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今回はコルト ウッズマンマッチターゲットモデル。
思わせぶりなトップのカットだが、詳しくは後半で、まずは実銃の話から。
WOMT/01

[歴史]
元設計は天才銃器設計者として有名なJ・ブローニングである。
彼はこのモデルを開発する前にM1911で兵士の訓練用に22口径に改修した製品の開発を依頼され、これに着手するが失敗、結局M1911で22口径を発射するエ-スモデルは後年フローティングチャンバーという新機構で実用化されるまで出てこなかった。
M1911は45口径、この為ショートリコイル機構を採用、スライド質量も重い。
ショートリコイルを取り除いただけでは、スライドが重すぎて上手く動かなかったらしい。
 この教訓をもとに、ブローニングは全く新しい22口径用のオート(自動装填)拳銃を開発した。それがウッズマンの前身となるコルト・オートマチックピストル・ターゲットモデルである。
外観上大きな特徴は、コルトガバメント,32オートなどのスライド前部をばっさりカットしたような前後に短いスライド部である。上記のようにこれでスライド重量を軽くし、小口径向けにしている。
発火は内蔵型のハンマーで行う。モデルガンも内蔵ハンマー式をコピーしている。
安全装置は手動式一つのみ。当初はスライドストップを装備せず、また廉価版でも省略していたのではないかと思うが、今回の第二世代,第三世代ウッズマンでは装備されている。

1/1 コルトウッズマンマッチターゲット。
これはMGCのABS製モデルガン。
WOMT/11

[22ロングライフル]
使用する弾は22ロングライフル。これはロング,ライフルといった強そうな名が並んでいるが、実用として普及しているカートリッジでは最も弱い部類。
特長はケースが一体成形とされていること。
片側を閉じた円筒型のケースをプレスで平板から押し出して成形している。
ケースのリム(縁)もプレスで張り出させて折り返し、そこに着火薬を入れていわゆるプライマー(雷管)を兼ね、センターファイア式のように別部品としていない。
これは低威力だから可能な構造だが、安価なこともあって最も普及,消費されている弾でもある。
ウッズマンはこれがマガジン(弾倉)に10発入る。当時の拳銃としてはモーゼルC96並に多い装弾数だ。

22口径と45口径。
ウッズマンスポーツとコルト ナショナルマッチ6インチカスタム。
ウッズマンスポーツもMGCモデルガン。
このナショナルマッチもMGCモデルガン。
WOMT/06

[ネーミング] 
1915年にコルト・オートマチックピストル・ターゲットモデルが発売、ウッズマンの名は1927年からで、1976年に生産終了となっているようだ。
森林警備隊が採用したからウッズマンの名を付けた、という記述も見られるが、森林警備隊も「ウッズマン」の範疇に入るかもしれないが、むしろ木こりとか森で働く人=ウッズマンなので、もし警備隊ならフォレストレンジャーとかにしそうである。
これは当時ペットネーム(愛称)を正式名称にして売上増大を計っていたコルトの、職業人名シリーズの一環としてひねり出された名前ではないかと思う。
コルトはちょうど同じ年にアーミースペシャルをオフィシャルポリスに改名しているし、ポリスポジティプの2インチ版を、ディティクティブスペシャルとして発売している。

ウッズマン,オフィシャルポリス,デティクティブのコルト職業人シリーズ。
オフィシャルポリスもタイトー(MGC)のモデルガン。
ディティクティブはタナカのペガサスシステムガスガン。これはヘビーウエイト樹脂製で、ウォールナットのグリップを装備したもの。
WOMT/12

[バリエーション]
ウッズマンは生産された時代とモデルの特徴から大きく3つに分けられる。第一世代はグリップ下に弾倉止めを持ち、1947年からの第二世代はこれがトリガー(引き金)横の押しボタン形式のものになる。しかし、第三世代で再びグリップ下に戻され、その形が最終型となる。
バレル(銃身)は4.5,6インチで、更にバレルウエイトが一体化されたマッチターゲットなどのバリエーションがある。
サイトは上下左右調整式が付けられている。これを固定式にしたものがハンツマンなど。
ウッズマンの第二世代では、サムレスト(親指の為の突起)がついたグリップも装備されている。
更に第二世代では、グリップ後方にアダプター(手に合わせる、という意味か)がオプションでつけられる。これはM1911からM1911A1(過去の記事)に改修した際、グリップ後方(ハンマーのバネ収納部)にアーチ型のふくらみをつけたものに変えたものを模したもの。
やはりM1911の練習用としてのウッズマンの位置付けが感じられるところだ。
MGCのモデルガンでは、グリップ後方の部品、バックストラップにこのためのスクリューがあるのをモールド(ダミー)で再現している。
マッチターゲットモデルは当初バレル下のウエイトが根元側だけだったが、これをバレル全長にわたって伸ばした。
これでよりスタイルがM1911に近づいた。
しかしコルトに限らず軽量化の為に拳銃の贅肉を削り落とすのが、それまでのオートピストルでは普通だったと思う。
しかし、コルトはこのマッチターゲットで、逆に「重し」を銃身の下に設けるのである。
実はワルサーはオリンピアモデルの本格競技用で、別体のウエイトをつけるなど、ウエイトを使う例があった。
そこで銃身と一体のウエイトを企画したのだろう。
これは、後にパイソン(過去の記事)というコルトのフラッグシップモデルにつながる。
しかしそのままフラットなウエイトを付けるのではなく、サイドにフルート(溝)を彫っている。これはバレルの長さ方向を強調し、全体に軽快感を与えるのに成功しているように思うが、どうだろう。
このフルートはM1911などのスライドやリボルバーのシリンダーと同じ加工法だ。

