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今回は、急遽、拳銃のセフティ(safety)=安全装置をテーマに、従来と少し趣向を変えて。
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[自動化と安全装置]
初期の自動装填式拳銃では、従来の拳銃と異なり、独立した手動安全装置を備えていることが特色だったように思われる。
モーゼルC96(M712過去の記事)系やルガーP08(過去の記事)系では、機関部後部にセフティレバーを装備し、従来のダブルアクションリボルバー(回転式)より軽く、短い動作で撃発するトリガー(引き金)による事故を防止している。
この少し前、手動式ライフルなどにも独立したセフティがつけられてきていたので、独立したセフティは時代の要請ではなかったかと思う。
1900年代になって登場した小型の自動装填式拳銃では、隠し持つ用途ゆえに衣服などにひっかかる恐れも多く、セフティレバーがもしひっかかると危険である。
このため更に安全を高めようと、各種の機構の開発に各社しのぎを削り、この成果は大型にも取り入れられるようになったと思う。
例えばファブリックナショナル(FN)のM1910は同社のベストセラー小型拳銃M1900の後継機だが、親指で操作するサムセフティに加え、グリップ後方にグリップセフティ、そしてマガジン(弾倉)を抜くと安全装置が働くマガジンセフティまで備えた3重の安全機構をもっていた。
これが100万丁を売る大ベストセラーとなり、小型拳銃のスタンダードとしての地位を築いた。
これと前後して設計者J・ブローニングが手がけた一連のモデルにも、各種安全装置がつけられ、米国制式となったM1911(M1911A1過去の記事)では、グリップセフティとサムセフティが採用されている。

このあと、ドイツのワルサー社が、PP,PPKモデル(過去の記事)でデコッキング機能を備えたセフティレバー、トリガーを引ききるまで撃針をロックするオートマチックセフティ、そして撃発用ハンマーを安全状態に置き、そこからトリガーを引くだけでハンマーをコック(引き起こす)しリリース(おとす)するダブルアクショントリガー方式で安全性の面で最高のオートピストルを作り上げる。
更にこれらは、後述する独立したローディング・インジケータも備えていた。
PP,PPKとそのあとに続くP38(過去の記事)も、大型拳銃としては初めてこれらの機構を備え、安全性の向上に大きく貢献していた。

左から、PPK/S(マルゼン ガスブローバックガン)、M1910(マルシン モデルガン)、ベレッタM1934(WA ガスブローバックガン)。
M1934はこの中では一番後の作だが、安全装置は手動式ひとつだけである。ただ、このあと半世紀経っても、この構成に拘るメーカーもある。更に言うと、トカレフTT-33(過去の記事)のようにハンマーのハーフコック(途中で止める)しかないものも、軍用制式として使われた過去があり、安全装置に対する認識は実に様々である。
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[リボルバーの改良]
ヨーロッパでは自動装填式がもてはやされたが、米国では回転式が1980年代まで公用でも広く使われ、今も護身用として人気がある。
これらは普通、独立したセフティを付けていないが、内部にはセフティ機構が組み込まれている。
下の写真、向かって右のポリスポジティブは、ポジティブロックをコルト社として初めて採用したことからその名を付けられたモデル。
従来は発射後、トリガーを戻すとハンマーが撃発位置から少し後退して止まる(リバウンド)が、これが故障しても、トリガーを引ききらないとハンマーが前進できないよう、ブロックするのがポジティブ・ロックである。
この後、大手のリボルバーは同様のインターナルセフティ(内部安全装置)を備えるようになった。
左のローマンMkⅢは、同じコルトだが、第二次世界大戦後の作でセフティ・コネクター(他社ではトランスファー・バーと呼ぶこともある)形式のインターナルセフティとしている。
これは、ハンマーとファイアリングピンの間に隙間があり、ここにセフティ・コネクターが挟まるとハンマーの衝撃が伝達(トランスファー)される仕組み。
セフティ・コネクターはトリガーと連動しており、トリガーを引いたときでないと間に挟まらない。
この方式では、リバウンド機構は廃している。

