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今回はWWⅡ(第二次世界大戦)中に開発され、朝鮮戦争でも使われた
U.S.M1~M3カービンを。

m2/14

[概要]
M1カービンは当時新開発の.30カービン弾を使う自動装填式の軽量
ライフル銃だ。
.30カービンはライフルとしては弱装とはいえ当時の最強拳銃弾である
357マグナムと比べても1.5倍ほど初活力(マズルエナジー)が高く、
また当初15発、後に30発の容量を持つ箱型弾倉により、当時の
ライフルとしては高い火力(ファイアパワー)を誇る。

M1に対し、金属製の折り畳み式銃床(フォールディングストック)を持つ
降下兵用がM1A1、全自動(弾がある限り、トリガー(引き金)を引き
続けると連続して発射される)切り替え式がM2、赤外線暗視装置を搭載
したモデルがM3である。

[1/1]
リアルサイズのトイガンはM2でモデルガンとガスガンそれぞれ一つ、
MGCとマルシンのものが手元にある。

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画像上がマルシン製ガスBLKガン、下がMGC製モデルガン。

MGCのM2はM1発売後、1980年のMGC20周年記念モデルとして当初
限定扱いで登場、その後レギュラー化し、CP(内部発火式)カート化
されている。これはCP仕様のもの。

当時安全なモデルガン開発を目指していたこと、コストダウンを図った
ことなどから、独自のメカニズムを取り入れ、主要部は樹脂製と
している。

木部は南洋材で、ナトーのようだが、この個体は塗装がオリジナルでは
なく、再塗装されているようだ。

マルシンもM1,M2カービンを長く様々な仕様で作っており、最近Co2
ガスBLK(ブローバック=ガス圧利用装填式)も登場した。
今回登場するのは8mm弾の(代替)フロンガスBLK仕様で、主要部は金属
(亜鉛合金)製だ。

マルシンの木部は、バスウッドのような白っぽい木目の大人しいもので、
仕上げは艶消しで色が濃いめの着色剤を薄く塗っている。

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MGC(左)とマルシンの機関部。MGCはM1から流用された上面がフラットなボルトだ。

モデルガンでは、今は無きCMCがM1,M1A1,M2を作り、この金型を
受け継いだタナカが現在販売しており、最近M1A1の生産が発表されるなど、
新(復刻)モデルの動きも活発だ。

[1/6]
1/6では、M1で2つ、M1A1,そしてM3が手に入っている。
WWⅡモノは圧倒的にモデルアップされるものが多く、M1カービンは
比較的手に入りやすいが、M2は外観上の違いが少ないせいか、
見かけない。

M1カービンのバヨネットラグ(銃剣装着装置)は、WWⅡ後に取り付け
られたらしく、この1/6M1カービンでは、装着されていない。

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マルシンのM2と、30連マガジンを装着した1/6のM1。

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1/6の各種カービン。左からM1,M1,M1A1,M3カービン。
左の一つは出所不明だが、右の3つはドラゴン製と思われる。
上の画像のように、M3のマガジンをM1に装着することも可能だ。


[開発の過程]
カービンとは、騎兵銃のことで、馬上で取り扱いやすいよう、通常の
ライフルより軽く短いもののことを指していた。
その後、カービンは単にショートバージョンを指す言葉となり、20世紀
前半に各国の制式ライフルが短くなった際、この呼称が用いられ
(単に短いKという型式を付けられたものもあるが)一般化した。

ドイツのKar98k、日本の九九式短小銃などが有名だが、WWⅡ期に一足早く
ライフルの自動装填化(M1ガーランド)を実現していた米国では、弾薬も
含めて大幅な改良を考えていた。

また、米軍はカービンを騎兵用から、指揮官,他の(大型)火器の操作手,
通信兵や警備に当たる者など、いわゆる歩兵以外の兵種の補助的な兵器と
して使うつもりだった。

この用途では従来のライフル,拳銃に加えサブマシンガン=SMGがあった
が、ライフル,SMGでは重く、また拳銃,SMGでは射程が短く、目的に合致
しないことがある、と考えられたようだ。

米軍は第一次世界大戦後、調査したところ、拳銃弾の命中事例が非常に
少なかった、という事もわかり、ディフェンシブウェポンでも命中率の
高い兵器が望まれていた。

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WWⅡ当時の米軍の小火器用カートリッジ。左から、45ACP,.30カービン,30-06。

当時は技術の進歩で軍の構成が大きく変わっていた変革期、兵士の移動に
まで車両が使われ始め、また通信など、新しい技術に専門化した兵士が
戦闘に加わり、兵士の全員が射程とパワーの大きな、重くかさばる銃を
必要としていないことに着目したことは慧眼であろう。