MGCのコルトハンドガン モデルガン。
左から.32オート,ウッズマンマチターゲット,ナショナルマッチ6インチカスタム,パイソン。
.32オートとウッズマンは同じ内臓ハンマー式の発火機構を持っている。
ナショナルマッチ(M1911)のスライド前方下部,パイソンなどリボルバーのシリンダーのフルート溝の加工とウッズマンマッチターゲットのバレル下の溝の類似性がわかるだろうか。
WOMT/03

[グリップ角度]
ウッズマンは22口径と小口径なためもあり、全体に細めで、かつシャープな印象を受ける。
但し、サイズ自体は立派な大型拳銃のそれなのだが。
そして外観上、特に注意を引くのはグリップの角度が急なことである。
これはルガーがP08(過去の記事)シリーズで大きく傾けて銃のバランスを改善したのと同じく、前方にバレル(銃身)しかない構成(発売当初はマッチターゲットのバレル下のウエイト部分がない)で構えた際のバランス改善を計ったものと思われる。
ちなみにこの「角度をつける」ということではルガーがパテントをとっており、コルトはこの失効を待って1915年にルーツとなる22口径拳銃を発売した、と見ているのだが。
通常、グリップは垂直から10度程度傾けた形が最も良いとされている。
ウッズマンはしかし30度くらいの大きな傾きになっている。
大口径では、手首の曲がりが少ない方が反動を受けやすいと思うが、競技用エアーピストルなど反動は小さく(無い?),造形(構造)上の制約が無いものは角度が大きめである。ウッズマンはそちらよりである。

スタームルガー MkⅠとウッズマンスポーツ,ルガーP08。
MkⅠはマルシンの固定式ガスガン。
ウッズマンスポーツもMGCモデルガン。
ルガーP08はタナカのガスブローバックガン。
WOMT/04

[ライバル]
大手コルトの製品ということもあり、ウッズマンはロングセラーとなったが、強力なライバルが現れるなか、改善の限界もあり、またコルトの方針もあったのか、製造中止になってしまう。
ウッズマンは、オリンピックなどの国際競技向けではなく、大口径にチャレンジする前の練習用や、入門用、もしくは釣りなど野外に行くときのお供の銃として親しまれた。
これは別に当初から狙ったわけではなく、開発の契機は軍から練習,訓練用の依頼があった為だし、当時は自動装填式の標的競技専用銃も無かったようなのでこれで十分だと思われたわけだ。
後から出た他社モデルが国際競技に特化したり、そうでなくとももっと安価だったり、性能を上げてきたので、徐々に市場を失っていったのだろう。
まず後にオリンピックを席巻するワルサーも、1932年のオリンピック向けに出したオートマチック・スポーツピストルはグリップ内にマガジンを持ち、内臓ハンマー式であるなど、ウッズマンを意識していたようである。
ワルサーは4年後に前述のウエイト付きバージョンなどを持つオリンピアモデルに進化するが、更に1958年にはデザインを一新し、マガジンをグリップ前方に置くOSPで本格的競技用としての地位を築く。
ライバルS&Wは、より本格的な競技向けのM41を開発した。短めのブル・バレル(重い銃身)付きと、長めでコンペンセイター(制退器)装備のものと二種を用意したM41は、ウッズマンと異なり、グリップ角度は10度程度、前後サイトがバレルに付き、精度上も有利だった。これなどは最初から前方の重量を稼いでおり、ウッズマンの変遷を手本にしたのかも知れない。
S&Wはこれ以外にもローコストなポリマーフレームモデルも最近作っている。
ハイスタンダードは、ウッズマンに似た形で、22口径を作った。同社のモデルはバレルの取り外しも容易なように工夫されているようだ。これも多くのバリエーションがあり、軍事用にも用いられ、ハンマー露出型のH-Dにサイレンサーをつけたものが米空軍で密かに使用されていた。
ブローニングアームスはバックマークシリーズという22口径オートを作っている。
これもウッズマンのスライド形式に近いが、S&W同様、サイトはバレルレシーバー上にある。
スタームルガーが作った22口径ピストルは、ウッズマンと同様にグリップ角度が多きめだが、サイトはバレルをねじ込んだレシーバー上にある。これの特徴は徹底した低コストで、フレームは鋼板をプレスして溶接で貼り合せるモナカ構造、レシーバーも外側は円筒形状で素材から大きな加工を要しない。
後に改修して調整式サイト付きターゲットモデルや、ブルバレルをつけたモデル等を展開、更に現在ではポリマーフレーム付きのモデルも派生している。
スタームルガー22ピストルの構造は、ウッズマン,ハイスタンダードをもとに簡略化したもののように見える。外観は大きく異なるが、分解の仕方も似ている。
グリップ後方のバックストラップ(フレームのフタ)を上方に持ち上げて外すのがウッズマン、レバーを起こしてロックを解除してから外すのがスタームルガーだが、このバックストラップ構造が似ている。
J・ブローニングは自身設計の一連の拳銃で、このフレームのバックストラップ部分を別部品とする構成を良く使っている。
現在コルトが作る.22モデルという22口径オートは、ポリマーフレーム、円筒状のバレルなど逆に他社からのアイデアを拝借したような形だ。

スタームルガーMkⅠとウッズマンのバックストラップ。
これを下方向に抜くと、スライド(ボルト)が抜けるようになる。
WOMT/05

[モデルガン]
MGCは金属でハンツマンをウッズマンとして売り、それからずいぶん経ってABS樹脂のマッチターゲット、スポーツを出した。しばらくしてヘビーウエイト(HW)素材のヘビーバレルを作り、またサイレンサーをつけたシークレットカスタム、バレルを2インチほどに切り詰めたヒバモデル、リブ等豪華なヒバ仕様のモデルなど多くのカスタムが出ている。
初期のスポーツにはブローバックではなく手動操作のスタンダードもあった。
カートは当初からキャップ式だが、ケースが変更されて複数のカート形式がある。
高級カスタムで有名な六研も黄銅製ウッズマンマッチターゲットを作っていた。この六研モデルがコクサイのモデルのベースのようだ。以下に述べる構成だけでなく、セフティレバーについている、スライドをカバーする部分の形状もそっくりである。
MGCのABSウッズマンと同時期にコクサイからABSで、マルシンからは金属でウッズマンが発売されている。

