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1861/15
今回は、パーカッションリボルバーの世界を。

単品モデルシリーズ久々の記事でもあり、ちょっとくどく(長く)
なってしまったが宜しくお付き合いを。

[概要]
M1861は、M1851に、M1860の機構を盛り込んだ改良型。

M1861は、基本的には先に製作されていたM1851と同じSAで
オープントップ(シリンダー上部が開いている)フレームを持つ36口径
6連発のリボルバー(回転式拳銃)である。
(SAとはシングルアクション=撃発にあたってハンマーを起こしてから
トリガーを引く必要がある機構。)

M1851に、44口径のM1860で改良されたクリーピング・タイプと呼ばれる
ローディングレバー機構を持つのが、構造上の相違点だ。
製造数は意外に少なく、4万丁に満たないという。
M1860と同じく、ラウンドバレル(丸い銃身),流線形のバレル下部,
ローディングレバーなど、それまでになく曲線を取り入れ、また素材も
シルバースチールと称する、強くて熱処理性も優れたものを採用している
という。
M1861は、コルト製パーカッション式の最後にして最高傑作、とも評される。

まず今回のトイガンを。
これはCAW(クラフトアップルワークス)のモデルガン。
プレーンな木製グリップは標準装備だが、この右側面には、素晴らしい
杢が入っている。
M1861のモデルガンとしては、このモデル以外にマルシンが全体に彫刻を
施したカスター将軍モデルが作られており、以前はOEMで、現在は自社で
販売されている。
このCAW M1861は、発火も可能で、素材はHW(ヘビーウエイト、
つまり重い)樹脂を主体に、金属部品も使われている。
これは中古入手だが、キットには紙箱に入ったパーカッションキャップと、
ニップル取り外し用レンチが付いていた。
1861/02

この当時36口径モデルはネービー(海軍モデル)、44口径がアーミーと
呼ばれていたようだ。
これはM1851がテキサス海軍とメキシコ海軍との戦いの図をシリンダーに
刻んだことから、らしい。
しかしM1860アーミーにも海戦のシーンがエングレーブされていたのだが、
口径44からアーミーと呼ばれたようである。
パーカッション式とローディングレバー,ニップル,キャップなどについては
以下に。

M1851(右)とM1861。
M1851もCAWのモデルガン。
CAWはまずM1851を作り、そのバリエーションとしてM1861を作った。
2つ共木製グリップ、シリンダーにカービング(彫刻)無しの仕様のもの。
トリガーガード(引き金の覆い)の形状と、バレル,ローディングレバー
が違うだけだ。
(トリガーガードはM1851がⅡ型の為。Ⅳ型モデルではM1861と同じ。)
1861/03

[パーカッション方式]
パーカッション式は、火縄式,フリントロック式とカートリッジ式との間に
用いられた形式。
弾丸と雷管をそれぞれセットする事からキャップ&ボール式とも呼ばれる。

火縄式が火を付けた縄、フリントロックは少し前のライター宜しく、火打ち石
の摩擦による火花を火薬に当てて発火させるのに対し、
パーカッション式は衝撃を受けると化学反応を起こし、発火(爆発)する雷汞
(二価の雷酸水銀)を入れた雷管=パーカッションキャップを用い、これを
叩いて撃発する。

パーカッションリボルバーではシリンダーの後ろにニップル(火穴、
穴あきの突起)が付いている。
装填は、ニップルにパーカッションキャップを被せ、シリンダー前方から火薬,
パッチ,弾丸の順で入れ(紙で一包みにしていることもあるが)、最後に
弾丸を強く押し込む。

ここで量産リボルバーのパイオニア、コルトの歴代モデルを。
右から、テキサスパターソン(HWS=ハートフォード製)、
M1851(CAW製),M1861(CAW製),
SAA(シングルアクションアーミー タナカ製)
SAA以外はモデルガン。M1873はカートリッジ式ガスガン。
この順に開発され、SAAはもちろんパーカッション式でなく、
実銃もカートリッジ式。
M1851,M1861,SAAのフレームはサイズも含め良く似ており、
またM1861とSAAのサイト(照星)は似ている。
サイト形式の進化もこれでよく判る。
1861/08

