ADMIN TITLE LIST
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2
今回は、連発式散弾銃の初期に登場,ヒットしたものの、その後短命に
終わったレバーアクション式のウィンチェスターM1887を。

1887/08

[概要]
M1887は、銃器設計の天才、J・ブローニングが開発、ウインチェスター社が
1887年に発売した手動連発式のショットガン(散弾銃=複数の弾丸を一度に
発射する銃)である。
薬室(チャンバー)への装填,排莢は機関部下のレバーを利き手で前方へ
円弧状に操作して行う。
弾倉(マガジン)への装填も、レバー操作後機関部後方から行う、特異な
後方装填,排莢方式となっている。

1887/01

[1/1]
マルシン工業は映画「ターミネーター2 Judgment Day(T2)」のコラボレーション
商品としてM1887ショート(ソウドオフ=切り詰め短縮モデル)を8mmBB弾
使用のガスガンで製作、これを基に銃身を延長、ストックもフルサイズとした
M1887ガーズガンもバリエーションモデルとして開発した(上の画像)。

手元のものは、上級版として木製のハンドガード、グリップが付属している。

1887/14
マルシン M1887はガスタンクの位置に特色があり、レバー操作で露出する
機関部内に収められており、通常は(実物では存在しない)ガス注入ノズルが
見えないように配慮されている。


[1/6]
1/6では、以前からホットトイズ ターミネーターフィギュアの付属品など
複数存在したが、昨年ZYTOYSからレバー操作も可能な精密なモデルが
単体発売された。
これも映画「ターミネーター2」を意識しているらしく、トリガーガード、ストック、
バレルが切断されたものをモデルアップしているが、更にループレバーは
下が広がったタイプで、グリップ部に鉄板が追加された映画のバイク搭乗
シーンなどで使われたものを再現している。

1887/10
マルシンのM1887(後方)と、ZYTOYSの1/6サイズ、ターミネーター
フィギュア付属と思われる(ホットトイズではない)1/6サイズのもの(左)。


1887/15
ZYTOYSの製品は、レバーが可動で、機関部を開いてショットシェル
を装填することも可能だ。


[レピーターの開発競争]
ショットガン用のカートリッジ、ショットシェルは紙を筒状にして散弾を
入れたものが1830年代に仏でカシミール・ルフォーショーが発明しており、
拳銃,ライフルのメタルカートリッジより実用化は早かったのかもしれない。
1882年にポンプアクションは発明(クリストファー・スペンサー&
シルベスター・ローバー 発売は1884年らしいが、1855年代に発明、との
記事も見つかる)されており、それ以前にも回転式、レバーアクション
という銃(ライフル,拳銃)の構造自体はあった。

また1883年にはグリップ部をスライドさせて装填するバージェス・
ショットガン(Burgess Shotgun)が登場しており、ウィンチェスターは
このあとM1887を発売したことになる。

M1887はレバーアクションのショットガンとしては世界初だが、レピーター
(連発銃)としては決して新しいものではなく、むしろショットガンの分野で
出遅れまいと、発売を急いだ製品かも知れない。

当初設計の依頼を受けたジョン・ブローニング(以下J・ブローニング)は
ポンプアクションを主張したが、レバーアクションライフルで会社を
成功させたウィンチェスター側が譲らなかったという。

結果的には、後に出したポンアクションのM1893(更に改良されてM1897)が
成功し、レバーアクションの改良型M1901も短期間で消え、ショットガンは
ポンプアクションが定着することとなる。

そして、レバーアクションのショットガンといえばM1887、というように、
この形式で成功したモデルは戦前ではM1887だけとなっている。

1887/11
M1887(右下)とポンプアクション式の各種ショットガン。
左から、モスバーグM500、ウィンチェスターM12、イサカM37、
ウィンチェスターM1897。