1/1の各社ウッズマン。
左からコクサイのマッチターゲット,MGCのマッチターゲット,MGC 6インチヘビーバレル,MGCスポーツ。
ヘビーバレルはHW(ヘビーウエイト)樹脂、他はABS樹脂。
WOMT/02

MGCは第二世代、コクサイは第二世代のフレームに第三世代のスライドを乗せた形だ。
グリップはMGCの初期,コクサイがプラスチック(スチロールに空気が入った発砲スチロール、といっても梱包材のアレではない)、MGCの後期型はHW材で作られている。実銃は木製だという記述もみられるが、第二世代のそれは樹脂だと思われる。
右側グリップにMGCでも再現しているコルトのロゴマークがレリーフで入っており、もし木材を削って作っていたらえらい手間がかかるからだ。
ここに実銃はメダリオンが入っていた(コクサイはアルミのメダリオンはめ込み)という記述も見られるが、第二世代でメダリオンが入っているものは確認出来なかった。ちなみに第三世代ウッズマンは木製グリップになっている。
コクサイは二世代同居?型だが、フレーム,スライド寸法の変更が無ければ、実銃でもこの組み合わせは可能かも知れない。また、もしスライドを壊してメーカーに修理を出したら、このような形で対処した例もあるかも知れない。
22ロングライフル弾は上記のようにリムが張り出した、いわゆるリム型なので、マガジン(弾倉)はこれを並べるのにいろいろな工夫が凝らされているのだが、モデルガンではMGCもコクサイもストレートなリムレス型のカートリッジに変更して根本的に解決している。
22口径のトイガンは売れない、というジンクスがあったそうだ。標的射撃用の銃に対して、憧れを抱きにくいからだろう。過去にはCMCがルガーMkⅠ,ワルサーGSPを金属モデルで出していたが、現在はマルシンがスタームルガーMkⅠを作るのみだと思う。

MGCのウッズマンのグリップにあるレリーフ。
これはヘビーウエイト樹脂製のグリップ。
WOMT/08

[1/6]
さて、今回は初めて自作に挑戦してみた。本体は黄銅,グリップは木製で、パーツはプラスチックを使った。本体にはガンブルーをかけているので、トップのカットのように光を良く反射し、見栄えはする。
初回作ということで反省点もあるが、形状としては作り易い形ではなかったかと思う。
モデルアップしたのは、第二世代のマッチターゲットだ。これを選んだのは、1/1と合致すること、それからスポーツモデルは既に自作された方がいることだ。
本来これは合成樹脂グリップだが、加工が面倒そうなので木製でいった。結論から言うとこれは樹脂の方が良かった。通常のプラ板より柔らかい、自分で固めるレジンにはかなり削り易く、かつ表面が綺麗に仕上がるものがあるようだ。
今回のものはチェッカーをスジ彫りで挑戦したが、木目の凹凸によって綺麗な綾目が出来なかった。
プラパーツは接着後ガンメタ塗装で色目を合わせているが、写真を拡大すると塗料の粒子?による凹凸が少し目立つ。メタリックの場合、粉状の顔料が入っている為だが、これももっと良いものがないか、思案するところ。塗装後の処理が簡単なので水性アクリルを使ったのだが、これもエナメル系ならもっと細かいのだろうか。
WOMT/09

[映画,漫画]
ウッズマンといえば、日活の拳銃無頼帖シリーズで赤木圭一郎が演じた「抜き撃ちの竜」愛用の銃だが、これは実物だったとか?事実なら、誰が何の目的で(まさか映画の為に?)輸入したのだろうか。
その後ウッズマンがABSで各社から発売されたのは、実写TV版も作られた望月三起也氏の劇画「ワイルド7」の影響が大きかったと思う。
これは法を超越して悪人を退治する、架空の特殊機関ワイルド7を描いているが、現実にはこの連載期間中、ダッカのハイジャック事件で日本は「超法規的措置」により囚人を身代金までつけて釈放してしまった。
ワイルド7のリーダー飛葉大陸がバレルを切り詰めたウッズマンスポーツ、隊員のヘボピーがマッチターゲットを使用していた。
実はこのルーツとなるのは同氏がワイルド7の前に描いていた「秘密探偵JA」で、ここで主人公の飛鳥次郎がナンブのカスタムに変えてゴムのグリップ(エンド)をつけた切り詰めウッズマンを使用する。
このキャラクターごと、よりハードボイルド風な設定に持っていったのが、「ワイルド7」という感じである。
青島文化教材(アオシマ)の別ブランド、ミラクルハウスでヘボピー1/6フィギュアがでていたので、もしかするとこれにはウッズマンマッチターゲットがついてきたのかも。ヘボピーは、これの他にオートマグも使ったので、こちらの可能性もあるが。
どなたか情報をお持ちだったらご一報を。
(*その後、情報を頂きました。ヘボピーは複数のバージョンが出ているようですが、制服版ではモーゼル・ミリタリーが付属している、とのことです。引き続き、私服版をお持ちの方、宜しければご連絡ください。)
冒頭のカットは、たまたま新古で入手できたこのシリーズの八百と一緒に写したもの。これには南部14年式初期型がついていた。
コルトパイソンのときにも紹介した映画「蘇る金狼」では、サイレンサーをつけたウッズマンが冒頭に登場、更に松田優作+大藪春彦の組み合わせで「野獣死すべし」でもサイレンサー付きのウッズマンが登場(原作ではハンツマン)する。
ケビン・ベーコンが出ている「WOODMAN」では銃は関係ないようだが、なかなか面白そうだ。

