠きがあるため3mm弱しかない。部品と干渉せず、かつネジ穴の面取り
など不完全部分を考慮すると、M6では2山ほどしかかからず、通常呼び軽の
1.5~2倍が必要とされる厚みには、到底及ばない。

ボルトを”植える”のは諦め、フレーム右側表面に溶接でボルトを付けることを
検討してみた。

py8/06

画像は(トイガンの素材が樹脂なので)実際に溶接したのではなく、熱可塑性
樹脂で溶接の様子を再現したものだ。
この方法は一見可能に見えるが、溶接は母材(この場合フレーム)も溶かす
ので、その肉厚が3mm無いこの場所ではフレームに穴が開き、また内側が
変形する恐れがある。どうしてもここにボルトを植えたいなら、タップを切った
補強用の大きなプレートを肉厚のある部分で溶接し、そこにねじ込む方法だが、
それはもはや『3つのボルトを埋め込み』とはいえない。「ストック取り付け
プレートを溶接し」が適切な表現になるはずだ。

そして、検証1で述べた通り、各国で開発されたストックと同じように、
グリップフレームに付ければハナからこのような無理はないのだ。

もしNが本当にストック取り付けを検討しグリップ,サイドプレートを外したなら、
一目で方法の変更を選択した、と思うのだが。

個人的にストック自作した例が下の画像のものだ。

py8/07
パイソン8インチにスコープ、非固定式のストックを組み合わせたもの。

グリップ後方にストックを当てれば、荷重負荷は問題ないはずで、グリップ下を
切ってフレームにネジ止めも可能だが、このまま手で保持しても問題ないうえ、
後に記述する逃走時の分解の手間もかからない。
ストックを固定しなくても良いのか、と思う向きもあると思うが、以前セイフティ
スラッグを開発したキャノン元大佐が手首に取り付けるストックを開発していた
ように、反動を肩で受ける(そして銃の保持性を高める)目的には有用だと思う。

この画像では更に照準の問題に対処するためにスコープも付けており、
このほうがNの証言した狙撃用カスタムより、よっぽど実践的で加工も簡単
だと思う。

余談だが、科捜研ではパイソン,トルーパー、キングコブラの比較検討を
行ったそうだが、.38スペシャルの銃はハナから除外し(.38スペシャルで
ハンドロードした可能性もあり、今だにネットでは米国でナイクラッド弾頭を
入手しローディングデータを探しているという記載が見つかる)、またコルトの
.357マグナムでもニューフロンティアなどは検討されていないようだ。

ニューフロンティアなら、上記のパーカッション期のストックも容易に転用
できる(画像はHWS製のレプリカストック)。

py8/08
ハドソン モデルガンのニューフロンティア7.5インチにHWS製ストックを装着したもの。
このニューフロンティアは.45口径だが、.357マグナムも実物では存在する。


更に以前CMCからモデルガン用としてスケルトンストックも販売されて
おり、これも流用可能だと思われる。

ニューフロンティアのグルーブダイア(銃腔内径のうち、ライフリングの溝
部分の径)だが、検索すると.354~.356との記事が海外HPで見つかる
(科捜研が使用された拳銃をパイソンだと推定したのは、グルーブダイア
がトルーパー,キングコブラより小さいためだという 
【参考資料➁ P240~242】)。
再装填を前提とせず、精度を高めるためシングルアクションで狙うなら、
この銃も十分使用可能なはずだ。

[検証3 ストックの着脱]
ストック取り付け方法の矛盾はそれくらいにして、もし取り付けが可能
だったとして、証言のように、狙撃後、ストックを分解してから自転車に
乗り逃走、が可能だっただろうか。

証言には工具を使って分解した、という記述が無く、また現場でそのような
手間のかかることはしなかったと解するのが普通なので、手で締め、
たは外すことのできるノブが使われたと仮定しよう。

さんざん上で取り付けの難を述べたボルトだが、フレーム寸法に納まる
寸法で、手持ちの手締めボルトが付くギリギリのサイズが20mmピッチで、
これで上の検討も行っている。
逆に、これ以上ピッチを広げることは困難だ。

