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今回はスイスアーミーナイフの代表、ヴィクトリノックス/ウェンガーの
ソルジャーを。

Sol/01

[ヴィクトリノックスの沿革]
ヴィクトリノックス社は、1884年、スイスでカール・エルズナーが開いた
工房が発祥だ。

同社によると、スイス軍は、新たに採用したライフルの分解にマイナス
ドライバーを必要とすることから、ドライバーが付属したアーミーナイフ
を求めた、とされる。

時期的にこのライフルは、シュミット・ルビンM1889というストレート
プル式(回転させずに機関部の閉鎖,開放を行う)ではないかと思われる。

ヴィクトリノックスは、スイス軍の求めに応じて、単なる
フォールディング(折り畳み)ナイフではなく、リーマー,缶切り,
マイナスドライバーといったツールを付属させたマルチツールを作った。

それまでスイス軍はドイツのゾーリンゲン地方でナイフを調達していたが、
1891年にこのマルチツールがスイス陸軍に採用され、今日に至るまで
スイス軍制式として納入され続けている。

初期のモデルが近年復刻(型式0.1891.)されているが、エボニー
(黒檀)のハンドルが装備され、若干形が異なるものの、
フォールディング式のマルチツールという形式は同じだ。

Sol/09
スイス制式拳銃だったSIG P210(後方)と、ソルジャー(中央),ニューソルジャー(右)。
ニューソルジャーとP210のロゴは同じだ。


手元にはいくつかのソルジャーがある。
ソルジャー(‘94,03)、ソルジャーAL(’98)、ソルジャーCVAL、
ウェンガーオリジナル、ニューソルジャーだ。

Sol/04
左から、ソルジャー,ソルジャーAL,ソルジャーCVAL,ウェンガー。

Sol/05
並びは上と同じで、ブレードを引き出した状態。
ソルジャーとソルジャーALには年式が刻印され、ソルジャーCVALでは
ハンドルにチェッカーの無い部分がある。


[61ソルジャー]
1961年から、このソルジャーモデルはアルミでチェッカー(格子状)の
滑り止めが入ったハンドルになり、当初は赤く着色されていたが、
70年代では白アルマイトのみのハンドルになった。

1980年から2008年まで軍に制式採用されていたソルジャーは、スイス軍
マークが赤く着色されている。

フォールディングの機構はロック無しでバネで保持される方式、ナイフ
ブレードは91mm、缶切り,リーマー,缶開け,マイナスドライバーと
いった機能がある。型式は《0.8610.26》で、日本には1997~2000の間
輸入されていなかった。

ブレードタング(刃の根元)の左側には、製造年を表わす二桁の数字が
刻印されている。

ブレードの仕上げは70年代のものにはヘアライン(缶切りなどには、
90年代のものでも残っている)があり、それ以降は若干角を丸めた平滑
なバフ仕上げとなっている。

80年代のソルジャーには、後述のウェンガー製も含めてハンドルの下側
(マークと反対側)に四角くチェッカーが刻まれていない部分がある。

また1994年ごろに貫通式の穴開きリベットを廃止し、ランヤード
(負い紐)取り付けが出来なくなっている。

日本では下記のAL,CVALがソルジャーの名を受け継ぎ、現在も供給
されているが、このタイプはニューソルジャーの登場と共に廃番となった
ようだ。

少し前まで、平行輸入された21世紀製造のソルジャーが販売されており、
手元の’03モデルも最近入手したものだ。

Sol/03
ソルジャーでブレード,缶切り,ドライバー,キリなど全て引き出した状態。

[ソルジャーAL]
1996~2001年に日本(韓国にも入っていたらしいので、複数の国の
可能性がある)仕様としてキーリング付きのものが登場し、これは
ソルジャーAL《0.8611.26》という。このモデルにはそれまでの
ソルジャーと同じくブレードタングに生産年が刻印されている。

Sol/12
ソルジャーALと購入時セットで販売されていた皮ケース。

[ソルジャーCVAL(パイオニア)]
更に2001年、ソルジャーCVAL《0.8201.26》にバトンタッチし、これは
現在も供給されているようだ。

このモデルはハンドルのロゴマークがヴィクトリノックスのものに替わり、
キーリングも付いているが、本国での名称はパイオニアで、製造年の
刻印は廃されている。

パイオニアは、日本ではアルマイト後に赤く染められたモデルが輸入
されていた時期があったが、この着色が環境に良くないようで、廃止
されている。

Sol/13
ソルジャーCVAL(左)とサイバーツール。

[ニューソルジャー]
現在は、ブレードが長く、ロック機構をもったニューソルジャーが採用
されており、これはブレードがセレーション付き(波刃)となり、プラス
(フィリップス)ドライバービット,ノコギリも装備している。

Sol/06
ソルジャー(左)とニューソルジャー。

ニューソルジャーのスイスマークは、ヴィクトリノックス社のものとも、
それまでのソルジャーのスイス軍のものとも違う。しかし、年式が
ブレードに刻印されているのは、旧型と同様だ。

メインブレードが波刃に変わり、またロックがメインブレードと大きな
マイナスドライバーに付いた。

このロックとスプリングによる保持があり、ロックは通常のライナー
ロックのようにガタ無しで固定するのではなく、あくまで補助で隙間が
ある。
但し、スプリングが効いているので、大き目のライナーロックが解除
されても、ブレードは戻らない。

片手でしまう場合は非常に操作しにくいが、開くのはスムーズなので、
安全を考えれば無難な解決法かもしれない。

Sol/07
ニューソルジャーのロック機構。PRESSの字の部分を押して解除する。

ハンドルは形状が変更され、黒いゴムも付いてグリップしやすくなった。

しかし、もう立派なナイフなので、価格も普通のタクティカルナイフが
買える(但し国産など)。

こうなるとスイス製で、リペアなどアフターフォローもある安心感が
残された”売り”だろうか。

大型化して波刃でロープ切断などには威力を発揮するが、「軍用食を
食べる為の道具」としてはちょっと大げさで、またロックがマイナス
ドライバーに付く意味は?など仕様には少し疑問がある。

