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今回はスタームルガー社を代表するモデルのひとつ、
スーパーブラックホークを。
sbh/01

[1/1トイガン]
まず今回はトイガンの説明から。
スーパーブラックホークは、モデルガン化の歴史が古いモデルである。
古くは海外製のSAA(シングルアクションアーミー)トイガンを改造して
ブラックホークとし販売した、という話も聞く。

本格的なモデルガンとしては、ウエスタンアームズが真鍮製の高価な
モデルを出し、その後ハドソン,マルシン,ウエスタンアームズから金属
(ウエスタンアームズはニューモデル)モデルガンが、コクサイから金属,
ABS製でモデルガンが、スズキからはABSだけで、またマルイからは
ABSの作るモデルガンとして、ニューモデルスーパーブラックホークが
作られた、という。

そしてガスガンでマルシンからHW樹脂製のニューモデルタイプが発売
され、これが現行(在庫は無くてもディスコンしていない)としては唯一
のモデルとなっている。

手元には、コクサイで10,7.5インチ、マルイ7.5インチ、マルシンの7.5
インチがある。

sbh/03
スーパーブラックホーク7.5インチのトイガン3種。
左から、マルシン(ガスガン)、マルイ(モデルガン)、コクサイ。


[1/6]
今回の1/6モデルは、ニトロプラスの「続・殺戮のジャンゴ」という成人
向けゲームのキャラクター「黒のフランコ」のフィギュアに付属して
いたもの。

フィギュアの手に接着されており、グリップ右側には取り付け用の突起が
あったが、それを削り落としている。

物語はSFで使用銃はスーパーブラックホークのレプリカ、という設定で、
表面に象嵌かエングレーブが施されているものがモデルアップされている。

フレームのピンが2本なのでニューモデルを模しており、ハンマーが起きた
状態で固定されているが、カートリッジの頭がシリンダーからのぞくのも
再現されるなど、実に細かく作りこまれている。

スケールは実物のメーカー公表値と比べると1/6.4といった感じで少し
小さいが、1/7よりは大きい。

sbh/05
1/6(左)と、各種ダミーカートリッジ、マルイ製スーパーブラックホーク(後方)。
カートリッジは、左から30カービン,357マグナム,45ロングコルト,44マグナム。
左の3種がブラックホーク用、右の44マグナムがブラックホーク,
スーパーブラックホーク用。


[開発の経緯]
スタームルガーは第一作である22口径の自動装填式拳銃(22スタンダード
ピストル)が成功し、同じく22口径でコルトのSAAを模した
シングルシックスを1953年に発売する。

シングルシックスは回転式弾倉を持つソリッドフレーム(フレームが一体
で、弾倉取出しの為に分かれない)を持つシングアクション(発射には、
ハンマーを起してから引き金を引く必要がある)のクラシックな
リボルバー(回転式拳銃)だ。

sbh/06
スタームルガーの22口径2種。
ハドソン モデルガンのベアキャット(左 このモデルについては後述)と
マルシン ガスガンの22スタンダードピストル。
左端のカートが、使用弾である22ロングライフル。


シングルシックスは、西部劇のブームによる懐古趣味、シンプルで堅牢な
銃を好む層の存在などから支持を受ける。

1955年、スタームルガーはシングルシックスの口径を拡大、パワーを大幅
に増した357マグナム仕様のブラックホークを発売、これも好調で、
スタームルガーは22口径のプリンキング(競技や狩猟ではなく、単に射撃
を楽しむ行為)ガンのメーカーから、本格的なハンドガンメーカーへと
成長する。

ブラックホークは357マグナムのほか、45コルトや30カービン、そして自動
装填用の45ACP,9ミリまでコンバーション(他の弾薬と弾倉を替えて使用
できる)口径バリエーションを増やすが、最も強力なカートリッジ、
44マグナム版も1956年に登場する。

しかし、このブラックホーク44マグナムがオーバーロード(装薬の増量)
で破壊した、とかいう雑誌記事が出たらしい。

このことが原因で、とは限らないと思うが、スタームルガーは短期間で
357ブラックホーク改44マグナムの生産を中止、大型で頑丈な専用フレーム
の44マグナムブラックホークを作る。

更に1959年末、スタームルガーはスーパーブラックホークを開発,
併売する。

sbh/04
スーパーブラックホーク(コクサイ)10インチと、357ブラックホーク
(中央=コクサイ,下=スズキ)。


スーパーブラックホークは、強度不足とされた初期のブラックホーク
44マグナムに対して、徹底的に強度向上を目指して改良を重ねたような
スタイル,仕様だ。

それまでアルミ合金製だったグリップフレームを本体と同じクローム
モリブデン鋼とし、トリガーガードをドラグーン(後端が直角)タイプ
に、シリンダー(回転式の弾倉)もフルート(軽量化の為の溝)を
持たないアンフルーテッドタイプ、フレームもリアサイト付近を高く
盛り上げた形としてサイトを保護すると共に、フレームの強度アップも
図っていた。
またハンマーも指掛けの部分が分厚いワイドハンマーとし、トリガー
(引き金)にも滑り止めのグルーブ(縦溝)が刻まれた。

sbh/08
マルイとコクサイのモデルガンで、ブラックホークとの仕様の違いを。
青い矢印がブラックホークの特徴で、左下からトリガーガード,フルート加工、
ナロー(幅が同じ)ハンマー。
スーパーブラックホークは赤の矢印で、左からドラグーンタイプ
トリガーガード,ワイドハンマー。


シリンダーのフルート加工は、パーカッション式からカートリッジ式に
進化するときに一般化したものだが、スタームルガーは1958年に
ベアキャット(上の画像)でアンフルーテッドシリンダーを採用
している。

ベアキャットはシリンダー側面に熊とピューマの模様をロール・マーク
(スタンプ)しており、この模様を付けてパーカッション式の
クラシックなイメージを取り入れたかったのだと思うが、
スーパーブラックホークも、通常版とは差別化を図る上で、
よりクラシックなスタイルを目指したのかも知れない。それはトリガー
ガードもクラシックなドラグーンタイプとしていることにも表れている。

sbh/11
コルトの19世紀のパーカッション(非カートリッジ)式、M1848ドラグーン
(右 HWSモデルガン)とスーパーブラックホーク(左 マルシンガスガン)。
ドラグーンタイプのトリガーガード、そして形式が違うが、アンフルーテッドの
シリンダー側面が同じだ。


結果的にはスーパーブラックホークが“ミソの付いた”ブラックホーク
44マグナムにとって代わり、後にフラットトップと呼ばれるスタンダード
モデルの44マグナムは1962年に製造が打ち切られる。

また、フレーム上部のサイト保護を兼ねた肉盛り形状は、同年
ブラックホークでも採用されているようだ(今回のブラックホーク
モデルガンもこの形状)。

[スーパーブラックホークのバリエーション]
357ブラックホーク改44マグナムは短期間で製造中止したが、専用
フレームのフラットトップブラックホーク44マグナムは6.5インチバレル
(銃身)が標準で、少数7.5インチ,10インチ版も作られたという。

スーパーブラックホークでは7.5インチが標準で、1960年、
スーパーブラックホークは鉄製のサイト,エジェクターロッド
ハウジング(バレルの横のパーツ)がアルミ化された。

またブラックホークシリーズは、1973年(Gun誌1978年7月号では1968年)
にトランスファーバーシステムを搭載したニュータイプにモデルチェンジ、
スーパーブラックホークもこの仕様になる。

トランスファーバーシステムはトリガーに連動したトランスファーバー
を介してハンマーの衝撃をファイアリングピンに伝えるもので、同時に
ハンマー操作無しにシリンダーゲートを開くだけでシリンダーをロック
しているボルトが解除され、シリンダーを回転(して順次カートリッジ
交換)できる機構も採用されている。

sbh/12
コクサイのオールドモデルとマルシンのニューモデルで、外観の比較。
オールドモデルはSAAと同じく、フレームに3本のスクリューがある(青い矢印)。
ニューモデルは、フレームのピンがマイナス用ヘッド無しの2本(赤い矢印)と
なっている。


ニューモデルになってから、バレル長は7.5インチ以外に10インチが作られ、
更に時代が下ると5.5インチなどのバリエーションが増え、現在光学照準器
の取り付け用リブをバレルに持つハンター,より湾曲したグリップを持つ
ビズリーもラインナップ、バレル長は限定モデルも含めると3.75~10.5
インチが存在する。

スーパーブラックホークの特徴だったアンフルーテッドシリンダーと
ドラグーンタイプのトリガーガードを廃したモデルも現在は作られており、
また、ブラックホーク44マグナムも、オールドモデルの外観でニューモデル
の機構を備えたアップデート版として50周年記念モデルが作られるなど、
幅広いバリエーションが出ている。

また、スーパーブラックホークのトリガーガードは、やはり両手保持では
角が指に当たり、射撃時の衝撃で指を傷めることがあり、社外品の
オーバーサイズグリップではここを覆う形になっている。

sbh/07
左がノーマル、中央はヘレット形(取付寸法が合わず、隙間があるが)、
右はパックマイヤー(これもそのままでは合わないが、フレームを削っている)のグリップ。



[コルトの誤算]
スタームルガーのソリッドフレームシングルアクションリボルバー群の
成功は、コルト社には少なからぬ驚きだったと思う。

コルトは戦後(第二次世界大戦後)SAAの製造を停止、製造設備も廃棄
してしまっていたという。

新興メーカーが旧い自社製品の“焼き直し”で儲けているのを、指を
咥えて見ていることはない、とばかりに、コルト社は対抗馬として
ニューフロンティアを作り、また元のSAAを再生産している。

sbh/09
357ブラックホーク(左 コクサイ)と、コルトニューフロンティア357(ハドソン)、
SAA(ハドソン)。
3種共にモデルガン。


結果的にコルトは需要予測を見誤っていたのだが、ここには“今まで
起こったことがない”現象があったので、コルトには無理なからぬこと
だったかもしれない。

ブラックホーク登場の頃、コルトは最高級リボルバーとしてパイソンを
開発,発売している。
もちろん、パイソンはその後コルトを代表するモデルのひとつとなり、
また復活したSAAは、これも何度も再生産されているが、現在コルトに
過去の栄光は無い。

sbh/10
スーパーブラックホーク(右 コクサイ)とコルトパイソン
(左 タナカガスガン)。
共にカートリッジ交換時の状態だが、スーパーブラックホークは一発ずつ
排出,装填する必要がある。


コルトは高度成長期から後、価格を下げることが出来ず、高級品市場は
ともかく、多くの顧客をスタームルガーなど新興のメーカーに奪われて
しまった。
本家のネームバリューはともかく、ブラックホークの価格を実現すること
はできなかったのである。

[スタームルガーの戦略]
実はスタームルガーの創業者であり、デザイナーでもあったビル・ルガー
は、かなりスマートであると思う。

まず第一作の22オートピストルの開発時から、ルガーは出資者であり、
共同経営者であったスタームの意見を入れて、たぶん普通はやりたくない
であろう、名前の類似性を利用し独ルガーP08に似せる、といった変更を
受け入れた。