ネジは一応3山以上かかっている、と仮定してこの状態のものを回して
みたところ、4~5秒かかり、そのネジ(ナット)をどこかポケットにでも
しまうのに数秒、ストックを抜いて銃本体とストックをショヅダーバックに
しまうには更に数秒かかる。
強度を得られるようにボルトがもっと深く本体に入っていれば、更に
時間がかかることは言うまでもない。

狙撃位置から被害者,付き添いの者までは20mほど、警護の者は例え
50m離れていて、狙撃終了後被害者のところに未だ到達していないとしても、
狙撃後自転車を走らせるまでに10秒近くかかると”犯人は追手に捕まって
しまう”。
またこのような、緊迫した場面で3本のボルトを外すような”もたついた動作”
は当然目撃者にも強い印象を与えるはずだが、そのような目撃談は
一切ない。

[検証4 照準の問題]
パイソン8インチにはバリエーションがあり、ハンター,テンポインティア,
ターゲットなどが知られている。

py8/12
タナカ パイソン用のバレル各種。
本体に付いているものはパイソン刻印、中央はテンポインティア、舌はパイソンハンター。
実物でも本体の違いは刻印のみで、スコープなどの装備品が異なる。


このうちターゲットは.38スペシャル実包専用だが、他の2つはスコープを
標準装備したモデルである。
また上の画像では、自作スコープマウントでパイソンにスコープを付けて
いるが、このような形のマウントも市販されていた。

パイソンのサイトは、両手、もしくは片手で保持して狙うことを前提として
おり、また戦後の拳銃では一般的な、コンバットシューティング等で最適と
された大きなフロントサイトに凹型のリアサイトを合わせる、という形式
のものだ。
これをストック装着で頭がリアサイトに近づいた状態で見ると、凹部は
大きくぼやけてしまう(照準は、フロントサイトに目の焦点を合わせるのが
普通で、逆にリアサイトに焦点を持ってくると、目標は大きくぼやける)。
特に老人だと老眼傾向から近くのものにはピントが合いにくいはずだ。
精密射撃では、フロントサイトとリアサイトの隙間は少ないものが良い
(すきまが大きいと、その隙間の左右の大きさを比較しにくく、精度が
悪くなる)とされており、この状態ではピントが合う合わないだけでなく、
照準誤差が増大する。

スコープでもアイリリーフ(目とスコープの距離)の差があり、ピストル用は
アイリリーフが遠目に設定されているが、適切に設定されたものを使えば、
ストック装着状態でぼけることなく狙えるようになる。
そして、精密射撃において、サイティングがその精度に大きな影響を及ぼす
ことは既に広く知られており、光学照準器使用は競技でも別クラスとして
分けられていたりする。
APS競技拳銃の10m射撃でも、アイアンサイト(凹凸の照準器)では
30~40mm、スコープ装着では20mm台、という結果を個人的にも得ている。

また、仏の対テロ特殊部隊GIGNでは、マニューリンM73リボルバーにスコープ、
バイポッド(二脚)を付けたものを使用していた。
米国では法規制のせいもあるが、同様にスコープ付き、バイポッド付き拳銃の
例が多く見られる。

20m(当初想定では30m)の拳銃では遠距離の射撃で、この不適切な
リアサイトでは難しいことは試射すればすぐにわかるはずで、逆に拳銃競技
などで練習を行ったことがあるものならば、サイトの問題にすぐ気が付くはず
なのだが。

ストック取り付けを前提とした自動装てん式の拳銃は、小さめのサイトで、
前がピラミッド型、後ろはV型になっており、リアサイトが(相対的に)大きく
見えても、谷間にフロントサイトの頂点部を合わせれば左右が合うように
なっている。

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P08(ネイビーモデル)とパイソンのリアサイトの比較。
下段はアイリリーフが短い状態でフロントサイトとあわせて照準の状態を示したもの。
大きく隙間が空き、ぼやけたパイソンのリアサイトでは、精密な照準は難しい。


戦後のモデルではH&KのVP70はフロントサイトを幅広にし、ストック未装着
状態ではフロントサイトに設けた抉りの部分を使って照準する、という
変則的な方法で対処している。
H&Kはその後MP7などでは前後サイトを切り替えて別のものを使う、といった
方法に進化しているが、ともかくストック装着(使用)には、こういった配慮が
行われないと、精密な射撃はできないと思う。

