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今回は、ドイツの名門、ワルサーのP99を取り上げる。
後半いつもに増して脱線してしまっているが、どうかご容赦を。

今回もワルサー社の歩みをたどるが、過去のP38記事と重複する
ところは詳しい説明などを省いているので、そちらも参照していただきたい。
p99/01

[概要]
P99は、ドイツのカール・ワルサー社が同社初のポリマーオート(後述)
ピストルとして1996年に発表した大型拳銃だ。
基本的に9ミリパラベラム(9×19mm)弾を使い、複列式の多容量を持つ弾倉、
専用の規格だがフラッシュライトなどのオプションを取り付ける
アクセサリーレイルを持ち、
3モードのAS(アンチストレス),QA(クイックアクション;引き金を引くと
半分セットされていた撃発装置が完全にセットされ、更に引き続けると撃発する)
などのトリガー(引き金)アクションが選択でき、アンビ(左右兼用)の
弾倉キャッチレバーを装備するなど数々の先進機構を盛り込んだ意欲作である。

ワルサーP99。
これはマルゼンのガスBLK(ブローバック)ガン。
マルゼンは、ワルサーの公認を得て、設計データまで提供を受け、
ワルサーの各モデルをモデルアップしている。

p99/02


[ワルサー社の歩み]
カール・ワルサー社躍進の原動力、H・ワルサーは初期のNo1~9までの作品や
PPなど、中小型自動装填式拳銃の設計,製造に携わった。
ワルサー社はナチス党員の拳銃として採用され、ナチス党の勢いと共に
勢力を拡大、P38はドイツ制式拳銃の座をも手にすることに成功した。

P99(左)とPP(右)。
PPはマルシンのHW(ヘビーウエイト)モデルガン。

p99/03

P38(左)とP99も。
このP38はP99と同じくマルゼン製ガスBLKガン。

p99/05

しかし、敗戦後、ワルサーは東側から逃れ、工場を持たない為に
仏マニューリン社での製造に頼るなど、苦難の道を歩んだ。
戦後は、虐待も行ったナチスに関与した反省か、またドイツ再軍備
に対する理解が得られなかった為か、いっとき競技用の銃に精力を
傾けている印象もあり、名銃P38の改良省力版P1や、短くすることを
主に改良されたP5など、P38の基本構造を応用したものを展開した。
もちろん、P38の完成度が高く、技術的に進んでいたが故に、
その後の開発がおろそかになってしまった、という側面もあると思う。

[戦後の拳銃開発]
P5は手動安全装置を廃するなど、新しい要素を取り入れてはいたが、
警察拳銃としての採用を睨んでのものであり、その後米国のXM9
トライアルでは新たに設計し直す必要が生じた。

P99とP5(右)。
P5はマルコシの固定ガスガン。
p99/12

[XM9トライアル]
ワルサーはここで、P38のプロップアップ式閉鎖機構を棄て、
一般的なチルトバレルを採用したP88を開発する。
トリガーバー(引き金の力をハンマー,シアに伝達する部品)は、
P38,P5と同じくフレーム右側に露出している(ベレッタM92も同じだ)
が、排莢方向もP38,P5と異なり、通常の右側に改められている。
リングハンマーはPP,PPKでも採用されていたが、押しボタン式の
弾倉止めとするなど、それまでのワルサーらしさは、大きく失われた。

P88は、複列弾倉も備えており、当時の基準を満たすものだったが、
結果的にP38のプロップアップを用いるベレッタM92Fが採用され、
ワルサーの思惑が外れると共に、迷走を印象付ける結果となったのでは
ないか。
しかし、明確なトライアルの仕様に沿うモデルを開発した結果であり、
コルトなども含めて、それまでの個性を全く失った、似たようなモデルが
作られるのは致し方ない部分もあった。

このXM9トライアル期の拳銃は、DA機構か、それに変わるものを持ち、
アルミフレームを備え、複列弾倉を装備している。
P88は、正にそのスタンダードであったが、評価を得られなかったのは、
性能が低い訳ではなく、価格が高かったようである。

ワルサー戦後モデル3種。
左からP88,P5,P38。
P88はマルシンのガス固定ガン。
このP38は、マルシンのモデルガンで、コマーシャルモデルの
グリップが付いている。

P99/04

P88はそれゆえか、販売的にも全く成功しなかったようである。
XM9期のオートでは、上記の特長の他に、当時高騰していた
人件費を抑えるため、コストダウンの方策を考えているものがある。

SIG P226は、当初プレス成形+ブロックという方法で、切削加工を少なく、
また先進国でなくてもライセンス生産できる製法をとった。

ベレッタは削り出しスライドだが、ブラジルでも生産していたし、
米国本格進出のため、米国での生産も考えていた。

H&Kの提示モデルP7は異色の存在で、鋼製フレーム、削り出しスライド
だと思うが、これは既に警察用として開発され、
ワルサーP5と競合するモデルだった。

H&Kは後年徹底的に米国市場を意識したUSPを開発することになるが、
ワルサーは、P88を開発したにも関わらず、また完全新規モデルの
必要に迫られる。

[ポリマーオート]
そして、時代はグロックG17の台頭で、急速にポリマー樹脂をフレームに
採用した新型拳銃へと需要がシフトしてゆく。

G17(左)とP99。
G17はタナカのモデルガン。

p99/10

S&Wは、グロックをコピーしたようなシグマを開発、SIGもSP2340シリーズを、
H&KもUSPを作る。

左から、USP,P2340,P99。
USPはタニオコバの、P2340はKSCのガスBLKガン。

p99/08

このような動きのなか、ワルサーも再び全面新設計のポリマーオート、
P99を開発した。
ワルサーは当時、経営に苦しみM&Aの対象になっていた。
新体制となったワルサーの、起死回生の一作がこのP99だったのでは
ないだろうか。

[P99の機構]
P99には、上述のアクセサリーレイル,トリガーアクション,
弾倉キャッチの他に、スライド上のデコッキングボタン,
ストライカー式撃発装置のセットを知らせるコッキングインジケーター、
交換式でサイズを変えられるバックストラップなどの数々の装備が
盛り込まれ、外観もディンプルを利かせた表面、大胆なカットなど
非常に斬新なものとなった。
このため、従来のワルサー製品とは断絶したイメージになっているが、
左右調整式のリアサイト機構などはP5時代から受け継がれている
ようである。
また、発火機構は、USP,P2340などがハンマー式なのに対して、
P99はグロック,S&Wシグマと同様のストライカー式を採用している。
これは、ライン・オブ・ボア(銃腔の中心線)に近い、より高い位置、
いわゆるハイグリップとし、反動による跳ね上がりを少なくするために、
敢えてハンマー式を廃したという。

