ADMIN TITLE LIST
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2
今回はマルシンの新作(ちょっと遅いですけど)、マテバM-M2007を。
M07/01
マテバはイタリアのメーカーで、マキナ・テルモ・バレスティック社というのが、正式な社名のようだ。
同社は非常に変わった構成のリボルバー(回転式拳銃)を数々作り続けており、ともかく出るモデル出るモデル、常に意表を突くことに全精力を傾けたような、変わったメーカーである。

[特異なレイアウト]
そう、2006M(M-M2007)は珍銃である。単に欧州の変わったリボルバーというなら、コルスもマニューリンも存在する。
しかしマテバは、その上を行く(褒めていない)奇怪な構成を実現してしまった。
すなわち、バレル(銃身)を従来とは逆、シリンダー(円形の弾倉)下側に配置したのである。
M07/16
開発陣の主張はこう云う事のようである。反動の起点であるライン・オブ・ボア(銃腔の中心)と、銃を保持するグリップとの距離を小さく出来るため、マズル・ジャンプ(反動による跳ね上がり)を抑えられる。
しかし、Gun誌のリポートなどでは、反動の違いは判らず、逆に照準が狂いやすいという。
これは何故か。
今回模型を入手したので、このM-M2007で2006Mのレイアウトについて検討してみようと思う。
趣旨上、マテバはこき下ろされるのだが、書いている本人も、発売と同時に入手しており、実はこれ、面白いし、好きなのである。
どうかマテバファン,攻殻ファンの方も、広い心でこれを見て、機構についての考察を楽しんでいただければ、と思う。

[キャラクター商品?]
今回、マルシンは、同社のモデル2006Mをベースに、士郎正宗氏原作の映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」のオフィシャルライセンス商品として、トグサの銃 マテバM-M2007を発売した。

M-M2007。マルシン製の8mmBB弾仕様のガスガン。これは6インチバレル仕様を再現しているようだ。
M07/03

実銃2006Mでは、バレルが2インチから6インチまで、何と7種類用意され、ダン・ウェッソンのように、バレル交換も可能だという。
M-M2007は架空設定とのことだが、2006Mの357マグナム仕様がオート用の9×19mmになっているくらいである。
しかし、パッケージも説明書にもキャラクター、トグサが描かれ、強く映画を意識させる。
これは、当然、少なからぬライセンス料を払っているはずであるが、2006Mをそのまま出しても売れない、という危惧があったのではないかと思われる。

M-M2007とセブロM-5(右)。
M-5は以前紹介(過去の記事)した、大日本技研のレジン一体キャスト製モデル。
これは「攻殻機動隊」のS.A.C.シリーズで描かれたものを模型化したもので、セブロ社自体が架空のもの。
M07/12

[ハイグリップ]
マテバ設計陣の主張の通りなら、2006Mはいわゆるハイグリップの状態である。
ここでS&WのM19と比較してみよう。
M19は愛称コンバットマグナム、S&Wのベストセラーで、357マグナムリボルバーの中では比較的軽量,小型のKフレームと呼ばれるフレームのモデルである。
これはHWSのモデルガンに、同社のスマイソン用(元はCMC製)ワイドトリガー(引き金),ハンマー(撃鉄=カートリッジ底を叩き、発火させる部品)を取り付けたもの(画像上)。
M07/05

M-M2007とライン・オブ・ボア-グリップポジションの比較を(左がM19)。
M07/10
見て判る通り、ほぼ同じである。
S&WではJフレームでも357マグナムを撃てるモデルが存在する(装弾数は5発)が、これは更にシリンダーが小径であり、こうなるともう2006Mのメリットは完全に無い。
当たり前の事だが、撃発する為の機構がシリンダー後方に必要である。何かトリックを講じなければ、バレルが下に移動すれば、このメカも下に移動する。2006Mを見れば、グリップの高さはこのメカの露出型ハンマーが決めている。
つまり、シリンダーがライン・オブ・ボアを軸に上下移動しただけで、狙いを実現できていない構成なのだ。

M-M2007のハンマーコック状態。ハンマー位置がハイグリップの限界を決めているのがわかる。
M07/14

そして、バレル上にエジェクターロッドシュラウド(排莢器覆い)を伸ばしているが、コルトのパイソンなどのように、ウエイト(パイソンの場合はバレル下に位置する)にはなっていない。
更にM2006(M-M2007)では、全長が少し短くなった代わり、全高が増しており、携帯時にはグリップが張り出し、大型化してしまっているような印象を受ける。
また、全長が縮み、グリップのかなり上にシリンダーが配置された為、銃の重心は上でかつグリップに近いところにきており、この点ではマズル・ジャンプは大きくなるはずだ。