[M1887の構造]
レバーアクションでも、ライフルでは直線状に動くボルト(尾栓)がチャンバー
(薬室=発射時カートリッジが入る場所)を塞ぐが、M1887では余りに
カートリッジが大きすぎるためか、レバーと同じくボルトが円運動する。

しかも、レバー操作で開いた機関部の上方からカートリッジ装填,排出を
行う、という他の方式を知る現在の目から見れば誠に苦しい構造で、
(煙の多い)黒色火薬のカートリッジを使ったこともあり、作動は繊細で
頻繁なメンテナンスを要求したという。

そして機関部はほぼ左右の側面板のみとなり、しかも他社との競争もあり
軽くしなければならないため、強度,耐久性に問題(といっても後に10ゲージ
型を作ったように、すぐに破壊するのではなく、歪みや伸びが、ガタつき、
作動不良の誘因になる、といった程度だと思うが)を残したのではないか。

1887/12
マルシンM1887で、レバー操作により機関部を開いたところ。
一部下部も開き、上下に空間が空く。
マガジン(弾倉)への装弾はこの状態で、チャンバー(薬室)下部へ
ショットシェルを押し込んでいかなければならない。


1887/16
各種のカートリッジ(弾薬)。
左から、32-20、44-40、30-30(ケースのみ)、12ゲージショットシェル、
発射済み(前方のクリンプが開いた)12ゲージショットシェル。
ショットガンのケースは紙,真鍮などからこのプラスチック製に変遷
しているが、散弾を保持する部分が前方に残るので、ケースから出ている
弾頭が無くなって全長が短くなるライフル,拳銃弾と異なり、このように
発射前より全長が長くなる。
そしてレピーターではこの長いケースを抜くだけの排出ストロークが必要になる。


それでもこれを形にしたJ・ブローニングはやはり天才かも知れない。
それは、この構造が彼の一連の作品と重複しない、という点からも伺える。

[天才J・ブローニング]
J・ブローニングは、自動装てん式の分野で機関銃からショットガンまで
幅広く特許を取得したが、手動式でもウィンチェスターM1892(M1894)
ライフルでは上下動する閂状のラグをロッキングに使っており、
ポンプアクションのショットガン、M1893(後に改良されてM1897)では
全く異なる手法を、と実に豊富なアイデアを持ち、それぞれに適した
システムを使い分けている。

1887/03
1/1で、J・ブローニング設計、ウィンチェスター製造の銃を。
左からM1897(タナカ モデルガン)、M1892(マルシン ガスガン)、
M1887(マルシン ガスガン)。


しかし彼の経歴の初期の作品とはいえ、M1887の形状、システムは
決して洗練されているとは言い難く、他の製品が長く作られているのに
比べ、生産期間が短い。

ウィンチェスターを大成功に導き、自ら拘ったレバーアクションは、
ライフルでも弾薬の小口径/尖頭化でチューブマガジンが使用で
きなくなったこと、カートリッジの大型化に対応するにはストロークに
限りがあること、などから20世紀に入ると急激に支持を失っていった。

18887/05
44-40(右の2発)と尖頭弾頭の30-06をチューブマガジンに沿って並べたところ。
尖頭弾頭では何らかの措置を講じないと弾頭がプライマー(雷管)に当たり、
暴発の危険がある。


1887/07
ウィンチェスターM1892ライフルとボルトアクションの三八式騎兵銃。
機関部下にマガジンを持ち、機関部も大きく開く。
ボルトアクション式では更にストロークを増やすことも容易で、20世紀
始めから現在まで手動式ライフルでは主流の形式となっている。


手動式連発銃では、ライフルのボルトアクションも19世紀末に実用化、
ウィンチェスターはショットガンではポンプアクションに、ライフルでは
ボルトアクションに切り替え、また軍用の自動装てん式ライフルでは
M1カービンを作るなど、その後も成功していくのだが、J・ブローニングと
ウィンチェスターは20世紀に入ると契約金支払い問題などから関係を
解消、J・ブローニングの自動装てん式ショットガンは欧州のFN社
のほか、ウィンチェスターのライバルであるレミントンで生産される、
という結果になった。