マルゼンのガスBLKガン(こちらはハンマー式)でも、
ASのトリガーが再現され、初弾を薬室に送り込んだ後は、トリガーが
前進しているが、撃発装置はセットされており、軽い動きでトリガーを
引くことが出来る。
デコッキング操作を行うと、通常のDA=ダブルアクションとなり、
トリガーが撃発装置をセットしながら後退するので、トリガーは重くなる。
更にSA=シングルアクションで、短いストローク,軽いプル(引き)で
撃つことも可能である。

P99(上)のスライド後部に見える、中央に赤い色が塗られ、
突き出したシルバーの部品がコッキング・インジケーター。
リアサイトの前にのぞくのがデコッキングボタン。
P38(下)では、同じスライド後部にカートリッジ・インジケーター
が覗く。これは、薬室=チャンバーにカートリッジが入ると突き出す。
マルゼンではガスガンのため、スライドが前進すると突き出す。

p99/13

交換式のバックストラップ。
本体に付いているものが標準サイズで、真ん中が薄型、右が厚いもの。
グリップに付いているディンプル(球状の突起)の様子も良く判る。
P99のグリップ部には大きなカット形状があり、これも独特だ。

p99/07

[老舗健在,再生のシンボル]
ワルサーが再び一線の装備として使用できる軍用拳銃を開発したことは、
ワルサーファンのみならず、新しいポリマーオートを求めていた層にも
広くアピールしたと思う。

新しい経営陣は、P99をワルサーブランドの再生、新生ワルサーの象徴
としてのニューモデル、と位置づけていたのではないかと思う。

映画「007」シリーズで、主人公J・ボンドが使用する拳銃を、PPKからP99へ
スイッチするシーンが描かれ、P99は映画でもワルサーの顔が変わったことを、
アピールしていた。

P99は時期的に軍用などの大量一括納入先は得られなかったが、
ドイツ警察で一部使用されるなどの実績を積み上げつつある。
また、米国での販売もグロックなみ、とはいかないものの、
米国のS&W社と提携し、SW99のパーツを供給するなど、
ワルサー復活を印象付けることになる。

S&Wのポリマーオート、シグマ(左)とP99。
p99/09

[1/6]
さて、それでは今回の1/6モデルを。
いつものようにメーカー不明なのだが、レイルにレーザーサイト
が取り付けられる。スライドも後退し、バネで戻り、
マガジンも抜ける、と1/6では最高に類する可動部を持ち、
また全体の雰囲気も良く、細かい形状まで良く再現されていると思う。

p99/14


[射撃というスポーツ]
上述のように、ワルサーは競技用ライフル,ピストルにも力を入れており、
スポーツ銃のメーカーとしても有名である。

このトイガンを作っているマルゼンも競技に力を入れていて、
日本エアースポーツガン協会の賛助会員で、日本エアースポーツガン
振興協同組合にも加盟、そしてワルサーとも提携しており、同社の製品が、
ワルサーグループのヘンメリの名で欧州では販売されていると聞く。

射撃競技はまた、障害者も健常者と同じように楽しめる競技として、
ノーマライゼーション射撃大会というものが存在し、
埼玉県では昨年9回目の開催を迎えたという
(埼玉県身体障害者ライフル射撃連盟;Linkを限定されているようなので
非Linkでご紹介させていただく)。

このような、障害を持つ者と障害の無い者が、共に同じ競技を楽しむ場、
というものは貴重で、そしてこれは銃(ビームライフル)という道具が
可能にしているのではないだろうか。
私はこの動きを歓迎したいし、影ながら応援したいと思う。

また、新学期を控えたこの時期、障害者が学習する場について、
自らの経験から、少し思うところもあるので、脱線承知で下の
話を読んで考えていただければ、と思う。




[傘~Kさんのこと]
怪我をして3度ほど手術をしたが、その間の話である。

用事で実家に帰ることになり、
車の運転も出来ない状態だったので、
久しぶりにバスに乗った。
怪我による障害や、治療のことなどで、不安になったりするものと
良く聞くが、元来楽天的なせいか、私は殊更感傷的になることは無かった。
怪我は直れば直ったで有り難いが、駄目でも、
それはそれで受け入れるつもりでいた。

ちょうど日没の頃で、雨がぱらぱらと落ちはじめたこともあり、
あたりはいつもより少し早く、暗くなり始めていた。
バスの窓からは、小,中学校の同級生たちの家がいくつか見える。
私は子供時代、このバス通りの辺りを自転車で走り回り、
その友人宅を訪ねて回っていた。
町並みは当時と余り変わらないが、しかし自分と同じように
今はここを離れていった者が少なくない。

そういう事情もあって、そのころ既に、実家以外に足を運ぶことは
無くなっていた。
また普段自家用車を使う場合、この道は混むので通らないこともあり、
バスから見る町並みは、本当に久しぶりの光景だった。

通り沿いの丘の上に立つ吹き付けタイルの高層建築は、
よく屋上まで昇って遊んだ、友人の住んでいたマンションだ。
向かいの筋に見えてくる、間口の広いガレージがある白い建物は、
学習塾を経営していた友人の家だ。
窓から見えるパノラマは、私に昔の思い出を蘇らせ、
やはり怪我で少し構えていた私の心を和ませてくれる。

冬の日暮れは早く、いつの間にかすっかり日は落ちている。

次の一軒の前にさしかかったとき、ドアが開き、中から、
背中の丸まった小さな影がのぞいた。
そしてその後から、少し大きい影が続く。

小中学校の同級で、腕に障害のあったKさんだ。
その障害ゆえなのだろう、なで肩のシルエットは特徴的で、
今でもはっきりわかった。

前を行くのは、Kさんの母親ではないだろうか。
彼女は前方の老人に追いつくと、慣れた手つきで
不自由な腕を使い傘を差しかけ、
そっと寄り添いながら歩いていく。
昔、よく母親にすがっていったはずの彼女が、
今は年老いたその母親をさりげなく支えながら生きている。

