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今回は、Heckler&Koch(H&K ヘッケラー&コッホ )の Mk23 SOCOMピストルと、その技術を見ながら、技術の利害得失,開発制度(!ここまで大げさではないが)についても考えてみたい。。
Mk23/01


今回は、小さな写真の4分割カットは見難いようなので、単純にカット数を増やしてみた。その分長いが、文章は従来の分量で書いたつもりなので宜しくお付き合いを。

[概要]
1991年、米軍の特殊作戦司令部U.S.Special Operations Command(US SOCOM)が、Close Quarter Battles(CQB=近接屋内戦闘)用の新拳銃の開発をコルトとH&Kに依頼、最初の試験用試作でH&Kの採用が決まり、その後改良テストを経て制式となったのがPistol Semi-automatic.Mark23.Mod.0である。
サイレンサー,LAM(レーザーエイミングモジュール=レーザー光による照準装置)が取り付け可能で、DA/SA(ダブル/シングルアクション=引き金を引くとハンマーが起きていなければそれを起こして撃発,起きていればそのまま短いストロークで撃発する)トリガーを持ち、複列式弾倉で45ACP弾を12+1発装填できる。
高い命中精度を要求されたためか、上記の機構,弾のせいか、非常に大柄になっている。
Mk23は、1996年から納入が開始され、‘97年には、市販もされている。
また、同時期に開発されたUSPと機構上多くの交通点を持つが、パーツの互換性はほとんど無い。
ちなみにMk(Mark)という制式名は、海軍の使っていたもので、陸軍はM(Model;M9,M11など)だ。

Mk23(KSC ガスブローバックガン)
ITI社のLAM(解説は下で)、ナイツのサイレンサー付き。
Mk23/10


米国軍の一般装備、M9=ベレッタM92FSと。
これはマルシン モデルガン。
Mk23/17


海兵隊が使用する、M1911A1の改良型MEUピストルと。
これはWA(ウエスタンアームズ)のガスブローバックガンで、MEUでも前期の型をモデルアップしたもの。
Mk23/18


[太いグリップ]
今回の1/1模型は、KSCのガスブローバックガン。
同社はUSP45,USPコンパクトも出しているので、グリップの周長を比べてみると、USPコンパクト134~138mm、USP45は139~152mm、Mk23は151~156mmとなった(当ブログ測定値、あくまで目安)。
Mk23は全長が長いだけでなく、グリップも太く、サイズはデザートイーグル(過去の記事)並みの大型拳銃で、米国のそれまでの正式拳銃ベレッタM92FS(過去の記事)やM1911A1(過去の記事)と比較しても明らかに大きい。

左から、Mk23,USP45,USPコンパクト。全てKSCのガスブローバックガン。
Mk23/13


Mk23(後ろ)とUSPの後部。
アンビのセフティ,コーティング(KSCではダイキャストのままモールドで再現)され大きいハンマーのヘッド,調整式のリアサイトなど全てに手が入っている(KSCとしてはMk23が先なので、USPに手を入れた、となるのかも)。
mk23/15


トリガー,トリガーガードの比較(これも後方がMk23)。
Mk23はグルーブ(溝)付きトリガーで、トリガーガードも大型かつ指掛けも立派な突起になっている。
トリガーガード前方に穴があるが、これはレーザーサイトなどを固定する為のタップ穴。
Mk23/16


[プロトとマスプロ]
KSCでは、フェイズⅡ(第二段階)のプロトタイプと、マスプロモデル、それに市販モデルまで!バリエーション展開をしている。
マスプロとプロトの2つを入手しているので、今回はこの2つの違いも紹介しようと思う。
KSC以外にマルイでもMk23がモデルアップされているのだが、こっちもフェイズⅡのプロトもモデルアップ(固定ガスガンはプロト)されており、どうやら製品版よりも試作モデルの方が、人気があるようだ。
CZ75は、市販のファーストモデル(初期版)とセカンドモデルをKSCがモデルアップしているが、プロトタイプのモデルアップというのは珍しいと思う。
KSCでは、最近ベレッタ M93Rのプロトタイプもモデルアップしているが、これは商標の問題で社名を刻印できないという、大人の?事情では。

Mk23 プロト(後方)とマスプロ。
両者の違いは、スライド前方のセレーション、セフティレバー形状,サイト横のオレンジのドットの有無、刻印やマガジンベースの形、フレームのシリアルナンバープレートなど、多岐に渡る。
mk23/05