ビル・ルガーは南部式小型がお気に入りだったとも言われ、また実際の
機構はコルトウッズマンなどを大いに参考にした跡が伺え、P08の影響は
外観のみに留まっている。

そして、この需要予測、戦後大量の銃器がダブついて放出されているなか、
生活が豊かになり、今度は趣味として手軽に撃てるピストルが売れる、
つまりプリンキング用途に着目したことも、先見の明があったと思う。

更に、22オートピストルの成功後、プレス構造の生産技術を活かすには、
大口径オートが次の作品になったほうが良かった(実際、後にSIGが
軍用オートピストルのスライドを厚板プレスで作る)かもしれないが、
敢えて全く違うスタイル,生産方法の、オールドスタイルのリボルバーを
作った。

グリップフレームとトリガーガードを一体化させてアルミのキャスト
(ブラックホーク)とする方法や、ロストワックス工法の導入など、
スタームルガーは本家コルトが再生産しても価格で勝負できるだけの技術
をもって、勝負を挑んだのである。

仕上げは当時のコルト,S&Wより劣ったかもしれないが、後のAMTが
ハードボーラーでやったように梨地の表面ではなく、ちゃんと研磨工程を
踏み、外観も含めてリーズナブルと思える設定は、やはり商売上手だった
のではないだろうか。

また当時はテレビジョンの普及期で、西部劇が劇場だけでなくテレビでも
放映され、人気を得ていたが、敢えて旧式のシングルアクションで挑んだ
のは、もちろん22口径から、という作戦はあっても、大変な決断である。

というのは、過去に旧式銃が復活流行したことは無く、コルトもS&Wも
当時新型リボルバーを模索していたのだ。

19世紀に建築においてゴシックリバイバルが起きていたが、旧式で装填に
手間がかかるソリッドフレームのシングルアクションの方が売れる、
などという現象は、利便性や操作性の向上を設計主眼においていた者に
とっては、信じられない事だったかもしれない。

スタームルガーが市場調査をやったにせよ、未だ起こっていない現象を
高い確率で予測できたとは思えない。

ただ、ビル・ルガーは公務員としてスプリングフィールドに務めた経験が
あり、そのときに給与面の将来性から見切りをつけて起業したようなので、
コルトのように官需で経営の安定を得た企業とは逆に、民間市場の動向に
まさに”命運をかけて”、このチャンスに乗ったのではないだろうか。

また、シングルシックスの時から調整式サイトを付けるなど、若干形は
ターゲット向きに変えていたものの、スタイルをコルトから”頂いて”
おり、更に44マグナム版ではカートリッジをS&W(レミントン)から
採って(訴えられ、差し止められない範囲で、だが)おり、大手2社を
正面から敵に回すのは相当覚悟がいったはずだ。

スミス&ウエッソン(以下S&W)社とレミントン社が44マグナムとこれを
使うM29を開発したのは1955年、発表したのは1956年で、同年さっそく
スタームルガーがブラックホーク44マグナムを開発できたのは、
スクラップのテストカートリッジを見つけて両者の製品発表前から開発を
始めていた、とかいう話もある。

sbh/14
スーパーブラックホーク(右 コクサイ)とS&W M29(左 タナカガスガン)。

現在の、メーカーの宣伝記事だけの米国の銃器雑誌からはちょっと想像
できないが、市販弾薬で、とはなっていないこと、おそらく長いつきあい
の大口顧客(雑誌は広告収入も少なくないはずだ)でもあるS&Wと
レミントンとの関係から、もしかするとブラックホーク44マグナムが
オーバーロードで破壊したという記事は、ネガティブキャンペーンだった
のではないかとも思う。

もともとファクトリー(工場、市販という意味)ロードでOKなら、問題は
無いことである。

逆にS&Wは、そのファクトリーロードでも(そして最近でも)破損が起こる
ことがあり、M19でバレルの裂けがレポートされたこともあったし、日本の
警察用に納入されたM37ではフレームにクラックが入り、回収されたとも
聞く。

発表前から密かに得た(不正な手段だったか、というとそれはたぶんもう
どこも証明できないと思うが)情報によって素早く対抗商品を出してきた
スタームルガーに対して、特にS&Wなどは快く思わなかったのではない
だろうか。

ともかく、短期間に仕様を変え、更に上級版まで用意して過剰なまでに
強度をアピールし、信頼性回復に努めるだけでなく、強度,耐久性では
大手に引けをとらないモノにする、という姿勢は、いわゆる二流品
メーカーではあり得ないと思う。

後に、ブラックホークシリーズは安全性に配慮した新機構のニューモデル
にモデルチェンジするが、この“信頼性,価格,安全性”の追及により、
スタームルガーは“安価だが丈夫で性能も良い”という信頼を得て、
その後総合銃器メーカーに発展し躍進を続ける。

このトランファーバーシステムへの変更は暴発事故があって多額の賠償を
請求された経験から、とするところもあるが、コルトのSAAがオールド
モデルと同様の仕様であり、他にもシリンダー軸を押し込んでハンマーを
ロックするなど、落下させてハンマー部を強打しても絶対に暴発しない、
というような万全の対策を施したところは少数派だった。

S&Wはハンマーを少し後退させるリバウンド機構とハンマー前進を止める
ハンマーブロックの2本立てだが、どちらも壊れるだけの衝撃力なら発射
は起こる。

コルトのダブルアクションも従来の機構(ポジティブロック)の安全性は
S&Wとほぼ同じで、後に新たにセフティコネクター(トランスファーバー
と同じ機構)で対策を講じたMkⅢシリーズを開発している。

これらを見ていけば、スタームルガーは安全性でも業界をリードする存在
だったのではないだろうか。

そして、最初の製品からスーパーブラックホークに至るまで(一時期
作られていなかったものもあるが)が改良されながらでも現在まで
生き残っている、ということも、驚くべきことである。

ブラックホ-ク,スーパーブラックホークは、プリンキング以外にも、
ハンターのバックアップガンとして、メタリックシルエット競技の
ベースガンとして、実用面でも需要を得、安定した人気を獲得した。

また、よりSAAに近づけた固定サイトのバッキィエロ、クラシック
スタイルを残しつつダブルアクションとスイングアウト式を採用した
GP100(セキュリティシックス)やレッドホークシリーズなど、新しい
モデルも充実している。

sbh/13
スーパーレッドホーク454カスール弾仕様(右 タナカガスガン)と。
アンフルーテッドのシリンダーや、シリンダー後部のリコイルシールド部など、
外観上の共通点がある。


幸運は何度も続くものではない。
特にブラックホークには、幸運どころか大変な困難が待ち受けていた。
しかしそれでも成功に導いたのは、ビル・ルガーの、(ネガティブな
ものまで!)周りの意見を素直に聞き、売れる要素=ユーザーが選ぶ
メリットを真摯に追求する、確かな判断力によるものではないだろうか。

sbh/02

では今回はここらへんで。

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今回はコンバットショットガンの代表格、スパス12を。

spas/01

[概要]
スパス12は、イタリアのガンメーカー、フランキ(ルイギ・フランキ)社が
1979年に発表した手動/自動装填切替式ショットガン(散弾銃=複数の弾丸を
一度に発射する銃)だ。

SPASとはスペシャル・パーパス・オートマチック・ショットガンの略で、
12は口径12ゲージ(1/12ポンドの球のサイズ)から採られたらしい。

スペシャル・パーパス(=特殊用途向け)ということだが、CQB(=クローズ・
クオーター・バトル=室内などの近接戦)での複数の目標に対する制圧、
ドアなどの障害物の破壊などを念頭においている。

spas/02

フランキ社はショットガンの老舗で、軍用ではLF57というSMG(短機関銃)
や、アサルトライフル(突撃銃=半/自動自動切り替え可能な小銃)まで
手がけ、一時はコルト(カテゴリー参照)に似たリボルバー(回転式拳銃)
なども作ったようだが、現在はベレッタ社(カテゴリー参照)の傘下に入り、
ブランドネームが生き残っている。

[1/1]
今回はまずトイガン,ミニチュアの紹介から。
リアルサイズはKTW社のエアコッキングガンで、米国でFIE社が販売した
仕様を再現しているという。

機能は手動コッキングのみで、実物のように自動装填機能は無いが、
軽めのフォアアーム(先台)を引くとボルトも連動する。

可変ホップ搭載で、リアサイト(照門)を前に動かすと2発発射、後ろに
すると一発と切り替えが可能だ。

また、光学機器取り付け用のレール(取り外し可能)もレシーバー(機関部)
上に付いている。

spas/12
一発発射状態のリアサイト。その前方の穴にホップ調整スクリューが入っている。

実物では固定のチューブマガジン(弾倉)に一発ずつ機関部下側から
装填していくが、KTWではマガジンは着脱式で、BB弾を割り箸状マガジンに
込めてから本体に装填する。
これもマズル(銃口)付近まで伸びた標準のロングタイプ以外にショート
タイプがスペア用として供給されている。

spas/11
マガジン(下)を抜きだしたところ。

他にも以前装備していたスチールプレス(打ち抜き,曲げ加工の鋼板)製
フォールディング(折りたたみ)ストックキットも別売りされており、
更に片手で銃を保持できる、アール状のアームレストまで用意されている。
実にパーツが豊富で、手軽に組み換えてカスタムを楽しめる。

KTWではこれを以前自社生産していたが、現在はコピーしていた韓国
ドンサン社のものを輸入販売しており、両者の提携で以前紹介した
イサカM37も作られている。

spas/13
KTWのショットガン2種。手前がイサカM37、奥がスパス12。

スパス12はこの他にもマルイ製でエアコッキングガンがあり、こちらは
3本のバレル(銃身)が内蔵され、3発同時発射できる。
また、少し小さいらしいが、クラウンでもエアコッキングガンが作られて
いるようだ。

[1/6]
1/6ではメーカー違いで2種類、ストックの違いで3つが手に入っている。
ザッカ PAPの「1/6スケールガンコレクション」からは、ピストルグリップ
のみのものと固定ストックのもの。
もう一つは出所不明で、フォアアームが欠落していたが、アームレストの
付いたスチールプレス製フォールディングストックと、レバー式のセフティ
が再現されている。

spas/05
ザッカの固定ストックタイプと1/1のサイズの比較。

spas/04
1/6で、ザッカのピストルグリップのみのものと、他社製にザッカのフォアアームを付けたもの。

[構成]
スパス12は、同社のPG80セミ・オートマチック(自動装填式)ショット
ガンを改良し、フォアアームに付けた切り替えボタンでポンプアクション
(フォアアームを前後に移動させて装填,排莢を行う手動方式)も可能と
している。

また、コンバットショットガン(後述)として定番の、バレル(銃身)
を覆うヒートガード(遮熱板)、ピストルグリップ、ゴーストリングサイト
(後述)などの装備を持ち、狩猟/スポーツ用の一般的なショットガンとは
かなり異なった外観となっている。