[ハイグリップの功罪]
根本的な問題に戻るが、ハイグリップは必ずしも良い事ばかりではないのだ。
ほとんどの要素には、メリットとデメリットがあるように、ハイグリップは反動によるマズルジャンプを少なくする一方、衝撃はより強く射手の手を襲うのである。
マズルに発生する反力を、ストレートに受けると、力はそのまま同じだ。
これを、手首を支点にして上に向かって上がる力と、手首を後方に押す力に分けた場合、当然だが、手首を後方に押す力はマズルに発生する反力より小さくなる。これは上に向かう力が増えるほど減る。
つまり、(実際は実現していないが)ハイグリップ化すれば、手,特にウェブ部分に大きな衝撃がかかり、決して撃ちやすい,受けやすい反動とはならなかったのだと思われる。
ちなみに反力が例え伸ばした腕にストレートにかかっても跳ね上がりは少ないというだけで無くならない。
なぜなら反動を受ける射手の身体が最終的にはボアラインよりずっと下の地面に接地しており、これが剛体でない以上、体の各部が支点になる形で動くので、この分上がる(これを抑える為に前傾姿勢をとり、発射時に力を入れて踏ん張るのだが)。
だいたいストレートが有利なら、あらゆるものがそうなるはずだ。

他のメーカーの357マグナムリボルバーとも。
コルト・パイソン(左、タナカ ガスガン),M-M2007,ルガー・セキュリティシックス(右、WA モデルガン)
M07/04

現実問題としては、回転を抑える手の力などと、後方に押される力のバランスが上手くとれている銃が撃ち易い、ということになると思う。
更にスターム・ルガーのスーパーレッドホーク アラスカンモデルなどは、グリップが少し回転するようになっており、これでリコイル低減を図っている。
ショックアブソーバのように、この回転機構が持つフリクション(抵抗)がエネルギーを吸収(熱に変換)する効果も少しあるだろうが、それよりこれは動くことで衝撃のピークを下げ、伝達時間を延ばし、エネルギーは同じでも負担を下げている(マイルドなリコイルになる)のだと思う。
マテバの主張するハイグリップ化が有効なのは、せいぜい9mmオート止まりで、マグナムリボルバーに対しては適切では無い気がする。
そうすると、もともとの企画意図から、間違っていたのではないだろうか。

M-M2007で仮定されている使用弾、9×19mm(ルガー,パラベラム)弾を使う名銃で、ハイグリップを狙っていないSIG P226(左)と。
画像の右上にあるのは、9×19mmのダミーカートと、今回のマテバに初回生産限定で付いてきた9mmマーカー弾(これも勿論フィクションのもの)。
M07/11

[サイトのパララックス]
この構成は、反動処理上良くならなかった、というだけでなく、弊害も生んでいる。
その最たるものは、ライン・オブ・ボアと照準線が大きく離れてしまったことだ。
この結果、距離,照準の狂いによる着弾のズレは大きくなり、競技用ならこのような構成は無しである。
直銃床を持つアサルトライフルでは、これが難点だったが、射程が短く、弾道がフラットな軽量高速弾を使ったこと、光学サイトなど各種照準器が使われるようになったことがこれを補っている。
マテバの場合、調整式アイアンサイトが装備されており、また、光学機器の取り付けオプションレールなども装備されていない。つまり狙いはズレ易く、当たらない構成ではないだろうか。
もちろん当時、ピカティニーレールが普及していなかったという事情もあり、今ならこの点は改善するかもしれない。
M07/09

[装填,排莢]
更にM2006(M-M2007)では、バレルとクレーン(ヨーク=シリンダーを支える腕状の部品)が干渉するのを避ける為、シリンダーのスイングアウト(振り出し?)支点も上に持ってきてしまった。
そしてシリンダーのスイングアウト角度を、通常の90度程度から倍以上、180度を超える大きなものとしている。
M07/13
これはシリンダーが自重で下がらない(閉じない)よう、支点を越えて反対側に位置するように、ということらしい。
実際に操作するまでは、これはこれで良いのではないか、と思っていたが、これもやはりバツであった。
シリンダーを上に押し上げるのはやはり抵抗があるが、これは銃を横にして操作すればシリンダーが勝手に戻ることはない。しかし左手でエジェクターを押してケースを飛ばそうとすると、シリンダーは右側に出ているので、手を交差させる形、しかも空ケースを落とすには先端を上げた形でこれを行うことになり、非常に使いにくい。
更に、パッケージのイラストにあるように、右手でシリンダーを保持するとなると、まずシリンダーが熱いときはやりたくないし、左手でグリップを握って右手でオープンラッチを押す、という左効きの使い方か、一度左手でこれまた熱くなるバレルあたりを掴む必要があり、実用的では無い。
マテバも、新しいモデルである6ウニカではヨークの動きが逆、普通のリボルバーと同じに戻している。