1930年代からこの計画はあったのだが、正面装備のライフル、M1
ガーランドの制式化に力を注いだこともあり、開発は進んでいなかった。

既にWWⅡが始まっていた1940年10月、この計画を一気に推進すべく、
米陸軍兵器部(U.S.Army.Ordnance.Dept.)は新軽量ライフルの試作を
民間に打診した。

そのとき個人も含め25もの大量のオファーを出し、コンペ形式で早く
優秀な製品を求めたという。

この決定には、正面装備でなく、補助的な自衛用なので民間に、という
判断もあったのではないか、という推測もある。

要求性能は300ヤードの有効射程を持ち、20発入りの箱型弾倉付きで重量
5ポンド(約2.3kg)以下、全/半自動装填切り替えレバー付き、という
もので、この通り開発が進めば、ドイツがアサルトライフルの始祖と
されるMP43/Stg44を開発したのと同時期、もしくは早くにアメリカも
アサルトライフル(=通常のライフル弾よりパワーが低いものを使い、
全自動射撃可能なライフル)を手にしていた、ということになる。

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1/6で、暗視装置を備えたアサルトライフル2種。
左はM3カービン、右はアサルトライフルの始祖、とも言われるStg44。
M3カービンでは、発射炎で目がくらまないよう、マズル(銃口)にフラッシュハイダーが
装着されている。


後にM1カービンの改良型M2で全/半自動切り替えを実現するが、米国も
やはり拳銃弾を使うサブマシンガンの有効射程の短さに不満を抱いていた、
というのは興味深い。

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MGCのモデルガンで、全/半自動切り替え用のレバー。
機関部前方左側に付けられ、Aの文字が見える前方に倒した位置で
全自動=連続発射状態となる。


ただ、アサルトライフルに関しては何とM1ガーランドの30-06弾薬に近い
.308のM14をフルオート化してしまう、という世界のアサルトライフル
普及の流れと逆行する迷走を後に始めるのだが、それもM2カービンを
正しく評価し、使用を進めてこなかったため、かも知れない。

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1/6で、M1ガーランド(左)、M1カービン(中央)、M14(右)。
これら三種は操作系も含め共通点が多い。


さて、新型カービンのトライアルだが、まずウィンチェスター社が自社の
自動装填式用32口径弾を改良した.30ショートライフル弾M1(仮称)を
開発、これが新型銃のテスト用に25万発も納入されたという。

開発には米陸軍兵器部も関与し、以前M1903ライフルを自動装填化する
ピダーセンデバイスで使われた弾薬をベースにした、という記述もある。
この計画は、在庫弾薬の消費という点から却下されたものだが、どうやら
これは.276口径だったらしい。
これが果たしてウィンチエスターの.30口径とどうつながるのか、は
ちょっと調べきれなかった。

全自動機能は途中でいったんあきらめた(のちにM2で実現)が、新型
カービンは1941年5月からテストが始まり、当初はスプリングフィールド・
アーモリー(当時は造兵廠で、国の機関)のものが有力とされていたものの、
8月に入ってウィンチェスターが作った急造のモックアップ、通称
“13Dayウィンチェスター軽量ライフル”が本命となり、泥や雨、錆に
対する耐性を含めた数千発に及ぶ最終テストの結果、ダントツの成績で
ウィンチェスター案(今度は急造とはいえもう少しマシなプロトタイプ
だったらしいが)が採用される。

1941年10月に制式として採用され、すぐさまウィンチェスター以外の会社
も(なんと現在コンピュータで有名なIBMまで加わったとか?)動員して
量産、5年間で600万丁以上が製造されたという。
これは当時の米軍小火器の中でトップの数である。

[操作系と装備]
M1カービンの操作系には、先に採用されたM1ガーランドとの使用の統一感、
再教育の問題などから共通性が求められ、装填用のスライドは、ハンドル
部分だけでなく側面に一部見えているところまで同じだ(下の画像中央が
ハンドル部)。

この形状の踏襲は、後にM14でも行われ、全面的に変更があったのはM16
からである。

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マルシンM2で、スライドのハンドル部。
ハンドル後部の棒状の突起は、スライドを後退状態で停止させるスライドストップ。


サイトもトライアルでM1ガーランドと共通のピープ(小さな穴から
フロントサイトを覗く)式に変更を求められた部分だ。

M1カービンのリアサイトは、左右を回転するノブで調整する。
上下方向は、当初前後に倒して切り替える形式だったが、距離に応じて
前後にスライドさせる方式に変更された。

ベースは当初の切削からプレスに改められ、生産性向上を図っている。

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マルシンM2のリアサイト。上下左右フル可動だ。

M1カービンでは、それまで(M1ガーランドを除いて)手動式だった
ライフルを自動装填式としたためか、潤滑に注意が払われており、
クリーニングロッドなどの工具は別に持参する形式だが、スリング
(負い紐)の装着部がオイラー(油差し)を兼ねている。

