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今回は、旧チェコスロバキアで作られた異色の超小型サブマシンガンの
傑作、Vz61スコーピオンを。

Vz61/14

[概要]
Vz61は、小口径32ACP(7.65×17mm弾)を使うサブマシンガン(SMG
=拳銃弾を使い、装弾数内で、引き金を引いている限り連射できる銃)で、
名称は、正式にはSamopal Vzor(サモパル・ビゾール=サブマシンガン)
61だが、頭文字をとってSavz.61、もしくは更に縮めてVz61と呼ばれて
いる。

Vz61/04
ハドソンのモデルガンで、ストックを開いた状態。

そのコンパクトさ、制御の容易さから、テロ,ゲリラ攻撃の装備としても
使われ、イタリア アルド・モロ首相誘拐暗殺事件で、”赤い旅団”が
使用するなど、テロリストご用達の危険な銃としても注目を集めた。

スコーピオンの愛称は、折りたたみ式のストック(銃床)が蠍の尾を連想
させることから付けられたというが、新型SMGの開発プロジェクト名が
これであり、もしかすると形状が決まる前からこれは”スコーピオン”
だったのかもしれない。

Vz61/08
マルゼン製ガスガンで、各種SMG用カートリッジと。
左から、32ACP,9ミリパラベラム,45ACP。


[1/1]
今回はまず模型を先に紹介したい。
超小型、は多くのトイガンファン(実銃でも、かもしれないが)を
惹きつけるものがあるらしく、Vz61は多くのモデルアップがある。

Vz61/13
左から、マルゼン,東京マルイ,ハドソン。
ハドソンのみモデルガンで、他はエアーソフトガン。


まず、モデルガンではハドソンが’81年ごろ、AK47に続いて金属製の
ブローバック(スピンジェットカートリッジ)仕様で発売、これは簡単に
外せないストックがついているということで長物扱いとなり、一時を
除いてガンブルー仕上げで供給された。

ハドソンのVz61は、少しグリップ部が短い印象だ。また機構はハンマー
式の発火方式がボルトによる直打ち式に簡略化され、ボルトオープン状態
からの発火サイクルに改められ、レートリデューサー機構(後述)も省略
されている。
また、今回用意したモデルの中ではハドソンのみリアサイト(照門)が
ピープ(小穴)式となっている。

しかし、全金属で黒いモデルガンであり、ハドソンのヒット商品になった
ように思う。

ハドソンはこの前にAK47を作り、またPPshもトカレフもモデルガン化、
東側銃器を多く手がけていたが、ほかにもグリースガン,トンプソン,
マドセン,ステンMkⅡなどのSMGも多く、その点でもVz61はハドソンを
代表するモデルの一つかもしれない。

Vz61/05
ハドソンのボルトを抜き出したところ
(コッキングポイントは分解後、再度ボルトに取り付けている)。


次に発売されたのは東京マルイのエアーコッキングガンではないか
と思う。
これは少々大きいかもしれないが、フォルムはより実物に似ており、
外形だけだがグリップボルトナット(グリップ下の部品)も付いている。

エアコッキング形式なので、コッキングが容易なように大型化された
コッキングポイントが付いており、またスイベル(負い紐取り付け金具で、
回転するもの)取り付けのためか、マズル付近に大きな環状のパーツが
付いている(実物にこういう仕様があるのかもしれない)。

マルゼンのVz61はガスブローバックで、クローズドボルト(尾栓が前進
し、機関部が閉鎖した状態)からの発射サイクルも再現し、形も大きさも
実物に近いと思われる。
レートリデューサーは再現されておらず、グリップボルトナットも無い
のが残念だが、これはユーザーが制作,もしくは他社のものを流用し
後付けすることも可能ではないかと思う。

本体は樹脂製だが、社外オプションのローズウッドらしき木製グリップが
あり、これに替えたところ、実物より華やかな感じになった。
このグリップは、指かけを左右非対称としており、しっくり手になじむ。