各要素については、下でそれぞれ述べてみた。

spas/08
KTWは手動のみなので、ダミーのモールド(型抜き)のみだが、切り替えボタン。

[コンバットショットガン]
今回、コンバットショットガンとは、ピストルグリップに前後サイト,
つや消しのストックやボディを持つ、軍や警察の特殊部隊向けに特化した
ショットガンを指して用いている。

この定義以外に、WWⅡ期前から用いられた軍用ショットガン、トレンチガン
やライオットガンなどを含める考え方もあると思う。

これらをコンバットショットガンに含めるか、前史ととるか、は別にして、
今回は軽く触れておこうと思う。

米軍は、古くから戦争にショットガンを用いており、ウィンチェスター社の
M1897にヒートガード,バヨネットラグ(銃剣装着用のツメ),短めのバレル
(銃身)を装備したトレンチ(塹壕)ガンと呼ばれるものを採用していた。

また、米国では戦後も警官がショットガンで武装しており、パトロールカー
には必ず一丁、車載,取り回しに適したショートバレルのライアットガン
(暴徒鎮圧用の銃)と呼ばれるものが備えてあるほど、一般的な装備だった。

spas/07
1/6で、左からスパス12,モスバーグM500,ウィンチェスターM12トレンチガン。
M500もM12も、バレル上にヒートガードが付き、M500はフォアアームにライトが、
M12はマズル下にバヨネットラグ(着剣装置)が付いている。
また、スパス12のアームレストは、この状態で90度横に曲げ、腕に巻きつける
ようにして使用する。


対人用にショットガンを使用することは欧州では抵抗があったらしいが、
1970年代にテロが多発すると、まず西独(当時)の警察対テロ部隊用として
フランキに打診があり、民間用とも併せてヘッケラー&コッホ(H&K 
カテゴリー参照)社がドイツでの輸入,販売元となったという。

その後、米国でも軍用ショットガン開発計画RHINO(後にCAWS)が
スタート、イタリアでも、ドイツ同様テロ対策に悩む警察の特殊部隊用や
軍用として、ショットガンに注目するようになった。

このような世界的な動きに呼応して、フランキのほかモスバーグ
(マーベリック),ベネリなどから様々なコンバットショットガンが提案
され、米国だけでなく、世界的に認知され、一つのカテゴリーを形成し
使用されていく。

spas/06
これも1/6だが、いわゆるコンバットショットガンで、左からスパス12,ベネリM3,ベネリM4(M1014)。
ベネリにはヒートガードが無いが、自動装填式で、ピストルグリップを持つなど、
コンバットショットガンの要素に共通性がある。


[ヒートガード]
コンバットショットガンは、通常の肩づけ射撃以外の姿勢、マズルを下に
しての移動や、腰だめ(腰のあたりの高さに銃を保持する)、また銃剣
使用時などに熱くなったバレルでやけどしないように、金属製の小さな
通気穴がたくさん開いた板、ヒートガード(ヒートシールド)を付けている。

spas/09

スパス12のそれは大型で、フォアアームの下まで周りこんでおり、穴は
長穴形状だ。

[ゴーストリングサイト]
また、大き目のリング状のリアサイトを持つゴーストリングサイトも
コンバットショットガン向けの装備だ。

通常の狩猟/競技用ショットガンのサイトは、バレル先端のポイントのみ、
というものが多い。
これに対し、ゴーストリングサイトは前後サイトがあり、後部は大きめの
リング(輪)状になっている。

このリングの中心にフロントサイトを合わせて照準するのだが、フロント
サイトに焦点を合わせると、リングがぼやけて見える。
このためゴーストという名があるらしい。

大きなリングは、精密さでは劣るが、フロントサイトを捕らえやすく、
素早く照準するには有利だ。

また、リング状にしたのは、目標の周りをサイトで覆い隠さないためで、
これも標的射撃用などとは異なる。
実戦では周辺の状況も常に把握できるほうが有利である。

もちろん、リアサイトを持たないスタイルなら、周囲を見渡せ、素早さ
という点でも有利だが、精度では劣るだろうと思われるのと、他の
軍用銃と全く違う照準方法では、教育も別に行う必要があるため、
軍では一般的な穴式のサイトを使ったのではないだろうか。

spas/10

スパス12のそれは、下部が更に抉られた形で、穴は大小の穴がつながった
逆ひょうたん形とでも言うべき特殊な形だ。
下部を抉ったのは、フロントサイトを捕らえやすくする為だろうか。

[ピストルグリップ]
従来の曲銃床タイプの、下部がやや張り出したグリップ部もピストル型と
呼ばれ、また後部の肩づけする部分(ストック)を切り取ったものを
ピストルグリップと呼ぶ場合もあるが、ここで述べるピストルグリップ
とは、ストックから独立し、水平から45度以上の角度で下に突き出たもの
を指している。

ピストルグリップは、SMGではWWⅡ期前から導入され、アサルトライフル
ではその始祖Stg44(MP43,44)から多くの機種に用いられるなど一般的な
形態だ。

スパス12がピストルグリップを採用した理由は、連射速度が高く、反動
処理がしやすい形を模索した、という側面もあるが、CQBを主な目的に
考えられ、室内での取り回しを有利にする、という目的があったのでは
ないかと思う。

他にストックを折り畳み式にして全長を短く出来、持ち運びや車内の収納
などを便利にするという面でも、ピストルグリップは有利である。

また、国によっては、独立したピストルグリップ付きの銃は民間に許可
されず、下部をストックとつなげた形や、通常のストックに戻して販売
されるものもある。

[シンサティックストック]
シンサティック(合成樹脂)は軽量化、という点では木材に敵わないが、
強度が高く狂いも生じない。

そして黒色の艶消し処理とすることで、反射を抑え行動時に目立ち難い、
という利点も生んでいる。

[人気と実力]
米国M60多目的機関銃にも似た外観の、この大型でいかにも特殊な
ショットガンの存在は、映画界でも注目され、多くの作品に登場、
"小型の大砲"の異名で民間でも人気があるという。

しかし、比較的銃器規制の緩い米国でも、装弾数の多さ、連射性能から、
スパス12の一般への販売,所持を禁じている州もあるらしい。

そして、スイッチ操作によってバレル下に固定されたチューブマガジン
(弾倉)に一発ずつローディング(装填)する方式が多量の弾薬を早く
消費する自動装填式としては不便な事、3インチの長い弾薬が使用
できないこと、後発で米軍制式を得たベネリM1014などに比べ、重く
複雑で繊細な構造のため、信頼性などで敵わなかったためか、
スパス12は2000年に製造を中止した。

バリエーションとして手動のみのSAS12、自動装填式のみのLAW12も
作られたが、共に現在は生産を中止している。

[セミ・オート切り替え式の意義]
そう、根本的に自動装填式は手動式に対し融通が効かず、信頼性でも
敵わない。

狩猟用でも競技用でも、未だ両方が使われているのは、やはりそれぞれの
得失があるからで、更に、軍用ライフルでも手動式が現役で使われるように、
自動化は簡単な事ではないうえに、手動の方が精度も上げやすく、シンプル
で堅牢になり、コストも含めて合理的、という側面もある。

更に、ポンプアクションでも慣れれば自動装填式並みに早く連射できるし、
大体一発で多くの弾丸が飛び、反動も大きく、大きなカートリッジを使う
(大量に装填することが難しい)ショットガンの自動化を計る意味が
あったのか、という根本的な問題もある。

後にベネリは2つのガスピストン、という方法で信頼性の向上を計っている
が、もともと自動化には、扱う対象の均一化,最適化が重要で、リムド
(縁が張り出している)の長さ,弾,火薬量の違うショットシェルを
そのまま処理(自動装填)しようというのは、機関銃などの開発に比べれば
かなり"無茶な要求"である。

もしかすると、スパス12が長いシェルを排したのは、トラブルを減らす
目的があったのかも知れない。
そして手動への切り替えも、この"多種多様な弾"に対する解決策
(つまりあらかじめ、自動に適さない弾は手動で対処する)として
考え出されたものだった可能性もある。

[過大な要求は革新的な技術の母、か]
このように、軍,特殊部隊の要求が現実的でなかったのかもしれないが、
フランキも単にスパス12を引っ込めるだけでなく、自動式のメリットを
活かし、給弾方式を改めて、着脱式のボックスマガジンとしたスパス15を
開発し、後継機種としている。

コンバットショトガンは、軍の主力兵器には成り得ないし、民間保有の
制限もあれば、数の上でも決して多くはないと思う。

フランキにとってコンバットショットガンは、自身の企業規模を超えた、
大きな負担となり、ベレッタの支援を受けざるを得ず、その割に販売実績
が上がらない、"過剰な商品の開発"だったのかもしれない。

しかし、これはまさしく新しい、未来志向のショットガンだったし、その
チャレンジは、単にショットガンの世界を超えて、広くフランキの名を
知らしめることになったと思う。

革新的な技術は、やはり無謀とも思われる過大な要求に取り組むことから、
という側面もあり、また後にベネリなどが続いたのも、スパス12があった
から、ともいえる。

今後カートリッジ改良も含めて、軍用ショットガンの自動化を進める上でも、
この一つの回答は、小さくない一歩、になるかも知れない。

もちろん、大型でいかつく、艶消しの黒と灰色で固められたスパス12自体が、
"強大"を示すひとつのアイコンとして、既に広く受け入れられている
のではないだろうか。

spas/03

では今回はここらへんで。

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今回は、コンパクトながら大きな威力を持つ、M72LAWを。

M72/02

[概要]
M72LAWは米国陸軍で採用されたロケットランチャーだ。
型式の後にあるLAWは、ライト-アンチタンク(アンチアーマー)
-ウェポンの略である。

66mmHEAT弾(後述)のロケットを発射するが、本体は単なるロケットの
保持,点火機能しかなく、ロケットの再装填もできない。
テレスコピック(引き出し)式のいわば弾薬ケースを兼ねた、使い捨て
式の発射器であり、米国ならではユニークな発想である。

この兵器は他国にも影響を与え、使い捨て式の個人装備の対物(戦車とは
限らない)兵器(これもロケットとは限らない)はロシア(RPG-18~)
など他国の追随を生んだ。

[1/1と1/6]
今回の1/1はアリイ(現マイクロエース)の手動式で発泡スチロール弾
を撃ちだすもの。
エルエスが以前は製造していたが、金型を譲り受け再生産している。
しかし、現在は生産が止まっているようだ。

M72はA1~E10までの改良型があるらしいが、これは推進薬を改良したA2を
モデルアップしている。

いっとき完成品も販売していたらしいが、これはキットを組み立てている。
キットの組み立てについては、ミリタリーブログ内のGun1+1/6 OTHER SIDE
で書いているので興味のある方はこちらを参照されたい。

1/6は、ザッカ・ピー・エイ・ピーのバズーカ名鑑のもの(下の画像 中央左)。
これはチューブが開いた状態を再現している。
今回は、バズーカ名鑑から、パンツァーファースト、パンツァー
シュレック、AT-4なども登場願った。