1/6なら、素材や仕上げの制約も無いので、今後既製品の改造も含めて進めていくつもりなので宜しく。
WOMT/10





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今回は米国のサブマシンガン、M3A1グリーズガン。
M3A1/01

[生産性の改善]
米国はトンプソンM1928を制式サブマシンガン(拳銃弾を使用する自動式の銃)に採用、第二次世界大戦に入った。しかしこれは製造に手間がかかり、コストも高かった。
そこで省力化を進めたM1を開発、更に機構をシンプルにし、また外観も加工を最低限にした、M1A1が製作された。
しかし、もともと鉄の塊を削り出しているトンプソンでは、やはり製造に手間がかかり過ぎる。
次なる方策として自動車メーカーのゼネラル・モータースによって薄板鋼板プレス構造の新型サブマシンガン、M3が開発される。
更にM3を省力化したのが、今回のM3A1だ。
但し既に戦争末期で、大量に使用される前に戦争が終結した。
M3A1はその後朝鮮戦争や、各国への支援物資として供与され、何と日本にはまだあるらしい。

今回の1/1サイズM3A1は、ハドソン製のモデルガン。
表面はパーカー風の塗装で、綺麗な梨地仕上げである。
M3A1/10

[モナカ構造]
M3シリーズは、ドイツのMP40や英国のステンMkⅡなど、薄板鋼板を使ったサブマシンガンを参考にしている。
しかし、これらが円筒状の素材を使っているのに対し、M3は平板をプレスし、これを溶接で合わせて本体を作っている。
最中に似ているので、モナカ構造と呼んでいる(もちろん日本で、である)。
M3シリーズは外観がグリス注し器に似ているのでグリースガンという愛称が兵士によってつけられたという。
ハドソンは樹脂を型成形しているので、溶接では無いのだが、逆に内部加工のせいか、グリップ部分は3分割にしている。
左右の合わせ目は、モールド(型)成形で再現している。

後部から見たM3A1。
M3A1/02

[シンプル]
M3A1は、省力化によって、それまでも,その後も無いようなある種究極の「手抜き」がされている。
まず、機能はフルオートのみで、全弾発射後ボルトをストップする機能などもなく実にシンプルだが、これはMP40でもステンMkⅡでも同じ。
但しM3A1はサイトも固定(MP40は切り替え式)。引き出し式のストック(銃床)もあるが、射撃に際し操作するところは、マガジンキャッチ(弾倉止め)とトリガー(引き金)、それとボルト(しかも直接これを引く)しかない。
このボルトを直接引く形式というのは他に聞いたことが無い。
MP40でもステンでも、いやその後のサブマシンガンでも、普通はボルトにレバーなどがついており、これを引く形である。
実はM3にはボルトに直接ではなく、機関部につけられたレバーを円弧状に引いて操作するようになっていたのだが、なまじ凝った機構を採用したのが災いしたのか、壊れることがあったようで、だったら直接ボルトを引け、とばかりにレバー無しになってしまった。
ボルトには凹みが付けられ(削ったのだが)、ここに指を引っ掛けて引くようにした。
[安全装置]
また、M3A1は独立した安全装置も設けられていない。
安全装置は、エジェクションポート(排莢口)のカバーが兼ねているが、これはボルトが前進した位置から後退しないようにしたもの。
ボルトを引いた状態だと、カバーを閉じていても(ハドソンの場合完全に閉まらない)カバーを開いてボルトは前進,マガジンに弾があれば発射してしまう。
つまり安全に携帯するには、空の状態でボルトを前進させておき、カバーを閉じておく必要があるのだ。
この状態から発射するには、弾の入ったマガジンを入れておいて、カバーを開いてボルトを指で引っ張り、後退させる必要がある。
現代のサブマシンガンとしては、これはちと不便だと思う。
ハドソンはTT-33(過去の記事)やAK47も作っているが、これらも独立した安全装置を持っていない。TT-33はハンマーをハーフコックするしかなく、安全性の問題が指摘されることもあるが、するとM3も同様である。
AK47はM3同様カバーがセフティを兼ねるが、こちらはちゃんと引き金が引けないようブロックしているし、カバーはセレクター(半自動,自動の切り替え)も兼ねている。そして、後退位置でボルトが停止しないので、M3のようにボルトを引いた状態だったら、カバーを閉じていても発射されることは無い。

エジェクションポートからボルトを見た図。これは後退位置。
M3A1/03

反対面。
マガジンキャッチはガードが周囲を覆っている。
エジェクションポートカバーの下に銀色のパーツがあるが、これはカバーを固定するバネ。
ハドソンは錆びに気をつかってか、外部に露出するバネにステンレスを使っている。
以前取り上げた、TT-33トカレフも、スライドストップ固定にステンレスの板バネが使われていた。
M3A1/04

ハドソンは、最近このM3A1を再発売したのだが、その際マガジンの上部を作り変えた。
上部を実物同様に2重にし、端部が変形しにくくなっているという。
M3A1/11

[1/6]
1/6で、第二次世界大戦時の米軍装備を。
左から、M1A1カービン,M3A1サブマシンガン,M1928サブマシンガン,M1911A1(過去の記事)ハンドガン。
M1A1は、M1カービンのストックを折りたたみ式にし、パラシュート部隊などで使用しやすいようにコンパクト化を計ったモデル。
M3A1はドラゴン製。マガジンもたくさんついてきた。
M1928は愛称トミーガン。
これはザッカピ-エイピーの1/6スケールガンコレクションのものだが、付いてきた説明ではM1921とされている。この説明には後にM1928として採用、とあるが、床井雅美氏の最新サブ・マシンガン図鑑(徳間書店)では、M1928はM1921にマズル・コンペンセイター(制退器)を装備させたとあり、この通りだとM1928だということになるのだが。
銃身下のフォアグリップにはピストルグリップ型とバーチカル型の両方がラインナップされ、ドラムマガジンもある。右側のものがそれ。
M1911A1は先ほど取り上げたもの。これとサブマシンガンの弾は基本的に同じ。
ドイツはサブマシンガン用のルガー弾に拳銃用より強い強装弾を作ったようだが。
M3A1/07