分解方法も実物と同じで、またハンマー式も再現されており、メカは
ハドソン以上の再現度といえる。

Vz61/16
マルゼンで分解状態を。
内蔵のハンマーがフレーム上に覗く。


他にマルイからは電動ガンが出ており、コンパクトSMGの専用バッテリー
を使い、実物のフォルムを崩すことなく、サバイバルゲームに使えるもの
になっているようだ。

[1/6]
Vz61ではストック無しでランヤードリング(負い紐を付ける環)付きの
ものが2種類、マガジン(弾倉)がストレートタイプのVz82(Vz83?)は
ストック,サイレンサーはもちろんレイル付きでフラッシュライト,
フォアグリップまで付属していた(Vz82は3つ入手している)。

今回のものも単品入手で出所は確かでないが、ストックを持たないものは
ひとつがドラゴン製(画像右下)、ストレートなマガジンのもの(2段目の
3つ)はZCガールズのルーズパーツというところと、ホットトイズという
ところがあった(どちらか特定できていない)。

Vz61/06
マルゼンのガスガンと各種1/6。

[実物の装備]
実物では、バーチ(樺)材を赤く着色し、縦溝が入った軍用のグリップが
標準的だが、これ以外に、民間用にセミオートピストル(全自動と
ストックを廃した仕様)に用いられたチェッカー仕様もある。

また、ユーゴスラビア(当時)のツァスタバでライセンス生産されたもの
が過去Gun誌に登場したが、これには黒いプラ製のグリップが付いている。

ストックはワイヤーを曲げて成形しているが、付け根の部分が回転し、
バレル(銃身)に覆いかぶさるようにたたむことができる。

このとき、フロントサイトの左右カバーがストックのロックを兼ね、また
排莢が上方に行われるため、ストックを折りたたんだままで射撃できる。

ストック自体は分解ピンを押して横にスライドすると取り外すことも
可能だ。

マガジンは、32ACPがセミリムド(下端が少し大径)のためと、
給弾性を上げるためか湾曲したバナナマガジンが採用されている。
この形状もマガジン配置に影響している(グリップ内マガジンを
採らなかった理由の一つ)と思われるが、MP38,MP40はいうに及ばず、
それまでのSMGの基本形であり、モーゼルM712などともオーソドックス
なレイアウト、ともいえる。

Vz61/12
モーゼルM712(右 マルシン モデルガン)とハドソン Vz61。

この配置を利用し、Vz61ではマガジンを取手として使う(このとき
トリガーガードに親指を入れる、と言われているが、実際にはトリガー
操作に支障をきたし、セミオートでも連射してしまうこともあるという)
撃ち方や、片手で使用する場合などは、このレイアウトの方がバランスが
良い、という判断もあったかもしれない。

戦後いっときバナナマガジンはSMG用として流行しなくなった
(英のスターリングSMGなどは、戦時中に計画が始まっている)が、
H&KのMP5が採用し成功、グリップ内にマガジンを持つMP7でも
(これはカートリッジにテーパーが付いているが)踏襲している。

ボルトのコッキングは両サイドの同心円状の段差を設けたコッキング
ポイントで行うが、これもストックがどちらの状態でも操作できるように
考えられたのではないだろうか。

また、分解の方法もレシーバーピンを押してレシーバーを少し前進させると
後部が持ち上がり、ボルト等が取り出せる、という簡単なもので、AK47より、
M16よりシンプルだ。

[開発の経緯]
チェコは銃器開発にも長けた国で、有名なところではZB26軽機関銃,
Vz48SMGなど独自の優れた製品を作っていた。
Vz48はL型のボルト、グリップにマガジンを挿入するレイアウト形式など
は、後にイスラエルのUZI,米国イングラムなどが取り入れて製品化して
いる。

そのチェコで偵察部隊や特殊部隊、車両運転,搭乗員や将校など、より
小型,軽量のSMGが有効と考え、新たな”スコーピオン・プロジェクト”
を1959年に立ち上がる。