このニューソルジャーでも、いわゆるタクティカルナイフのように
戦闘用としては考えられていないようだ。

[ウェンガーソルジャー]
ウェンガーはヴィクトリノックスの採用後、1901年から2分する形で
スイス軍の受注を受けていたが、2005年ヴィクトリノックスに買収され、
ブランドは残るものの、同じ会社となっている。

ウェンガーのソルジャーは型式《17001》で、D型のリングが貫通式の
リベット部に付けられているものだった。
このモデル《17001》は合併によって廃止されたようだが、USウェンガー
ではアルミハンドルオリジナルという名で後継モデル《16520》が作られ、
現在も販売(日本では並行輸入)している。

オリジナルモデルは、リーマの形状がヴィクトリノックスのソルジャーと
同じになり、ブレードへの製造年の刻印が廃止されたが、同社の
ソルジャーの特徴であるD型リングは存続している。

仕上げもヴィクトリノックスに近いが、スイス軍マークも存続しており、
背面部が研削のままで、バフ仕上げされていない。

また、ヴィクトリノックスのブレードに比べ、ネイルマーク(開くために
爪を引っ掛ける溝)が長い。

ただ、オリジナルモデルはまだ国内ウェンガーのウェブサイト上には登場
しておらず、USウェンガーのみの販売かもしれない。

Sol/14
ウエンガーの16520。

[1/6]
今回の1/6も単品で入手したため、製造元はわからないのだが、
D型のランヤードが付き、ナイフブレードとドライバー/缶切りが
引き出せる。

ランヤードはメインのブレード側に付いており、ランヤードを付けた
ままでのブレード使用に向くか、は疑問だが、逆にこのタイプの難点
である、ランヤードが収納時ブレードに当たり、刃が傷むことはない。

Sol/11
1/6(左)とウェンガーのソルジャー。

[軍用ナイフの変遷]
ソルジャーは軍用だが、もともとライフルの分解や食料の缶詰めを開ける
為の装備で、戦闘となると銃剣やコンバットナイフ,タクティカルナイフ
を使うことを想定していると思われる。

ブレードの固定がバネで押しているだけで、ある程度戻ると自動的に
納まるため、戦闘などで力のかかる向きが変わると、刃が戻ってきて
自分の指を切る可能性があり、危険なのだ。

新ソルジャーではロックが付いたが、刃は波刃で、戦闘向きというより、
ロープの切断などに適した形である。

米国はソルジャーに似た構成で、ステンレスのプレス製ハンドルを持つ
カミラス製のアーミーナイフを使っていたが、最近はレザーマンが支給
されているとか。

スイス軍も食料が缶からレトルトなどに替わり、またライフルの手入れ
にマイナスドライバーを要しなくなり、いやそれどころか銃剣さえ現代
の戦闘では意味が無い、ともいわれ、従来のソルジャーは不要になった、
のかも知れない。

しかし、軍隊は基本的にアウトドア生活であり、マルチツールはやはり
便利で欠かせないアイテムとして、紐や木を切る為の機能を加え、支給
され続けているのかも知れない。

スイスでは国民皆兵制をしいているため、皆軍隊経験があり、このナイフ
もおそらくかなりの確率で所有しているのではないだろうか。

Sol/08
ソルジャー(左)とレザーマンのウェーブ(右)。

[日本のナイフ規制]
日本でも、災害時などにカッターナイフだけでは対応しきれない状況が
ままある。

非常用の装備にはアーミーナイフなどを備えておきたいが、現在銃刀法の
規定で用も無く持ち歩くと逮捕されることになる。

いつもいうことだが、悪用を恐れる余りに、このような戦闘には向かない
形式のナイフまで規制するのは、過剰なだけでなく、逆に助かる命も
失っているのではないだろうか。

救急用キットの詰まった箱に入れて乗用車に常備するくらいのことは、
容認すべきではないのだろうか。

大体、非常事態になったときに、担当が「撤退」のお伺いを出すくらい、
無責任な体制である。

もし民間が自ら備えるのを許さないのなら、官やそれに順ずる“責任の
ある”人々は、自分の命を賭けてもその責任を果し、国民の生命を守る
べきであり、それが出来なかったならクビでも止むを得ない、くらいの
覚悟はしてもらいたい。

大体、過剰な規制は、実は当局が恐がりで、それを潜在的にか、意識
していて隠してか、”勝手に(議員立法でなく、という意味だ)”
どんどん強化されていってしまっただけかもしれない。

以前にも書いたが、それだけ規制しても被害者はゼロになっていない。

スイスの国民皆兵制に対し、市民のナイフまで取り上げる日本の非武装制
は、果たして優れた体制だろうか。

Sol/02

少し前から、ですが、ブログ拍手にお礼画像を設けていますので、
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では今回はここらへんで。

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今回は、久しぶりにナイフ(マルチツールだが)をとりあげようと思う。
2008年に創立25周年を迎えたレザーマンの、ウェーブ25周年記念モデル
である。

wave/01

[レザーマン]
技術者だったティム・レザーマンは、旅先で車や水道などの故障を
修理する際に、プライヤーの必要を感じたことからマルチ(多機能)
ツールナイフのアイデアを思いつく。

T・レザーマンは、7年の開発期間ののち、第一号となるPST(ポケット・
サバイバル・ツール)を完成、このパテントを売り込んでみたが、どこも
応じるところが無かったため、自ら1983年に会社を設立、製造、販売に
乗り出した。

当初は利便性が認識されず、いやそれどころか製品が認知されておらず、
会社が軌道に乗ったのは、通信販売で取り上げられたことから、らしい。

こうして販売ルートが確立されると、コンパクトで、これ一本で多くの
修理現場に対応できるものを、という要求はやはり大きく、PSTは
大成功を納めた。

その後も大きさや機能のバリエーション、機構の違う新型などを作り、
それまでのスイスアーミーナイフとは異なる、プライヤーをメインとした
ヘビーデューティなマルチツールナイフの代表的メーカーとなっている。

wave/17
レザーマンのバリエーション、ミニ(左)とウェーブ。
レザーマンミニは、PSTのあと、小型化を狙って開発されたもので、この
小型化路線は現在もジュースなどが引き継いでいる。