もう一つの1/6は、いつものように単品入手で出処はわからないのだが、
ホットトイズ製ではないかと思われる。
これには可変の翼を持つ弾頭(下の画像 1/6の本体の間)が付属していた。

M72/16

[ロケット弾]
ここでロケットについても。
ロケットとは自噴式の弾(弾が自ら燃焼ガスを噴出し飛行,加速する)だ。
第二次世界大戦(WWⅡ)期に独軍が開発したV2などが有名だが、自ら推進
する弾は、1000年くらいに中国で既に利用されていたらしい。

個人携帯式ロケットランチャーの弾頭は成形炸薬弾(ホローチャージ弾/
対戦車榴弾/HEAT弾)が一般的である。
爆発する弾は全て榴弾で、その中にHEAT弾も含まれるのだが、分類の為
今回ここでは弾体の破片と爆風による対象の破壊に用いられるものを
榴弾とし、モンロー/ノイマン効果(後述)で高圧のガスや金属のメタル
ジェットを噴出し、これで装甲を貫通するものを別にHEAT弾と記載した。

M72/15
1/6を前方から。
中央の弾体の黒い部分は、先端が空気抵抗低減のためにテーパーがつき、
その後部が逆テーパーになった、中央部が太い形になっている。


[モンロー/ノイマン効果]
成形炸薬弾とは、命中時に炸裂する火薬の貫通効果を高めるための装置を
持つ弾で、爆発で発生するガスは、炸薬の前方部を円錐状に成形すること
によって(この空間にガスが殺到し)中央部に集中され、前方に強力な
トーチが発生する。これはモンロー(成形炸薬)効果という。

更にこの円錐を形づくる内張りに金属のライナーを使うと、金属が超高圧
下で液状化(高温になるには時間的に無理なので、融解,気化する訳では
ないという)したメタルジェットとなり噴きつけられ、更に貫通力を
高める。
これはノイマン効果と呼ばれている。

M72/21


[M72の弾頭]
HEAT弾のモンロー/ノイマン効果は弾体が回転していると遠心力が働き
(ガス,内張金属を中央に集める)効果が落ちるという。
M72は本体に弾体を回転させるライフリングなどを持たず、弾体は回転
することなく発射される。
弾体は発射後も推進薬によって加速し進むが、弾頭の安定のため、6
(5?模型では5本になっている)本の翼があり、発射後にこれが開く。

M72/09
これも1/6で、本体と翼が開いた状態の弾体。

[対物兵器]
ここで各種の個人携行対物兵器の紹介と、リストによる各兵器の特徴を。

通常のライフルでは貫通できない装甲を持つ戦車の登場により、まず単純
にライフルを大型化した対戦車ライフル、パンツァーブクセなどが登場
した。

初期の対戦車兵器は、硬い徹甲弾を高速で撃ちだすことで貫通力を
持たせていた。
その後戦車の装甲強化で、個人携行できる規模では対抗することが難しく
なったが、今度はモンロー/ノイマン効果を利用したHEAT弾の採用で、
再び個人携行型の対戦車兵器、ロケットや無反動砲がWWⅡ期に登場する。

ロケットランチャーではM72の先代に当たるM1が米国で開発,採用される。
このM1系ロケットランチャーはM20まで改良型が作られた。
これがドイツに影響を与え、同様のロケットランチャーであるパンツァー
シュレックが開発された。

パンツァーファーストも同じHEAT弾を用いるが、筒(本体)内に弾頭推進
用の火薬を持つ無反動砲である。

M79などのグレネードランチャーも、弾体に推進装置を持たず、また
無反動砲のような反動低減装置は無いが、高低圧理論による着火機構に
よって、反動を個人が処理できるレベルに抑えている。

RPGはロシアで開発されたハイブリッド(複合)型で、まず発射は弾体
外の火薬、そして発射後に弾体内の推進薬に着火して加速する。

更に現代では長射程のライフルも有用であるとして、対戦車、ではない
らしいが、大型ライフルが復活、12.7mmや14.5mmの機関銃弾を使う
アンチ-マテリアル-ライフルが開現在多くの国で使用されている。

M72/10
1/6で、各種対物兵器。
左から、バレットM82A2、M79、M72、パンツァーファースト、RPG-7。
バレットとM79は出処不明、パンツァーファーストはバズーカ名鑑、
RPG-7は空挺仕様の分割型Dで、RMC(中国)製のもの。


個人携行型ミサイルの模型は未入手だが、リストに発射構造、弾体の違い
をまとめてみた。

M72/17

[M72の操作と構造]
本体側面には、操作説明が、イラスト付きで貼り付けられている。
アリイ製も、1/6もこのステッカーを再現している。

M72/13

使用にあたっては、後部のピンを抜き、後部カバーをヒンジによって
開くと、金具で連結されている前部のカバーも外れる。

M72/04

前後カバーを付けた状態では、防水性もあるという。
そのあと、本体後部を引き出すと、発射可能(縮んだ状態ではセット
されていない)となる。
引き出すと、前後サイトも起き上がり、照準をこれで行う。サイトは
後方がピープ(小さな穴)式で、前部は透明な板に照尺が赤で描かれて
いる。

M72/05

後部(内部)の筒はアルミ合金、前部(表面)の筒はFRP(ガラス強化
樹脂)で出来ており、軽量化を図っている。
発射時には、安全装置を引いて解除し、本体上部のトリガーを押す。

M72/12
画像中央部がセフティ。
右上のゴム部品がトリガー。アリイはダミーだが
セフティも動き、トリガーも別部品のゴム製としている。


すると、ストライカー式のファイアリングピン(撃針)がプライマーを
叩き、衝撃で発火する。
発火機構は、拳銃,ライフルと同じだ。しかし、M72は、弾体が直接飛行
する推力を出すので、発火した炎(高温ガス)をチューブでロケット弾体
の後部に導き、弾体内に着火させている。
弾体は、ガスを噴射し、後方の空気を壁として(高速だと抵抗になる)
推進していく。

M72/20

本体は、このとき発射の方向を決めるのみで、前後が開いた単なる筒
なので、ガスは後方に抜ける。
このために、大きな弾体を発射するにも関わらず、反動は少なくなり、
66mmもの大型弾を撃てるショルダーウェポンが可能になった。

また、発射後も一定時間(噴射が続く間)加速するため、初速が低い
ことも、反動を低減している要素ではないかと思われる。

この初速の低さ、は、射手の顔面などを保護するシールドを不要として
いることにも関係していると思われる。

余りにも大きなガスの噴射の場合、それが射手を襲うので、M72の前に
採用されていたM1(通称バズーカ)は漏斗状の発射口(これがバズーカ
と呼ばれるもと)としているし、独のパンツァーシュレックでは、
照準用の覗き窓が付いた大きなシールドを付け、射手の顔面を保護
している。

M72/07
再び1/6で、M72とパンツァーシュレック。

しかし、射手の後方は、発射ガスが吹き付ける(バックブラスト)ために
空間(約30度、40mまでガスが及ぶという)が必要だ。

M72/08
M72本体上部に貼られた注意書き。後方に爆風が噴き出す領域があること
を書いている。


無反動砲では、この後方へのガス噴射を低減させる装置が(反動低減が
第一目的かもしれないが)追加されている。

このような構造を、小銃などでとらないのは、効率が悪いこと、近距離
では初速が低いと小さな弾頭のエネルギーが低く、実用性に乏しいから
ではないだろうか。

実は以前、ロケットピストルは実用化された(後方が開いてはいない)
が、結局普及しなかった。

[対物兵器として現用]
現在の戦車は装甲を複合化するなど強化しており、M72などではダメージ
を与えられないケースも多い。
また、M72に替わって採用されたAT-4は、84mmの炸薬弾を撃ちだす
無反動砲だが、これでも最新式の戦車には既に対抗できない、とか。

M72/11
1/6で、M72(下)とAT-4。AT-4もバズーカ名鑑のもの。

しかし、施設の破壊や、戦車以外の車両など、M72でも充分威力を発揮
できる対象があること、戦車に関しても、必ずしも戦車を破壊しなくても、
戦車の行動を抑制することも可能なこと、小型軽量で他の高性能個人装備
対物兵器より安価、など今だにM72の有用性はあり、現在も使用されて
いるという。

ライフルに着けて撃つグレネードは現在あまり使われなくなったが、
グレネードランチャーなども使われており、手で投げるグレネードも含め、
対物兵器まだまだ多種多様なものが現用である。

コンパクトで大きな威力を求められる状況は、これからも続くだろうし、
個人携行,使用の大口径対物兵器は、発展しながら、今後も使い続け
られるのかも知れない。

[バズーカ?]
M72はM1~M20(通称バズーカ)の後継機種として使われたため、これも
「バズーカ」と呼ばれることがある。
アリイのパッケージにも大きく「バズーカ」と書かれており、1/6の
シリーズ名も「バズーカ名鑑」だ。

しかし、語源のもととなったコメディアン ボブ・バーンズの劇
「バズーカ」で使用されたラッパの形状とは異なっており、M72は漏斗状
の端部を持っていない。

個人携帯,使用の対戦車用大型弾(HEAT弾)発射器の名として、形に
関係なく「バズーカ」と表現しているならそれも構わないのだが、
「バズーカ名鑑」など無反動砲はおろかミサイルをもラインナップ
しており、いくら通称とはいえ、非常に概念があいまいなものに
なっているように感じる。

この「バズーカ」という呼称、いかにM1系が注目され、大きなインパクト
をもたらし、またこの愛称が広く親しまれ浸透したか、を感じずには
いられないが、何でもバズーカ、では逆にわかりにくいのではない
だろうか。

では今回はここらへんで。
M72/03

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今回は、旧日本陸軍準制式 九四式拳銃をとりあげたい。
特異な外観,構造と機能的な問題が指摘されるが、はたして
どうだったのか。
失敗学が注目されるいま、安全性と、独自の構成となった原因、の2点を
中心にみていきたい。

九四式の説明書には部品を日本語で書いているが、これまでの記事と共通
のカタカナ英語の用語をここでは用いることとした。
今回、今まで以上に長くなってしまったが、宜しくお付き合いを。

ty94/01

[概要]
九四式は、南部式拳銃甲,乙,小型などを設計した南部麒次郎が軍を
退役後、南部銃製造所を興し、陸軍の要請に基づいてそこで開発した
8mm南部(十四年式拳銃実包として仮制式)弾使用の中型拳銃である。
1934年に準制式となり、将校用だけでなく戦車,航空機などの乗組員用
などに使用された。

マガジン(弾倉)は単列式で容量は6発、安全装置は手動式のもの
(サムセフティ)と、マガジンを抜くとトリガー(引き金)をブロック
するマガジンセフティがある。
そして、露出式のシア(逆鉤)のためスーサイドガンなどという
あり難くない名前を付けられている。

ty94/03

[1/1と1/6]
さて、まずは模型について。
1/1は昨年ハートフォード(HWS)が新規に制作した非発火式のモデルガン
で、初期の型を再現したもの。
同社は最近多くの部品形状が異なる後期型も発売、またカッタウェイ
モデルを販売するなど、九四式をバリエーション展開している。