コルト以外のパーカッションリボルバーで、初のDA(ダブルアクション)
量産リボルバー?アダムスパテントモデル(下)と。
アダムスパテントモデルは、デニックスのモデルガン。
アダムスは最初DAオンリーで、後に改良されてDA/SA(どちらも出来る)
になったモデル。
コルトは英国にも進出し、ロンドン工場を作り、M1851を英国軍に
納入していたが、アダムスにその座を奪われ、工場も撤退(本国での
生産が軌道に乗ったので生産拠点を一本化したという言い方もあるが)
させられている。
1861/05

米国内でのライバル、レミントン社のニューモデルアーミー
(上 過去の記事)とも。
ニューモデルアーミーは44口径。これはHWS製のペガサス方式ガスガン。
画像ではM1861のほうが大きそうにも見えるが、ニューモデルアーミーの
方が.44口径ということもあり、ひとまわり大きい。
1861/06


[ローディングレバーの改良]
上の画像にあるテキサスパターソンのように、パーカッションリボルバーの
初期には、弾を込める装置は別になっていた。
しかし、紛失すると装填できないし、当時軍用などでは7.5インチクラスの
バレル(銃身)を備えていたので、それならローディングレバー
(装填用レバー)をつけた方が便利、となったようだ。

パーカッションリボルバーでは、テコの原理を応用し、レバーで
弾丸を押し込む方式の装填装置が使われている。

このレバーだが、実銃レポートでは大変な作業だと記されており、
シリンダーに弾丸を押し込むのは、強い力を要する作業だったようだ。

これは、隙間があると湿気が入ること、発射時、ある程度抵抗がないと
火薬ガス圧力が上がる前に弾丸が出てしまい、初速が上がらない為
ではないかと思う。

M1851のローディングレバーは、L字クランクのレバーにピン(スクリュー)
を介して直線移動するロッドがつながり、これで弾丸を押す。

M1860,M1861のクリーピング・タイプ ローディングレバーは、いわば
歯車式である。
バレル下のレバーが納まるえぐりの中には、直線状に並んで設けられた
穴がある。
ローディングレバーには、歯に相当する、少しテーパーが付けられた軸が
5本植えられており、レバーを押すとバレル下の穴と軸が順次噛み合って
ここが支点となってロッドを押す。

M1861のローディングレバー(分解の様子 左)と、M1851のレバー。
1861/04

レバーの保持(根元部分)には、弾丸を押すロッドが兼ねられており、
M1851式よりパーツの数は少なくなった。
しかしその加工は、現在の視点から見ると、M1851の方が安く済むかも
しれない。

レミントン(左)とアダムスのローディングレバーも。
レミントンはリンクプレートを介してロッドを押す方式。
アダムスは、バレル下に支点をもっていってロッドを押す支点が移動する
シンプルなスライド?式としている。
1861/09

[シリンダーストップ・スロット]
これも以前、レミントンのところで取り上げたが、シリンダーを止める
ストッパーが入る溝について、進化の跡を追う事が出来るので、
これらを比較してみようと思う。

左から、アダムス,コルト テキサスパターソン,コルト M1861(M1851),
コルト M1877(ライトニングモデ),
そして手前はレミントン ニューモデルアーミーのスロット(矢印で示した部分)
M1877は今回シリンダーしか登場しないが、頑住吉氏の作ったモデルガン。
1861/07

まずテキサスパターソンでは、単なる丸穴だった。

アダムスは、ニップル取り付けの為の抉り部を少し削り込んで、
上昇してきたトリガーが当たるようになっているが、逆転止めに
なっていない。

ニューモデルアーミーでは、上から見ると四角形、断面では半月状の
削りとなり、かなり現在の形に近づくが、ガイドになるグルーブ(溝)が
無いので、シリンダーの回転スピードが早いとストッパーが上昇する
まえに通過してこの溝にストッパーがはまらない恐れがある。
この方式は、S&W(スミス&ウェッソン)でもモデル2まで使われていた。

M1861,M1851はコルトのドラグーン2ndモデルから使われている、
ガイディング・グルーブ付きのもの。
これもSA機構とは別にコルトが取得したパテントによるものらしく、
上から見て、四角形に加えてアール状の部分があり、ストッパーを
ガイド(導く)する。
ガイディング・グループに沿ってストッパーが上がり、スロットで止まるが、
スロットとガイディング・グルーブに段差があるので、ストッパーが効いて
逆向きにも回らなくなる。
この確実性の高いロックは、現代のリボルバーと同じ形になっている。