現在、レザーマン社は、単機能のナイフやLEDライト、ガーデニング用
のハサミなども販売し、取扱い商品の範囲を広げている。

[ウェーブ]
ウェーブは、PST,スーパーツール,PST-Ⅱに次ぐフルサイズモデルで、
1998年に発売された。
今までの構造を見直し、ナイフブレードの開閉部分が改良されている点が
最も特徴的である。

wave/03

登場当時は、今までのレザーマンの改良型であり、フラッグシップモデル
だったのだが、現在はチャージなど、更に上級機種が発売された。
しかしウェーブはまだ同社の代表的なモデルとして、ベーシックモデル
として現在もラインナップされている。

また、ウエーブ自体もマイナーチェンジされ、ナイフブレードの幅や、
ドライバービットが交換式になるなどのほか、ナイフブレード以外の
ツールもロックされるように改良されている。

2008年の25周年には、チャージアニバーサリーと共に、今回紹介する
ウェーブ限定版が発売されている。
また、レザーマンの他のモデル同様、ブラックアウトされた仕様も
ラインナップされている。

先の細くなったニードルノーズプライヤーには、アール状断面で
セレーションのある通常のプライヤー部、根元近くにはワイヤーカッター
を備え、ナイフは波刃とストレートの2本があり、他にもノコギリとヤスリ、
ハサミ、ブレード式とビット式のマイナス/プラスドライバー、缶切り,
栓抜きなどが一体化されている。

wave/07

wave/14


[25周年記念モデル]
今回紹介の限定仕様は、金属製のケース(ギフトボックス)に納まっている。
まるで高級菓子のようでもあるが、これも25周年の文字が浮き出しで
入っている。
更にレザーマンジャパンがロゴ入りマウスパッドを付けており、非常に
豪華な仕様である。

本体は、ハンドルに25周年の刻印が圧され、ハンドル,プライヤー部が
バフ仕上げとなっている。

これは少し前に入手したものだが、さすがに2年以上経ってしまったせいか、
最近は在庫するところもみかけなくなったように思う。

wave/04

[ナイフブレード]
最大の特徴であるナイフブレードの開閉機構は、それまでハンドルを
開いてプライヤーを出してからしか操作できなかったナイフブレードを、
ハンドルを閉じた状態からワンハンドで操作できるようにしたことだ。

ブレードには開閉用に長穴のサムホールがあり、ここに親指をひっかけて
片手で持ったままブレードを開くことができる。
いっぱいに開くとロックがかかるが、これもハンドルを握った親指で
解除することができ、この機能は大きな進化である。

ナイフブレードは先端が尖り、70mmを超える刃渡りを持ち、
またブレードのロック機構も備えているので、銃刀法の対象となるため、
携帯することは法律上できない。

さいきんレザーマンは、ナイフの無い物を作っているが、それは銃刀法に
触れず携帯できるマルチツールを求める声に応えたものだと思われる。

ナイフブレードの素材はSUS420HCというものらしい。上位機種のチャ-ジが
154CMを採用しているらしく、それからすると切れ味は及ばないかも
しれないが、セレーション付きのブレードも装備されており、いわゆる
ツールナイフとしての機能としてこれで充分、と判断されたのでは
ないだろうか。

wave/15

[ハンドル]
ブレードをそのまま振り出せる機能のため、今までのシンプルなコの字状の
ハンドルから、更に折り返した断面を持つプレスのハンドルとなっている。
このため握った感じもプレスの鋼板一枚が当たるものより良好になった。

また、プライヤーを出しているときには、ナイフブレードにロックがかかり、
ブレードが出てこないようになっている。

wave/16
ウェーブ(左)とエマーソン レイブンの樹脂製ハンドル。

[分解性]
メーカー保証範囲外で、少し特殊なピン付きトルクスボルトが使われて
いるが、ウェーブは分解も可能で、カシメのプライヤー部などを除いて、
分解して清掃することも可能だ。

ヴィクトリノックスなどが容易に分解できないようになっているのに対し、
このほうがヘビーユーザーには親切かもしれない。
ボルト部は、ゆるみ止めのロック剤が塗布されており、通常緩んでくる
ことは無さそうである。

[ケース]
付属品のナイロンケースには、これも25周年のロゴが取り付けられている。
このロゴは、表面の細かい溝のためか、光線の具合で虹色に光る。

wave/11

ナイロンケースは、布をゴムで引く構造で、本体が中でガタガタ動く
ことはない。
そしてこのケースは、プライヤーを出した状態でも挿すことができ
(フラップを閉じてスナップロックを掛けることはできない)、
本体を紛失したり、置き場の無いところでの作業に便利なように考慮
されている。

wave/13

またケースはベルト通しが縦,横両方付いており、どちらでも
取り付けられるようにも配慮されている。
このように、本体のみならずケースもアイデアが満載で、このあたりも
レザーマンが支持される要因ではないだろうか。


[ライバル]
レザーマンのマルチツールナイフはユーザーの注目だけでなく、
ナイフメーカーの販売戦略上非常に有意とみえ、ガーバーなどが
パテント回避しながら類似の製品を作り、競合している。