小,中学校のころ、彼女は本当によくいじめられた。
彼女はたびたび泣かされ、それでも毎日、不自然なくらいに
笑顔で学校に現れた。

今思えば、あの無理な笑顔は、母親との約束、だったのかも知れない。
二人の深い絆に結ばれた姿を目にして、このときようやく
私はそれに思い当った。

そして同時に、自分がどうして障害や怪我に対して、
悲観的にならずに済んだか、に気づいた。

それは、通り一遍に教科書で学ぶ、綺麗事では済まされない
現実の様々な困難の発生を通じ、一緒に学んだ長い時間をかけて、
障害はけっして特別扱いすべきものではないことを
Kさんが教えてくれていたから、ではないだろうか。

傘に覆われた小さな2つの影は、
まるでバス通りの喧騒と明かりを避けるかのように、
ひっそりと、静かに路地に消えていった。

[障害について]
もちろん障害の程度は千差万別で、一概に全ての子供を同じ教室に入れて
授業することは不可能な場合もあると思う。
しかし、それでももし本人が希望するなら、是非とも普通学級で
授業を受けられるよう、関係者の方にはひとつ前向きに検討いただき、
また特段の配慮をお願いしたい。

私自身も以前障害に対し畏怖の念があり、しかもそれを潜在意識化していた
と思う。
障害者を避け、いじめたがるのは、弱い者が自己のプライドを保つために
更に弱い者を見つけて攻撃する、という側面の他に、
実は科学的根拠の無い、自覚なき日本教の影響、昔から病気や障害を
忌諱することでそれらから逃れようとする風習が、
個人の感情にまで昇華されていることに起因するのではないかと思うのだ。

人間のものの見方には、必ずそれぞれのバイアス値、とでもいうべき
ものがあって、これを無くすことは、感情を持たなくなることで、
不可能な話かも知れない。
しかし、これから育つ若い世代が、決して人事ではない障害について、
このような因習にとらわれ、過度に反応して悲劇的な結果に
陥らないためにも、
社会とは、条件の異なる様々な人が共に生きる場であることを知る為にも、
一緒に学ぶことは貴重な経験となるのではないだろうか。

長い短いの差こそあれ、人は必ず、その機能が失われていくときが来る。
失礼を承知で言わせてもらえば、障害と闘う人たちは、
これから困難が待ち受ける人にとっての先輩である。
そして私たちは、たとえそれが一瞬で終わることはあっても、
誰も逃れることはできない。

Kさん、そして彼女を支えてくれていた、Kさんのお母さん、
有難う、そしてこんなに当たり前の、大切なことに気づくのが
遅くなってごめんなさい。



P99/06

このところ、OTHER SIDEの方ばかり先に更新して、こちらの方が
滞りがちになっており、記事を楽しみに待っていただいる方には、
申し訳ない。
是非またひとつ、気長に構えて更新を待っていただけたら、と思う。

では、今回はここらで失礼。

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今回は最近マルシンからリニューアルされて再発売されたので?、ワルサーPPを。
pp/01

[概要]
PPはワルサーが1929年に満を持して発売、ダブルアクション(DA 引き金を引くだけで撃発できる機構)とオートマチックセフティ(自動安全装置),カートリッジインジケータ(装填指示器),を備え、小型(中型)拳銃の概念を変えた優秀なモデルである。
派生モデルであるPPK/Sを以前に取り上げた(過去の記事)こともあり、経緯などはそちらを参照願って、今回はモデルガンで改修され新たに再現されたポイントなどを中心に取り上げたい。

ワルサーPP。マルシンのHW(ヘビーウエイト樹脂)モデルガン。
pp/03

[バリエーションとメカの違い]
PPバリエーション3種。
PPスポーツ,PP,PPK/S
PPスポーツもマルシンのモデルガン。これはABS製で、サイドファイア発火式。
PPK/Sはマルゼンのガスブローバックガン。
pp/04

PP(左)とPPスポーツの左側面刻印の比較。
商標許諾についての記載が追加されている。
日本ではマルゼンがワルサーと契約してトイガンを作っているが、今回マルシンも正式に許諾を得ているようだ。
pp/05

マルシン モデルガンの発火方式の比較を。
左がPPでセンターファイア(カートリッジ後面の中央をピンが叩く)、PPスポーツはサイドファイアで、カートリッジ後部の中心以外をプレートが叩く。
この画像のスライド中心部、PPだとピンの黒く丸い頭が見えているところ全体が動く。
pp/06

マルシンは他にも内部パーツを変更しているようで、矢印のトリガーバー(引き金の動きを伝達する部品)も変更がみられる。
pp/07

合成画像でマニュアルセフティ(手動安全器)の動きを。
左がセフティOFFで、ファイアリングピンが見える。右はセフティONでファイアリングピンが覆われ、叩くことが出来なくなっている。
pp/08

上の画像でファイアリングピンの下(普通に構えると上)にある銀色の細いピンはカートリッジインジケータ。
薬室側から見るとこのようにインジケータが飛び出している。カートリッジが入るとこれが押し上げられ、バレルに当たって後方に付き出し、ハンマーの上に出てくる。これは視覚的にも判別できるだけでなく、指で触って確かめることも出来る。
pp/09

ワルサーP38との比較。
PPでは内臓式だったトリガーバーがP38では露出し、カートリッジ排出方向も変わっている。
pp/10

PPとSIG P232。
PP,PPK(前後,高さを短縮したモデル),PPK/S(スライド,バレルはPPK、フレームはPPのモデル)は、今も護身用として高い実力を持っていると思うが、ライバルのSIG社もこれを十分研究し、マニュアルセフティを除いたP230を開発、これを改良したP232へと進化させている。
(SIGのP232は別記事参照。)
pp/13

[フィンガーレスト]
PPのマガジンにはフィンガーレスト(指掛け)が底部に付いている。
これもPP以前の有名モデルを知らない。
もしかするとワルサーの発明ではないか、と思うのだが。
PP登場後は、各社がこれに追随し、ベレッタもM1934などで採用している。

PPとベレッタM1934。
M1934はウエスタンアームズのガスブローバックガン。
pp/11

フィンガーレストの比較。
PPも初期にはマガジンキャッチ(弾倉止め)は底部につけていたので、マガジンを引き抜く為にも役立ったと思われる。
ベレッタはPP初期のキャッチ形状と同じだ。
pp/12