右サイドのカットも。
左がプロト、右がマスプロモデル。
Mk23/08


下側のカット。
今度は右側がプロト、左がマスプロ。
マスプロモデルには、フレーム前方にシリアルナンバーを打ったプレートが埋め込まれており、トリガーガードにも刻印が入る。
mk23/09



[複雑な操作系]
以前、米軍正式のM9=M92FSについて書いたとき、操作レバー等の動かす所が多いという指摘をしたが、これは米軍の好みのようだ。H&Kは同時開発の兄弟モデルであるUSPでもここまで操作系を増やしていないし、他のモデルではなおさらシンプルである。
Mk23は、USPでは一体のセフティとデコッキングレバー(ハンマーを安全にダウンさせる装置)がそれぞれ独立し、更にセフティ,マガジンキャッチがアンビデクストラス(左右両方から操作できる)となっていることもあり、やはり操作系が多い。

上に引き続き、プロトとマスプロで、操作系のアップ。
後ろがプロト、前がマスプロ。両者はセフティの形が違う。
Mk23はスライドストップ,デコッキングレバー,セフティの3つがグリップ上に並ぶ。
mk23/07


[ユニバーサル]
また、USP/Mk23は、H&Kが従来とことん避けてきたショートリコイル(銃身が少しだけスライドと共に後退し、閉鎖機構が解除される)機構を採用したモデル達である。
分解方法も、従来のものとは異なり(機構が違うのだからそれは当然だが)、M1911系を強く意識したものとなっている。
スライドを少し後退させ、スライドストップの突起とスライドの溝を合わせてスライドストップを引き抜く工程まではM1911と全く同じだ。
USP(過去の記事)のときにも触れたが、Mk23の兄弟機種であるUSPは、ユニバーサル・セルフローディング・ピストル(世界規格自動装填拳銃)の略である。
まさかM1911系に合わせる=ユニバーサル化と考えていたのではないと思うし、それなら米国志向で全世界共通というものでも無いと思うが。
逆にこれは、アメリカ志向という事を露骨に出さない為の、ユニバーサル化という表現なのかも知れない。

スライドストップを引き出したところ。
Mk13/19


[Mk23のショートリコイル]
USP/Mk23では、SIG P220のスライドとチャンバーをかみ合わせる結合方法を採っている。
これはもともとプレス鋼板でスライドを作るときに考えられたのだと思うが、H&Kでは、NC(数値制御)フライスによる切削で製造しているUSP/Mk23でも、加工がシンプルなこの方式とした。
これは単にコスト低減だけでなく、シンプル故に高精度の追求にも寄与した面があるのではないか。
コルト,ブローニングが使う従来の3本の溝をバレル,スライドに設ける方式では、3つのうちどれかの一ヶ所だけが厳密にいうと接触している可能性が高い。また、3つの凹凸それぞれの精度を上げても、相互の寸法精度も上げる必要がある。
強度上問題がないなら、一ヶ所で済むならその方が精度を上げやすい。

また、USP/Mk23はチルト・バレル(銃身が傾くことによって上部のスライドとのかみあいが外れ、後はバレルが停止,スライドだけが後退を続け、ケースを排出する)式の閉鎖機構だが、バレルのチルト機構部は他では見られない合理的な構成になっている。
それは、スライド前進用スプリングのガイドシャフト(軸)にカムを設けた事である。
このカムとバレル下のラグがかみ合う事でバレル後部が下がるのだが、従来他社では、スライドストップのシャフトを流用するか、ブロックをフレームに埋め込んでいた。
特にアルミ,ポリマー(高分子の合成樹脂)フレームでは、金属ブロックを使う事が多かった。
USP/Mk23ではこのガイドシャフトをスライドストップで止めているが、これは単に勝手に分解しない(上記のように分解時にはスライドストップを外す)為である。
通常カムの前方にあるスプリングガイドを使ったことで、部品を減らせ、分解,交換もしやすく、またチルト中に本来の動作が必要なスライドストップのシャフトよりも固定されているガイドシャフトの方が、機構上無理が無い設計である。
ガイドシャフトはフレームに固定していないものもあるが、USP/Mk23では、M1911カスタムで見られるように、固定ガイドがスライド前方の位置決めに寄与し、ここでも精度向上に役立っているのではないかと思う。

スライド,バレル,ガイドシャフトを外し、噛み合わせ部分を。
ガイドシャフトの斜めの溝と、バレルのラグ部分が噛み合い下方向に動き、スライド上のエジェクションポート(ケース排出穴)と噛み合っていたバレルが外れる。
KSCでは、反動低減用の2段階機構?リコイルスプリングも再現している。
Mk23/20