しかし、コルトも決して進化は平坦な道のり、では無かったようで、
SAAでもこの形式だったのだが、同社初のDAモデル、M1877では
シリンダー後方にスロットが移動、このためか作動は余り芳しくなく、
現代でもレプリカモデルが作られず、またスロット形式はガイディング・
グルーブ付きが一般化している。

レミントンなどが同じ形式にできなかったのは、まだコルトのパテントが
有効だったので、同じ形にできなかったようだ。
さきほど少し述べたS&Wでは、モデル3あたりからこの方式を
採用している。

ここでS&W初期のSAリボルバーと。
左から、モデル2,モデル3,そして今回のホストM1861。
S&Wはどちらもマルシンのモデルガン。
1861/16

[コルトのパテント]
サミュエル・コルトはもともと、SA機構でパテントを持っていた。

米国のパテントナンバーは9430で、この概要は、苦手な英訳が
間違っているかも知れない(特に8、は少し意味不明、原文は
ここに掲載されたものを参照させていただき、このうち要約部を
訳した。 説明,訂正いただければ有難い)が、
大体このような内容のようである。
1、シリンダー後端部にキャップを配置
2、キャップ間の仕切りを持つ仕様
3、湿気とロック?に対する安全策としてのキャップ使用
4、ハンマーとトリガー間のコネクションロッドの原理
5、シリンダーとラチェットをつなぐシャックルの使用
6、シリンダー回転とロックの原理
7、バレル下の楔が貫通する軸によって、バレル,シリンダーを
 結合する原理
8、アダプターの原理とレバーの配置、どちらかピストルに使われる
という合わせ技(もちろん個々の要素も独自性が認められれば
拘束力がある)である。

似たような構造が既にパテントを取っていたのもあるが、これによって
概ねハンマーを起こす事でバレルと別になったシリンダーが廻り、
そしてロックされる構造はコルトの独占するところになっていたと思う。
しかも、コルトは裁判所に訴えて、このパテントの有効期間を延長する
ことに成功する。
1835年から1857年まで、SAリボルバーは正にコルトの専売特許だった。

[技術競争]
英国では特許の延長は叶わず、1851年に失効したのでアダムスのような
ライバルが出てきたのかもしれない。(特許失効の情報が見つかったため、
投稿時から訂正)


米国では1857年を境に、S&W,レミントンなどがリボルバーの製造に
乗り出し、またそれぞれがパテントを取って、今度はコルトに対抗してきた。

レミントンはビールズ氏のパテントによるリボルバーを作り、ここから
M1861アーミー,ネービーへと進み、これらが持つローディングレバー
の三角状の部品形状などは、M1863(ニューモデルアーミー)へと
受け継がれる。

レミントンのパーカッションリボルバーは、コルトがサイドハンマーモデルで
試みていた、頑丈なソリッドフレームを持っていた。
またトリガーガードをスクリュー一本で止め、グリップフレーム一体で作る
など、極めてシンプルで合理的なものだった。
これなど後発だけにじゅうぶん研究してきたのではないかと思う。

S&Wは、更に革新的なカートリッジ式のパテントによるリボルバーを
作ってコルトの牙城を崩しにかかってきた。

カートリッジ式とは、パーカッション式の発火方式をそのまま、弾頭,火薬,
キャップ=プライマーの3つを一つの金属ケースに納めたカートリッジを
使うもので、現在拳銃,小銃で主流の方式である。

また、これも以前レミントンのところで述べたが、ニップル間にハンマーを
置き、フル装填でも安全に携帯できる機構でもレミントン,コルトには違い
がある。

レミントンはニップル間のシリンダー後部にリセスを彫ったシンプルな形
なのに対し、コルトではシリンダー後部にピンを立て、ハンマーには
スリットを入れてここにピンが入るという、複雑なものにしている。
これもパテント対策か、それともシンプルな解決策を思いつかなかったから
ではないかと思うのだが。