MGCでは単なる棒だったが、マルシンは蓋に細い棒を付けた容器を再現
している(下の画像)。

このオイラー、M1A1でもチークピース(頬当て)に取り付けられている。

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マルシンのオイラー。

マガジンキャッチはトリガーガード前方、マガジンのすぐ後ろに位置し、
Mの文字が刻印されている。
これを押すと箱型の弾倉が外れ、交換できる。

安全装置は、マガジンキャッチの手前におかれ、初期型ではクロスボルト
(押しボタン)式、後に画像(下)のレバー式となった(逆だとする
記述もある)。

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MGCで、マガジンキャッチ,レバー式安全装置,トリガーを。
MGCは、トリガーガードも樹脂製だ。


[刑務所でカービンを作った男]
このカービンには、珍しい閉鎖解放(オペレーティング)システム、
ショートストロークピストン式が採用されている。

発射ガスをバレル(銃身)から導き、結果的にスライドを後退させるのは
一般的な方式と共通だが、ガスを受けたピストンは短い距離を進んで
止まり、玉突きの原理でスライドだけがその後後退する。

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①発射前;バレルに開けられた小穴が、ピストンに向かって開けられている。
②発射;弾頭通過後、ガスがバレルからピストンに導かれ、ピストンとスライドが
    後退する。
③ピストン停止;短いストロークしかピストンは動けないため、後退を止めるが、
        スライドは慣性で後退を続ける。


デビッド・M・ウィリアムズはこの方式の考案者で、彼は他にも
フローティングチャンバーという機構も考案、これがコルトM1911の
22ロングライフル(22LR)版、エースモデルに採用されている。

フローティングチャンバーとは、バレル後部の薬室(チャンバー)が
別部品となっていて、発射後、ケースにかかるガス圧で薬室も一緒に
後退、その重量でスライドに十分な後退力を伝達する、というもので、
これにより小さな22口径で、45口径用の重いスライドを作動させる
という。

恐らく薬室は後退を始めるとガスを前部に受け、薬室自体がM1カービン
のショートストロークのガスピストンと同じようにスライドを動かせて
いるのではないだろうか。

コルトM1911の基本設計は銃器開発の天才、ジョン・ブローニングであり、
実は彼も22口径版のM1911開発を試みたが失敗、後に22口径専用の
ウッズマンなどにつながる専用設計でしのいでいる。

つまり、D・ウィリアムズはJ・ブローニングの鼻を明かしたわけだ。
フローティングチャンバーはもともと特殊な目的だったせいもあり、
他に発展したとは聞かないが、ショートストロークピストンのアイデア
の方は現代のアサルトライフルにも用いられている。

D・ウィリアムズは特異な経歴の持ち主で、殺人罪で刑務所に服役中、
独学でカービン銃のアイデアを完成、パテントを取得し、刑務所長の
特別な許可を得て、刑務所内で試作,試射まで行ったという。

その後、嘆願が認められ特赦で懲役20~30年が8年に減刑(一説には再審
で無罪)となり、釈放後ウィンチェスター社に入ってこのカービンの開発
に関わり、戦意高揚の意味もあって彼の半生が映画にまでなったという。

ただ、ウィンチェスター案の当初の開発はJ・ブローニングの兄弟、
ジョナサン・ブローニングが行っており、彼の死後D・ウィリアムズが
入ってオペレーティングシステムを変更(原案はリング状のピストンだった
らしい)したらしく、また主任技師E・パグズレイの手記によると、
D・ウィリアムズの協調性、順応性の低さから、周りの人間が往生した、
という話もあり、開発は彼一人の力では無かったようである。

しかし、WWⅡにおいて米国を勝利に導いた要因の一つ、ともいわれるこの
急造の傑作には、彼の独創的アイデア無くしては完成しなかったことは
間違いないだろう。

そして、米国が、例え重罪の犯罪者であっても、銃器の開発,パテント
取得を許す”自由の国”であり、その発想を正しく理解し、評価できる
民主的な体制であった、という側面を、この銃は示していないだろうか。

くしくも、このカービンは戦後、民主主義国家の体制づくりの為に、
米国から日本に供与され、自衛隊の前身である警察予備隊の装備となり、
後に自衛隊でもこれが使用されていた。

いつも言う事だが、米国式が何も絶対だとは思わない。
しかし、WWⅡではその技術,生産能力に苦しめられ、戦後逆にその恩恵
を受けて成長してきた我々は、こういう背景も、直視しなければ
ならないのではないだろうか。

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それでは今回はここらへんで。

《参考文献;月刊Gun '79 11月号,'06 3月号,'11 10月号》

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