[ポリゴナルバレル]
Mk23では、ライフリング(バレル内に刻まれた、弾頭に回転を与える為の溝)には、同社が以前から採用していた6条のポリゴナル(多角形)ライフリングが採用されている。
これは、通常のエンフィールド型ライフリングが内径より少し大きい径となるような溝を数本刻み、段が付いた形(内径のままの部分とそれより大きな径の部分が交互に構成される)なのに対し、断面が角を落とした6角形となるように成形したものだ。
以前紹介したデザートイーグルもこれを採用している。
ポリゴナルライフリングの長所は、角が無いので汚れがたまりにくく、角部分の弾頭が密着しないところからガスが漏れることも無いため初速が上がる、ということだという。
但しポリゴナルライフリングは、現在ではもてはやされる事がなくなっているようだ。
H&Kでは、軍用アサルトライフルG3などにもこれを採用していたが、結局通常のライフリングにしている。
これは拳銃ならともかく、小口径で、かつ高圧できついピッチのライフリングとなるライフルでは、ブレットにエンフィールド型より(口径との相対比でも)大きな変形が必要になるからではないだろうか。
通常のエンフィールド型ライフリングなら、溝の深さは0.1~1/2ミリ(普通は0.1ミリほど、しかしH&KはVP70で0.5ミリ程の深いエンフィールド型ライフリングを刻んだ。但しこれには、ガスを逃がして圧力を下げるという特殊な目的があった)程の程度、これに対し、KSCの模型でみてもポリゴナルライフリングの内径の大小(単に溝にはなっていないので)の差は、その数倍くらいありそうだ。
そうするとガスの漏れは少なくても、効率は必ずしも良くないし、発射ガスだけでなく、変形に対する反力もバレルに負担としてかかる。
現在ボルトでは六角頭やヘックスリセス(六角穴)のものが多く用いられているが、大きな動力の伝達で分解の必要な所にはエンフィールド型に似たキー溝やスプラインが切られるように、やはり引っかかりがあるほうが外れにくく、逆にその凹凸も小さくできるのではないだろうか。
拳銃でも、このバレルは削りで作り難く、H&Kのようにコールド・フォージン(冷間鍛造=軟化する温度まで熱せず、大きな外力で変形させて成形する)で作るなどの方法を要し、大規模な設備が必要になる。
Mk23の米軍への納入数は数千とか聞くので、これだけの為に設備するなら全く割に合わない機構だったと思う。

Mk23プロトとマスプロで、マズル(銃口)部分。
インナーバレルの色が違うが、これは仕様の違いによるもの。
KSCでは数回、主に機関部のマイナーチェンジをMk23に施している。
Mk23/06


[マイナス隙間]
また、精度向上の為に、バレルにゴムのOリングをはめ、ガタつきを減らすだけでなく、いわゆるマイナス隙間としている。
コルトも、MkⅣ シリーズ70でバレルブッシングに板バネ作用をもたせ、精度向上を図っていた。
機械要素では、ガチガチに変形しない剛体を隙間の無い,もしくはマイナス隙間とする機構では、まず組み立てられないし動かない。
また、動いたとしても、作動が不確実で重い,直ぐに摩耗,焼きつきを起こしてしまうなど、問題を抱えることにもなる。
製造上の制約もあるが、クリアランス,バックラッシュは必要な隙間でもある。
そこで、バネ作用を持つ弾性体を使い、そのバネの力で押しつけ、隙間を無くす方法がとられている。
Mk23もこれに倣ってバレル-スライド間の隙間を無理なく殺し、25m5発で64mm以内という軍の要求ラインを、3万発撃った状態の銃でも実現するという。

バレルのOリング。サイレンサー取り付け用のタップの後ろにある、緑色のものがそれ。
Mk23/14


[オプション装備]
Mk23は、開発当初から特殊任務の為の各種オプションの装着が求められていた。サイレンサーは当初H&Kで試作されたが、その後ナイツ社から供給されるものに切り替えられている。
LAMも試作ではITIのものだが、その後ウィルコックスのものが試されている。

写真では、横の部品を一つ付け忘れているが、これはITIの物を模した社外品のガレージキット。
ちゃんとHWS(ハートフォード)のレーザーが仕込め、写真のように後方のスイッチを使い点灯させることが可能だ。
固定も前述のトリガーガードのタップ穴にスクリューが入って前後も動かない。
但しフレーム前方の取り付けレールは、一般的なピカティニーレールではなく、この為アダプターを使用しないと使える機種が限られる。
そしてネジ式の固定より、ピカティニーのラッチ,ラグ式のワンタッチの方が素早い装着が可能だ。
Mk23/11


