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今回はルガーP08を紹介。実物は(トイガンで、という趣旨上写真もトイガンのみだが)かなりの年代物なので歴史を中心に。
P08/14

[前史]
自動式拳銃の始祖とされるボーチャードを改良し、1908年初のドイツ陸軍制式P08となったこの拳銃は、1938年にワルサーP38に制式の座を明け渡すが、その後も不足を補う為に生産され、結局終戦まで使用された。
1908年といえば、何と99年(2007年現在)前である。

M66,M73など、"西部を制服した"レバーアクションライフルを作る米国のウインチェスター社。
そこにいたドイツ系のボーチャードが開発したのが自動拳銃の始祖でP08のもと、ボーチャードピストル。
ボーチャードピストルは、トグル・リンク式のショートリコイル機構を持ち、後部にストックをつけてカービン銃(騎兵などのために軽量,小型化された銃)として使える。
しかし米国では生産に応じるところがなく、ドイツのルドウィック・ローベ社が生産することになり、ボーチャード自身もコンサルタントとしてルドウィック・ローベに入る。
ボーチャードピストルを800丁ほど作ったところで、ルドウィック・ローベはドイツ金属弾薬製造会社と合併、DWM社となった。
DWMでも、結局2000丁ほどこれを作ったという。
ちなみにルドウィック(Ludwig)とは英語でルイス、仏語でルイ、伊語ではルイージと呼ばれるポピュラーな名前で、Ludwig van Beethoven(ベートーベン)もそうだし、米国のドラムメーカーとして有名なラディックもLudwigである。
ラディックのスネア・ドラムL400は世界で最も売れた、としてギネスブックにも載っているらしいが、このドラムのスイッチ機構も、くしくもトグル・リンク形式である。

1/1でまずタナカのガスブローバックガン。
左が6インチ海軍モデル(マリーネ)にタナカ製木製グリップ付き、右は4インチ銃身の陸軍制式モデル ヘビーウエイト(HW)樹脂製。
P08/02

[開発の経緯]
ボーチャードピストルの生産を受け継いだDWMで、これを米国などに売り込みに行き、デモを行ったのがゲオルク・ルガーだ。
技師でもある彼が改良を具申し、より小型,軽量のP1900が出来た。これがほぼP08の形状になっている。
ルガーはボーチャードピストルを大幅に小型化、マガジンの入ったグリップも傾き(角度)をつけることで銃のバランスを良くした。これはルガーの新たなパテントとか。
このときボーチャードは大きな変更に反対、会社を去ってモーゼル社に移ったという。
当時小銃の販売では協力関係にあったモーゼル社だが、モーゼルミリタリーC96を開発しており、拳銃分野では強力なライバルになっていた。
C96も大きめだが、ボーチャードよりは小型。そしてマガジン(弾倉)収納部とグリップを分け、後方に独立したグリップをつけたので、ストックをつけずに片手で使用するときもバランスはいい。これではボーチャードでは競争にならない。
P1900は、C96に対する対抗機種でもあったわけだ。
今日ルガーピストルとして知られるこの一連のモデルだが、DWMでは当初ボーチャード・ルガーピストル、後にパラベラム・ピストルと呼称していた。
パラベラムピストルはセフティレバー(手動安全器)のアレンジが変わったりするが、安全状態にしたときはドイツ語で「GESICHERT」の表示が出てこれを示す。
またカートリッジをくわえて薬室から引き抜くエキストラクターがカートリッジの装填の有無を示すインジケータも兼ねていて、ここも装填されると「GELADEN」(招く、という意らしい)の文字が現れる。

ルガーらはこれを米国にも売り込み、要求に合わせて9mmを45口径(11m強)に拡大したモデルを持ち込んだらしいが、さすがにこれは無理があったと見え、米国はいくらか買い込んでみたものの採用を見送り、結局ブローニングが設計、コルトが作るM1911が米国制式に選ばれる。
しかしパラベラム・ピストルはスイスを始めとして各国の採用を得る事に成功する。
話は前後するが、P1900で板バネを使っていたトグル・リンク機構の閉鎖バネをコイル式に変更、グリップ・セフティをつけたのがP1906。
これもドイツ海軍などが導入したが、グリップ・セフティ無しに戻してとうとうドイツ陸軍制式となる。
DWMとルガーが悲願?を達成したモデルはP08という制式名を得る。
ちなみにルガーの名は米国で輸入元のストーガー社が勝手に商標登録して呼んだことから広まったそうだ。
米国人は何かとペットネーム、愛称が好きなのだろうか。欧州は逆にアルファベットと数字のモデル名が多い。

P08とライバル達を。
左からルガーP08(タナカガスガン)、モーゼルM712(過去の記事)C96の一種、マルシンモデルガン)、コルトM1911(MGCモデルガン)。
P08/05