[チャレンジングスピリット]
バレルが下にあるものが、過去作られたかというと、それは見つけられなかった。しかし、独創的チャレンジだから優れているか、というとそれは違う。
M2006は謳っているメリットを感じさせず、デメリットが目立つ結果となったようである。
厳しい評価かもしれないが、このレイアウトは失敗である。
回転式拳銃は既に150年に渡って製造,使用されてきており、その中で淘汰され生き残った姿を今我々は見ている。
マテバはどうやら、それまでのリボルバーの歴史を学んでから作り始めたのではなさそうである。
M2006の前身のモデル、スポーツ&ディフェンスは、リボルバーの後ろにオートピストルが付いた、といったような形で、3インチ銃身にもかかわらず全長が6インチクラスのサイズ(床井雅美「最新ピストル図鑑Vol2」参照)である。これでディフェンスとはどういう事かと思いたくなる長さだ。
更に2006Mのあと作ったのは、昔英国のウェブリーがやったオートローディング(ロテイティング=回転)+コッキング式のリボルバーである。
これは2006Mの反動の問題を、先ほどの回転式グリップやオートピストルと同じくスライド動作機構で時間的に幅を持たせて衝撃のピークを下げる事で解決しようと考えたフシがあり、それなら一歩ずつ前進はしているのだが、今度はリボルバーの利点である使用カートリッジの自由度を下げてしまっている(これも手動なら使えるが、それなら半自動式機構の必要性は?)。
そして機構,構成は違うが、この逡巡は約100年前に既に行われ、結果ウェブリーの半自動式は一代で消えたのである。

更に現代、回転式が既に主流の形式では無くなっているのだから、これを支持し続ける層は、実利があるか保守的か、であり、もともと保守的傾向が強い拳銃の世界でも革新的なものが受け入れられ難い側面がある。
それにしても成功するかは、設計段階で充分予測できたことではないかと思うのだが。
何もメジャーなS&Wが一番であると盲目的に信じる必要は無いし、それを更にデッドコピーしただけのものが普及するのも面白みは無いが、単に変わった構成でメリットが無いなら、支持を広げることは出来ないと思う。

合理的な観点から見れば、マテバは全くの、ということになるのだが、やはりたまにはこんな変り種が出てこなければ面白くない。
もちろんトイガンなら今までモデルアップされていないものが出るのは、それだけで嬉しいが、ここまで思い切り変わった機種で無ければ注目度も上がらず、製品化できなかったかも知れない。
更にいうなら、こういう「変わった」ものを楽しむ購買,使用層も、豊かで精神的に遊び,余裕があるのかも。
そしてこのような商品を開発するという決断を行った、マルシンの(キャラクター商品という保険は打っているが)チャレンジングスピリットも称賛したい。

M07/07

[数字を操る悪魔]
昔、このような話を読んだ事がある。
「この模型はここが何ミリ短い、ここは何ミリ長い。」というような記事を書く模型(スケールモデルだが)ライターを、読者が数字を操る悪魔と呼んでいた、というものだ。
この読者の主張はこのようなものだったと思う。
「自分はその模型を気に入っている。それを、些細な寸法を捉えて非難するのが気に食わない。彼は数字を操る悪魔だ。」
まず、自分の主観を尊重するなら、相手の意見も、同じように尊重すべきだ。
おまけにこのライターの手法は一応科学的手順に則っている。
非難はこの読者の独善であり、一顧だにされるべきものではない。
しかも悪魔だ。以前AK47のところでこれについては論じたが、もう何をか云わんや、である。
そして、もし記事が批判を無くし、製品を皆賞賛するだけだったら(商業主義によって雑誌がこうなってしまった感もしないでもないが)、それはカタログで良いのではないか。
ジャーナリズムを理解せず、他の客観的考察を聞きたくない、というなら、雑誌や文献を見なければいいのである(逆に、調べようにも、情報が遮断されている社会は、幸福だろうか)。
写真分析や実物測定と模型の比較は、何も非難だけでなく、設計者に一層の向上を促し、粗悪な商品を消費者が掴まされることを防ぐ、社会的意義もある。
そして消費者は情報を知った上で、その再現性と価格などの要素をバランスして勘案し、購入を決めることが出来る。
更に、ユーザーにとっても、より実物に近づける為のカスタムの助けになるだろう。
そして、このライターは、目の前の模型への愛に溢れていたのではないかも知れないが、きっと実物のフォルムや、その再現に、並々ならぬ情熱を持って資料を調べ、検討を重ねてその成果を披露していたのだと思う。