[秘密の暴露]
また、パイソンの密輸に関しても、『パイソンもそうですが、銃器類はばらばらに
分解して、(中略)電気機器の中に隠して、日本に密輸していました。』
【参考資料② P272】というNの証言がある。

パイソンを小さくするには、バレルとフレームを分解する必要がある。
逆にここが一体のままなら、他をいくら分解しても全長は同じだ。
コルトのリボルバー(回転式拳銃)はバレル、フレームに切ったねじで両者を
結合するが、強力な反動でも緩まないように強固に締め付けられており、
両者を傷めないように分解するには専用治具,装置を要する。

一般的なねじ回し、ペンチなどの工具では、不可能なだけでなく、照準が
狂う恐れ、緩みが出てくる恐れもある。

ダン・ウエッソン社の製品のように、簡単に分解できるよう設計され、専用
工具が付属しているものを除けば、バレルの着脱はガンスミス(銃工)の
仕事だ。
Nはこれを国内で誰に依頼したのか。あるいは自分でやったとして、
どのような工具、方法をを用いたのか。

以上みてきたように、この拳銃の加工証言は、信用するに値しないと思う。
そうすると、Nの証言は大きく揺らぐことになる。

他の秘密の暴露については、もともとNが狙撃を可能にしたのが”警察内部
へ侵入しての情報入手”だったため、これを受け入れるなら、その進入時期
を”事件後”にずらせば、警察内部で入手可能だからだ。

逆に”犯人しか知り得ない秘密”は、この拳銃の加工だけ、そして共犯者の
特定も、時効後でも出来ていない。

弾は生産時期から約5年間のものに特定されていても、正に犯行に使ったもの
を入手したとはいえず、またNが持っていた弾の回収、鑑定も不可能だった。

ストック付きハンドガンは米国でも許可が必要だが、自分が示した
”非固定式”なら問題は無いと思われる(でなければ板切れを規制すること
になる)ので、もし海外でパイソン8インチを自由に撃てる環境がある方が
これを見られたなら、ひとつ検証していただきたいと思う。

また、放送ではNの犯行とするには矛盾点となる、もう一人の容疑者の
コートの鑑定結果、現場に落ちていたバッジのDNA鑑定結果、
現場の発射痕跡から割り出された犯人の身長よりNが10cm低いことを
無視しており、鹿島氏の著述でもこれら証拠に付いては信用性を疑い、
身長差に至っては「矛盾しない」としており(高い身長の者が低い位置で
射撃することは可能だが、低い者が高く構えると照準できない)、昨今の
朝日新聞の謝罪騒ぎではないが、もともと結論ありきの検討で、更に
都合の悪いものはカットするという、公平さの点でも問題があった
のではないかと思う。

実は米国での取材でも、パイソンバレルを使ったスマイソンが登場しており、
正にパイソンだけがパイソンバレルを使っているものではない(メーカー製
でもボア、後になるがグリズリーなどがある)のを証明している、と
思うのだが。

但し鹿島氏の著作については、捜査一課と公安の対立、など警察内部の
軋轢、刑務所にいる容疑者の供述を追う姿など、”読み物”としては非常に
よく出来た作品で、一気に読んでしまった。
もし興味を持たれたなら、是非一読をお勧めしておく。

参考資料;
①8/31 TV朝日「世紀の瞬間 未解決事件」
②新潮文庫 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男」

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それでは今回はここらへんで。

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今回は、S&Wが次期スタンダードを目指し開発したと思われる、
M586/M686を。

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[概要]
M586は、リボルバー(弾倉回転式けん銃)を得意とするS&W(スミス&ウエッソン)
社が1980年に発表した.357マグナム弾を使用するモデルだ。

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マルシンのモデルガンで、M586 4インチバレル(下)と6インチバレル付き。

それまでのKフレーム(構造体)、Nフレームの中間サイズとなるLフレームを新たに
開発し、バレル(銃身)下に錘の効果を持たせたフルラグ(全長に渡る突起、
M586では円柱状)、調整式のKサイトと呼ばれるリアサイト(照門)を装備
している。

バレル長は2.5~8-3/8インチが作られたという。
全鋼製がM586、主要部材がステンレスのものはM686となる。

[1/1]
M586シリーズはS&W期待の新型、ということもあり、各社競作でモデルガンが
作られ、またエアーガンもエルエス,グンゼ,クラウンそしてモデルガンも
手掛けたマルシンなど、多数出ている。