1887/06
1/1で、ウィンチェスターのライフル、ショットガンを。
左からM2カービン、M1897ショットガン、M1892ライフル、M1887ショットガン。


[適者生存]
様々な形質を持つ個体群のうち、最も環境に適したものが生存,
繁殖の機会を得られ、生き残っていく、という考えがあり、ちょうどこの
M1887が登場する少し前、哲学者ハーバード・スペンサーが発表、
チャールズ・ダーウィンがそれを進化論の原理として採用している。

銃の開発では、まずメーカーが意識して(当然だが)”よく売れるもの”
を選択する。
それは構造的により優れたもの、安く作れるもの、使いやすいもの、
などの要件が検討されるはずだが、今回のM1887のように、
経営(販売)側は、同社のライフルと共通の操作方式で相乗効果
を狙い、設計側はショットシェルの特殊性に着目して適した構造を
推す、という状態になり、結果としてこのように短命な”不適合”
(それでも多数作られ、メジャーになるほど売れたのだが)な商品
が生まれることもある。

現在では、自然界におけるそれぞれの個体の生存選択はほとんど
確率的に起こっており、適応形質はせいぜいその確率を少し上昇させる
に過ぎず、必ずしも環境の変化に最適な形質が選択されるのではなく、
確率的に生き残ったものが”適者“となる、と考えられているようだ。

くしくも企業が“恣意的”に取捨選択して製造する製品も、自然界で偶然
に発生し、生き残った”進化”の結果も、必ずしも”最も優れた形質”
ではない、ということだ。

[復活]
カートリッジの開発、ボルトアクションの登場、そして弾頭の尖頭化、
更に後には自動装填式の開発など、この時期の銃の進化は
目まぐるしく、メーカーも激しい開発,生き残り競争が展開された。

激しい製品の刷新は、逆に旧いものへの回顧趣味という“新しい環境”
を生み、第二次世界大戦後のウエスタン・ブームでは、前世期の銃が
もてはやされる事態が発生する。

米国ではショットガンのジャンルでいまだにレバーアクションが存在し、
マーリン社などが今も作っているようだ。

また、410ゲージなどの小口径ではライフルを基にしたショットガンがあり、
これはライフルの所持許可が厳しい日本でも人気があるようだ。

性能的には、レバーアクションのライフル,ショットガンは、もはや強者でも
適者でもない。

そして、現在は、その時代を生きた人間ではない(もはや郷愁ではない)、
また西部劇などでその時代を知った訳でもない者が、今度は新しい
アクション映画で、レバーアクションショットガンを知るというように、
既に第三世代に影響は及んでいる。

映画「ターミネーター2」も、西部劇で活躍したジョン・ウェインへの
オマージュとして、馬上でレバーアクションライフルを回転させ操作する様を
オートバイとショットガンに置き換えて再現したものだ。

1887/13
1/6で、「ターミネーター2」に使われたショットガンを2つ。
左はラスト近くで使われた現代の標準的ショットガン、レミントンM870
(ピストルグリップ付き)。
右が前半からターミネーターが使うM1887のソウドオフ。


M1887は一度廃れたが故に、逆に新鮮味を持って受け入れられ、
トイガン化するほどの人気を得たのではないだろうか。

そう考えると、現代は“過剰な淘汰”が進んだために、逆に“不適者生存”
“再評価”を生んでいるのかも知れない。

1887/09

しばらく更新が滞ってしまい、楽しみに待ってくれていた方々には
申し訳ない。

次回の予定もまだ決められないのだが、ネタだけはまだまだあるので、
気長にひとつ宜しく。

では、今回はここらへんで。

スポンサーサイト
web拍手 by FC2

| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2015 Gun1+1/6, All rights reserved.
まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。