M1861のハンマーを前方から。
スリットが中央にある。
本来キャップを叩く部分にスリットは設けたくなかったはずだ。
1861/11

[造形の一つの完成形]
コルトのリボルバーは年代,モデルによって大きく形を変えていき、
またパーカッション式やカートリッジ式などの違いによって異なる構造が
外観にも影響を与えていると思うが、このM1861とM1873の間には、
工場の火災や創業者であるサミュエル・コルトが亡くなるなど、
少なからぬ断絶の要因があると思う。

そのためか、流れるようなラインのM1860,M1861などのシリーズは、
ひときわ他とは違うデザインに思える。
このデザインは、たとえばライバルのレミントンがローディングレバー部を
三角にしたことも影響(参考に)しているのではないか。

M1861の開発された時期は、正にリボルバーの変革期、パテントによる
攻防戦の真っただ中である。
コルトパーカッションリボルバーは、既に新しい勢力から見れば
「新しいもの」では無かった。
コルトもそれは承知しており、故に素材に拘り、形状も優しいラインを採用
するなど、完成度を高める方向に注力されたのではないかと思う。

今回は5種類のパーカッションモデルを比較してみたが、M1861が最も
デザインの為に手間のかかる加工を行ったモデルではないかと感じた。

また、36(カートリッジ式の38口径とボアは同じ)口径の細さが、全体に
スマートな印象を与え、これらが上手く組み合わさったことが
コレクターをして、最も優雅でエレガントなモデル、と言わしめる所以では
ないだろうか。

[1/6]
それでは1/6を。
いつものようにこれは単品購入で、出処は不明なのだが、シリンダーが
回転し、またグリップだけでなく、トリガーガードなども黄銅色に塗られて
いる。
ただこのモデル、シリンダーがカウンタード(段付き)なので、M1860では
ないかと思われる。
M1860は以前マルシンが金属モデルガンを作っていたが、現在は生産
されていないので、ここで登場願った次第。
また、ショルダーストック取り付け用にリコイルシールドのカット、
フレームに追加スクリューが再現されている。
1861/12

今回の記事作成に当たって、
月刊Gun1991年別冊Part6「コルトのすべて」
頑住吉元ガンスミスの部屋
(Linkを希望されていませんでしたので非Linkとしています);
 頑住吉氏訳「Faustfeuerwaffen」
Pichori」を参考にしました。

では、今回はここらへんで。
1861/13

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rg3/01

今回は完成品メーカー独自のラバーグリップについて考えたい。
また最近のポリマーフレーム一体型グリップは、ラバーとはいえないと思うが、
複合型と思われるものは、ここで少し紹介してみた。
硬質のプラスチックグリップについては、少し話が広がり過ぎるので、ここでは
割愛したい。
戦前の物資不足で、エボナイト(硬質ゴム)からベークライトに替えられた、
という歴史もあり、また戦後のプラスチックグリップでも、コルトのコルトウッドと
呼ばれるものや最近のガンナーグリップなど、興味深いものはあるので、
また機会があれば、プラスチックグリップという枠でも一回できれば、と思う。

[ワルサー]
ポリマーオートと呼ばれる樹脂製グリップ一体型フレームも、
面部にラバーを張ったり、筒状のラバーを取り付けるオプションパーツが
開発されている。
ワルサーはP99で、ポリマーオートでもバックストラップを交換し、
グリップの太さを変えられるシステムを生み出した。

ワルサーP99のバックストラップ。
これはマルゼンのガスブローバック式エアーガンだが、
ワルサーと提携して開発したこともあり、実物の交換用ストラップ(右)が
そのまま付く。

rg3/09

これは他にも広がり、SIG SP2340シリーズではグリップが交換可能となり、
H&K P2000などではP99同様交換式バックストラップでサイズを変えるように
している。
P99のバックストラップ素材は比較的軟質で、ラバーグリップに入れても
良いのではないかと思いここに書き加えた。

[S&W]
リボルバー用はOEMで、しかも仕入先数社を変えているS&Wは、
オートもグロックのコピーのようなシグマから、ワルサーのOEMを経て
M&P(ミリタリー&ポリス)と展開している。M&Pでは、グリップ後部を
交換でき、かつここがラバーのようである。