この話には更に続きがある。
トイガンの評論が、以前は海外の文献に頼っており、1インチ=25.4ミリという基準で、模型のバレルが短い、とか雑誌で(別の)ライターが書いていたのだが、実物を計ってみると5~10パーセントくらい短かった、写真から計測して寸法を割り出した模型の方が近かった、という事実が出てきたのである。
いいかげん(インチだったら誤差の範囲内ではある)なデータより、模型設計者の考察の方が正しく、多分彼は自分を信じ、これを通す為に非常な決断力,信念が必要だったと思うと、これを雑誌とはいえ公の場で批判(数字を操ったというより操られた感じだが)してしまった過失責任が、雑誌を書く側にはあったと思う。
さきほどの批判が当たっていた、という訳ではないが、いかにももっともらしく見える、数字を安易に振りかざすのは危険があることも、教訓にしなければならないのではないかと思う。

話を戻そう。くだんの読者は、似顔絵が写真と違って味があるように、模型作家の表現を見たいのだ、という主張もしており、個人的には模型はやはり写実主義であるべきだと今でも思うが、こういう主張自体はいっこう構わないし、自身の考えには無いこの主張にも、耳を傾けるべきものがあると思う。
更に模型は、完全にオリジナルと同じには出来ない。
コスト,素材,法規など様々な制約があるからだ。
その中で全体としての雰囲気を出来るだけ出す為に、逆にデフォルメすること、足りないところを想像で補うことも(最低限に止める努力も要ると思うが)必要なのではないだろうか。

さて、その読者だが、彼は今なんと雑誌のライター、しかも多くの読者に愛される、人気ライターになって活躍している。
上の話は、彼が一読者(子供?)時代を語ったものだ。
確かにその態度には問題もあったが、彼はいまでも読者の視点を持ち、批判的な態度をとらずに常に親しみやすさを信条に、また対象に愛を忘れずに書いているように思う。
ジャーナリズムを否定するのは認められないが、雑誌記事は情報だけではない。
対象(その違いによって上のような相克が起こることもあるが)に情熱,愛情を示し、それを伝えることで読者に共感を呼び、同じように熱い思いを育む事も、大切な責務かも知れない。

最後になったが、今回の1/6模型は2006Mではなく、おそらくタカラ 攻殻機動隊フィギュアに付属のマテバで、6ウニカベースのカスタムらしきものを使っている。

長い話にお付き合いいただいて感謝。それでは、今回はここらへんで。

M07/02

web拍手 by FC2



こんにちは。レビューをたのしく読ませていただきました。
ワタシもどんな機構なのか気になってマテバを買いました。しかもホルスターとセットで予約までしちゃって(笑)。
ホルスターがまた、アレな代物でスナップが変な付き方しているので、GUNを抜きずらいこと!
それから、ご存知かと思いますが、
以前、実銃のオートリボルバーのレビューの翻訳版に、打ち終えた後にハンマーを落とさないとスイングアウトできないとありました。
う~ん、流石マテバたまりませんねェ、色んな意味で(笑)。
今後もメーカーさんには、がんばって欲しいです。マテバもマルシンも。
【2008/09/04 23:55】 URL | 渡り鰤 #99DFA69w[ 編集]

渡り鰤様はじめまして。
コメント有難うございます。
そういえばオートコッキングは、最終弾を撃ったらコッキングされたままになりますね。
コッキング状態ではSWもコルトもシリンダーが出ないようですので、マテバはハンマーを落とさないといけない!
でも、ウニカも出来たらモデルアップして欲しいと思います。
寂しいところですが、細々やっていきますのでまた宜しければ覗いてやってください!
【2008/09/05 21:03】 URL | 赤い猫RRⅢ #-[ 編集]















管理者にだけ表示を許可する



| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2017 Gun1+1/6, All rights reserved.
まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。