ミニチュアでは、実に多くのサブマシンガンが作られている。
まず、第二次世界大戦期のものたち。
向かって左からM3A1,M1928,M38/42,MP40,MP41。
M38/42はベレッタ製のイタリア制式サブマシンガン。
21センチュリー・トイズの作。
MP40はドイツ軍制式、MP41は警察関係用で、MP41にはセミ・フル(半自動,全自動)切り替えが可能とのこと。
M3A1/05

今度は戦後世代のものと。
これまた左から、M3A1,スターリングL2A3,ウージー,H&K MP5A5,P90。
スターリングは英国の制式サブマシンガン。
これはBritish70s-80sInfantryWeaponsSet2という装備パックのもの。
マガジン,ボルト可動のうえ、ストックも動き、ピープ(穴)サイトまで再現された精密なもの。
ウージーはイスラエルで作られたサブマシンガン。
これは単品購入した。これもストックが実物同様伸ばせる。
MP5は以前紹介したもの(過去の記事)。
P90はホットトイズのモダンファイアーアームズ1/6コレクションシリーズ2のもの。
これは厳密に言うとサブマシンガンではない。弾が拳銃弾ではなく、5×28mmという小口径弾。
製造元のFN(ファブリックナショナル)社ではPDW(パーソナル・ディフェンス・ウエポン)と命名している。
M3A1/06

今回のM3A1はモデルガンだが、サブマシンガンは、ガスブローバックでも面白い。と、期待させつつまた来週?
M3A1/09

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今回はブローニングハイパワー、カナディアンモデル。
HPCN/01

[誕生、そしてカナダへ]
ブローニングハイパワーはブローニングが晩年取り組んだ試作をもとに、ファブリック・ナショナル(FN)が1935年に発表したモデル。
9×19mm(ルガー,パラベラム)弾を使い、溝カム形式のショートリコイル(少し銃身がスライドと共に後退する)方式の大型軍用拳銃。
拳銃としては当時最大の13発の装弾数を持つ複列弾倉が採用されていることから、ハイパワーの名を冠された。
FNはブローニング設計の拳銃をずっと生産し、ハイパワーは今も現役である。

No2MkⅠ(上)とFNのM1910(下)。
M1910もマルシンのモデルガン。
このM1910もブローニングの設計。
これも小型の護身用拳銃としてスタンダードとなるヒット作。
HPCN/04

第二次世界大戦が始まり、ベルギーが占領中されると、カナダのジョン・イングリス社にFNの技術者が渡り、ハイパワーが生産された。
No1Mk1がタンジェントサイト付き、No2Mk1がこのタイプである。
こっちがカナディアンモデルと一般には言われていると思う。

M1935(コマーシャル)とNo2MkⅠ。
向かって右がM1935。タナカ ガスブローバックガン。
M1935はFNで作られ、市販もされた初期のモデル。
左がNo2MkⅠ。マルシン ABSモデルガン。
HPCN/03

ブローニングの元設計は、M1910などと同じストライカー式だったが、これをハンマー式に変えるなど発表までの改良を行った技師がデュートネ・J・サイーブ。
彼は英国に渡っていたので、協力してカナダで作ることにしたとか。
No1Mk1は主に中国(蒋介石政府)に、他には英国やオーストラリア軍にも納入されたという。カナダ軍も採用したが、この制式名はM1935Mks1のようだ。
カナダ生産のモデルには、(構えた人から見て)左のグリップ横下にランヤードリングが付属しているのも特徴。

[サイト]
No2MkⅠの最大の特徴はサイトである。フロントはドブテイル(アリ溝)固定のパートリッジ(後ろが垂直かそれ以上にそそり立った)タイプ。リアは一体成形の周囲が盛り上がったタイプである。

No2MkⅠのフロントサイト。
HPCN/18

この組み合わせはその前後のモデルには見られない。
そして削り方も、前後サイトベース(リアは更にサイト自体)を残して削る必要があり、これならさっと全体を削り、更にドブテイルを前後加工したほうが早い。実際最近のMkⅢはその加工だし、他社をみても大半がこの形である。
なぜこのような形にしたのだろうか。

ハイパワーの各種フロントサイト。
銃身の周りにリング状に見える部品は、マズル(銃口)ブッシング。
左からNo2MkⅠ、M1935、MkⅢ。
MkⅢもタナカのガスブローバックガン。
M1935はABSでMkⅢはヘビーウエイト樹脂製。
HPCN/05

ひとつの仮説は、No1MkⅠ(ミリタリー、タンジェントサイトタイプ)の製造設備で、固定サイトを作ったから、ではないだろうか。
タンジェントサイトは上下をワンタッチで調整できるが、左右調整がないのでフロントサイトをドブテイルとして左右調整式とし、スライド上部を前後削り残す形でそこにサイトをつけた。
そしてこの後ろのタンジェントサイトの代わりに、削り残した高い部分をそのままサイトに成形したのが、カナディアンではなかっただろうか。
またフロントのドブテイルをスライド上に削り残した部分に加工したのは、当初マズルブッシングに干渉することを避けたのではないか(後のMkⅢではそのままつけているが)。
ハイパワーはここもブローニングの前作(ハイパワーの前にはウッズマンの前身コルトオートマチックピストルターゲットモデルなども作っている)M1911からは改良されているが、後のモデルのようにティルト(傾く)方向だけ逃がしのため削り込んだスライドではなく、ブッシングが入っている。
それと、当時はコストに占める人件費の割合は必ずしも高くなく、少々加工に手間がかかっても性能が良くなればそちらを採用した、という背景もあるかもしれない。

