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今回は、スパイダルコのマルチツール・ナイフ、スパイダーレンチを。
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[スパイダルコ]
約20年前に米国コロラド州デンバーで設立されたスパイダルコ社。
同社を一躍有名にしたクリビット・ナイフは、サム・ホールという穴がブレイド(刃)の上部,ピボット(回転軸)近くに開けられている。
サム・ホールは、ここに親指を当て、ブレイドを開く為に設けられたのだが、この大変シンプルで操作性に優れ、両側からも操作できる穴は社長サール・グレッサーのアイデアで、パテントにもなっている。
スパイダルコは、このサム・ホールを設けた各種ナイフをバリエーション展開、同社は短期間のうちに世界的なナイフメーカーの地位を得る。
特に登山関係者には評価が高く、各国の登山チームが採用しているとか。

スパイダーレンチのサム・ホールと、蜘蛛の形のトレードマーク。
ブレイドにはメーカー名とステンレス鋼種、440Cの刻印がある。
この丸いサム・ホールも同社のトレードマークともいえる。
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スパイダーレンチ。
ブレイドもハンドルも、パーツのほとんどがステンレスで出来ている。
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[マルチツール]
スパイダルコは実用性とオリジナリティのあるデザインが売りだが、同じ頃台頭してきたメーカー、レザーマンもユニークな製品を作っていた。
それはマルチツール(万能工具?)である。
マルチツールは、ここも社長が考え出したアイデアで、自身が車の修理で困った経験から考え出された多用途ナイフだ。
従来、スイスのビクトリノックス,ウェンガーがアーミー・ナイフなどの通称で知られるマルチツールを作っており、軍用だけでなく広く一般にも使われてきていた。
しかし、レザーマンは、しっかりしたプライヤー(挟む道具?)がついたマルチツールがあれば、これひとつで車載工具の代わりになると考え、プライヤーに、ナイフやドライバーなどのパーツを付属させたヘビィ・デューティ(過酷な用途に耐える)なツールを作り上げた。
レザーマンのマルチツールは、プライヤーのハンドルがプレス鋼板で作られ、折り畳み式となっており、折り畳むと従来のアーミー・ナイフ並に小さくなる。
これが大ヒットし、レザーマンはプライヤー主体のマルチツールの元祖として、ゆるぎない地位を築いた。
そこで各社、それも大手が同様のコンセプトでマルチツール・ナイフを作り始め、マルチツール・ナイフは一つのカテゴリーを形成するまでに成長する。
スパイダルコも、この時流に乗った製品の開発に着手、今回紹介するスパイダーレンチを作る。
但し、多くの商品がレザーマンのコピー,改良品といった概念の物だったのに対し、スパイダルコはオリジナリティにこだわり、実に独創的なシステムを作り上げた。

マルチツール・ナイフ3種。
左からビクトリノックス サイバーツール,レザーマンミニ,スパイダーレンチ。
全てプライヤー使用時の形態。
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[変身]
スパイダルコは、妥協無く本格的なナイフとプライヤー,モンキーレンチなどををくっつけたものを形にした。
そしてレザーマンのプライヤーはラジオペンチの形なのに対し、スパイダルコは支点位置を変えることで開き角度が2段階に変わる、大き目のナットなどを回す用途向けの2ステップ・プライヤーの機能を盛り込んだ。

プライヤー部分のアップ。
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そしてブレイドは同社のオリジナルであるサム・ホールがついた本格的なもの。
これは普通の刃(ストレート)だが、セレイション(波刃)付きのモデルも存在した。
それまでのマルチツールはどちらかといえばナイフは、刃の高さが小さなもの(細長い刃身)となっていた。
また、その薄身ブレイドも、ハンドルを握った方とは別の手の爪を小さな溝にひっかけて開く方式が主で、タクティカル・ナイフ(SW-3000CF;過去の記事)のように片手で開く機構を持っていないものだった。

スパイダーレンチのブレイドを開いたところ。このときはプライヤー自体がハンドルとなる。
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そしてこれだけでなく、ちょうど少し前に流行り、映画化もされた「トランファーマー」のように、このツールは更に”変身”する。