また、本家マルチツールのスイスアーミーナイフを作る
ヴィクトリノックスなどは、競合商品だけでなく、アーミーナイフに
プライヤーを備えたものでシェア奪回を狙った。

従来ではプライヤーは多くのツールを備えた多機能なモデル
(スイスチャンプなど)に装備されていたが、パソコン修理などに
向けたサイバーツールなどにも小さなプライヤーを装備している。

wave/18
ヴィクトリノックスのサイバーツール(左)とウェーブ。

[1/6] 
今回の1/6も単品入手だが、ハンドルが可動で、プライヤ-を出した状態と、
たたんだ状態が再現できる。
今回の実物とは違う形だが、ケースも付属し、これもフラップが開いて
本体を納めることが可能だ。

wave/06

ウェーブは、ネームバリューに驕ることなく、数々の工夫で
多機能ツールをより高品質に、使いやすく進化させており、それが競合
ひしめくこのジャンルでも長く支持され続けている要因ではないだろうか。

wave/02

では今回はこのあたりで。

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今回は、スパイダルコのマルチツール・ナイフ、スパイダーレンチを。
spy/01


[スパイダルコ]
約20年前に米国コロラド州デンバーで設立されたスパイダルコ社。
同社を一躍有名にしたクリビット・ナイフは、サム・ホールという穴がブレイド(刃)の上部,ピボット(回転軸)近くに開けられている。
サム・ホールは、ここに親指を当て、ブレイドを開く為に設けられたのだが、この大変シンプルで操作性に優れ、両側からも操作できる穴は社長サール・グレッサーのアイデアで、パテントにもなっている。
スパイダルコは、このサム・ホールを設けた各種ナイフをバリエーション展開、同社は短期間のうちに世界的なナイフメーカーの地位を得る。
特に登山関係者には評価が高く、各国の登山チームが採用しているとか。

スパイダーレンチのサム・ホールと、蜘蛛の形のトレードマーク。
ブレイドにはメーカー名とステンレス鋼種、440Cの刻印がある。
この丸いサム・ホールも同社のトレードマークともいえる。
spy/08


スパイダーレンチ。
ブレイドもハンドルも、パーツのほとんどがステンレスで出来ている。
spy/15


[マルチツール]
スパイダルコは実用性とオリジナリティのあるデザインが売りだが、同じ頃台頭してきたメーカー、レザーマンもユニークな製品を作っていた。
それはマルチツール(万能工具?)である。
マルチツールは、ここも社長が考え出したアイデアで、自身が車の修理で困った経験から考え出された多用途ナイフだ。
従来、スイスのビクトリノックス,ウェンガーがアーミー・ナイフなどの通称で知られるマルチツールを作っており、軍用だけでなく広く一般にも使われてきていた。
しかし、レザーマンは、しっかりしたプライヤー(挟む道具?)がついたマルチツールがあれば、これひとつで車載工具の代わりになると考え、プライヤーに、ナイフやドライバーなどのパーツを付属させたヘビィ・デューティ(過酷な用途に耐える)なツールを作り上げた。
レザーマンのマルチツールは、プライヤーのハンドルがプレス鋼板で作られ、折り畳み式となっており、折り畳むと従来のアーミー・ナイフ並に小さくなる。
これが大ヒットし、レザーマンはプライヤー主体のマルチツールの元祖として、ゆるぎない地位を築いた。
そこで各社、それも大手が同様のコンセプトでマルチツール・ナイフを作り始め、マルチツール・ナイフは一つのカテゴリーを形成するまでに成長する。
スパイダルコも、この時流に乗った製品の開発に着手、今回紹介するスパイダーレンチを作る。
但し、多くの商品がレザーマンのコピー,改良品といった概念の物だったのに対し、スパイダルコはオリジナリティにこだわり、実に独創的なシステムを作り上げた。

マルチツール・ナイフ3種。
左からビクトリノックス サイバーツール,レザーマンミニ,スパイダーレンチ。
全てプライヤー使用時の形態。
spy/13


[変身]
スパイダルコは、妥協無く本格的なナイフとプライヤー,モンキーレンチなどををくっつけたものを形にした。
そしてレザーマンのプライヤーはラジオペンチの形なのに対し、スパイダルコは支点位置を変えることで開き角度が2段階に変わる、大き目のナットなどを回す用途向けの2ステップ・プライヤーの機能を盛り込んだ。

プライヤー部分のアップ。
spy/05


そしてブレイドは同社のオリジナルであるサム・ホールがついた本格的なもの。
これは普通の刃(ストレート)だが、セレイション(波刃)付きのモデルも存在した。
それまでのマルチツールはどちらかといえばナイフは、刃の高さが小さなもの(細長い刃身)となっていた。
また、その薄身ブレイドも、ハンドルを握った方とは別の手の爪を小さな溝にひっかけて開く方式が主で、タクティカル・ナイフ(SW-3000CF;過去の記事)のように片手で開く機構を持っていないものだった。

スパイダーレンチのブレイドを開いたところ。このときはプライヤー自体がハンドルとなる。
spy/02


そしてこれだけでなく、ちょうど少し前に流行り、映画化もされた「トランファーマー」のように、このツールは更に”変身”する。

基本的に支点はブレイドの操作もハンドルの開閉も同じところ(ピボット部)だが、ブレイドを閉じてハンドルを約180度回すと、この状態でロックがかかり、ここで背面についたビットを挿すと、リーチの長いドライバーのハンドルになる。
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ビットは表裏でプラス,マイナスの溝に対応するが、更にプラス2個、マイナス2個が内蔵されている。
タクティカル・ナイフの標準装備、ベルトクリップもついている。
また、下の写真のようにハンドルは2つに分離することが出来、一方にはモンキーレンチ機能もつく。
外した一方はドライバのハンドルとしてのほか、独立したフォールディング・ナイフ(折りたたみ式)となる。
また、長いビットの中央部は3面(平面,凹面,凸面がある)のヤスリになっている。
これらの構成を可能にしたのは、ステンレス鋼を高い自由度で成形できる技術である。
これには以前ハードボーラー(過去の記事)のときに紹介した、ロストワックス工法が使われているのではないかと思う。
spy/06


独立したプラスのビット(これらは鍛造,切削のようだ)の溝にはグルーブ(この場合横溝)が刻まれている。
これがビスの頭をとらえ、カムアウト(頭がなめる,滑る)しにくくしているようだ。
spy/07