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マルシン ガス式エアーソフトガンのM6864インチ(手前は旧型。奥がXカートの新型)。

モデルガンは、まずコクサイ、続いてマルイからは“造るモデルガン”のキット
として、その後MGC、マルシンからの発売となったようである。

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左から、MGC、マルシン、コクサイのM586 6インチ。
MGCには木製のファイティンググリップが付いている。


各社共当初は4,6インチの2種だったが、MGCでは2.5,3インチと3インチに
反動軽減用の穴加工を施したキャリーコンプと呼ばれるカスタム2種、
加えて固定サイトのM581、ロン・パワー氏のPPC(プラティカル・ピストル・
コース)競技用カスタムを模したパワーカスタムも造られている。

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MGC M586 2.5インチ(左)と3インチキャリーコンプカスタム。

5An03493.jpg
MGC M586 6インチ(左)とパワーカスタム(右)。

[1/6]
今回のモデルもルーズパーツの単品入手で、出処は不明だが、ステンレスを
模した銀色の塗装で、4インチにラウンドバットのコンバットグリップが付いた
形となっている。
ハンマーが可動で、シリンダーもスイングアウトできる。

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[M586の開発]
M586シリーズのペットネーム(愛称)はディスティングイッシュドコンバット
マグナムだ。

この名は、単に究極の戦闘マグナム銃、というだけでなく、PPC競技の取得
段位で最高位のグランドマスターに次ぐ位、ディスティングイッシュドマスター
から来ているともとれ、また同社のM19コンバットマグナムの進化形、とも
とれる。

当時S&Wのリボルバー用フレームはJ,K,Nの3種のみで、いやオート(自動
装てん式)もM39系統、M41,M61の3種しか無く、基本的にはサイト,口径など
の違いでバリエーション展開していた。

.357マグナムを使うモデルは元々この弾薬の開発時から用いられていた
Nフレームだったのだが、軽量化のため、Kフレームに焼き入れしたM19を
作ったところ、これが大成功、米国では制服警察官の標準的装備、と
言われるほど普及した。

この銃については過去にも取り上げたが、.357マグナムでは強度上少し
役不足だった。

そして当時、.38スペシャル弾の威力不足がクローズアップされていたことも
あり、S&Wとしては珍しく新型フレーム(サイズ)の採用に踏み切ったのでは
ないかと思われる。

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コクサイのモデルガンで、左から、M28、M586、M19のスイングアウト
(シリンダー振出し)状態。


これは結果的にこうなった、のかもしれないが、そのサイズは登場当時
『ゴツ過ぎる』とも評されたパイソンのサイズに近い。
パイソンは、同社のオフィシャルポリスから派生した.357マグナム,トルーパー
を元にしているが、S&WのKフレームに比べると、各部が肉厚になっていた。

結果論だが、やはり.357マグナム用としては、これくらいの大きさが必要だった、
ということになる。

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マルシン モデルガンM586(左)とタナカ ガスガンのコルトパイソン(右)。

しかし、当時まだ好調だったM19と重なる新型の開発は躊躇われたに
違いなく、しかもM19の限界から新型を開発した、となれば、S&Wの評判
にまで響く可能性もある。

そこで、他に外観上大きく注意を引く要素を再びパイソンからいただき、新型に
加えることとしたのかも知れない。
その要素とは、フルラグである。

[フルラグバレル]
パイソンのバレルはフルラグ、クーリングホールが装備された豪華なもの
だが、バレル自体も若干タイト(内径が細い)で、命中精度も高いと考えられた
ため、S&Wやスタームルガー社のフレームにパイソンバレルを付けたカスタム、
スマイソン(=Smi+thon スモルト=Sm+olt),クーガー(Co+uger)が
流行する。

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左から、マルシン M686(ガスガン)、HWS スマイソン(モデルガン)、
WA クーガー(モデルガン)。


S&Wはこの動きを受けて、フルラグバレルのM586を開発したのでは
ないだろうか。

フルラグバレル付きリボルバーの追従例としてはS&Wの前にダン・ウエッソン
社、独コルス社、仏マニューリン社があり、マニューリン以外(後のM96では
採用)のどちらもクーリングホール(冷却用の穴)もコピーしていた。