[1/6]
さて、それでは1/6を。
これも単品購入だが、以前にセットに付属してきたPPKと非常によく似ており、同じ型を元に作られた、もしくは基本設計が同一、だと思われる。
するとメーカーはドラゴンではないか、と思う。
予備マガジンが入るホルスターも付属していた。
今回のPPはフィンガーレストの無いマガジンだったが、表面はガンブルーの剥げかけた感じに塗装され、非常に凝っている。
pp/14

つい1ヶ月間隔を空けてしまった。次回はもう少し早めに更新する予定ですので、どうぞ宜しく。

それではここらへんで。
pp/02

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今回は、ワルサーP38。
P38/11

P38は、単にこれが名銃というだけでなく、それ以後のほとんどのオートピストルに影響を与えた傑作である。
P38は、ナチスドイツの制式拳銃となり、PP,PPK(過去の記事)と共にワルサーの躍進を担った。
戦時中は自社以外でも生産するなど生産量は増大したが、自社も含め戦時下で品質維持に苦しみ、敗戦によって生産設備までも失う。
そのワルサーが、戦後「ナチスご用達」だったという負の遺産にも苦しみながらも、何とか生き残れたのもこれらの名作拳銃があったことが大きいと思う。

[概要]
P38はダブルアクション(DA)トリガー(後述)、オートマチックセフティを備えた、初めての大型軍用制式拳銃である。
これらの機構は、同社の小型,中型拳銃PP&PPKから採用されているが、軍用の大型にこれを持ち込み、その後50年ほどでこれらがスタンダードになるまで普及させたのはP38の功績だと思う。
9×19mm(ルガー,パラベラム弾)を使うため、モーゼルC96に近いプロップアップ式のショートリコイル(後述)を採用している。
また、PP,PPKと同じく、カートリッジインジケータを備え、弾薬の装填を確認できる。
更に、M1911A1過去の記事)などと同じ、外装式のスライドストップも装備している。

1/1のワルサーP38を2つ。
左はマルゼンのガスブローバックエアガン、右はマルシンのモデルガン。
共にABS製だが、マルゼンは艶消しになっている。
マルゼンは1941年製の戦時中モデル、マルシンは戦後型のチェッカーグリップがついたもの。
P38/01

[ダブルアクション]
ダブルアクション(略してDA)とは、トリガー(引き金)を引くだけで撃発装置(具体的にはハンマーなどのパーツ)がセットされ、そのまま引き金を引き続けると撃発されるシステム。
P38は装填時にハンマーがコック(起こす、撃発準備状態にする)された状態からトリガーを引くとハンマーが落ちて撃発するシングルモードと、レスト(安全、落ちた)ポジションからトリガーを引く事によってハンマーをコックし、そこから更にトリガーを引く事でハンマーが落ち、撃発するダブルモードの両方が使える。
このため、通常はハンマーをレストポジションで持ち歩き、使用時には(セフティを解除しておけば)トリガーを引くだけで発射でき、更に連射時はシングルモードで短い距離,軽いトリガー動作で使える。

P38の元となった、PPK(/S)のDAメカ。
これはマルゼンのガスブローバックガン。
トリガー(引き金)に取り付けられたトリガーバーが、フレーム左側を通り、コッキングピースと呼ばれる部品を引く。
P38/08

これがP38のもの(マルシンモデルガン)。
トリガーバーはP38の場合、外部に露出している。
銀色のパーツがハンマーのコッキングピース。
その後方、フレーム内部から覗いているのが、ハンマーについているシア。
ワルサーのDAメカは、DAリボルバーの機構をトリガーバーでつなげたような構成だ。
P38/10


[スライド+プロップアップ]
現在米軍制式のベレッタM92FS(過去の記事)(その前のM1951も)はP38の閉鎖機構をベースに開発されている。プロップアップ機構は、同じく直線で動くモーゼルC96の影響があるものの、これをスライドとバレル(レシーバー)の関係に置き換えたのは、P38だと思う。M92FSはフレーム外にトリガーバーを出した、片引きのDAメカも真似ている(シアなどは独自の考案)。
またSIG P210も初期には木製グリップに横溝を彫っており、これもP38の影響が伺える。これなど作り易く汚れも拭き取りやすく、かつ十分な滑り止めという点が参考にした理由ではないか。
SIGはP220でもハンマースパーの形状が似ており、これなど機構だけでなく意匠上も参考にしていたふしがある。

右から、P38,M439,M92SB。
S&W M39(過去の記事)はP38のDA機構を継承し、ブローニング系のスライド,ティルト式閉鎖機構を採用したモデル。
DAメカ自体はオリジナルで、トリガーバーもマガジンを避けて(M1911のように)左右両側,フレーム内を通る。
これはM39の後継機M439で、マルシン製ABSモデルガン。
M92SBはベレッタのトライアル提出モデル。これはスズキ製メタルフィニッシュのABSモデルガン。
P38/02


P38は開発当初シンプルブローバック方式を試みたようだが、やはり一般的なショートリコイル方式の閉鎖機構を採用し、M1911などとおなじスライドカバー式の後退部をもっている。
プロップアップ式結合方式の先駆者モーゼルC96は、開発時の弾薬が小口径だったためもあり、ボルトが後退する。
P38がボルト式からスライド式に改めたのは、弾が9mmと大きく、ある程度の重量が必要なこと、PPなど既に開発していたワルサー一連の自動装填拳銃が、皆スライド式だったからだろう。
ただ、配置レイアウトを考えると、トリガー(引き金)前方に閉鎖メカニズムを持ってこないと、後部にはハンマー式のダブルアクション機構を納める関係上場所がとれない。
日本の南部式一連のシリーズでは、発火をP08(過去の記事)と同じストライカー式とし、後部にプロップアップメカを納めている。これはボルト式でもあり、全体にC96に近い構造である。
さて、P38はプロップアップメカをバレル下、トリガー前方に置いた結果、次に行き場を失ったのが、リコイル(スライドの前進用)スプリングである。
PPではバレル周囲に巻きつける形だが、ここはプロップアップの部品がバレルとかみ合う必要があるため使えない。
M1911のようなバレル下の配置は、ずっと後にベレッタがM90,M92シリーズでやるが、これだとバレル前方までスライドを伸ばす必要がある。
既にプロップアップ機構でスライド幅が広く、全体重量も、またスライドだけの重量もかさむ。先ほどはスライドの重量が必要と書いたが、つまり9mmの弾に適当なスライド重量がいるということで、過度な重量だと全体が重くなる。
P38はスライド上方を大きく削り取っているように、既に重過ぎるきらいがあったのだろう。
このうえ前方にスライドを伸ばすことは躊躇われたに違いない。そこで左右に2本の小径スプリングを配置する、ダブルリコイルスプリングとでもいうべき方式でこれを解決した。
この方式、実は先に実例がある。ボルト式だが、南部14年式が、小径で2つのスプリングを使用している。この前に作られた南部甲,乙,小型では、左側にスプリングが配され、アンシンメトリー(左右非対称)だった。ワルサーが14年式を知っていたかはともかく、このアイデアは南部式が先だった事は確かだ。