[1/6]
それでは、1/6を紹介したい。
今回のものも、市販されている様子は無いので自作した。
これは見てのとおりスケルトン(中抜き)のハンドル形状でパーツがたくさん露出しており、非常に複雑である。
このため形を再現する方法を色々考える必要があり、構想から完成まで、結構時間がかかった。
細かい穴やビス,ピンなどは再現の限界もあり省略したが、更に加工の限界(そのまま小さくすると強度的にもたない)があって苦労した。
これは作りながらイメージを壊さない範囲で形をいじり、それっぽくなるように努めたが、見られる仕上がりになっているだろうか。
spy/09


それでは製作記を。
まず、寸法に合わせて縮小コピーした紙を貼り付け、プラ板,ステンレス板に穴をドリル,ピンバイスで開けていく。
そのあと外形や、細かいところもカッターやヤスリ,リューターで削る。
今回は、実物では一体のハンドルを3枚に分け、肉抜きの穴を貫通させたものを張り合わせて成形した。
ブレイドは開いた状態で固定とし、かつリリース用レバーも一体で作り、ハンドルに接着した。
ベルトクリップは薄いプラ板を実物同様曲げて作り、ビット類も別にプラ棒から作り、モンキーレンチのアジャスターは、2mmのビスを切ってはめ込んである。
spy/10


[アイデア商品?]
さて、これだけ独創的アイデアに満ちたスパイダーレンチ、そのネーミングにもそそられるものがあり、見つけてから直ぐに欲しくなって入手したのだが、実際使ってみると少々難点もある。
まず、モンキーレンチのアジャスター部のクリアランス(ガタつき)が大きく、歯が開き気味になってボルトをしっかりとらえない。
これは、力をかけたとき平行になるように、フライスで歯の部分を若干角度を付けて削り直し、良好になった。
次に、サム・ホールは切りっ放しで、親指をかけると本当に切れそうだったので、両面から面取りをした。
そしてプライヤーだが、くわえる部分の厚みが上下で違い、また掴めるサイズも限定的(大きいほうも小さいほうも)である。
これも厚いほうを先だけ削ればいいのだが、そこまですると格好が良くないような気もして、そのまま使っている。
また、ブレイドを出したまま180度ハンドルを回すと(そんなヤツはいないと思うが)、どちらのロックを解除するのも難しく、手を切りそうだ。
これがリコールされたとかいう噂も聞く(しかし後述するように、単に廃番にはなっていない)のだが、それはここが原因かも知れない。

この製品の安全性,品質については、このように疑問もあるので、諸手を挙げて賞賛は出来ない。
しかし上記の2箇所の改良でかなり使えるようになったし、フルサイズ?のナイフに2ステップ・プライヤーとモンキーレンチまで備えたマルチツールは他に見かけない。
そして、手になじむように(造形美の為に?)アールを変えた曲線を多用したラインとメカニカルなパーツのコントラストが効いた造形は、実に豊かな感性と構成力を感じる。
ナイフを面白がって、もて遊ぶ事を推奨するつもりは無いが、やはりスパイダーレンチは遊び心のある面白いツールだと思う。

現在、スパイダルコとしては生産終了(当時も日本製だったとか)だが、これを求める声は絶えないようで、廉価版ブランドのバードナイフからバードレンチ(BYRD RENCH)として若干形を変え販売されている。

それでは、今回はここらへんで。
spy/20

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今回は、S&W社のナイフ、S.W.A.Tシリーズ SW-3000CF CARBON FIBERを。
swcb/01


[概要]
S&W(カテゴリーで紹介)は、拳銃,ショットガン(いっときはサブマシンガンもあった)だけでなく、ナイフやハンドカフ(手錠)など、ポリス,ミリタリー向けの各種製品も手がけている。
ナイフも経営不振時には撤退したりしたが、業績が持ち直したせいか、再開されている。
今回のSWATシリーズは、今も普通に販売されているが、この3000CFの生産は少し前に終わっているようだ。
3000CFはタクティカル・ナイフと呼ばれるジャンルのもの。
ライナーロック(ハンドル内部の鋼板=ライナーが板バネになっており、せり上がってブレイド(刃)を固定する)タイプのフォールディング(折り畳み式)ナイフである。
ブレイドは、ナイフ用としては定番のマルテンサイト系ステンレス SUS440C(SUSはステンレス、最後のCはカーボン含有を示す)を艶消しで仕上げ、ハンドルにはカーボンファイバーレインフォースドプラスチックス(CFRP=炭素繊維補強樹脂)が使われている。

少し前にM29(過去の記事)に絡めてリボルバーを一通り紹介したので、今回はS&Wのオートピストルと一緒に紹介したい。
まず、M459(関連記事)とSW-3000CF。
swcb/02


[タクティカル・ナイフ]
タクティカル・ナイフは、特殊部隊などが使う、戦闘用も考慮に入れた多目的ナイフを指すのではないかと思う。
このモデルのようなフォールディングナイフでなく、当初はシース(ハンドルとブレイドは固定され、鞘に納めるタイプの)ナイフだったのではないかと思うが、販売促進効果のある、魅力的なフレーズなので、各社がどんどん独自解釈でタクティカルの名を付け始めたのか、非常に定義がわかりにくい。
共通項としては、よりヘビー・デューティ(過酷な用途)なサバイバル・ナイフ(5mmを超える分厚いブレイド、金属鋸並のセレイションなどを持つ)と、多くの道具,ブレイドがついているヴィクトリノックスなどのアーミーナイフとの間をいくようなカテゴリーのもので、
1、セレイション(波刃)付きのブレイド
2、ブレイド(刃面)のコーティングもしくはサンドブラストなどの光沢を抑えた処理
3、マイカルタやザイテルなど、人工素材のハンドル
などを挙げるところがある。