シグマとM&P。
シグマはWA(ウエスタンアームズ)のガスブローバックガン。
M&PはBWCが輸入しているエアーコッキングガン。
実物では矢印の部分が交換式となっている。
rg3/17

[トーラス]
ラバーグリップは、社外品のアフターマーケットパーツとして供給され、
普及にともなってメーカーが純正として採用し、最初からラバーグリップ付きの
ものが販売されるようになった。
そして、メーカーもラバーグリップを仕入れて取り付けるだけでなく、
独自開発を行うところが出てきた。
ブラジルから米国へも進出した新進メーカーのトーラスは、
グリップに細かいヒダを付け、手のサイズの違いに良く対応でき、
緩衝効果もあると思われるグリップを採用した。

トーラスPT24/7のグリップ部。
このPT24/7もBWCが輸入したエアーコッキングガン。

rg3/03


[スタームルガー]
話は前後するが、トーラスなどの最近の改良以前に、ガンメーカーでも新進の
スタームルガーは、ラバーグリップにも新たな独自技術を盛り込んだものを
採用した。
まず、ラバーグリップの固定部をピンとして、フレームが回転
(ゴムの変形があって力を要するが)する形にし、より衝撃を緩和
(エネルギーは物理法則通り一定だが、短時間に大きな力がかかる衝撃を、
時間的に長く、ピークを低く)する構造とした。
次に、ラバーグリップの表面をプレーン(滑り止め溝無し)とし、
更にグリップ両側面にプレーンな木製パネルを取り付けた。
これは適度に“滑らせる”ための工夫、スリップ・コントロールではないかと思う。

スーパーレッドホークのグリップ。
これらは共にタナカ ガスガン。
左は取り付け状態。右はグリップを分解したもの。
ピンがフレーム,グリップ本体をつないでいる。

rg3/08

[滑らせるデザイン]
スタームルガーは従来自社のブラックホークなどの大口径に、プレーンな
木製グリップをつけていた。
そして、同社のスーパーレッドホーク,GP100用ラバーグリップに戻ると、
パックマイヤーやホーグが付けていた、フィンガーチャンネル(指掛け)も
無いことに気づく。
コストダウンを狙うなら、ウッドパネルは無駄だ。
パックマイヤーのアメリカンレジェンドグリップ(ALS)が先にあって、逆の構成
(ALSは母体がウッド)を狙った、とも考えられるが、それでも前後の
フィンガーチャンネルは可能なので、
やはり意図的に滑るようにしてあるのではないか。

実は、以前スーパーブラックホークの実銃レポートで、グリップが滑りやすく、
発射によって大きく上を向く、という記述があった。

このときは深く考えなかったが、その後スタームルガーがラバーグリップを
独自開発したものを見て、同社の意図に思い当たることとなった。
スタームルガーは、大型拳銃の反動を滑らせることで逃がそうとしている
のではないか。

ブラックホーク357マグナム(左、コクサイ モデルガン)と
スーパーブラックホーク44マグナム(右 マルシン ガスガン
メーカー純正オプションの木製グリップ付き)。
共にプレーンなグリップ。

rg3/12

これも357ブラックホークの登場当時はプラスチック製でチェッカーが
あったようだが、これを後に木製でプレーンなものとしている。
また、38口径のセキュリティシックスなどには、中央部にチェッカリングが施され、
22口径のマークⅠピストルなどは、フルチェッカーである。

スピードシックス(左)とブラックホーク(右)。
スピードシックスは、ウェスタンアームズのモデルガンに実物グリップを装着、
このブラックホークは、スズキのモデルガンで、チェッカーのグリップは
メーカー純正のもの。

rg3/13

スタームルガー スタンダードピストル(使用カートリッジ;22LR)。
これはマルシンのガスガン。
グリップパネルはプラスチックで、両面ともフルチェッカー。

rg3/14

そしてたまたま、かも知れないが、同社のマグナムリボルバーは
シングルアクションのものから開発されていた。
この、コルト・ピースメーカータイプのシングルアクションでは、銃を握った手の
親指でハンマーを起こす必要と、トリガーは軽く落ちることから、ウェブ
(親指と人差し指の間)に当たるふくらみを設けていない。
このため、バックストラップはなだらかな単一の曲線となり、もともと銃が
発射の反動で上を向きやすい。
逆にウェブ部分を隆起させたグリップは、ダブルアクションの初期のモデル、
英国のアダムスリボルバーやコルトM1877から採用されている。
つまり、トリガーを大きな力で引くときに、手が前進(逆にいうと銃が後退)
しにくいように設けられた止めが、手の中で銃が動くのも抑えていたのでは
ないだろうか。