P38のリコイルスプリング。
フレームの両スライド溝の中にスプリングがある。
これはマルゼンのモデル。
P38/13


[生産性]
P38は生産性を上げるために、P08よりシンプルで加工しやすい構造とした。加えて、鋼板をプレス加工で切り抜き,成形して一部の部品を作っている。スライド上部のオートマチックセフティ,カートリッジインジケータのカバーがそうだし、マガジンキャッチ,トリガーもそうである。
ハンマーのスプリングガイドや、マガジンはもちろん、他でもプレスによる打ち抜きで作られていたが、ワルサーは板を打ち抜き、曲げて立体的な部品を作りだしている。
M1911A1がトリガーをプレス成形しているが、この方式は1927年から行われておらず、後に移行したのではないかと思う。M1911A1の初期モデルなどはトリガー側面のツラが出ており(側面が研磨されている)、レンミントンランドなどで戦時中作られたものとは違うからだ。このあたりモデルガンでは全てダイカストで成形してしまうので、参考にはならない。
MP40などもこの製法でもっと大きなレシーバーを作るのだが、これは少し後である。
また、P38はハンマーの後方,スパー(指かけ)の部分が削られ、コの字断面のハンマーになっているが、これは機械加工で削られている。手間はかかるが、後にSIG P210なども同様の形状,加工としている。

P38の後部。
マルゼン,マルシン共にコの字形状のハンマーを再現している。
トリガーは、マルゼンがコの字、マルシンはソリッド(中身が詰まった)形状だ。これは戦後P4で採用されたようで、ワルサーのカッタウェイ図がそうなっている。
戦後のP1などは、プレスではないようだが、コの字断面になっている。
P38/09

[欠点]
P38にも欠点はあり、スライト上部のカバーが反動で飛ぶことがあるという。あとカート排出方向が通常と逆で、右手で持つと射手側に向かって飛ぶ。これは自動車運転中に左手で発射することを考慮したという記述もある。確かにこのとき車外に飛んだほうがいいが、通常は右手で撃つのだからやはりおかしい。あと重心が後方寄りで、反動で大きく動き(跳ね上がり)易いなどが挙げられる。P08のバレル(銃身)が突き出たスタイルを踏襲したためだが、P08はグリップアングルがきつく、これでバランスを取っている。

SIG P210とP38。
P210はマルシンのガスブローバックガン。P38はマルゼン。
左のP210は、上から見て右にカートリッジが排出されるのに対し、P38は逆で、左に飛ぶ。
カートリッジをチャンバー(薬室)から引き出すエキストラクターが左側についている。
またリアサイトの前方に別部品で再現されている(但し実物のプレス製とは異なり、ダイキャストだと思う)のが、欠点となったカバー。
P38/22

[グリップ素材]
グリップは軍用制式がベークライト。戦前の民間用,試作等でチェッカーの入ったものは、エボナイトではないかと思う。
以前FN(ファブリックナショナル)M1900のグリップをエボナイトではないかとこのブログ(トカレフTT-33の記事)に書いていたが、床井雅美氏の著作(Shooting Tips The History of German Police Pistolsワルサーの復活東西分裂)によると、M1900の後のM1910も牛の角だった(そのままか、粉にして成形したのかは不明)らしいので、M1900も牛の角ではないかと思う。M1910ではその後エボナイトが使われていたという。
これより前には、天然の樹脂(エラストマー)を使ったものもあった。コルトは自社初のDAリボルバー(回転式拳銃)M1877ライトニング(これも以前PPK(過去の記事)のときに紹介したことがある)で、グリップパネルにグッタペルカ(ゲタペルカ,ガタパーチャGutta Percha)を使ったとの記事が頑住吉氏訳のドイツ文献で見られる。
これはそのままの名前の、木の樹液からとった成分で、熱可塑性(熱すると柔らかくなる)で柔軟性を持つ樹脂だとのこと。
ライカなどのカメラの表面に巻かれている人工皮革がこれだ。他にも海底ケーブルの被覆や、ゴルフボール,歯科医療の詰め物などに使われたとか。
もちろんこれは天然素材で、現在健康食品?の杜仲茶にも含まれており、血糖値を下げる効果があるらしい。
その後石油加工製品の台頭で既に忘れ去られたような素材だが、熱可塑性(熱すると柔らかくなる)なのでエボナイトより成形に適している。
P38でもこれを使っていた可能性はあるのだが、P38はグリップ後部にまでグリップパネルが回り込んでおり、その後部は樹脂素材だけで構造(ハンマースプリングが入る空間の確保)を持たせているので、グッタペルカが弾性,柔軟性をもつなら、不適当ではないかと思われる。
すると当時の入手可能素材では木材でなければエボナイトになるのでないかと推論した次第である。
ちなみにエボナイトも生ゴムに加硫して硬化させた半合成半天然?というべき素材だ。
そしてドイツは経済封鎖でゴムなど米英仏植民地(当時)からの物資の供給不足から、合成樹脂,ゴムの技術が発達したそうなので、ベークライトに置き換えたのではないだろうか。
更に戦後のものは他のプラスチック素材が開発され、普及したこともあり、これらを使っていないと思う。