各種ハイパワーのリアサイトを後方から。
左から、No2MkⅠ,M1935,MkⅢ,ターゲットモデル。
ターゲットモデルはJACのガスブローバックガン。
HPCN/09

フロントサイトは現在につながる方式だが、リアはどちらかというとクラシックな一体型である。
No1MkⅠのタンジェントサイトのベース部分も、No2MkⅠ同様上部を削り残して加工している。
No2MKⅠでは調整を前でやってしまうからリアサイトは固定、という考えか、一体のサイトとされている。
これは単にサイトリーフ(板)部分を一体で作るのではなく、前後に肉を盛られて(実際は削り残した)十分強度が確保されている。
同様の形ではSIGのP210(SP47/8、過去の記事TT-33に関連事項)が有名だ。しかしこれは参考としたフランスのMleがここに手動セフティを設けていたこと、P210ではスライドとフレームのかみ合わせを通常と逆にして、長い距離をかみ合わせ、精度を向上させたが、フレームが上まできているため、スライドを掴む部分としてここを利用していることが理由だ。
ちなみにハイパワーもM1911と同じスライドのかみ合わせだけではなく、リコイルスプリングハウジング付け根を(P210のように)逆の組み合わせでフレームとかみ合わせてガタ(バックラッシュ)を減らし、精度を確保している。

No2MkⅠとSIG P210のスライド後部。
左がNo2MkⅠ、右がP210。
P210はマルシンのガスブローバックガン。
No2MkⅠのセレーション(指かけの為の溝)中央に小判状に独立した部品があるが、これはシアーバーの固定用パーツ。
ハイパワーは複列弾倉によるフレーム幅の拡大を防ぐ為もあり、引き金の動きをスライド部分に着けた部品を介して後方に伝える。
HPCN/07

[ハイパワーの影響]
ハイパワーの複列弾倉は、スタガードコラム(カァラム)シングルフィードという形式。
千鳥状にジグザグに収まった弾は上部におくられるにつれ一列になる(シングルフィード)。それまでマシンガンなどでは複列弾倉が採用された例があるが、これは最後に一列にならないままチャンバー(薬室)に送り込まれるもので、送り込むボルト,スライドが大きいならともかく、拳銃では少し無理があった。
そこでブローニングは最後に一列になるよう、弾倉の側面を上部にいくにつれ狭くなるよう絞った形とし、更に強度を上げるリブをつけた。
ハイパワーのあと、これを採用したのはフランスのMAB P15だったと思う。その後、しばらくは追従者が出てこなかった。
これは特許問題かもしれないが、基本の特許は既に切れていたはず(周辺技術を次々申請していたらその後も作れなかった可能性はある)。
他がすぐに手を出さなかった理由は、寸法精度等厳しい品質管理が要求されるのと、いかにハイパワーが優れた拳銃であっても、多弾数のメリットを認識させるのに時間がかかったのではないだろうか。
流れが変わったのは、S&W(過去の記事),ベレッタ(過去の記事),CZが相次いで複列弾倉+ダブルアクションを採用し、これら(CZを除く)が米国軍用のトライアルXM9に提出されるようになってからだ。
ワルサーP38が大型軍用拳銃に持ち込んだダブルアクションと共に導入されることで、一気に次世代の標準となっていく。
この弾倉形式は、やがて各社がこぞって採用、多弾数オートは今やミリポリ(ミリタリー&ポリス、軍用,警察用の意)拳銃のスタンダードな装備になった。

各種の複列弾倉と銃本体。左からNo2MkⅠ,CZ75,S&W M59,ベレッタ M92FS。
CZ75はKSCガスブローバックガン。これはファーストモデルと呼ばれる物。
弾倉もガスタンクを兼ねているが、外板を鉄板プレスで作り、実物に似せている。
M59は過去にM39のときに取り上げたMGC製モデルガン。
M92FSもこの間取り上げたマルシン製モデルガン。
HPCN/08

[トイガン]
マルシンは以前金属モデルを作っていたが、これは中田商店のものを受け継いでいたようだ。ABSモデルも固定バレル,サイドファイア式で始め、現在擬似ショートリコイル,センターファイア式に改良されている。ABSで出した頃に10種類位のバリエーション展開(刻印の違うものとしてチャイニーズモデル,セントルイス,ピンダットモデル)があり、実に幅広いモデルが存在する。
表面仕上げ(素材)で、ABS,メタルフィニッシュ,HW(ヘビーウエイト樹脂)などがある。キットも存在し、現在はコマーシャルモデルとミリタリーモデルが販売されているようである。
JACはガスブローバックのエアガンとしては初めてのハイパワーをモデルアップした。コマーシャル,MkⅢ,ターゲットモデルとそのカラーバリエーション(メッキ)があったはず。こちらはメーカーが無くなったせいもあり、現在生産されていない。
タナカはJACのあとガスブローバックを作り、現在も生産している。
バリエーションはコマーシャル(ビジランティ),ミリタリーそしてMkⅢがあり、ミリタリーには中華民国刻印モデルがある。最近、HWも生産しているが、ミリタリーとMkⅢでコマーシャルが出ていたかは未確認。

[1/6]
ドラゴン製と思われるものを単品で購入した。スライド,ハンマーが可動、弾倉が抜け、予備弾倉とホルスター、ランヤードらしき紐もついてきた。
ホルスター等は今回割愛。
実はマルシン製のハンマー形状が気に食わず少し削っているのだが、これは小さいにもかかわらず、良く再現したものだと関心する。手荒に扱うとすぐおれてしまいそうな部品だ。
HPCN/11