このモデルはショットショーで、出展していたHWSのブースで社長に
お話を伺い、購入させていただいたもので、当時の保存取扱説明書まで
再現して同梱し、またショー販売用にはランヤード(負い紐)がサービス
で付いていた。

素材は合成樹脂だが、いわゆるABSとはちょっと異なり、艶を抑えた表面
である。
機構は材質を弾性を持たない亜鉛とするため、セフティをクリックボール
+コイルスプリング内臓にしているが、極力実銃を再現することを目指し、
フレームのカシメ止めプレートも別部品とするなど拘っている。

今回の1/6もいつものように単品購入だが、申戌やというところから
旧日本軍のフィギュアが出ていたという情報があり、そこの付属品かも
知れない。
一体成形で可動部分などはないが、金属粒子が混入された樹脂が使われて
いるのか、光線の向きによってメタリックな輝きが出るところがある。
形状はHWSと同型のシア後端部がモールドで再現されており、初期の形を
再現しているようだ。

ty94/06

[暴発を起こすシア]
まず暴発の定義、だが、射手の意図しないときに発射される、という意味
で今回考えている。

通常、暴発といっても、射手が弾が無い、もしくは弾が出ないと思って
トリガー(引き金,引鉄)を引いているものなのだ。
しかし、今回の九四式は、厄介な事に、”それ以外の方法”で撃発する
のである。
そう、通常ならこれはもう暴発ではなく、本体の欠陥による事故である。

最大の欠点とされるシアは、外部に露出し、装填状態(九四式は装填
すれば撃発機構もセットされている)でその一端を押せば発射して
しまう。
この現象については、模型より実物では作動が重く、また何かの突起物で
押さなければ暴発しない、という記述も見られる。
しかし、九四式の分解は、スライドのピンをカートリッジなど”何かの
突起物”で押す必要があり、銃の周りにそのような物はない、と
言えないため、これをもって安全というのは言い過ぎではないかと思う。

ty94/12
九四式の露出型のシア(画像左の矢印)と、P08のシアがカバーされている部分
(画像右の矢印)。
P08はタナカのガスガン。


シアの動作方向はP08と同じだが、P08は、前方にカバーを設け、シアが
外部から押されることが無いよう配慮している。
また、力をかける場合せん断(曲げ)方向より圧縮,引張方向のほうが、
歪みが少なくなり有利であり、トリガーから長い距離、力を伝達するなら、
押す、または引く形が理想的で、現代のものまで含めれば圧倒的多数が
押し,引き式のトリガーバーになっている。

シアで長距離を稼ぐにしても、それまでの一連の南部式や十四年式や
ブローニングハイパワーがやっているように、内蔵式で上下動にして、
横幅は薄く、上下方向に厚みを持たせるのが強度も得やすく、納まりが
良い。
つまり、わざわざ効率の悪いカムにして動作方向を変え、しかもシアが
外を通っているこのトリガーメカは、設計としては「やってはいけない」。

そしてもし九四式が安全性を犠牲にして、コストや威力,装弾数や他の
機能などのメリットを得たならともかく、構造上特に優れた点を新たに
得ていない。

ty94/24
マルシン製モデルガンで、ベビー南部のシア(矢印)。動作方向も九四式とは90度違う。

ty94/15
これもマルシン製モデルガンで、ブローニングハイパワーのスライド内のシア(矢印)。
手前右は九四式。


[セフティ解除でも暴発]
上記の問題はサムセフティをかけていれば暴発は起こらないないが、
このセフティ、かけているときに一度トリガーを引くと、今度は安全装置
の解除時に撃発することがあるという。

ty94/09
サムセフティ動作の様子。
水平でオフ、画像のように45度ほど上げた状態でオンとなり、下にあるシアを押さえる。


月刊Gun誌では、複数回この現象がリポートされており、これが
どのようなメカニズムで起きるのか、また記事は捏造なのか、議論が
あるようだ。

一つの仮説は、シア後方がブロックされたままでトリガーを引くことに
より、各部のクリアランスやシア,セフティの弾性で後退できたトリガー
が戻らなくなってこの現象が起きるのではないか、というものだ。
トリガーを引く力で生じたトリガーカム面とシアの摩擦力が、トリガー
リターンスプリングの力より強ければ、またはカム面が荒れ、又は傷など
があれば、トリガーが戻らず、この現象が起こりうる。
ただ、トリガーが戻らないほど引けるか、には疑問が残る。

もう一つの仮説は、シアとハンマーの噛み合い部分が、磨耗や変形,
加工精度の問題で、少し動くと外れようとする状態になっているのでは
ないか。
九四式のシアは左右方向に円運動の軌跡で解除される形であり、通常の
前後方向の動きで、両方が接する面は並行移動するものに対し片摩耗
しやすいのではないか。
またシアは肉厚が特に支点部分で軸穴の為薄くなっており、またシアは
長く、コの字型に曲がって両端をひねる方向に力を受けており、しかも
その端はフリーなので、いわば片持ち梁の先で曲げ荷重を受ける形である。

ty94/05
シアとトリガーをひっくり返したところ。
この画像では左端の突起がハンマーにひっかかり、保持する部分。


更に九四式のセフティは、自身の弾性でクリックするため、当然弾性が
ある。
そして、セフティ軸がフレームを貫通していない短いもので、傾き易い。
更に、セフティ軸はいわば片持ちでシアを押さえており、つまり外れる
ことはなくても、シアが動きやすい。
ルガーP08などは、シアの両横のフレーム穴にセフティバーが入り、
両持ち状態で確実にロックされる。

繰り返すが、九四式の構造は安全について万全とはいいがたい。セフティ
解除と共に発射するという現象が、全く起こり得ない構造ではないのだ。

そして、Gun誌のレポーターが取材先の米国の見方の影響を受けている、
という側面はあるが、複数のレポーターが特定の銃に対し悪意をもって
いた、とする根拠も見当たらず、この雑誌では、単に感想を書いたら読者
から苦情が殺到して困る、というような事態は日常的に起こっており、
例えば「漫画に出てくるこのモデルとは違う」(もちろん漫画の方が
“自由に”脚色したのだが)など、読者の思い込みに沿わない内容に
ついてまで投書が着ていたようなので、敢えて欠陥を指摘したのはやはり
実際に起こったから、ではないかと思う。

いや、通常実名を記して(通称で書いているだけでなく、別冊などで略歴
とともに実名を公表している)写真を撮り、レポートしているものを捏造
ではないかと疑うほうが、その銃器に対して強烈な“えこひいき”感情を
持っている、とは思えないだろうか。

[マガジンセフティ]
九四式はマガジンセフティを装備している。

ty94/10
九四式のマガジンセフティ。マガジンを抜くと、トリガー後方にバーが出て
トリガーの後退をブロックする。


日本軍の中には、マガジンさえ抜けば安全だと錯覚(誤認)して暴発を
起こす事例(事故とは限らない)があったようで、これを防止する為に
非装填とし、十四年式を改良してマガジンセフティを追加、九四年式には
始めから装備されたようだ。

マガジンセフティは、本来銃の構造を理解している者には不要どころか、
無いほうが良い(弾倉が無くなっても一発は撃てる)装備である。

もちろん根本的解決は、構造を理解させ、チャンバーの確認を習慣づける
ことなのだが、これは実は日本に限ったことではなく、世界中で起こる
暴発の中で、この誤解が少なくない比率で起こっているようだ。

自動装填式の誕生直後は特に多く、そのためFN社もM1910,ブローニング
ハイパワーにマガジンセフティを装備している。

しかし九四式の場合、これが問題解決どころか、やっかいな問題の元に
なっている。
マガジンセフティはトリガーをブロックするのみなので、問題のシアが
押されるとやはり暴発は起こるのだ。
せっかくマガジンセフティがあっても、シアを押せば発射されるなら、
むしろ危険増幅装置(安全だと思っているぶん、危ない)である。

そして後述の説明書などに、マガジンセフティによって撃発しなくなる旨
書かれているので、余計事態は深刻だ。
トカレフTT-33は手動安全装置が無く、その点では評価が低いが、少なく
とも実際は危険なのに安全だと思わせるような機能は付いていない。

もしマガジンセフティが、後部にあってハンマーを直接、もしくはシアを
ブロックしていたら、まだ上記の暴発問題は緩和されただけに非常に
もったいない。

[改良されなかった九四式]
また、十四年式ではマガジンキャッチの誤作動が認められ、1939年に
改修(バネを足すだけ、という酷いものだが)されたにもかかわらず、
九四式ではここはそのまま、そしてシアの改良も行われず、終戦まで
省力化だけが進められた。

これはマガジンセフティがあったから、抜けるに至らなかった、とも
思われるが、十四年式では1934年にマガジンセフティを追加、1939年に
板バネの追加が行われており、それなら九四式でも、とも思う。
そして既に見てきたように、他にも改良を望まれるところが無かったわけ
ではなく、まだ戦局が悪化していない時期であり、その気があれば改修
できたと思うのだが、なぜか九四式では、今でいうPDCAサイクルが
回らなかったようなのである。

これが高名な設計者で退役軍人である南部麒次郎への遠慮かといえば、
どうやらそうではなさそうだ。南部の設計は試作段階から原型を止めない
までに変更を余儀なくされている。

[他機種との比較]
話を戻して、暴発を防ぐためには、二重,三重に安全装置を設けておく
のが良心的な設計であり、実用性を損なうことなく、高い安全性を
備えているものが護身用拳銃の理想だと思う。

それ故にM1910やコルト32オート(M1903)、後にはワルサーPPなどが
名銃なのではないだろうか。

ty94/23
ワルサーPP(画像左 マルシン製モデルガン)と九四式。
ワルサーPPはDAに加えファイアリングピンブロックとデコッキング機能を持つセフティを
装備している。


ワルサーは、このPPで護身用拳銃の基準を変えたといっても過言では
ないほど、特に安全性において進んだモデルだった。
更にワルサーはこのあとP38でDA,ファイアリングピンブロックと
デコッキング機能を大型拳銃にも持ち込み、戦後のベンチマーク的存在に
なる。

護身用では各社がPPを目標におき、同じドイツのモーゼル,ザウエルが
HSc,M38Hを開発している。
但し、その登場は九四式制定の後であり、当時は普及という点では
ミリオンセラーのFN M1910、性能ではワルサーPPが独壇場の状態と
いっていいのでは。

そして後に紹介するように、この頃全世界的に自動装填拳銃の制作が
進んでおり、その多くがFN M1910などを参考にしてしていたが、ともかく
拳銃作りは既に特別なものではなくなってきていた。