マルゼンのP38グリップ。ベークライトのそれを模したまだら模様の赤茶色になっている。
P38/21

[発展]
ワルサーは戦後もP38を生産し、またいくつかの変更,モデルチェンジ(P4も新規モデルではなくマイナーチェンジ?)をしたが、その後のニューモデルP5も基本的にはP38の改良であり、新規モデルといえるP88を開発するまで長期にわたりP38系を続けた。
もちろん需要があり、また製品の競争力が劣っているとは考えなかったというのもその理由かもしれない。
戦後すぐにアルミフレームも取り入れているし、複列弾倉+DAが多く登場したのは1975年頃、それが一般化したのはXM9トライアルの時期くらいだと思う。このときにはワルサーもP88を出している。
米国軍トライアルなども睨んだP88は、しかし商業的に失敗作となり、ワルサーはP99まで迷走することになった。
また、スポーツ用拳銃は戦前からオリンピアモデルなどを作り、後にはOSP,GSPシリーズなどを開発、軍用は製造制限を受けた時期もあってこちらの方が戦後は熱心なようにも見える時期があった。

ワルサーを代表する3種、P38,P99,PPK/S。
P99もPPK/Sもマルゼン製ガスブローバックガン。
マルゼンは単に商標の使用許可を得ただけでなく、ワルサーのエアーソフトガン製造を行う提携関係を結び、直接ワルサーから資料の提供を受けて、製品開発を行っているそうだ。
P38/03


[1/6]
今回の1/6は、ドラゴン製。
ホルスター,予備マガジンがつき、スライド,ハンマーが可動する。
このスケール,材質で充分な強度を得るためか、トリガーガードは太めだが、スライドのセレーションなど細かい造形だ。
P38/25


今回は、リンク先のmomocloで先に紹介した、ユノアクルス・ライト フロゥライト(U-NoaQulutsLightFluorite)と。
それでは、また。
P38/23

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今回はワルサーの傑作小型拳銃、PPK(PPK/S)。
PPK/09

いきなり言うが、今回の1/6はPPK、1/1はPPK/Sである。
両者はフレームが違う。兄弟モデルではあるが。
昔はPPKしかモデルアップされなかったのだが、最近はPPK/S一機種のみがモデルアップされるようになってしまった。
1/1PPKを実現するには、金属製の古いモデルガンか、これまた金属製のガスガン改造(合法的に金色にして銃口も塞いでいる)モノしかない。
個人的な好みもあり(というかこのブログ自体個人的趣味だ)、どちらも手を出せないのでPPK/Sをもってきたという次第である。あらかじめご了承願って、始めさせていただく。

[PP,PPKシリーズの誕生]
PPとPPKは同時開発だったらしいが、PPは1929年、PPKは少し遅れて1931年発表されている。
PPKはPPの全長,高さを短縮、グリップを後部まで包む形としたモデル。
ダブルアクション(略してDA)機構,オートマチックセフティ(ファイアリングピンブロック),デコッキングを兼ねたサムセフティを備えた、シンプルブローバック式の中,小型拳銃で、弾は32ACP,38ACP(9×17mm)を使う。
PPK/Sはケネディ大統領暗殺を機に1968年制定された通称ケネディ法により小型の拳銃が輸出できなくなったので、PPのフレームとPPKのスライド,バレル(銃身)を組み合わせて作られた。
ケネディ狙撃はイタリアのカルカノというライフルが使われたとされており、小型拳銃は直接関係ないはずなのだが。
ともかくこの前後に対米輸出用としてPPK/Sが作られ、これはその後米国代理店だったインターアームス社が自社生産を行うこととなった。これは1986年からだという。

PPK/SとP38。
PPK/SもP38もマルゼンガスブローバックガン。
PPK/02

実はDA機構をセミオートピストル(自動装填=半自動拳銃)に持ち込んだ先例はリトルトムなどがあったし、リボルバー(回転式拳銃)などでは既に前世紀までに各社が製品化し、広く一般に用いられていた。
PPシリーズはDA化に際して高い安全性を持たせ、ドイツ工業製品らしい他には無い精緻で合理的、信頼性ある製品としたところが評価されたのではないだろうか。

DA機構がやはりまずPPシリーズのミソなので、
PPK/SとDAリボルバー。
左から、PPK/S,コルトデティクティブスペシャル,M1877。
デティクティブは1927年から作られている、短銃身スナブノーズの”探偵,警察用”のリボルバー。ジャンルは違うが、PPKのライバル。
これはタナカのペガサスシステムガスガン。
M1877はコルトとしては初のDAリボルバーだった。
これは頑住吉氏のガレージキット。
PPK/16

[空白,断絶の期間]
ワルサーがこれらの開発に相当力を入れ、また大きな期待をかけていたことはそれまでのモデルナンバー制を廃していることでもわかる。
モデルナンバーについては、既にモデル9まできており、2桁になること、10がドイツではアンラッキーナンバー?だったことも指摘されているが、それより「新しい酒は、新しい皮袋に」であると思う。10番になることは、そのきっかけになったかも知れないが、その全てではないと思う。
そして、新たなネーミングはポリッツァイ・ピストーレの頭文字をとってPP、そしてその短い型だとしてクルツを加えたPPKとした。
ワルサーのそれまでの民間護身用小型ピストルは、ファブリックナショナル(FN)社の後追いであり、しかも他に多くのライバルを持っていた。
それまでのワルサーも品質は良かったようだが、機構的には一般的なものであり、他を引き離すには至らなかったようである。
PP,PPKはこれらとは一線を画す「画期的な」新製品であり、その後拳銃の歴史を変えたモデルとなった。
これは9年(8年?)の間新しいモデルを出さなかったこともあるが、いままでのワルサー製品と断絶しているように思える。
例えば、これまでセフティという点ではFNブローニングの3つのセフティ(グリップセフティ,サムセフティ,マガジンセフティ)に対し、明らかに劣っていたのだが、オートマチックセフティ(引き金を引ききるまで、撃針をブロックする)を備え、更にサムセフティ(親指による手動の安全器)を操作するとデコック(ハンマーを安全位置まで戻す)出来るので、逆に優位に立っている。これは後には過剰であるという意見もある(もっとも日本の警察などはSIGに手動セフティを求めている)ほどだ。
もっともブローニングのマガジンセフティも邪魔な装備だとされて消えた機構だが。
更に独立したカートリッジインジケータ(装填の有無を確認する装置)を備え、これも安全性に寄与するパーツである。