ハイパワーはMkⅢを別にやる予定。他のバリエーションも1/6カスタムが製作出来次第、取り上げる予定。
今回トリガーシステムなどにも話を広げかけたが、長くなりすぎるので次回にそのあたりも追求したい。
それでは、また。
HPCN/15

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今回はワルサーの傑作小型拳銃、PPK(PPK/S)。
PPK/09

いきなり言うが、今回の1/6はPPK、1/1はPPK/Sである。
両者はフレームが違う。兄弟モデルではあるが。
昔はPPKしかモデルアップされなかったのだが、最近はPPK/S一機種のみがモデルアップされるようになってしまった。
1/1PPKを実現するには、金属製の古いモデルガンか、これまた金属製のガスガン改造(合法的に金色にして銃口も塞いでいる)モノしかない。
個人的な好みもあり(というかこのブログ自体個人的趣味だ)、どちらも手を出せないのでPPK/Sをもってきたという次第である。あらかじめご了承願って、始めさせていただく。

[PP,PPKシリーズの誕生]
PPとPPKは同時開発だったらしいが、PPは1929年、PPKは少し遅れて1931年発表されている。
PPKはPPの全長,高さを短縮、グリップを後部まで包む形としたモデル。
ダブルアクション(略してDA)機構,オートマチックセフティ(ファイアリングピンブロック),デコッキングを兼ねたサムセフティを備えた、シンプルブローバック式の中,小型拳銃で、弾は32ACP,38ACP(9×17mm)を使う。
PPK/Sはケネディ大統領暗殺を機に1968年制定された通称ケネディ法により小型の拳銃が輸出できなくなったので、PPのフレームとPPKのスライド,バレル(銃身)を組み合わせて作られた。
ケネディ狙撃はイタリアのカルカノというライフルが使われたとされており、小型拳銃は直接関係ないはずなのだが。
ともかくこの前後に対米輸出用としてPPK/Sが作られ、これはその後米国代理店だったインターアームス社が自社生産を行うこととなった。これは1986年からだという。

PPK/SとP38。
PPK/SもP38もマルゼンガスブローバックガン。
PPK/02

実はDA機構をセミオートピストル(自動装填=半自動拳銃)に持ち込んだ先例はリトルトムなどがあったし、リボルバー(回転式拳銃)などでは既に前世紀までに各社が製品化し、広く一般に用いられていた。
PPシリーズはDA化に際して高い安全性を持たせ、ドイツ工業製品らしい他には無い精緻で合理的、信頼性ある製品としたところが評価されたのではないだろうか。

DA機構がやはりまずPPシリーズのミソなので、
PPK/SとDAリボルバー。
左から、PPK/S,コルトデティクティブスペシャル,M1877。
デティクティブは1927年から作られている、短銃身スナブノーズの”探偵,警察用”のリボルバー。ジャンルは違うが、PPKのライバル。
これはタナカのペガサスシステムガスガン。
M1877はコルトとしては初のDAリボルバーだった。
これは頑住吉氏のガレージキット。
PPK/16

[空白,断絶の期間]
ワルサーがこれらの開発に相当力を入れ、また大きな期待をかけていたことはそれまでのモデルナンバー制を廃していることでもわかる。
モデルナンバーについては、既にモデル9まできており、2桁になること、10がドイツではアンラッキーナンバー?だったことも指摘されているが、それより「新しい酒は、新しい皮袋に」であると思う。10番になることは、そのきっかけになったかも知れないが、その全てではないと思う。
そして、新たなネーミングはポリッツァイ・ピストーレの頭文字をとってPP、そしてその短い型だとしてクルツを加えたPPKとした。
ワルサーのそれまでの民間護身用小型ピストルは、ファブリックナショナル(FN)社の後追いであり、しかも他に多くのライバルを持っていた。
それまでのワルサーも品質は良かったようだが、機構的には一般的なものであり、他を引き離すには至らなかったようである。
PP,PPKはこれらとは一線を画す「画期的な」新製品であり、その後拳銃の歴史を変えたモデルとなった。
これは9年(8年?)の間新しいモデルを出さなかったこともあるが、いままでのワルサー製品と断絶しているように思える。
例えば、これまでセフティという点ではFNブローニングの3つのセフティ(グリップセフティ,サムセフティ,マガジンセフティ)に対し、明らかに劣っていたのだが、オートマチックセフティ(引き金を引ききるまで、撃針をブロックする)を備え、更にサムセフティ(親指による手動の安全器)を操作するとデコック(ハンマーを安全位置まで戻す)出来るので、逆に優位に立っている。これは後には過剰であるという意見もある(もっとも日本の警察などはSIGに手動セフティを求めている)ほどだ。
もっともブローニングのマガジンセフティも邪魔な装備だとされて消えた機構だが。
更に独立したカートリッジインジケータ(装填の有無を確認する装置)を備え、これも安全性に寄与するパーツである。

PPK/Sの後部。
リアサイトの下,ハンマーの上(ハンマー上部をアール状にえぐったところの上)に突き出たピンがカートリッジインジケータ。
PPK/04

PPシリーズは、撃発機構もそれまでと違いハンマー式としている。時期的に、ストライカー式の限界が認識されていたのかも知れない(しかし80年代になってストライカー式でグロックが大旋風を巻き起こす)が、これ以前では中,小型ではコンパクトになるストライカー式がもてはやされた。
コルト32オートなどはハンマーだが、突起が出るのを嫌ってかそれを内臓式としている。
イタリアのベレッタもこの時期ストライカー式からハンマー式へと変わってきて、イタリア制式M1934に至る。
ベレッタは少しづつ改良していったモデルが残っており、その軌跡がたどれるのだが、ワルサーはこの間の試作なども見かけない。
P38はAP,MPの試作,HPモデルなどその軌跡が伺えるモデルが公開されているのだが。
また、スタイルもモデル8のフロント部分などに類似点はあるが、曲線を多用し、ステップ(段付き)加工やリブなど、装飾的な要素も多い。
その頃のバウハウスなど装飾を廃した機能を重視するデザイン運動に対する反動なのか、これもそれまでとは断絶を感じる部分だ。