更に最近の、フォールディングタイプのタクティカルナイフの共通の特徴は、
1、片手で開く(閉じられる)機構
2、ベルトクリップ
3、ソング・ホール(thong hole=紐通しの穴)
といったところではないだろうか。
そして少し前までは、セレイテッドブレイド(波刃のついたもの)が代表的だったが、近年直線状のタントー・ブレイドなどが増え、セレイション付きは減少しきているように思う。

セレイションのアップ。大きなアールのものの後に2つ小さなアール、という構成。
セレイテッドブレイドはパラシュートのコード(紐)などを切断しやすいように考えられたもの。果物などは剥きにくいが、もともと果物ナイフよりブレイドが厚く、刃先も鈍角に仕上げられているので、果物用には向かない。
ブレイドの上方、ハンドル近くに取り付けられているボルトが、ブレイドを開く指掛けのラッチとなっている。
swcb/03


ヒルト(鍔)部のアップ。ブレイドの上面後方に滑り止めの大きめの溝がある。これも、力を入れやすく、滑りにくいように考えられたもの。
swcb/04


ハンドル後部のアップ。
別体で埋め込まれたSWのロゴと、ソング・ホールがある。
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ハンドル反対面にはベルトクリップが、ピボット・ピンと共締めで取り付けられている。
取り外し、左右取り付け面の変更は考えられていないが、塗装されていて錆びにくい。
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分解して、ライナー,ピボット部のカット。
回転部分にはスチールボールを使ったクリック機構がある。ちなみに分解には、ファスニング・ボルト(ハンドル固定のネジ)とピボット・ピン(刃の回転支点軸)用の、T6とT10の2種類のトルクス(異形の六角)用レンチが必要。
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[チタンとカーボン]
この手のハイテクを感じさせる素材、実際の有用性とコストからは疑問もつくが、興味をそそられる。
しかしカーボンファイバーも、樹脂がポリエステルなどで弱いものだと強度はガラス繊維入りのそれと変わらず、硬さも低くなる。
これは硬度も高いが、強度が低いものは、叩いてもカンカン言わず、ボコボコという鈍い,低い音になる。
このカーボン繊維の地を活かしたハンドルは、艶は無いが、光の当たる方向によって反射し、杢が浮き出た木材のように美しい。

S&Wはナイフでも、多くのバリエーションを持つが、他に先進素材ではチタンの持つ耐食性と美観を取り入れた、チタンコーティングのものもある。
チタンも高強度で軽量のイメージがあるが、熱伝導率が低く、かじりやすいので切削加工性が悪い。またアルミについて以前述べたのと同じく、伸びは鋼に比べて大きく、長期応力を受ける場合(疲労強度)、あまり軽くならない。
ただこれもアルミと同じく、曲げ方向なら比重の差の分高さ(せい)を稼げば、高い曲げ剛性(力に対する変形量を少なくできる)が得られる。
他にチタンが大きく威力を発揮するのは、錆にくさ(チタンは活性が高く、酸化は非常に速いが、表面の酸化層が内部への錆の進行を防ぐ)を要求されるところ、高温で強度を要するところや、体内(拒絶反応が起きない)だ。
最近は、防弾素材としてもチタンがPRされている。
また、その酸化色は美しく、その酸化層の厚みの差で、虹色に変化していく。
チタンコーティングは、ドリルの刃や、バイクのサスペンション(インナーチュ-ブ)にも施されているが、これは窒化チタンで硬度も高く、抵抗低減になるという。ナイフのブレイドでも、この効果もあるかも(エッジにはコーティングされていないし、これで金属を切る気にはならないが)。

下の写真はTaylor Cutleryが作ったホームランド セキュリティというシリーズで、SWRTS4.75 レインボーチタニウムと3000CF。
SWRTSのシリーズは、3000CFのボルトと異なり、左右両方からブレードを開くことが出来、回転方向には滑るので指も痛くなり難い、段つきのラッチがついているが、最近のSWATシリーズは、これと同じものに変わっているようだ。
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レインボーチタニウムは、ブレードとハンドルのフレームにチタンコーティングが施され、虹色がつけられている。
このモデルは、3000CFと同じく、ハーフセレイション付きだが、更にブレードに3つのスリット(長穴)が開けられ、ソング・ホールも長穴になっている。
刃はSUS440C、ハンドルはアルミとザイテルで、本体はカーボンより軽い。
S&Wのオート、M4505とSIGMA,M&Pと。
M4505はタナカの、SIGMAはWAのガスブローバックガン。
M&P(ミリタリー・アンド・ポリス)という名は、以前は回転式のM10の愛称だったが、S&Wはこれを自動装填式にもってきている。これは仏のサイバーガンがプロデュース、製造は台湾のKWC、輸入は日本のBWC?という多国籍のエアコッキングガン。
スライドにある波型のコッキングセレイションも見事に再現されている。
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更にスワット使用のイメージで、レインボーチタンと、M945、M945コンパクト。
M945とコンパクトは、KSCのガスブローバックガン。
こちらはスケイルタイプ(ウロコ型)のスライドセレイションである。
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[1/6]
今回の1/6も自作。
今回は、プラ板で全てを製作、模型用のカーボンプリントシールと黒色カッティングシートでボルトや穴を再現してみた。
ラッチは以前のコルト・コンバットパイソンのマズル同様、プラ板をポンチで抜いて貼り付けている。
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それでは、ここらへんで。
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今回は、ナイフシリーズ第二弾、米軍制式のM16用バヨネット、M7である。
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[バヨネット]
バヨネット(Bayonet)とは銃剣のこと。
バヨネットは17世紀にフランスのバイヨンヌという都市で誕生し(これにちなんでバヨネット)、その後全世界で採用されるまでになったという。
カメラのレンズや電線のコネクタなどに使われる回転式のロック機構は、ここから名前がとられ、バヨネット・マウントと呼ばれたようだ。
これらはソケット型のバヨネットを参考にされた、というが、現代の例では、バヨネットよりライフルのボルトに使われる閉鎖機構の方が近い構造だ。
今も多くの軍用小銃にバヨネット・ラグは装備され、また多くの兵士はバヨネットを腰に下げている。
自衛隊(もちろん日本の、である)が海外に派遣された際には、実弾を発砲するどころか装填すら許されず、バヨネットが(ゲリラはともかく”民間人”などからも攻撃を受けない為の)最も頼れる装備だったとかいう、笑えない話もある。
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[M7]
M7は1964年、アサルト・ライフルM16用として採用されたという。
M3がトレンチ・ガン(ショットガン)用、M4がM1カービン、M5がM1ガーランド、M6はM14ライフル用だったらしい。
これら一連のバヨネットに使われている、スキャバードM8(銃剣を収める鞘、このモデルはM8A1)も付属している。
スキャバードの型式がバヨネットより進んでいるが、このあと採用されたM16A2用のバヨネットM9では、スキャバードもバヨネットと込み合わせて多機能化しており、そのためか一気にM8を飛ばした型式になっているようだ(M8バヨネットが存在したが、短期間で消えたのかも知れないが)。