PPK/Sの後部。
リアサイトの下,ハンマーの上(ハンマー上部をアール状にえぐったところの上)に突き出たピンがカートリッジインジケータ。
PPK/04

PPシリーズは、撃発機構もそれまでと違いハンマー式としている。時期的に、ストライカー式の限界が認識されていたのかも知れない(しかし80年代になってストライカー式でグロックが大旋風を巻き起こす)が、これ以前では中,小型ではコンパクトになるストライカー式がもてはやされた。
コルト32オートなどはハンマーだが、突起が出るのを嫌ってかそれを内臓式としている。
イタリアのベレッタもこの時期ストライカー式からハンマー式へと変わってきて、イタリア制式M1934に至る。
ベレッタは少しづつ改良していったモデルが残っており、その軌跡がたどれるのだが、ワルサーはこの間の試作なども見かけない。
P38はAP,MPの試作,HPモデルなどその軌跡が伺えるモデルが公開されているのだが。
また、スタイルもモデル8のフロント部分などに類似点はあるが、曲線を多用し、ステップ(段付き)加工やリブなど、装飾的な要素も多い。
その頃のバウハウスなど装飾を廃した機能を重視するデザイン運動に対する反動なのか、これもそれまでとは断絶を感じる部分だ。

[1/1小型拳銃]
PPKと他社の380ACP(32)小型拳銃。
左からコルトガバメント380オート,PPK/S,ベレッタM1934,FN M1910,コルト.32ポケット。
コルト380はタナカのガスブローバックガン。これは'80年代の作なのだが、M1911の小型化を目指し、PPKとP38の逆をいったような展開で出てきたモデル。
M1934はウエスタンアームズのガスブローバックガン。
M1934はPPKの少し後だが、これもPPKの精巧なメカ満載とは対照的にどこまでもシンプルだ。
M1910はマルシンのモデルガン。
これはPPKが狙っていたライバルだ。
コルト.32ポケットはMGCモデルガン。
これもブローニング設計で、少し大きいが内臓ハンマー式。米国では長くポケットピストルのスタンダードとして使われていたようだ。
PPK/11

[模型のバリエーションも?]
ワルサーPPKシリーズのバリエーションとして、マルシンは一時期PPも作り、更にPPスポーツという珍しいモデルを作った。
スポーツモデルはPPをベースに調整式サイト,ロングバレル,スパーハンマー,サムレスト(親指掛け)付きグリップなどを装備したモデル。
戦後フランスのマニューリン社でPPが作られていた頃、少数が7.65mmで作られた。あとは22口径で、こちらは大量に生産されている。
マルシンがモデルアップしたのはレアな7.65mmモデルだ。
付いているのはパートリッジタイプ(後ろが切り立ったような)フロントサイトだが、これは22口径のものについているように思うが。写真が紹介されている7.65mmモデルはランプタイプ(後ろがなだらかに下がっている)である。
このモデルがあったら、更にレアな存在だったのでは。
標的射撃の目的からいうと、パートリッジタイプのほうが光の反射が無く適しているはずだ。

PPK/SとPPスポーツ,M1910ターゲットモデル。
PPスポーツはマルシンで、サイドファイア時代のもの。
現在マルシンはセンターファイア,リアルライブ式エキストラクター(カートリッジを薬室から引き抜く部品)の改良モデルを作っている。
M1910スポーツも同じくマルシンで、調整式リアサイト付き。フィンガーレスト付きの弾倉と木製グリップが奢られている。
PPK/05

マニューリン社は高品質リボルバーも有名。
1/6スケールだがマニューリンMR73とPPKもついでに。
PPK/15

[ライバル]
PP,PPKが発表されると今度はこれらが中,小型拳銃のベンチマークになった。
ドイツでは、モーゼルがHsc、ザウエルがM38Hを作って対抗してきたが、しかしワルサーは一歩先を行った。
今度はPPのシステムを大型拳銃に持ち込み、ドイツ制式のP38(上の写真)を完成させたのである。
斬新かつ高い安全性を持った機構を持ち、軍用,警察用などの公用にP38、護身用や私服にはPP,PPKというラインナップ攻勢で、短期間にワルサーは大きく躍進する。
もちろん、同じドイツでもDWMなどはP08の生産を諦める中、大恐慌の最中にPPを発表して、時流を掴むセンス(だったのか運だったのか)もあった。
ワルサーは敗戦後、生産に苦労しながらも生き延びてきたが、それはPP開発からP38に至るまでのこの時期の完璧ともいえる計画が効を奏したのではないかと思う。
逆にこの時の躍進から、ナチスご用達の悪いイメージに苦しんだのか、戦後は競技用の銃に熱心な割には公用拳銃の改良はP38,PPベース(P5,PPスーパーなど)ばかりで、P99までは時代に取り残されてしまった感があった。
そして戦後はモーゼルの血を引くH&Kや、SIG,ベレッタが次々コンパクトオートを出し、更に9mmルガー弾使用のオートが小型化してくるなど新たな動きも見せている。
悪いイメージといえば、映画(原作本も)007シリーズで、ベレッタからPPKに乗り換える場面があり、ベレッタが悪く、ワルサーが良いイメージを獲得していた。
ワルサーとすればまたもや幸運といえるかもしれない。今ならベレッタから(映画制作会社が)訴えられるところだ。
但し、米国などでの販売面では実際の影響は無かったらしいし、事実PPKは護身用として当時最高水準だった。
こうして戦後もワルサーは大きな技術的利点を持ったPPシリーズ,P38シリーズを中心に歩み、買収やP88などの迷走も?あったが、今も名門として生き続けている。

DAコンパクトオート4種。
向かって左から、PPK/S,SIG P230JP,ベレッタM84,グロックG26。
P230JPはKSC ガスブローバックガン。これは日本の警察用に普通はつけていないサムセフティ(手動安全器)をつけたモデル。
ベレッタM84はマルシン モデルガン。これはダブルアクションだけでなく、ブローニングハイパワーの複列弾倉を中型拳銃に持ち込んだ意欲作。
G26はマルイのガスブローバックガン。サイズは小さいが、これはP38と同じ9×19mm(ルガー,パラベラム)弾を使い、またこれも複列弾倉を装備、更にポリマーフレームで一世を風靡したG17の最小バージョン。
PPK/12