[オープンな秘密兵器]
ハイスタンダードのHDモデルは、パワーズ事件でソビエト側に拿捕されるまで秘密だったし、S&WのM39,M59をベースにしたMk22(過去の記事)は、生産数が少ないこともあってか実物の画像も見かけない。
Mk23のサイレンサーはその内部構造も明らかにされていないが、本体は上記のように市販され、また販売前でもショット・ショーなどで公開されていた。
それまでのサイレンサー付き拳銃が、トップ・シークレットの扱いで、その存在,姿の写真が公開されなかったのとは大きく違う。
これは思うに、開発の経費がかかる割に生産数が少なく、これを解決するために情報公開,市販をメーカー側が求めたのでは。
ライフル,マシンガンはともかく拳銃の採用実績に乏しかったH&Kにとっては、初のビッグタイトル?黙っていろというなら引き受けないつもりだったのかも。

[1/6]
それでは1/6ミニチュアを。
まず上はドラゴンの装備セット(下写真)のもの。そして下は単品購入で金属製(サイレンサーも金属)のもの。
Mk23/02


ドラゴンの装備セット一式と、金属製Mk23。
ドラゴンのセットには、トップのカットで使ったウィルコックスらしきLAMとサイレンサーも付属、ホルスターもある。
更にスライド,ハンマー,トリガーまでも可動、そしてスライドはグレーに、フレームはブラックと塗り分けされている。
Mk23/04


[豪華装備]
Mk23は、他に無いほど盛りだくさんの要求に応えた、高精度で豪華なモデルとなった。
しかし、コストだけでなく、大きさやマガジンキャッチの方式などが嫌われ、米軍の特殊部隊内でもM1911系の使用を続けるところもあるようだ。
マガジンキャッチなどは、誤動作の危険はあるものの、それはM1911系にも言えることであり、操作方法自体は決して不評を買うようなものでは無いと思う。更にアンビになっており、これは利便性が上がっているはずだ。

但し、サイドアームズ(従,副装備の火器)としては大き過ぎ、またコンパクトマシンガンの方が制圧力も保持性(これらの多くはフォアードグリップを持っており、それに対しMk23では結局グリップ部だけで握ることになる)もいい。
重装備,高精度,耐久性の確保という命題によって軽さやコンパクトさを失った面は否定できないが、どうもこれは最初に出した要求が、それこそ雲をつかむようなオーバースペックで、現実を捉えていなかったような気がする。
それに最後まで付き合ったH&Kも大変(いやむしろ予算がついて技術研究が出来、市販もしたしPRにもなって一石三鳥だったかも)だが、一番迷惑だったのは高い買い物の代償を払わされる米国民では。
ここで以前少し述べたかもしれないが、某国自衛隊?の狙撃用ライフルも、結構吹っかけられており、これは国会でも取り上げられたが、ガンロッカーなど周辺装備まで含めた価格なので高くない、とかいうことでうやむやになったような。
その後、もっと大きな案件で商社が不正を働いていたことが明らかになったが、この件も総額で考えればロッカーどころか射撃場が一つ出来そうな額の上乗せだったように思うのだが。
くわばら、くわばら。

ハイテク満載で特殊部隊ご用達、そして大きくて実物は高嶺の花、横綱相撲のようだが、シャープでごつくていかにもドイツ、のデザイン。
Mk23、経緯はともかく、やはり格好良いと思う。

それでは今回はここらへんで。
mk23/03

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はじめまして、「KSC Mk23」で検索していたところ、Googleの検索に引っ掛かりました。


Mk23はサイズが好きです。手に持ってるだけで楽しくなってきます(笑

突然で失礼かと思いますが、LAMのガレージキットについて管理人様に質問があります。
こちらのキット、よろしければ取り扱っているお店を教えていただけないでしょうか?探しても見つからず、諦めかけていたところです(^^;


それでは失礼します
【2008/06/24 19:45】 URL | Roots #-[ 編集]

Rootsさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
記事のITI LAM ガレージキットですが、モデルワークスグレネードというところのものです。
ただ、入手は5年ほど前で、現在は在庫なし,再生産未定となっています。
以下に広告が残っています。
http://homepage3.nifty.com/grenade/05%20gun%20001/gun%20001-01.html
お役に立てなくて申し訳ありません。
【2008/06/24 23:19】 URL | 赤い猫RRⅢ #u5FagZvM[ 編集]

再生産未定ですか…残念ですが仕方ないですね。


突然の質問に答えて頂き、ありがとうございました。また覗きに来ようかと思います(^^)
【2008/06/25 14:39】 URL | Roots #-[ 編集]















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