基本的に支点はブレイドの操作もハンドルの開閉も同じところ(ピボット部)だが、ブレイドを閉じてハンドルを約180度回すと、この状態でロックがかかり、ここで背面についたビットを挿すと、リーチの長いドライバーのハンドルになる。
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ビットは表裏でプラス,マイナスの溝に対応するが、更にプラス2個、マイナス2個が内蔵されている。
タクティカル・ナイフの標準装備、ベルトクリップもついている。
また、下の写真のようにハンドルは2つに分離することが出来、一方にはモンキーレンチ機能もつく。
外した一方はドライバのハンドルとしてのほか、独立したフォールディング・ナイフ(折りたたみ式)となる。
また、長いビットの中央部は3面(平面,凹面,凸面がある)のヤスリになっている。
これらの構成を可能にしたのは、ステンレス鋼を高い自由度で成形できる技術である。
これには以前ハードボーラー(過去の記事)のときに紹介した、ロストワックス工法が使われているのではないかと思う。
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独立したプラスのビット(これらは鍛造,切削のようだ)の溝にはグルーブ(この場合横溝)が刻まれている。
これがビスの頭をとらえ、カムアウト(頭がなめる,滑る)しにくくしているようだ。
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[1/6]
それでは、1/6を紹介したい。
今回のものも、市販されている様子は無いので自作した。
これは見てのとおりスケルトン(中抜き)のハンドル形状でパーツがたくさん露出しており、非常に複雑である。
このため形を再現する方法を色々考える必要があり、構想から完成まで、結構時間がかかった。
細かい穴やビス,ピンなどは再現の限界もあり省略したが、更に加工の限界(そのまま小さくすると強度的にもたない)があって苦労した。
これは作りながらイメージを壊さない範囲で形をいじり、それっぽくなるように努めたが、見られる仕上がりになっているだろうか。
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それでは製作記を。
まず、寸法に合わせて縮小コピーした紙を貼り付け、プラ板,ステンレス板に穴をドリル,ピンバイスで開けていく。
そのあと外形や、細かいところもカッターやヤスリ,リューターで削る。
今回は、実物では一体のハンドルを3枚に分け、肉抜きの穴を貫通させたものを張り合わせて成形した。
ブレイドは開いた状態で固定とし、かつリリース用レバーも一体で作り、ハンドルに接着した。
ベルトクリップは薄いプラ板を実物同様曲げて作り、ビット類も別にプラ棒から作り、モンキーレンチのアジャスターは、2mmのビスを切ってはめ込んである。
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[アイデア商品?]
さて、これだけ独創的アイデアに満ちたスパイダーレンチ、そのネーミングにもそそられるものがあり、見つけてから直ぐに欲しくなって入手したのだが、実際使ってみると少々難点もある。
まず、モンキーレンチのアジャスター部のクリアランス(ガタつき)が大きく、歯が開き気味になってボルトをしっかりとらえない。
これは、力をかけたとき平行になるように、フライスで歯の部分を若干角度を付けて削り直し、良好になった。
次に、サム・ホールは切りっ放しで、親指をかけると本当に切れそうだったので、両面から面取りをした。
そしてプライヤーだが、くわえる部分の厚みが上下で違い、また掴めるサイズも限定的(大きいほうも小さいほうも)である。
これも厚いほうを先だけ削ればいいのだが、そこまですると格好が良くないような気もして、そのまま使っている。
また、ブレイドを出したまま180度ハンドルを回すと(そんなヤツはいないと思うが)、どちらのロックを解除するのも難しく、手を切りそうだ。
これがリコールされたとかいう噂も聞く(しかし後述するように、単に廃番にはなっていない)のだが、それはここが原因かも知れない。

この製品の安全性,品質については、このように疑問もあるので、諸手を挙げて賞賛は出来ない。
しかし上記の2箇所の改良でかなり使えるようになったし、フルサイズ?のナイフに2ステップ・プライヤーとモンキーレンチまで備えたマルチツールは他に見かけない。
そして、手になじむように(造形美の為に?)アールを変えた曲線を多用したラインとメカニカルなパーツのコントラストが効いた造形は、実に豊かな感性と構成力を感じる。
ナイフを面白がって、もて遊ぶ事を推奨するつもりは無いが、やはりスパイダーレンチは遊び心のある面白いツールだと思う。

現在、スパイダルコとしては生産終了(当時も日本製だったとか)だが、これを求める声は絶えないようで、廉価版ブランドのバードナイフからバードレンチ(BYRD RENCH)として若干形を変え販売されている。

それでは、今回はここらへんで。
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こんにちは。
1/6自作ナイフ、細かいですね。
ナイフ編は不定期なのですか、
次が楽しみです。
モデルさんも可愛いですね。
【2008/05/03 16:34】 URL | Zou3 #HZdz7qRk[ 編集]

Zou3さん、こんにちは。
コメント有難うございます。
ナイフは、1/6がなかなか揃わず、このため登場頻度が下がってしまいます。
自作も時間がかかっているのですが、市販品並のものにはなかなかならず、
で苦労しています。
ただ、ナイフファンの方には応援もいただいていますので、
これからも細々と続けていきたいと思います。
では、また宜しければ、見に来て下さい。
【2008/05/04 00:04】 URL | 赤い猫 #ZhRp83qw[ 編集]















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