[1/1小型拳銃]
PPKと他社の380ACP(32)小型拳銃。
左からコルトガバメント380オート,PPK/S,ベレッタM1934,FN M1910,コルト.32ポケット。
コルト380はタナカのガスブローバックガン。これは'80年代の作なのだが、M1911の小型化を目指し、PPKとP38の逆をいったような展開で出てきたモデル。
M1934はウエスタンアームズのガスブローバックガン。
M1934はPPKの少し後だが、これもPPKの精巧なメカ満載とは対照的にどこまでもシンプルだ。
M1910はマルシンのモデルガン。
これはPPKが狙っていたライバルだ。
コルト.32ポケットはMGCモデルガン。
これもブローニング設計で、少し大きいが内臓ハンマー式。米国では長くポケットピストルのスタンダードとして使われていたようだ。
PPK/11

[模型のバリエーションも?]
ワルサーPPKシリーズのバリエーションとして、マルシンは一時期PPも作り、更にPPスポーツという珍しいモデルを作った。
スポーツモデルはPPをベースに調整式サイト,ロングバレル,スパーハンマー,サムレスト(親指掛け)付きグリップなどを装備したモデル。
戦後フランスのマニューリン社でPPが作られていた頃、少数が7.65mmで作られた。あとは22口径で、こちらは大量に生産されている。
マルシンがモデルアップしたのはレアな7.65mmモデルだ。
付いているのはパートリッジタイプ(後ろが切り立ったような)フロントサイトだが、これは22口径のものについているように思うが。写真が紹介されている7.65mmモデルはランプタイプ(後ろがなだらかに下がっている)である。
このモデルがあったら、更にレアな存在だったのでは。
標的射撃の目的からいうと、パートリッジタイプのほうが光の反射が無く適しているはずだ。

PPK/SとPPスポーツ,M1910ターゲットモデル。
PPスポーツはマルシンで、サイドファイア時代のもの。
現在マルシンはセンターファイア,リアルライブ式エキストラクター(カートリッジを薬室から引き抜く部品)の改良モデルを作っている。
M1910スポーツも同じくマルシンで、調整式リアサイト付き。フィンガーレスト付きの弾倉と木製グリップが奢られている。
PPK/05

マニューリン社は高品質リボルバーも有名。
1/6スケールだがマニューリンMR73とPPKもついでに。
PPK/15

[ライバル]
PP,PPKが発表されると今度はこれらが中,小型拳銃のベンチマークになった。
ドイツでは、モーゼルがHsc、ザウエルがM38Hを作って対抗してきたが、しかしワルサーは一歩先を行った。
今度はPPのシステムを大型拳銃に持ち込み、ドイツ制式のP38(上の写真)を完成させたのである。
斬新かつ高い安全性を持った機構を持ち、軍用,警察用などの公用にP38、護身用や私服にはPP,PPKというラインナップ攻勢で、短期間にワルサーは大きく躍進する。
もちろん、同じドイツでもDWMなどはP08の生産を諦める中、大恐慌の最中にPPを発表して、時流を掴むセンス(だったのか運だったのか)もあった。
ワルサーは敗戦後、生産に苦労しながらも生き延びてきたが、それはPP開発からP38に至るまでのこの時期の完璧ともいえる計画が効を奏したのではないかと思う。
逆にこの時の躍進から、ナチスご用達の悪いイメージに苦しんだのか、戦後は競技用の銃に熱心な割には公用拳銃の改良はP38,PPベース(P5,PPスーパーなど)ばかりで、P99までは時代に取り残されてしまった感があった。
そして戦後はモーゼルの血を引くH&Kや、SIG,ベレッタが次々コンパクトオートを出し、更に9mmルガー弾使用のオートが小型化してくるなど新たな動きも見せている。
悪いイメージといえば、映画(原作本も)007シリーズで、ベレッタからPPKに乗り換える場面があり、ベレッタが悪く、ワルサーが良いイメージを獲得していた。
ワルサーとすればまたもや幸運といえるかもしれない。今ならベレッタから(映画制作会社が)訴えられるところだ。
但し、米国などでの販売面では実際の影響は無かったらしいし、事実PPKは護身用として当時最高水準だった。
こうして戦後もワルサーは大きな技術的利点を持ったPPシリーズ,P38シリーズを中心に歩み、買収やP88などの迷走も?あったが、今も名門として生き続けている。

DAコンパクトオート4種。
向かって左から、PPK/S,SIG P230JP,ベレッタM84,グロックG26。
P230JPはKSC ガスブローバックガン。これは日本の警察用に普通はつけていないサムセフティ(手動安全器)をつけたモデル。
ベレッタM84はマルシン モデルガン。これはダブルアクションだけでなく、ブローニングハイパワーの複列弾倉を中型拳銃に持ち込んだ意欲作。
G26はマルイのガスブローバックガン。サイズは小さいが、これはP38と同じ9×19mm(ルガー,パラベラム)弾を使い、またこれも複列弾倉を装備、更にポリマーフレームで一世を風靡したG17の最小バージョン。
PPK/12

[1/1と1/6]
1/6はドラゴン製で、ミッション・アフリカという装備キットに以前紹介したワルサー・カンプピストルと一緒に入っていたもの。
PPKはグリップパネルが後部まで覆っている形になっており、更にベークライト製のものをモデルアップしている。
PPK/07

ワルサーは、もちろんP38も控えている。しばらくしたら、これもやるつもり。それでは。
PPK/14



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