M7バヨネット(手前)とM9バヨネット(後方)。
M9はコピー製品だが金属の刃がついた本物のナイフなので、着剣装置(ロッキング・ラグ?)の代わりに単なる丸いエンドがついている。
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[1/1]
着剣装置を持ったナイフ=銃剣は、日本では銃刀法で所持が禁止されている。
今回のものは、ゴムで出来た刃を持つ、合法的なアリイのキット模型。
ゴムは特殊素材を謳っているが、拳銃用グリップなどに使われる、クロロプレンゴムではないかと思われる。
表面の感じと硬さ、それと臭いが似ている。

この模型の金型は、LS製作のもので、同社のM16用に開発されたようだ。
LS倒産後、アリイが金型を入手、パッケージまでほとんどそのままに販売しているが、それなら本体のM16も、復活させてほしいところ。
実物はグリップ固定用のボルト(ファスニング・ボルト)が2本使われているようだが、アリイ(LS)製にはこれがなく、グリップ側面は全面チェッカー(綾目の溝形状)になっている。
脱線情報だが、ファスニングは洋服のファスナーとも同じ語源。建築ではボルトやリベットなどのパーツがファスナーと呼ばれている。
グリップ後方の着剣装置には、取り付け用ボルトヘッドがモールド(型で再現)されているので、外観上大きな省略をしたのではなく、この仕様があったのではないかとも思うのだが、今のところ目にする写真には、全てファスニング・ボルトが付いている。

ブレード(刃身)にはコルトのトレードマークがある。但しスキャバードもブレードも、メイド イン ジャパンと”正しい”製造国を表示している。
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これがバヨネットの要、ロッキング・ラグ。
銃身の銃口より少し後ろ、下側に取り付けられた(銃側の)バヨネット・ラグにこれで固定する。
ロッキング・ラグとグリップはこのモデルでは接着だが、ダミーのボルトヘッドが再現されている。
ラグはスプリング内臓で両側から指で押すと、ロックが外れる仕組み。
ここは可動パーツのガタも少なく、実物通りの動きをする。
ロッキング・ラグの可動部を止めるピンも、きつ過ぎず、緩過ぎず、で型の精度も良好だと思う。
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しかしマルシン製M16A1に装着すると、結構ガタがある。
どうも銃側のラグと着剣装置の隙間が大きいのだが、実物同士の装着でもガタはあるらしく、着剣して銃を振ったら、ガチャガチャ音を立てるらしい。
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M8A1スキャバードはFRP?(オリーブドラブの部分、FRPとはファイバー・レインフォースド・プラスチックス(FiberRainforcedPlastics)の略語で、主にガラス繊維で補強した樹脂のこと、これも何かの繊維入りの樹脂らしい)と金属の部分のみの再現で、布で出来ているベルトへの取り付け部分はついていない。
同じLS-アリイ製でもAK74用のバヨネットには、この部分も布が付属して再現されていた。
スキャバードの口金には、実物は鋼板プレスで作られたと思われる鍔のような部品があるが、これの両端は、それぞれ30度くらいに曲げられている。
この形状は、M3バヨネットのヒルト(鍔)に合わせているらしい。
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[製作記]
今回はキットモデルなので、製作記も。
まずランナーから切り離し、ロッキング・ラグ,ヒルト,スキャバードの本体左右を接着。
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接合面や抜き型の跡を整形、パテも少し盛った。
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次はパーツの塗装。
グリップが黒、スキャバードがオリーブドラブと黒鉄色、他は皆黒鉄色。今回はスプレー缶を使って塗った(だいたい2回塗り)。
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塗装後、各部を組み立て,接着して完成。
スキャバードへの納まりが悪かったが、説明書の指示通りスキャバードの内側を少し削ったらきちんと納まった。
スキャバード上部につく別体の金具部分が、鞘の開き(接着面の外れ)を抑えており、意外に?ちゃんと考えられた設計である。
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[1/6]
今回の1/6も、毎度同じく単品購入で出処は確かで無いが、気になったグリップのファスニング・ボルトもこちらは再現されており、ロック機構はともかくラグにもちゃんと引っかかる(M16には適合するものがなく、トップのカットではM4を使ったが)。
スキャバードは違うもの(M10?)がついてきたが、M8スキャバードのついたM3?バヨネットも入手した。
このバヨネットとの組み合わせでは、スキャバードの金具がヒルトと干渉しないように曲げられているのが理解できる。
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[模型の意義]
上のM9のように、着剣装置が無いものなら、単なるナイフなので鋼の刃でも所持は可能だ。
但し、持ち歩いたりすると法に触れるのと、サバイバルゲームなどに使えば大怪我の危険がある。
そこで登場したこのゴム製ナイフ、大人気商品かと思うと、さほど拡がっていないようなのだ。
今回、入手してみて、個人的には価格以上に楽しめ、安全性も高い、大変いい買い物をしたと思う。
しかしこの模型は、一般的にはこれでも危険に見え、愛好者にとっては購入意欲を駆り立てられるものが少ない、という蝙蝠のような存在なのだろうか。
もっとも、現在モデルガンも数百丁の生産でもなかなか捌けないくらいの市場規模になっているので、製造,供給が続いているだけでも有難いことかもしれない。
もしかすると、プラモデルでも塗装済みが流行する昨今、組み立てキットというところで購入を躊躇ってしまうのでは。
実際、部品点数は少なく、構成もシンプルで、組み立てにも難は無いのだが、個人的には、やはり塗装などの手間を考えて、しばらく購入を考えていた。。
アリイさん、今ならマルイもAK74を出していて、完成品なら相乗効果でこれらのバヨネット需要はありますよ、たぶん。