パラベラムとは、ラテン語の格言”Si vis pecem,para bellum"(汝平和を欲するならば戦に備えよ)からきている。
DWMはこの格言をよく引用し、ピストルの売り込みを図っていたとのこと。
このフレーズ、日本では受け入れられそうにない。
ドイツは結局二回も戦争して負け、周辺諸国も含め多くの被害者を出しており、歴史は「備えは平和に結びつかなかった」ことを証明したともいえるが、懲りずに現在も軍備しており、一応今は平和を保っている。
ともかくDWMは第一次大戦後、1930年にモーゼル社にこの拳銃の製造を任せて同業?のBKIWと合併してしまう。
既にボーチャードもルガーもいなかったのだろうか。

ワルサーP38とP08。
P38はマルゼン製ガスブローバックガン。
P08は上と同じタナカ製。
P08/10


DWMを造兵廠とする記述もあるが、これは第一次世界大戦時にDWM以外にP08を作ったエルフルト,スパンダウの両造兵廠と混同したのではないかと思われる。
その後ドイツは再軍備禁止条約を反故にして密かにこの拳銃の再生産を1934年からモーゼルで始める。
エルフルトの製造設備はズールのジムソン社を経てあのゲーリングが株主だったクルーグホフ社に移り、1935年からそこでP08が作られたとのこと(以上はほとんど全てネット上の情報)。

P08 6インチモデル。
タナカガスガンとマルシン製金属モデルガン。
タナカ,マルシン共に1917年製の海軍納入モデル、通称マリーネモデルをモデルアップしている。
トグルの上面にはDWMの刻印があるのも共通だ。
マルシン製は以前キットで販売されたもので、スムーズな木製グリップがつく。現在販売されているモデルは、完成品もキットもチェッカー(格子状のカット)入りである。
P08/06

[自動式の位置づけ]
ルガーは大口径化を選び、この拳銃の為に9mmルガー弾(パラベラム弾,略して9mmパラ)を開発した。
これはボーチャードの弾が比較的遠距離に主眼をおいていた、という側面がある。
ボーチャードの弾は7.62mmで、モーゼルC96もこれを用いている。
メカ方式は違うが、大きさも大き目であり、武器としてのコンセプト,位置づけはC96の方がボーチャードピストルに近い。
ボーチャードが考えたのは、単なる拳銃ではなく、比較的長距離射撃に向く銃だった。
ただ組み立て式で確かに軽量,コンパクトであるが、離れて撃ち合う場合、用兵を考える層は当時の手動連発式ライフルでも十分だと考えており、それを覆すには至らなかったのでないか。

[トグル・リンク]
ボーチャードのパテントであるトグル・リンクによる機関部の閉鎖機構は、関節が上部に持ち上がり、機関部が開放されるシステム。
これはストック装着を重視して考えた機構だと思う。
ストックをつけて構えると、片手もしくは両手保持の場合と違い、機関部の後方、かなり近いところに射手の顔面が来る。
C96のように後方に下がるメカでは顔面に当たる恐れもある。
しかしパテント侵害になるのでボーチャードと同じトグル・リンク方式は使えなかった。
そこでC96ではストック形状が前に頬づけ出来ないようになっている。
もちろんストックはグリップ後方につけるので手への干渉を避けた、銃の形に合わせて収納できるように成形したらこうなった、という側面もあるが、ただP08用ストックはストレートに近い(内部に銃を入れる形ではないが)。
恐らくC96のストックはこれらの要素を考え抜かれた形ではないかと思う。

トグル・リンクによる閉鎖システムを使い、自動装填化したのはボーチャードの発明だが、トグル・リンクの手動閉鎖システムは、彼が在籍したウィンチェスターのM66やM73の構造であり、ボーチャードの前にマキシムがトグル・ロックをマシンガンに応用していた。
ミソは閉鎖を手動レバーで開くか、銃身をつけたレシーバーごと発射の反動で後退させ、これを利用して開くかというところである。
反動利用に関しては、彼より後にウインチェスターに関わるブローニングもこの方式で自動装填の銃を作り、散弾銃から拳銃,マシンガンまで開発して天才ぶりを発揮する。

マルシン製モデルガンで分解写真。
P08/07

[機構の難点]
P08は各部品に製造番号の下2桁を刻印するなど、管理が行き届いている印象があるが、逆に個体差が大きく、手作業で一台ずつ調整して組み立てた、もしくは寸法を計っていくつかに分類、マッチングさせて組んだと見え、そのために番号を打ったようなのだ。
P08の修理をしようにも適合するパーツが無く、いくつもパーツを取り寄せてもなかなか合わない、という。
もちろん壊れなければそれでもいいが、世の中全く壊れないものなどそうそう存在しない。
P08のウイークポイントは、ストライカー後部のロック部分だという。
プライマー(衝撃により着火させる装置、雷管)が破れて発射ガスが吹き戻し、ストライカーを後部にぶつけて後方のロックを破壊してしまうという故障が起こることがある。
当時からこの問題は起こっていたようで、P08でも途中からストライカーの一部を削ってガスの逃がしを設けたりしているが、これも有効な対策とはならなかったようだ。
ガスが逃がされても、ストライカー前面の面積が無くなるわけではないので、多少衝撃力が下がった程度で、ストライカーはぶつかってくるからではないか。
他の機種で同等の事態が起こらないのは、プライマーを叩くパーツ(多くはニードル=撃針)の径が小さく、かつそのパーツの可動範囲も小さく、更に衝撃を受けても壊れない強度があるストッパが設けられているからだと思う。
P08は前後長も短いパーツの中に発火装置を組み込んでコンパクト化した結果、大径のストライカーが直接プライマーを叩く形になった。
しかし、P38の不足を補うためとはいえ再生産されているし、兵士もこちらの方が信頼していた(戦争末期のP38の製造がまずかったのもあるが)という話もあるくらいである。
複雑な構造から、製作の精度が悪いと完成しなかったのが幸いしたのか、連合軍の兵士もP08のほうを戦利品として持ち帰るべく血眼になっていたそうだ。