このような世界情勢のときに出てきた九四式は、自動装填式の開発の
早さ、という点では世界水準にあった日本が、完全に競争の外に落ちた
事を象徴するようにさえ見える。

ty94/11
FN M1910(画像左 マルシン製モデルガン),コルト32オート(画像中央 MGC製
モデルガン),九四式。
FN M1910もコルト32オートもグリップセフティ,サムセフティを持ち、
更にM1910はマガジンセフティ、コルト32オートはハンマー式撃発機構で、
九四式採用前から日本軍将校が装備していた。


単にハンマー式のコンパクトな拳銃、というなら、ベレッタM1934,
コルト32オート,ワルサーPPなど、正にいくらでも他にある。
また九四式はハンマー式といっても内蔵なので、再発火は出来ない。
米国では将校用として用いられていたコルト32オートでは不足なので
九四式を開発したのだというなら、せめて外装式にすれば、上記のシア
問題もハーフコックなどで対処できたかも知れない。

九四式はハンマー式で発火性能が向上したというが、これは国際水準に
追いついただけで、また上記のFN M1910などはストライカー式だが発火性能
が劣るとは聞かない。
ルガーP08で破損原因となっていたストライカー式は、確かに1930年代
には用いられなくなってきていたが、その後大きく時代を下ってグロック
がストライカー式で成功、H&K社もP7など、ストライカー式で問題なく
発火させていた。

ty94/25
ベレッタM1934(画像右 WA製ガスガン)と九四式。
M1934はサムセフティのみだが、シアはグリップ内にあり、構造上暴発の問題はない。


[取扱説明書の不備]
HWSが再現した取扱説明によると、マガジンを抜くとセフティがかかり、
「薬室内に実包残存するも不時の撃発を防止し得る」と書かれており、
逆に上記のシアを押せば撃発する、という欠陥が書かれていない。

シア問題について記載が無いのは、この問題を認識していなかったか、
認識していても書けなかったか、ではないかと思う。

しかし、製造側がこのような危険をわからずに作っていた、というなら
まず製品の開発,性能検証能力に大きな問題がある。
近代の落下試験や泥に浸けての動作試験を行うまでも無く、この問題は
構造を理解できるもの、各国の自動装填式を見ているものなら、容易に
発見できるだろう。
九四式を手にとって、ハンマーを落とす操作をしてみればいい。
そこでシアが動くのが目に入るはずだ。
そこで次はシアを押してみれば、もうこの問題が発見できる。
特別な観察能力などは、必要ないと思う。
それでも、シアを押せば撃発する可能性を認識できなかった、というなら
根本的に誤りを発見,訂正する為の動きがとれない問題組織である。

思い返せば、日本があの無謀な戦争を戦い、そして徒に戦線を拡大、停戦,
講和の時期を逸し、負け方すらマトモに考えられなかった軍政は、正に
現人神の無謬性を訴える余り、誤りを認め、訂正できない組織ではなかった
か(結果的には、逆に天皇は全知全能の神でないことを証明,体制を
”訂正”してしまったが)。

そして、こちらの方が確率が高いと思うが、問題を認識していて、敢えて
危険性を明らかにしなかったとすれば、もっと問題は深刻で、また、製品の
欠点を指摘することと、開発者,採用担当者を非難することが同じ、とされ、
誰も指摘できない、ということだったのでないだろうか。

九四式の説明書に、「この製品はシアを押すと撃発する。だから携帯時には
チャンバーからカートリッジを抜いておけ」と明確に書けば、使用者が
危険性を認識でき、事故も減ったかも知れない。

もちろん、危険性を認識していれば、改修をおこなうべきで、これは恐らく
現代の基準で考えなくても、リコール対象である。

近年、法律の改正もあってリコールによる改修が進められているが、以前の
リコール隠しの件ではないにせよ、未だにリコール自体を恥ずかしいこと、
あってはならないことだと考えているところもある。

この考えを直接各メーカーに聞いた訳ではないが、リコール数の多さ、
その範囲などから、欧州車メーカーなどは、リコールはメーカーの誠意の
証明であり、ユーザーに安心を提供することだ、と前向きにとらえている
傾向があるように思う。

リコールが少ないことが良いことではないと思う。
もちろん、製品に欠点が無いことが理想ではある。しかし、想定
し得なかった欠陥が見つからない、という保証はそれこそ神でもない限り
不可能である。

またリコールは製品に欠陥があった場合だけではない。欠陥の可能性が
考えられる場合も、その全数に対し呼びかける制度だ。
具体的に危険があるのではなく、予防措置の意味もある。
そして、正直にリコールを出せるメーカーは、自らの誤りを認め、改善
できるメーカーではないか。

[運用での解決]
シア問題に対し、軍はチャンバーに装填して携帯してはいけないと定め、
それ故暴発事例は報告されておらず、運用面で解決していたから問題ない、
とする意見もあるが、これには賛成しがたい。

本当に教育,指導だけで問題が解決するなら、それこそトカレフのほうが
要らぬ装備を省いているだけましである。

また、事故や故障の危険がないなら、戦地では直ぐに射撃でき、場合に
よっては片手でも操作できる装填状態で持つ方が有利であり、逆に
手間取った、または両手が使えない、という状況ではそれは正に命に
関わる場面も考えられる。

互いに名乗りを上げてから1対1で合戦を始める訳ではなく、相手は
こちらの装填を待ってくれたりはしない。

そのためにダブルアクション(DA)やファイアリングピンブロック,
デコッキングなどの安全機構が、正に九四式採用の直前にワルサーで
開発されている。

非装填の指導は、本来の銃器の機能向上で解決すべき問題を、一部利用
制限で乗り切ろうとした、いわば酷い応急策で、しかも、後述のように
実際には事故が起こってた可能性がある。
(下に実例を取り上げたと思われるブログを紹介)。

下記の事例では、下手をすると作戦遂行に大きな支障をきたしたかも
しれず、たかが拳銃、と装備の安全性を軽視するのが、いかに大きな
問題を生むか、またヒューマンエラーを精神力で克服する、などという
方法が、いかに現実的でなかったか、を示しているのではないだろうか。

構造的欠陥を放置して、「想定では事故は起こらない」というのは、
最近どこかで聞いたことがあるような気がしないだろうか。

[九四式での事故]
1942年の珊瑚海海戦で、瑞鶴の第一次攻撃隊の九七艦攻 島崎隊長機
の偵察員であった石見大尉の九四式拳銃が索敵中に暴発し、大腿部に
弾が当り出血した、という記述がネットで見つかった。
このブログ(瑠璃)によると、
『日本の拳銃で暴発する事故は多かったという。
当時の搭乗員が拳銃をホルスタに入れないで直に携帯している写真を
多く目にすることができる。
これで暴発した可能性は高いだろう。
問題の拳銃とは「九四式拳銃」。
 安全装置機能の不備も含めて小型自動拳銃の基本的な常識がまったく
欠落している銃と指摘されている。』とある。

また、このブログ(意外な戦史を語る)は暴発を人為的とみているが、
やはり事故はあったとされている。
『隊長の嶋崎重和少佐が操縦していると、突然後部座席の偵察員のKが
突然弾に当たって激痛があり、出血が激しいので早急に引き返してくれ
と訴えてきたとあります。(中略)
一方、嶋崎隊長の機体を調べた整備員から、「どこにも被弾のあとが
ない」との報告が入ったのです。』とある。

この記事には『空母瑞鶴の生涯』豊田穣著 集英社についての記述が
出てくるが、事故の記事はそこから引用されているようではないので、
どちらも出典は明らかではない。

上記の記事が関係者の体験談を聞いたこと、もしくはどこかの出典から
得た情報か、また事例はどの程度の報告がなされ、残っているか、には
疑問があるが、それは暴発を引き起こした事が、非常に不名誉どころか
規則違反であり、下手をすれば懲罰モノであったため、余程の事情が
無ければ事実が明るみに出て来ないため、ではないだろうか。

よって「報告が無い」=「事故がない」という判断は、少し早計で危険
ではないかと思う。

[仕様と開発の問題]
九四式の開発は、もともと入手困難になった32口径カートリッジを使う
将校用拳銃に代わるものを開発することから始まった、とも聞く。

そして自国の8mmを使う中型拳銃の企画になったのだと思うが、既に
国際的には旧式のボトルネック形式,小(主流は9mm)口径の
カートリッジ、大量の備蓄があった訳ではないようなので、ここで
思い切って見切りをつけておけば、構造もシンプルにでき、カートリッジ
の生産も効率が上がったのではないかと思う。
ボトルネックのために少しの後退でガスが後方に噴き出しやすいため、
ショートリコイルにする必要も無く、実際同時代のベレッタはそれで
成功している。

もちろん、6.5mmから7.7mmにライフル用カートリッジを切り替える
のを、結局終戦まで実現できなかったため、拳銃弾の統一は現実的だった
のかもしれない。
しかしそれなら、後述するように十四年式を切りつめれば良かった。

南部麒次郎が軍と財閥を結びつけた存在だからその手になる九四式も悪い、
などと技術と直接関係無い要因で非難するつもりは無く、もちろん銃に
対する嫌悪感も持っていないつもりである。
外観については洗練されているとはいえないとは思うが、この記事作成時
に、様々な角度から九四式を見ていると、かなり個性的ではあるが、
嫌いではなくなっている。

開発者の南部氏がパテントを取ったこのロッキングブロック式閉鎖方法
に拘りがあった、という面はあるかもしれないが、現在知られている
試作のイラスト,画像を見る限り、かなり自由な発想をしていた
ようである。
試作は扇状のグリップで、バナナ状に湾曲したマガジンを検討、問題の
ある(後述)リアサイト部のフレームのブリッジも、露出したシアも
見られない。
もっとも、プロトタイプのままでは、更に異様なグリップなどで非難
されたかも知れないが。

ty94/07
九四式(左)とモーゼルミリタリーM712の分解の様子。共にロッキングブロックが
上下する閉鎖方式で、M712は右から2つ目の内部メカの銀色の部品、九四式では
フレームのトリガーの上,バレルの下の部品がロッキングブロック。
(M712はマルシン製モデルガン)


ty94/27
九四式のロッキングブロックのアップ。
バレル下部の溝に入って、バレルの後退に伴って下がり、スライドとバレルのロックを解く。
ロッキングブロックの両側面は実物では別体のカバーがカシメ止めされている。
リコイルスプリングは、バレルにはめたカラーを介して、ロッキグブロック前方の突起で
フレームに当たるが、模型では上記のカバーも含め、金属部品を埋め込み再現している。
このあたりも非常に薄く、実物構造が軽量化に苦心したところかもしれない。