しかし、ダン・ウエッソンはコピーするにも少しアレンジを加え、フルラグでも
両側面をフラットに成形していた。

またS&W M586より前か後か、は調べきれなかったが、フルラグバレルは
ブラジルのタウルス社、独エルマ社、伊ウベルティ社とルイギ・フランキ社
(これはウベルティのOEMかもしれない)、ブラジルのロッシと、ともかく
ターゲット用リボルバーの標準装備、といえるまでに普及している。

他ではスタームルガーもGP100でフルラグ化しているが、これも側面は
フラット(台形断面かも知れない)で、やはりパイソンとは少し形を変えている。

ともかく、S&Wはいくつかの”コピーの先例”が登場する(一般化する)のを
待って、フルラグバレルの採用を決めた、のではないだろうか。

[コピーの程度と時期]
1970年代からS&Wの仕上げは悪化していった。これに対し、美しい仕上げ
を(表面上は)維持していたコルト社のパイソンの人気は上昇していた。

M586は打倒パイソンを標榜していたはずだが、当のコルトパイソンも仕上げ
が悪くなり顧客離れを招き、自滅とはいかないが低迷を始めていた。

この時期、結局両者共“仕上げを回復する”というつもりはなく、後にS&Wの
パフォーマンスセンターカスタムが高級路線を受け持ち一定の位置を確保
するまで、S&Wも”見てくれ”よりも実用性重視、だったようだ。

M586は高級な仕上げのパイソン対抗モデルというより、サイズ的にも中庸を
狙い、新たなリボルバーのスタンダード、という位置づけだったのかも
知れない。

しかし、1980~1990年代は、米国でも警察など公用の装備が、リボルバー
からオート(自動装てん式)へ転換、特にポリマー(樹脂)フレームを持ち
多弾数マガジン(弾倉)を持つグロックなどが台頭、大幅にリボルバーの
市場が縮小する時期となってしまった。

M586も7発の装弾数を持つ+1モデルを追加(M619,M620という別モデル名
を持つモデルも存在した)、大型のNフレームでは、8連発となるM327などが
作られたが、再装填の時間など、やはり克服できない問題もあり、現在
制服組の装備でリボルバーは見られなくなっている。

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8連発のM327(左 タナカ ガスガン)とM586パワーポート
(マルシン モデルガンベースのカスタム)


S&Wは、オートもM39系のものを発展させてきたが、このシリーズでは対抗
しえないと判断し、ポリマーオートのシグマを作る。
しかし、これがグロックの特許に触れていると訴えられ、ワルサーと組んだ
SW99シリーズ、そしてM&Pシリーズとポリマーオートでも迷走、一時外国
資本となるなど、会社自体も思わしくない状態が続いた。

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S&Wのオート、M&P9(左 マルイ ガスガン)とM586(右 コクサイ モデルガン)

シグマは特許問題に関わる部分のコピーがあり、またすぐにコピーしたこと
でS&Wの評判をを落としたが、単に意匠上、サイズの問題であるパイソンと
M586についても、もし1960年代にM586を出していたら、成功よりも、
『パイソンの二番煎じ』の誹りを免れなかったのではないか。

ただ、1970年代なら、M586は”出遅れる”ことなく、ベストセラーとなってポリス
装備の定番、となっていたかも知れない。

現在、リボルバーはメンテナンスの容易さと作動の確実性から個人や私服
警官の護身用として、大パワーを活かしてハンティングや山歩きの際の
バックアップとして、需要が戻ってきているようだ。

S&Wも大型のM500やポリマー,レーザーサイトを導入した新型ボディガード
など、従来のサービス(公用)モデル、競技用よりも大小どちらかに特化した
モデルに力を入れ、またそれが受けているようだ。

”良いモノは真似られる”というのはある意味当たっており、法的問題や、心象
(デッドコピーで二流のイメージ)を除けば売れている他社製品の要素を
取り入れるのは手っ取り早く品質を向上させる方法でもある。

ただ、それも程度とタイミングが重要で、そのセンスを磨くのはもしかすると
独自技術の開発よりも難しいのかもしれない。

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でrは今回はここらへんで。

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