ウイークポイントになったストライカー部分。
このモデルガンは非発火モデルなので撃針が突き出していないが、発射ガスが入って後方のロック(このモデルガンでは銀のパーツの後ろにある黒いパーツ、実物と違ってスクリュー式)が壊れる。
P08/08

[バリエーション]
P08はその前のP06などグリップセフティの有無、銃身長などバリエーションがあり、更に製造の時代,工場によって刻印が違うなど細かいところは実に多岐にわたり、コレクターが多い。
日本ではタナカが現在ガスブローバックエアガンを作っている。
これはP06,P08があり、それぞれ4,6,8インチ銃身、そしてP08ではクリアモデルからヘビーウエイト、ミッドナイトゴールドというメッキ仕上げまで実に多くの種類が作られている。
マルシンも金属モデルガンで4,6,8インチ銃身付きを作っている。更に彫刻入りのゲーリングルガーも作られた。
現在無くなったメーカーだが、MGCは4インチ銃身の金属モデルを以前作り、その後ABSモデルでこれも4インチを作っていた。
入手しているタナカの4インチモデルはヘビーウエイト樹脂(略してHW)製。
トグルリンク上にはS/42と刻印されており、1934年から製造しているモーゼル社製のものをモデルアップしたことになる。
42は製造年ではなく、モーゼル製を指すという。
後のワルサーP38ではbyfという記号になっていたが、再軍備を隠す為の暗号と、戦争中製造場所を知られない為のコードとで変えたということだろうか。
レシーバー上面にKの刻印があるが、これが製造年を示し、Kは1934年を指す。1935年製はG、1936年になると堂々と製造できるのでここに1936と刻印したが、クルーグホフ(今も高級銃メーカーとして生き残っており、最近150万円くらいで少数P08を再生産するとかのニュースがあった)で作ったものはMの刻印が入っているという。
1939年からはS/42の記号が単に42となる。
ちなみにタナカの以前の4インチは、トグルにエルフルト造兵廠のマーク,レシーバー上に1918と刻印があり、第一次世界大戦末期のモデルとしていた。
テイクダウン(分解)レバー,セフティレバー,トリガーもシルバーで、レシーバー横のシリアルは手持ちのマリーネモデルと同じ(マリーネはフレームについているが)7415になっている。
これは今回のHWモデルについてきた説明書の表紙に載っているものである。
ちなみに箱の表紙はシリアル6015で今回のモデルと同じ。但し表紙のそれは木製グリップ付きで、シアーバーのセフティでブロックされるあたりの2桁シリアル打刻も再現されている。
タナカのこの一連のモデルはシアーバーが1934年以降のショートタイプと呼ばれるものなので、HWモデルの方が考証的には合っているが、バリエーションとして旧い方もコレクションしたいところである。

6インチと4インチではリアサイトも違う。
タナカのガスガンで比較。
6インチは距離に合わせて100m,200mの2段階切り替え式。
P08/03

2種のP08を後方から。
どちらもリアサイトはVノッチ(切り欠き)だが、4インチの方が大きい。
P08/04

ABSのときからついていたのか記憶が無い(!)が、HWを中古で入手したときには、ローディングパーツを模したパーツがついてきた。(下の写真)
実銃,モデルガンではこれを弾倉横のチェッカー部分に引っ掛けてフォロアーを下げて装弾を行いやすくするのだが、少し小さい。穴も小さくて引っかからない。
これはどうしたものかと思うと、説明書にフォロアーの上に入れて撃つと、空撃ちモードで使えるという。
P08は全弾撃ち尽くすとホールドオープン(後退したまま止まる)するが、手動で解除が出来ないので、弾を入れないと毎回ホールドオープンしてしまう。
そこでこれを差し込んで、ホールドオープンさせずに動作させることが出来るように配慮している。
P08/09

1/1と1/6
1/6はホルスターと予備マガジンが付いたものを入手できた。
いつものように単品で、出処はわからないが。
P08/11

色もガンメタル、グリップは濃い目の紫がかった茶色で、塗装だけに1/1より実物っぽく見える。
外観も細かく再現されているが、更にマガジンが抜け、何とトグルが作動する。
P08/12

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まとめ

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