この計画は、ソ連が同様の小型SMG、APSスチェッキンを採用,配備
していたことに呼応したのかもしれない。

開発者のミロスラブ・リバーツは、チェコ造兵廠に入ってから大学の
通信教育を受け、小型SMGの研究をしていたという。

リバーツのアイデアは、従来SMGとしては用いられていなかった護身用
拳銃弾、32ACPを用い、更に他では余り例のないボルトをロックする
レートリデューサーを用いる、というオリジナリティーの高いもので、
1961年、過酷なテストに耐え、制式を得た。

Vz61の生産はウヘルスキ・ブロッド造兵廠(セスカ・ゾブロジョブカ・
ウアルスキー・ブロド)で、1979年まで製造されたという。
1978年にはユーゴスラビアのツァスタバでライセンス生産が始まり、後に
自由化したチェコでは民営化したセスカ・ゾブロジョブカ(Cz75も作る
ところ)が米国向けにセミオートでストックを持たないピストル版を作り、
これがGunProfessional誌2012年8月号に取り上げられている。

Vz61の口径を380ACPとしたVz64、9ミリマカロフとしたVz65、9×19ミリ
のVz68も作られ、またこれらの改良型でVz82,Vz83,Vz85も量産された
という。

[構造]
Vz61は、多くのSMGがオープンボルト(ボルト後退状態から発射サイクル
が始まる)に対し、クローズドボルトのハンマー式発火システムで、自動
装てん式の拳銃,ライフルで一般的な機構を持っている。
拳銃などでは、トリガー(引き金)とシアの関係を絶つディスコネクター
が存在するが、Vz61ではトリガーを引いた状態でハンマーをロックする爪
があり、セミオートではボルトの後退によって起されたハンマーの後端を
ロックする。
この爪はトリガーを戻すことによって、ロックを解くが、今度はハンマー
の逆側がトリガーによりロックされ止る。
このセミオート構造はフルサイズのライフル、AK47やM16などと同じだ。

閉鎖機構はシンプルブローバックで、ボルトはその重さとバネ圧のみで
抵抗するが、ボルト動作の後端で、ショックアブソーバーが働き、加えて、
ボルトの後退を遅らせるレートリデューサーによって、連射速度を
抑えている。

遅延装置を持たないイングラムM11(380ACP)などは、1000発/分にも
及ぶ速度となっている。

レートリデューサーの機構を構造図を推定、イラスト化してみた。
レートリデューサー(画像の黄色のパーツ)とショックアブソーバー
(緑色のパーツ)の関係がよく分からないが、おそらくレート
リデューサーの下部がショックアブソーバーの上部と当たっている
のではないかと思う。

Vz61/03
各部の動きは、赤い矢印で示している。

まず。断面を水色で示したボルトが後退、ショックアブソーバーがボルト
後部に押され回転、レートリデューサーがボルトを掴む(Fig.1)。

ボルトは少し前進するが、レートリデューサーに止められ、それ以上の
前進はできない。

次に、グリップに内蔵されたプランジャー(青色のパーツ)が、ショック
アブソーバーに押され、下降する。

プランジャーはその形状から、独のMP38が装備していたエアダンパーと
しての機能も持っていることが推定されるが、ボルトからショック
アブソーバーを介して伝えられた力が、空気,摩擦抵抗と内蔵の
スプリング(ピンク色のパ-ツ)の反力と釣り合うまで、
ショックアブソーバーから離れた後も下降する(Fig.2)。

プランジャーはその後、スプリングの力で上昇に転じ、
ショックアブソーバーを叩き、これがレートリデューサーを押し上げ、
ボルトのロックを解く(Fig.3)。

ロックが解かれたボルトは、ようやく前進を開始、次の発射サイクルが
始まる(Fig.4)。

ショックアブソーバーは文字通りボルトの後退による衝撃を緩和すると
共に、レートリデューサ-の作動にも関係している。
また、グリップボルトナットを回し、スプリングの力を調節することで、
遅延速度を変えることができるという。