ローマン4インチバレル付きとポリスポジティブ(これも4インチ)。
ローマンはMGCのスーパーリアルヘビーウエイト製モデルガン。
ポリスポジティブはタナカのヘビーウエイト樹脂製ガスガン。
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ローマンのセフティ・コネクター。
ハンマーの前に内側からせり上がってきているのがそれ。
トリガーを引くと更にピンに覆い被さる形になるところまで上がり、撃発が可能になる。
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スミス・アンド・ウェッソン(S&W)社は、ポジティブ・ロックと同様ハンマーの前進を妨げる安全装置だが、名称はハンマー・ブロックとしている。
コクサイのM19で、上のローマンと同じように覗いたところ。
ちょっと見ずらいが、フレーム内に、棒状のパーツがあるのが、ハンマー・ブロック。
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[セフティの種類]
ここらで、セフティの種類別分類や装備のセオリーについて考えたい。
まず、手動式の独立したセフティと、自動もしくは他の操作に連動するものがある。
独立したセフティも、単に撃発装置をブロックするだけのものから、ハンマーのデコック、スライド,ハンマーコック(起こす)等の操作も出来ないようにロックするものまである。
他の操作で連動するものには、上記のように引き金に連動するもの、グリップについていて握ると解除されるもの(グリップ・セフティ)、マガジンを抜くとロックされるもの(マガジン・セフティ)がある。
これらとは別に、ハンマーを安全位置まで戻して、長く重いトリガーを引かないと撃発しないようにすること(ダブルアクション)も安全性を考えた機構だ。
現在では撃発はダブルアクション・オンリー(DAO)とし、手動安全装置を廃したモデルが、簡単な操作で安全性も高いとして警察等で流行している。
また、撃発装置をブロックするものではないが、カートリッジの装填を知らせるローディング・インジケータ、内蔵ハンマーやストライカー式でそれがコックされていることを示すコッキング・インジケータなども、安全の為の装備である。

[質と量とヒューマンファクター]
これらの安全装置を備えれば備えるほど安全性が上がるか、というと、これはそうでもないように思う。
むやみにたくさんあれば良い、とは言い切れない部分がある。
数が多いと、時にどれかが機能しているはず、という気持ち、慢心を生むし、余り多いと操作が煩雑に過ぎ、使い方も覚えにくく、逆に使われないようになることもある。
安全装置で重要なのは確実性で、フェイルセーフというのは、失敗(の可能性)があるから数が有用である、という逆説的考察も、成り立たないだろうか。
複数の自動装置で安全な状態に保つ、というのは良いのだが、人間に多くの安全操作を要求するのは、必ずしも良い結果を生まないと思う。
ヒューマンエラーの低減には、シンプルな方法に絞るというのも有効な方法だ。

更に銃は必要なときには速やかに撃てるものが望ましく、操作が複雑で弾がなかなか出ないと、本来の「撃つ」という機能に問題があることになる。
そこで、個人装備の火器では、後述する工具や本体とは別の機器を使う追加ロックを除くと、どんなに安全性が高いと言われるモデルでも、手動の独立した安全装置はまず一つだけだ。
あとは自動,もしくは連動式のセフティが組み合わされて万一の事態に備えている。
つまり装填してあれば、セフティ一つ解除してトリガーを引けば、通常は弾が出るようになっている。
これは安全を重視しすぎだと言われる日本の制式銃でもそうだ(安全装置が180度以上も回転させる、引いて回す必要があるなど、他では見られないくらい扱い難いことになっていたりするが)。