[1/1と1/6]
1/6はドラゴン製で、ミッション・アフリカという装備キットに以前紹介したワルサー・カンプピストルと一緒に入っていたもの。
PPKはグリップパネルが後部まで覆っている形になっており、更にベークライト製のものをモデルアップしている。
PPK/07

ワルサーは、もちろんP38も控えている。しばらくしたら、これもやるつもり。それでは。
PPK/14



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今回はワルサー カンプピストル。
Kamp/13

[謎の制式名]
1/1はクラフトアップルワークスのガスガン。
このモデルの説明書は由来の記述もあり、良く出来ている。
カンプピストルとは、「戦闘拳銃」の意とのこと。
信号拳銃の銃身にライフリングを刻み、榴弾を発射できるようにした対戦車(もちろん対人も)用ハンドガンである。
実銃では口径26.7mm!だそうだ。ショットガンより大口径である。
識別の為に大きなZの文字をバレル(銃身)左側面に打刻、そこに蛍光塗料を塗ったという(模型では刻印のみ再現)。
エルマ社のものがLP42だったり、これ用の弾がM361、M39(卵型手りゅう弾、今回1/6の中にこれを再現したものもある)だったりするので、これにも制式名はあったのだろうが、現在通称(と思われる)カンプピストル、又は記号にちなんでZピストルと呼ばれている。
敵に捕獲されないよう、破棄することを命令したくらいの秘密兵器だったためか、それとも結局信号弾を撃つ道具の延長なのか、結構作られたそうなのだが、愛称だけなのだろうか。
ワルサーが海軍用にステンレスで作った信号拳銃はシュテルン・ロイヒテ(SL)、この水平2連版はシュテルン・ロイヒテ・ピストーレ・ドッペル(SLD)と呼ばれたらしい。
これらは少数試作のみだったらしいから、型式は無いことも充分あり得るのだが。
ただ、ワルサーは拳銃製作を始めた頃モデルナンバーを振っていたが、PP,PPKは警察拳銃(ポリッツァイ・ピストーレ)とその短縮型(ポリッツァイ・ピストーレ・クリミナルでなくてクルツだとか)を名前にしているので、カンプピストルならKPといったところではないだろうか。
一部にLeu42と書いているブログも見つけたが、モデルアップしたものの製造年が41年のようなので、これにも疑問符がつく。
もちろん42が年代でない可能性もある。
しかしルガーP08をモーゼルで作ったときの暗号がS/42で、後に42だけになっていること、P38をモーゼルで作ったときにはbyfというコードが割り振られていることなどから、混乱しすぎるので考えにくいと思う。
これだけはワルサーのコードが42なんてことにすれば情報を隠すためでも自分達が間違う。
大体同時代のP38はスライドに大きく「P38」と刻印しており、補給などのため識別するなら、例え暗号でも本体に型式表記は必要だと思うのだが。
もしかしたら本当にこれの制式名は”Z”だったりして。
Kamp/02

[モスカート]
クラフトアップルのカートリッジ、ミニモスカート(27mm)。
リセットが少々難しい(立てた形でプライマー部分を押し、一気に離す必要あり)が、カン高い盛大な発射音とガス、18発の一斉発射は大迫力である。
36発版でも射程はそう変わらないらしいので、これも一つ欲しい。
右側面には、鷲と鍵十字の刻印が2つ入っている。
このマークには個人的には抵抗があるが、これも歴史の証拠。
Kamp/03

[ワルサー]
WWⅡ(第二次世界大戦)のドイツ軍制式ワルサー2種。
上がカンプピストル。全長245mm(カタログ値)。
下はP38。これはマルゼンのガスブローバックエアガン。
Kamp/04

フレーム左側面にはワルサー社1941年の製造を示すコードac41と、4桁のシリアルと思われる数字が刻印されている(下2桁は消している)。
成形はエッジもシャープで艶消しも美しい。
シンプルな単発ピストルで、価格的に疑問もあったが、作りは非常にいい。
Kamp/05

[中折れ式]
カンプピストルは中折れ式である。
そこで中折れ式の各種拳銃を。
左からS&Wのモデル3、カンプピストル、右上はCOP357、右下がハイスタンダードのデリンジャー。
モデル3はマルシン製モデルガン、COP357はマルシン製ガスガン、デリンジャーはハドソン製モデルガン。
装弾数は順に6発,1発,4発,2発。
カンプピストルはトリガーガード下の指かけを兼ねた?レバーを押して開くのだが、他は全て上部にロック(開閉)機構がついている。
てこの原理から、支点から離れている部分にロックを設けるほうが強度上有利で、また同じクリアランス(隙間)なら、やはり後端の方がガタつきは少なくなる。
カンプピストルはそこでロックレバーからバーを伸ばし、バレルの下側後端に設けたラグでロックしている。
上部だと操作性が悪くなると考えたのか、それともサイトの無い上面でショットガンのように射撃するときに、邪魔になるという考えかもしれない。
レバーは押しやすく、またバネで勢いよくバレルが跳ね上がるので、これも実に楽しい動作だ。
Kamp/11

[ライフリング]
カンプピストルと信号拳銃の違い、ライフリングも一応再現されている(ストレートだが)。
Kamp/06

[1/6]
1/6は3丁手に入れたのだが、そのうちのひとつは、ドラゴン製ミッション・アフリカという装備セットについていたもの。
裏に2003年の表記があるので、少し前のもののようだ。
Kamp/09

1/1と1/6。
1/6で左上は後期型で、サイトとストックを装備した、通称シュツルムピストル。左下は金属製で、単品購入したもの。右(中央)下がドラゴンのもの。
Kamp/07

1/6は全て中折れアクションが可動。
シュツルムピストルは更にサイト,ストックが折りたためる。
金属製のものは弾も金属。
右のドラゴン製はプラスチックだが、Zの刻印も再現され形状もリアル。
Kamp/08

カンプピストルは過去ガレージガンワークス,モデルワークス,スモーキーズから出ており、スモーキーズのものは店頭で見たこともある。
マイナーとはいえ、この迫力ある姿はけっこう人気があるのでは。

ところで、拍手にコメントして下さった方、どうも有難うございます。
使い方に慣れておらず、拝見するのが遅くなってしまいましたが、今後とも宜しくお願いします。
Kamp/10

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まとめ

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