プランジャーをグリップ内に納めたのは、単に有効なスペース、と
いうより、ボルトと直交する(前後方向の力を上下に変換できる)形で
ボルト後部にプランジャーを配置するには、ここしかなかった、という
側面があるのではないかと思う。

他にボルトの動作方向と逆にプランジャーに相当するものを動かし、
反動を減じる方法もあるが、そのためのスペースはVz61のサイズでは
とれそうにない。

[温故知新]
SMGのレートレデューサー,ショックアブソーバーとしては、独の
MP38がテレスコピック式のチューブで、米のトンプソンSMG
ブリッシュプリンシプル(傾斜に沿って動くパーツが摩擦抵抗を
生む)などがあるが、その後これらは製造の簡易化のため、
シンプルブローバックに改められている。

Vz61/11
1/6で、遅延装置を持つSMG。
左から、Vz61,MP38,トンプソンM1928。


戦後、閉鎖機構をローラーロッキングとした独のMP5などはあったが、
西側では、遅延,緩衝機構は顧みられなかったのではないかと思う。

イングラムやUZI(後にミニUZI,マイクロUZI)など、L型ボルトと
グリップ内マガジン配置といったVz61が”捨てた”構造でコンパクト
を目指したもの、バースト機構を組み込んで、制御を考慮したVP70,
M93Rなどと比べても、当時のVz61はたいへん”先進的な”製品だった
のではないだろうか。

Vz61/10
Vz61(左 マルゼン),イングラムM11(中央 MGC),UZIピストル(右 アカデミー)

Vz61の本体構成はプレス鋼板のレシーバーに切削のフレームという、
AK47にも似たオーソドックスな作りだが、そのレシーバーも現在の
スコーピオンピストルではインベストメントキャスティング(ロスト
ワックス法)の後にCNC(数値制御フライス)でフレームが加工され、
製造方法の近代化にも対応しているという。

Vz61/09
ハドソンのモデルガンで、AK47(手前左)とVz61。

登場当時は冷戦下で神秘のベールに包まれ、その後共産圏の労働意欲
の低下,経済の崩壊によって“先進的”なイメージを持ちにくい東側の
製品だが、独自の道をいったチェコは高い銃器開発力を発展させ続け、
このVz61だけでなく、Cz75ピストルなど名作を送り出した。

デザイナーのミロスラブ・リバーツは、遅延装置と銃腔線に直交する
緩衝装置の両方を構成する、という新機構を発明したが、これだけで
突っ走るタイプではなく、広く銃器の技術に通じ、超小型でも
コントロールしやすい要素、分解性など使いやすい要素を丁寧に
作り込んだのではないだろうか。
その結果として、Vz61は、ライバル達より一歩抜きんでた実用性を持ち、
小型SMGの分野での成功をつかんだのかもしれない。

チェコスロバキアは第二次世界大戦前、ナチスドイツにより解体され、
1945年に復活,1960年に社会主義国家となるが、1968年にそれまでの
弾圧を改める改革、いわゆる”プラハの春”を行ったことを契機に
当時のワルシャワ条約機構が占領している。
1969年に連邦制国家に移行させられ、ソビエト連邦の解体後も
チェコとスロバキアの分離など、ともかく政治体制が激しく揺れ動く。

リバーツ氏はVz61制定後も、異なる口径のバリエーション開発など、
改良に努めていたが、1970年に46歳で亡くなったらしい。
心臓発作だったということだが、プラハの春とその後のソ連軍侵攻から
2年後のことである。

Vz61の開発も、チェコスロバキアが政治,軍備(両者はやはり切っても
切れない関係にあると思う)で独自路線をいったから始まったとすれば、
占領下での進展は困難を極めたことは想像に難くない。
まだ若かったリバーツ氏の死は、その複雑な政治体制に翻弄された結果、
かもしれない。

Vz61/15

では今回はここらへんで。

参考文献;国際出版 月刊Gun 2007年7月号
     ホビージャパン GunProfessionals 2012年8月号
     徳間文庫 最新サブ・マシンガン図鑑(床井雅美著)
     並木書房 オールカラー軍用銃辞典(床井雅美著)

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