[追加ロック機構]
近年では、メーカーが対策に消極的だと訴えられるまでにエスカレートしたアメリカの訴訟事情もあり、たとえ装填されていても撃てないように、施錠できるモデルが増えている。
H&KのUSP(過去の記事)では、マガジン(弾倉)を抜いた穴から鍵を差込み、ロックがかけられるようになっている。(これはKSCのガスガン)
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S&WのM500でも、鍵を差し込んでロックできる構造を採用している。
こちらはフレーム側面の、シリンダー・ラッチ(シリンダーを出すボタン)の上に鍵穴がある。
これはタナカのガスガン。
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そして本体に施錠機能が無くても、トリガーを引けないようにロックをかけるもの、ガンケースに施錠するものなどをメーカーは添付しており、安全対策品は必須の装備となってきている。
更にこれらのロックも各種のものが市販されてきているし、専用の鍵でなくても、下の写真のようにフレームに施錠してシリンダーを入らなくしたり、トリガー後方につけて引けなくするなど、様々な対策が可能だ。
また、ライフル等でも、機関部を開いた状態で挿入する器具が販売されていて(チャンバー・セフティ・フラッグ)、これも大抵の銃で使える。

タナカのガスガン、M29クラシック(過去の記事但し今回のシリンダーはノンフルートタイプ)にクリプトナイトのロックをつけたところ。
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[暴発]
日本でも最近、幼い子供が自分の兄弟を撃ってしまうという痛ましい事件が起こっている。
まず犠牲者の方に哀悼の意を表したい。
さて、実はこのような事故で出てくる「暴発」という言葉に、少し違和感がある。いかにも銃の故障に起因するかのような、無責任な表現ではないかと思うからだ。
過去にAK47(過去の記事)のところで触れたように、人間の責任を道具に転嫁すべきではないと思っている。
今回の場合でも、銃に弾を装填し、安全装置の解除(最初からかけていない場合もある)、そして引き金を引く、という一連の動作が間違い無く行われて弾が出たはずである。
暴走、というのも本来はコントロールを失った状態だと思うが、車,バイクの暴走に限って言えば、「故意に」無謀運転をすることだと認識されているように思う。
これと同じく、大抵の「暴発」もルールを無視した危険行為の結果である。

今回の事故の原因は、銃の事故で最も多い、「弾が入っていないと思った」という誤認だったと思われるという。
思い違いなどが生じないよう、複数の機会で抜弾を確認するのだが、これを全て怠ったということなら、やはり数より質が検討されるべきではないだろうか。
上記のチャンバー・セフティ・フラッグを入れないと射撃場の出入りが出来ないなど、確実に抜弾を確認させる方策も、考えてもらいたい。

子供は、ときに全く予想しない行動に出ることがある。
特に今回は、父親が目を離した短時間のうちに事故が起こっており、引き金をたまたま触ってしまった、というより、興味を持っていて銃に触れるチャンスを伺っていたのではないかと思う。
このぐらいは好奇心旺盛な時期であり、またもともと、人間はタブーには逆に強い好奇心を喚起されるものだ。

銃を持っている方には、確実性の高い安全策で自分に可能な数に絞って、それを徹底することで事故防止を計ってもらいたいと思う。
そして、これは銃に限らず、乗用車や暖房器具など、日常使用する道具にも言えると思う。
今回の問題を銃特有の、特別な事故例として片付ける傾向があり、もしかするとそっちが多数派かも知れない。
銃が無くなれば、ということについては、上にも示したAK47の記事の際に少し考えを述べさせてもらった。
ただ、今回のような事例を踏まえて、個人の実銃所持,保管について規制を強化しようという声が挙がること自体は否定できないし、実銃を持つ権利を主張するなら、その義務である安全管理について、更に進めなければ反論も出来ないと思う。
実銃所持の是非は、また機会があれば問うことにして、安全の確保について今回の事例から教訓を得ることについては、どちらの立場でも否定されるものではないと思う。
どうか子供が重大な事故を引き起こす悲劇の無いよう、安全に気を配っていただきたいし、自らも注意したいと思うものである。

次回は通常の形に戻して、前回予告した?ネタをやるつもりなので、またよろしく。
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まとめ

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