M1873(ハドソン モデルガン)とM1877(頑住吉 モデルガン)。
どちらもコルトの銃で、M1873はシングルアクション、
M1877はダブルアクション。
赤い矢印で示した部分が、ウェブが当たるふくらみ。

rg3/15

そして時代が変わり、マグナム弾の強烈な反動に対処する方法として、
再びこのなだらかなグリップ後部が有効なことに、オールドスタイルの製品を
手がけていたスタームルガーが気づいた、ということではないだろうか。
スタームルガーの着眼点は、その形状に止まらず、グリップ自体のスリップ
コントロールにまで及び、それがチェッカーを廃させたのではないだろうか。

そしてこれはスタームルガーだけに限らず、大手S&Wにも見られるのである。
S&Wのあまりに有名なM29 44マグナムは、当初チェッカリングされた
オーバーサイズのターゲットグリップをつけていたが、一時このチェッカーが
省略されてプレーンなものになった。
これはコスト削減策とも言われるが、同社のKフレーム M19用などは
チェッカーを残し、その後スピードローダーが使いやすいように削りを
増やしていたりする。
M29だけチェッカーを廃したのは、単にコスト削減では説明できないと思う。
44マグナムは、当時最強といわれた拳銃用カートリッジで、スタームルガーの
スーパーブラックホークも、レッドホーク,スーパーレドホークもこれを使う
(他カートリッジ用も後に開発された)。

つまり44マグナムの反動に対処する方法の一つが、スリップ・コントロール
(といっても手から離れるほどではなく、チェッカリングが食い込まない程度の
小さな量だが)ではなかっただろうか。
そして、そのコンセプトをスタームルガーは357マグナムにも広げ、
ダブルアクションではグリップ後部のふくらみを廃することができなかったので、
このような独自のグリップデザインとなったのではないだろうか。

チェッカリングにフィンガーチャンネルを持ち、更にラバーの表面が手に追随して、
非常に滑りにくいラバーグリップは、素材による衝撃吸収効果があっても、
射手によっては嫌われることもあるという。
これは上記の“滑らせる”グリップと逆だから、ではないだろうか。

チェッカリング(凹凸のテクスチャー)とフィンガーチャンネルを持つ、各社の
スタームルガー用ラバーグリップと、そのパッケージ。
左から、ホーグ、バトラークリーク、パックマイヤー。

rg3/05

もっともあらゆるものには大体メリット,デメリットがあるように、滑りやすい
グリップや、硬質の木材のグリップにもデメリットはある。
滑りやすいグリップでは、発射ごとに握り直す必要があり、連射が遅くなる。
またスタームルガーは、銃身の短いスーパーレッドホーク・アラスカンモデルに、
ホーグ製と思われる表面に凹凸があってフィンガーチャンネルも備えた
グリップを採用した。
これは内部に緩衝ゴムを入れて回転動作量を増しているが、滑りやすい表面、
というコンセプトは引っ込めた形だ。

アラスカンモデルではないが、ホーグとノーマルのグリップ比較。
ホーグの表面は細かい突起のあるテクスチャーで、
矢印のようにフィンガーチャンネルが付く。(2つ共 タナカ ガスガン)

rg3/16

アラスカンモデルは極端に短いモデルなので、銃が手から離れて宙に舞う、
という危険を考慮したのかもしれない。

個人的にはスターム・ルガーのスムーズなグリップは、チェッカー
+フィンガーチャンネルのラバーグリップより、一歩進んで考えているように思う。
だが、これは上述のように諸刃の剣でもある。
あらゆる状況に万全なグリップ、は存在しない。
あとはメリット,デメリットを、射手が良く理解し、吟味して選択することになる。

それではラバーグリップについてはここらへんで。
rg03/11
次回からは再び、実寸と1/6のトイガンを取り上げたいと思いますので、また宜しく。

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まとめ

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