次回は相変わらず未定だが、ちょこっと出てきたM9もそのうち取り上げる予定なので宜しく。
M7/11

ではこのへんで。

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今回は、新企画として、ナイフを取り上げたい。
ナイフ編の最初に登場するのは、ガーバーの大型ハンティング用シース(鞘に入る)ナイフ、マグナム・ハンターである。
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[誕生の経緯]
1947年、それまでガーバーのナイフをデザインしていたデイビッド・マーフィーとのパテント問題から、新たなデザインで作る必要があったガーバーが、工業製品デザイナー、トーマス・ラムによるデザインで登場させたのが、ラム・ハンドル・ハンターと呼ばれる製品。
このハンドルの刻印が、1965年にGERBERからGERBER MAGNUMに変わり、ここからマグナム・ハンターと呼ばれたという。

その後1986年にガーバー社は売却されるのだが、それまでの製品をオールド・ガーバーと呼ぶらしい。
今回登場する実物は、ぎりぎりオールド・ガーバーではないかと思われる。
ま、会社は売却されたが、これは売却するわけではないので、どっちでもいいのだが。
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ハンドルの刻印。GERBER-MAGNUMとエクスカリバー(剣)のロゴがある。
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これにはツヤの良い分厚い本革のシースがついてきた。
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シースの裏には刻印がある。ガーバー ポートランドと読める。
ポートランドはガーバー発祥の地だが、今もここにあるのだろうか。
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[ハンドル]
マグナム・ハンターのハンドルは、3次元で曲線を組み合わされた複雑なデザイン。
このようにフィンガーレスト?をつけたデザインだと、握り込んだ時だけはいいけれど、というように様々な握り方に対応できないものがあるが、マグナム・ハンターのそれは立体的だが意外に扱いやすい。
トーマス・ラムは松葉杖の握りなどの取手までデザインした人らしい。
マグナム・ハンターのハンドルは、アルミの鋳造のボディに、アーモハイドという荒いサンドブラストをかけたような仕上げを施したもの。
クロームメッキのものもあり、そちらは美しさでは勝るが、滑り難さという点では、アーモハイドの方が良いと思う。
アーモハイドの色は、初期がグリーン、そして黒になり、変わったものではオレンジや迷彩色まであったようである。
今回のものは、ブラックアーモハイド。
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[刃]
売りである刃は、ハイス鋼に厚いクロームメッキがかけられているもの。ハイスとは、ハイスピード鋼のこと。
工作機械の鋼材切削用の刃に使う合金で、切れ味はいいが錆び易いため、メッキをかけているという。
刃厚は約3mm(最も厚いところ)。刃の裏側面は直線状、刃身は幅(厚み)方向が恐らく直線のテーパー(先細り)で、更に上下も直線状のテーパーになっている。
刃面は全体に曲率が変化しながらアールがつき、先は鋭いが逆から削り込まれていない。
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[根強い人気]
これは、20年くらい前に購入したもの。
余りアウトドアに出かけなくなったのと、実際これだけ大きなものを使う必要性が低いので、もったいないが時々思い出した時に引っ張り出す程度になっている。
今ではフォールディングが主な使用ナイフで、しかもロックのつかないツールナイフだったりする。
それはさておき、マグナム・ハンターは既に母国アメリカなどでは販売されていないが、日本では根強い人気から供給が続いているという。少しネットで調べてみたら、結構な価格で驚いてしまった。昔はもっと安価だったように思うのだが。

[1/6]
さて今回の1/6は、ハンドメイドである。さすがにこれを作っているところは無いと思うので、今回も自作記を。
まず、刃材は今回ステンレス0.5mmの板を使った。
これを切ってヤスリで刃とハンドル(こちらは小さめに)の形に削る。
実物はハンドル後部にまで鋼が入っていないようだが、パテでハンドルを作るので強度確保の為後部まで伸ばしています。
削るときはスケールを合わせた写真のコピーを用意して、合わせながら削っていきます。
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ハンドル部分にポリエステルパテを盛る。ハンドル部分は食いつきを良くするために、ヤスリで軽く傷を表面につけています。
実物では芯となる鋼材の真中に穴が開いていますが、これは省略しています。
パテは「モリモリ」というもの。臭いがきつく、体にも良くないらしいので、必ず換気しながら作業しましょう。
なかなか一気には盛れないので、この写真の状態から一度表面を削り、2回盛りとしました。
パテの硬化中は、マスキングテープで保護した刃身をバイスプライヤーや万力で固定しておきます。
今回は屋外にしばらく放置し硬化を待ちました。
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ポリパテの整形中です。パテは結構多めに盛り、ヤスリで整形しました。
このあと更に削り込み、黒色艶消し塗装で仕上げます。
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完成写真は、実物と1/6の比較を兼ねて。
もう少し粒子の粗い艶消しでも良かったとか、もう少し形を、とか思うが、反省は次回作に活かすことにします。
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[音]
現在はたまに台所で!使用するくらいだが、マグナム・ハンターを持って一番楽しいのは、その音だと思う。
鋼にアルミの一体ハンドルのためか、キィーンという感じの少しうなりのある音が響く。ナイフをたくさん持っているわけでは無いが、このように響くものは、他に持ち合わせない。
一体成形ならば、他にも存在するのだろうか。
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次回はまた、トイガンをやるつもり。ではまた。

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まとめ

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