そして、フレームのカシメ止めカバーも、極端に薄いブリッジも、この
過程で出てきた不都合を解消するために設けられ、それでも生産性の悪化
など、軍部の要求で当初の目標からかなり外れた開発を強いられたのかも
知れない。

ty94/04
スライドを抜き、ブリッジ部を見たところ。ご覧のようにここも薄く、加工も手間がかり
そうである。
下に見えるのがローラー付きの内蔵式ハンマー。


ty94/26
上記のロッキングブロックのためか、トリガーはトリガーガード側から入れられ、このために
トリガー前方に隙間が開く。
ハンマースプリングもトリガースプリングもガイド(ストラット)がないが、更にトリガー
スプリングはこのように露出しており、異物の付着,錆などには弱そうである。
またマガジンセフティも同様に穴が残り、更にロッキングブロックがはまるスライドの溝も
外から異物が入る可能性がある。


ty94/08
分解用ピンを半分抜いたところ。
九四式は分解方方法にも少し問題があり、ピンを抜いてスライドを分解するのだが、このとき
スライド後退位置でないとピンが抜けず、しかも抜くとスライドがリコイルスプリングの力で
勢いよく飛び出す。
これはフレームにブリッジを設けたせいかも知れないが、サイトを載せる意味も含めて、
疑問な構成だ。


要求仕様に、「将校用として品位のある格好」という記載があった、
とするところもあり、これなど主観でどうとでも言える、あいまいで
開発者の困惑する仕様そのものである。そしてその結果がこれなら、
要求側の求めた「品位」とは何だったのだろう。

試作後、的外れな変更要求が続いて設計者もスポイルされ、このような
結果になってしまったのなら、これも“日本的”な、物事を始めに明確に
しっかり書面に表して決めない、という悪弊が原因となったのでは
ないだろうか。

[自国製への偏愛]
九四式はやはり優れた銃とはいえない。
作動性が良いとはいえ、旧日本軍将校が使用した他の機種では解決されて
いる安全性に問題を残していた。

そしてこれは生産性などの問題もあるが、稲垣式や浜田式など、他に民間
にも拳銃開発を図らなければならなかったことも、九四式に問題があった
ことを伺わせる。
また単純に、十四年式のバレル,グリップを短くしただけでも(発火性能
はともかく)要求は満たせたのではないか。
そうすると生産の面でも、補給(部品,修理)面でも有利である。

ty94/22
左から十四年式(マルシン製ガスガン)、ベビー南部(南部式小型 マルシン製
モデルガン)、九四式。
カートリッジは、左の2つがベビー南部の7mmで、右が8mm。
大きさだけの対策なら、十四年式のバレル,グリップ部を切りつめても九四式のサイズ
くらいは実現できると思われる。


ty94/17
九四式と浜田一式(右、中田商店 無可動モデル)。
九四式以外にも、この浜田式一式,二式、稲垣式など国産拳銃はあった。


ty94/16
上の中田商店 無可動モデルの欧州製オートとも。
左上は九四式、右上がウェブリー&スコットM1906(M1905)、
左下はA・E・P ベアードM1923(M1930)、右下はワルサーNo4モデル。
ベアードなどは日本にも輸入されていたとか。


そして、チャンバーに装填して使わないなら、九四式は6連発である。
もっといえば、回転式ならそれを制式とした英国や、不足分を賄った米国
のように、信頼性も威力も高く、もしかするとコストも九四式より低い
ものが出来たのではないか。

軍制式ではないが、桑原銃砲店というところが、二六式を改良した32口径
6連発の桑原式軽便銃というものを売り出し、日清戦争時に近衛師団に
多数販売され好評だったという。(藤田兵器研究所 LINK希望されて
いないので非LINKで紹介)

ダブルアクションで命中率が悪いなら、ハンマーを起せばいい。それも
片手で操作できるはずだ。
将校用なら、弾倉交換の必要性は低く、ハーフムーンクリップ式の
米国M1917などは、もしかすると九四式とリロード時間に差が無かったかも
しれない。

九四式では再装填にはホールドオープンの力がかかっているマガジンを
左手で抜き、そのあとその左手で予備マガジンを入れる必要がある。
更にマガジンを抜くとスライドが前進しているため、再度スライドを
引いて装填しなければ撃てない。

ty94/21
S&W M1917(左 タナカ製モデルガン)と九四式。
上にあるのが、ハーフムーンクリップ。もともとリムレスのオート用カートリッジを
流用するために考えられたものではないかと思うが、3発ずつ装填できる。


自分たちの国のモノに対する非常に強い愛着や関心は、決して悪いこと
ではないと思う。
しかし、どんなものでも猫可愛がりだけで良いだろうか。
またここに、自国のものに対する批判が、自己批判へ向いているように
感じる、すり替えが起こっていないだろうか。

日本人はしばしば、批判と非難の区別が出来ず、客観的に冷静に行うべき
議論を、感情を露わにし拒むことがあり、議論が苦手ともいわれる。

自らの国のモノだから、自らが好きなモノだから、無批判ではいけない
と思う。

日本人は鋭い感性を持ち、細部に至るまで拘り、また真面目で勤勉だと
思う。
しかし、成果の半分はどれだけ良く働いたか、かも知れないが、やはり
半分は計画時,再考時にどれだけ深く,冷静に対象を見つめ、考えられた
かにかかってはいないだろうか。

そして、誤りは素直に認め、案や製品の検証を進め、改善していくことを
放棄した組織は、どんなに上手く制作しようとしても、まともなモノは
作れないと思う。

また、戦前の製品でも、未だに批判を許さないような空気があるなら、
それは我々がまだ未自覚の宗教に縛られているのではないだろうか。

ty94/02

後半、かなり偉そうな事を書いているが、自身も今一度他の意見にも
耳を傾け、誤りは素直に認め、謙虚に反省して改善できるか、自問して
いる。
これを読まれて誤りなどを見つけていただいた方がいらっしゃれば、
どうぞご指摘いただきたい。

それでは今回はここらへんで。

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今回は、2011年実質初めの記事、ということで、新年挨拶でも使用した
STIの2011シリーズについて。
sti/01

[概要]
STI 2011は、コルトM1911のカスタム発展形で、主にIPSC競技用を狙って
開発され、ナイロン樹脂と金属のコンポジット(複合型)フレームを持ち、
多弾数のダブルカーラムシングルフィードマガジン(複列式弾倉)を
使用する。

sti/10
これはKSCのイーグル5.5ロングスライドブラックリミテッドモデル。
画像の青い部分が樹脂製フレーム。
今回の1/1モデルは、一連のKSC製ガスガンで紹介する。


口径は45ACPのほか、40S&W,38スーパーがあり、バレル(銃身)長も3.9
から6インチ、また反動低減装置として、ポート加工,コンペンセイターが
装備されるものもあり、更にマガジン長も短いものなど、多種にわたる
バリエーションがある。

sti/02
38スーパー使用の、コルトコンバットコマンダー(左、MGCモデルガン)と、
STIホーク4.3。


当初このフレームは、キットパーツとしての販売や、有力カスタマーへの
供給から始まったが、完成品としてイーグル,ホーク,ファルコンなど、
鷹の名前を付けたシリーズを発表、更に改良したワイドフレームの
シリーズとして、エッジが発表されている。

sti/12
同じくノーマルフレームでホーク4.3(左)、
ワイドフレームのイーグル6.0(右)。



[STI社の軌跡] 
STI社の前身となるTRI社は、ヴァージル・トリップ,フレッド・トリップ
兄弟により、当時先進の技術であったCAD/CAM(コンピュータによる設計,
制作一貫システム)を用いたカスタム部品メーカーとして立ち上げられた。
当初同じテキサス出身の名シューターであるチップ・マコーミックを
販売上のパートナーとし、その後マコーミックのCMC社と提携し、
コンバージョンキットを販売した。

更にその後、サンディ・ストレイヤーと組んでSTI社となり、現在ノーマル
フレームと呼ばれるシャーシを使った2011シリーズが製品として販売され、
STIは完成品メーカーとなった。
このモデルから、それまでアンビ(左右両用)対応としていたスライド
ストップを右のみとし、フレーム右サイドに2011と刻印している。
2011は、コルトM1911の進化形で、100年後の年数に未来の標準、という
意味を込めてのことだという。

このシリーズ名,モデル名は、ワイドフレームにも応用されるが、ワイド
フレームの開発は、ストレイナーがストレイヤー・ヴォイド(SV)社を
別会社を立ち上げ独立、トリップが経営をデビッド・スキナーに任せ、
開発に専念してからである。

sti/05
左からイーグル6.0,5.5L、ホーク4.3。
ホークはノーマルフレーム、イーグル6.0がワイドフレーム、
5.5Lはノーマルにオプションレイル付き型。


STIは、現在ハイキャパシティ(多弾数)モデルだけでなく、シングル
スタック(単列弾倉)のM1911型も製造,販売している。
また、カリフォルニア州ではSTIのフレームを使った製品をバレル
メーカーのバーストが組立,販売し、会社設立当初パートナーだった
ストレイヤーも同社にフレームを発注し、SV社で組み上げた製品を
販売している。

sti/11
SVの3.9エクセレレーター(WA ガスガン)と
STI5.1スペシャルエディション(以下5.1SP)。


[コンポジットフレーム] 
拳銃のフレーム素材といえば、19世紀までは真鍮が一部用いられるほか、
鉄,鋼材が中心だった。
これを軽量化すべく、当初は贅肉を削り落とし、次はアルミ、そして
ポリマー使用へと移ってきているように思う。

ポリマーハイブリッド型フレームの前に、アルミフレームが拳銃に
使われることが流行した。これは戦時中にワルサーPPKやベレッタM1934で
試みられ、また回転式でもコルトはコブラ,エイジェントなど護身用に
採用、コルトはM1911系のコマンダーもアルミフレームだった。’70年代
にはダブルカーラムマガジン併用でS&W M59,ベレッタM92,SIG P220
など、新型はアルミフレームが主流、とも思える状況になった。

このとき、問題となったのが、疲労強度と磨耗だ。そこで、P220などは
アルミフレームの各所にスチールブロックを埋め込み、耐久性を
上げている。

この一部スチールを埋め込むという考えは、ワルサー社がP38のアルミ
フレーム化を考えたときから利用されており、更に金属のパーツを
ポリマーで受ける形をライフル,SMGも含めてドイツのH&Kが考え、
拳銃ではVP70,P9などにポリマーを使って製品化している。

H&Kのこの試みは前衛的、として広く普及するには至らなかったが、
オーストリアのステアーがそれをプルバップ(倒置型とでも言おうか)
ライフルで更にポリマー使用を進めた。
このあと拳銃でポリマーフレームのグロックが登場し、一気にポリマー
フレームが流行することになる。

sti/14
左から、S&W M59(MGC モデルガン)、
グロック G17(タナカ モデルガン)、STI5.1SP。


STIは、流行となったポリマーをM1911に応用することを考え、上下で
素材を分け、上部をスチール,チタンなどの金属、下部をポリマー
(どうやらガラス繊維強化ナイロンのようだ)としたハイブリッド方式
を考案、これにより軽量でグリップ幅の増大を抑えたハイキャパシティ
モデルを実現した。
同社はこれをコンポジットフレームと呼んでいるようだ。

コンポジット型フレームのM1911としてはスペインでSPSというところ
からSTIのコピーと思しきものが製造され、またイスラエルのブルも
上部のカバーまでポリマーとし、内部に金属シャーシを納めたモデル
を開発、これは米のキンバーとの共同開発だったらしく、キンバーから
も同様のフレームを使ったモデルが登場している。

他に、これは直接STIを参考にした、という訳ではないが、従来金属
フレームを持っていた各種の拳銃で、ポリマーフレームで金属シャーシ
を内臓しているものが登場、従来の全鋼製オートから、主流はポリマー、
ハイブリッド型に移行してきている。
このような考えは、STIから始まったのかもしれない。

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キンバー ゴールドマッチ(左、マルシン ガスガン)とSTI4.3カスタムショップ
(以下4.3CS)。


[コンバットシューティングとIPSC] 
STIの製品は、当初IPSC競技用として開発され、発展した。IPSCは、
コンバットシューティングの競技団体として設立された団体だ。
その後競技はタクティカルと呼ばれるようになるが、連射スピードを
求められるもので、M1911はマガジンチェンジが素早く出来ること、
精度向上のカスタムが比較的容易で、かつそのポテンシャルが高かった
ことから高い使用比率となっていた。
その中で、より多くの弾数を求めて、ダブルカーラムマガジンの導入が
はかられた。
キャスピアンやパラオーディナンスは従来のフレームのマガジン部を
幅広にし、多弾数を実現した。キャスピアンのフレームはグリップも
ノーマルのM1911同様の形式だが、パラオーディナンスは一部を
フレームカバーとしたグリップを付けている。

sti/07
左からパラオーデナンスP14-45(WA ガスガン)、キャスピアン
フレームカスタム(MGC ガスガン)、STI4.3CS。


[トイガンのSTI] 
トイガンとしてはガスBLKでKSCがSTI 2011をシリーズ化して展開している。
これはトイガン用にデチューンされた樹脂フレーム、メインスプリング
ハウジング,トリガーなどをSTIが供給しており、もちろんスライドなども
樹脂製だが、いわば実物のBB弾版である。

金属シャーシは、実物ではチタン製などがあるが、KSCでは、亜鉛とアルミ
の2種を作っている。樹脂フレームとシャーシを止めるボルトもSTIから
供給されているという。

最初に開発されたリアルメカバージョンでは、鋼板プレスのマガジンを
採用していたが、次のレースメカバージョンでは熱効率を考え亜鉛
キャストとしている。

バリエーションは上記の実物に沿ったバレル長があり、またカスタムを
再現したもの、独自のカスタムと思われるものがある。

手元には、イーグル6.0、イーグルハイブリッド5.5L、ホーク4.3のほか、
年間限定生産という形で3つ同時に登場したシューマッハエグゾースト
(以下シューマッハEX),4.3CS,5.1SPの6つがある。
このうちシューマッハEX,5.1SPが45ACP仕様、
他は38スーパー仕様となっている。

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左から、5.1SP,4.3CS,シューマッハEX。

上記のように実物のバリエーションが非常に多く、使用部品も幅広い。
トイガンでも、スライドのセレーションがパネルカット(スライド動作
方向と直角の鋸状)、ダイアゴナル(斜め)、更に幅広の溝、
セイバートゥース(アールを交差させた形)などが再現されている。

またハンマーはリング,楕円,角型,スパーの肉抜き型(ライトウエイト
=LW)などが使われ、セフティレバーも形状の違いのほか、アンビ
(左右両用)とシングルがある。

sti/09
手前から、LWスパー、タクティカル、LWリング、スクエアのハンマー。
LWリングのみ、社外品を組んでいる。

 
他に変わりダネとしては、アランジィッタのカスタムしたストライクガン
というものラインナップされている。

ウエスタンアームズでも、最初自社ブランドのもの、次にSVと契約して
SVブランドの製品を作っている。後にバーストのモデルも作られた。
東京マルイは、自社独自のハイキャパ5.1,4.3シリーズを持っている。

[1/6] 
今回STIの手持ちフルスケールモデルと全く同じものは見つからなかった。
また、1/6なので、ダブルカーラムでも着脱式では薄いマガジンのものが
あり、苦しいところではあるのだが、リコイルスプリングのカバー部が
延長された6インチを再現したモデルがあるので、これを使ってみた。

sti/04

[2011年] 
ちょうど今年、M1911採用の年から100年、未来のM1911として開発された
STI 2011は、競技用だけでなくタクティカルユース、ディフェンス用と
広く使われ、現代のモデルとして普及し、今も作られ続けている。

2011がこれからは過去になるのか、それとも長くスタンダードとして、
このシリーズがそのまま残るのか、はまだわからない。
しかし、STIと2011の名は、既に一つの潮流を作ったモデルとメーカー
として、銃の歴史に刻まれたのではないだろうか。

《今回の記事作成において、KSCの取扱い説明書中の記事を
参考にしています。》

sti/03

では今回はここらへんで。

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今回は、ダブルバレル(2連銃身)のソウドオフショットガンを。
mad/01

[概要]
'79年の映画「マッドマックス」は、近未来の警察と暴走族の戦いを
描いた映画で、ハドソン産業はその中でメル・ギブソン演じる主人公
マックスが使用していた銃をトイガン化した。

これはサイドバイサイドのボックスロックソウドオフショットガン
(水平2連中折れ式のハンマー内蔵式切り詰め散弾銃)
で、名前もずばりマッドマックスである。

今回は、まずハドソンのモデルを紹介、そこから水平二連の起源や
ソウドオフについて、と進めていきたい。

mad/02
マッドマックスつながり、ということで、アルパインスターの
ハイポイントブーツと。

[バリエーション]
ハドソンでは、1983年モデルガンでこれを発売、後にバレル(銃身)を
延ばし、ストック(銃床)も付けたモデルをダブルバレルショットガン
としてバリエーション展開、更にガスガンにリメイクされ、表面仕上げも
ブラックのほか、メタルフィニッシュや今回登場の限定版、フレーム
(レシーバー=機関部)シルバーモデルがあった。

mad/09

素材は主にABS、フォアアームとピストルグリップはスタンダードのプラ製
とデラックスの木製が用意され、これには以前パーツで入手していた木製
ストック,フォアアーム(先台)を取り付けてみている。

木材は少し目が粗めの明るい色のもので、ウォールナットというより
チーク系のイメージだ。

この木製パーツ、少し大きいようだが、最初から木製パーツ付きの画像を
見ても同じような取り付けになっている。

同じ木製ストックでも、エアガン版はグリップ側面の削りが少し異なり、
構造から内部も違いがあるかもしれない。

[発火形式]
この発火システムが少し変わっており、カートリッジにはキャップ火薬が
3つ装填できるが、このうち2つしか発火しないという。
バレルを覗くと、ファイアリングピンは3つあり、そのうち一つがわざと
発火しないよう短くされているようだ。
mad/07

発売当初のGun誌情報によると、発火音がうるさすぎるので急遽1発
減らしたとか。
もしかすると強度のため、安全確保したのでは、とも思えるが。

[モデルアップ]
映画で使われたのはサベージ社の311Aというモデルらしい。
サベージはコルトM1911採用時に、拳銃も作ってトライアルに参加していた
老舗、ライフルでも有名だが、現在も水平二連、ポンプアクションの
各ショットガンを販売している。

さて、ハドソンがモデルアップしたものは、このサベージ製311Aとは
少し形状が違う。
そして、レシーバー横に、菱形のロゴマークが再現され,「EUROPEAN TYP
BOX LOCK」と表記されている。

mad/11

ボックスロックは、ウエストリーリチャーズ(Westly-Riechards)社の
機構をもとに、そこにいた2人のガンスミス、AnsonとDeelyにより開発された、
ハンマレスダブルバレルショットガンでは一般的な構造、とのこと。

「ヨーロピンタイプ」なので、欧州一般のボックスロック型、として
オリジナルの形状かもしれないのだが、もしかするとウエストリーリチャーズ
は英国の会社なので、ハドソンは正にこれをベースにしたのかも知れない。

ともかく、この当時ショットガンのモデルガンといえばMGCの2丁くらいで、
正に「他が作らないモデルを狙う」ハドソンらしいモデルである。
またハドソンは後にキャラクター商品を展開するが、その第一号でも
あったように思う。

[サイドバイサイド]
サイドバイサイド=水平二連の形式は、かなり起源が古いものと思われる。
水平に銃身が並ぶ形は、旧式の発火方式に向いていたと思える。

雷管が発明されるまで、何らかの形で火(火花)を火薬に直接当てて着火
していたのだが、火蓋が開くと火薬がこぼれるので、ここが上を
向かなければいけない。
無理なく連発にするには、メカを左右対称の形とし、バレルを水平に2つ
並べるのが手っ取り早い。

その後、雷管を使うパーカッション式となり、そして火薬,雷管,弾丸を
一つのケースに納めたカートリッジ式になる。
このカートリッジを使う方式として、中折れが考えられ、これはリボルバー
にも適用されるが、ショットガンでは今も生き残る、シンプルな上下、水平
二連のものが出来たようである。

mad/10
マルシンのS&W No3モデル(右上)と。

さて、水平二連式は、上下二連式に比べ開口部両側面が覆われていない
ので、強度的には劣るものの、軽くコンパクト、というのが最大の
利点で、それは小型化するためにソウドオフするなら、やはり
重視されるポイントである。

見ていただけばわかるとおり、水平二連銃はレシーバーもコンパクトで、
ポンプアクションなどより短くしやすい。

mad/03
マルゼンのCA870(左)と。ポンプアクションの機関部の長さが、
そのまま全長の違いになっている印象である。

[ボックスロック]
水平二連ショットガンは、当初のハンマー露出式から、中折れ動作で
ハンマーをコッキングする、上記のボックスロックという方式の
ハンマー内臓型に変化して、今回登場させたモデルに至ったようである。

このダブルバレルショットガンは、複数のメーカーから同じ形式で
作られており、リリース用のレバーなども同じ操作のものがある。

操作系としてはリリースレバーとトリガー2つ、そして敢えて挙げるなら
バレルが排莢,ハンマーコッキングに関わるが、それでもシンプルだ。

mad/05

機関部を開くには、グリップ上部のレバーを後方上部から見て右に押し、
バレルを下に倒せば空のシェルが排出され(ショットガンの場合、
カートリッジのケースはショットシェルと呼ばれる)、内臓ハンマーが
コッキングされる。
レバーの後ろにあるのがセフティで、中央にあるので左右どちらの手でも
操作可能だ。

mad/04

トリガー(引き金)は両引きとよばれる2つ有る形で、左右それぞれの
バレルに呼応している。
トリガーは前後だけでなく左右にもずれており、これは右手で引くなら
引きやすく出来ている。

mad/06

[ソウドオフ]
ソウドオフとは、そのまま直訳のとおり、鋸で挽き切った、という意味で、
通常米国では16インチ以上?のバレル長、そしてストックの装着が
ショットガンには義務付けられているが、これを前後切り詰め、短銃身,
ストック無しとしたものである。

これは昔ギャングがソウドオフした銃を悪用したため、禁止になった
ようである。
もちろん、切る目的はコンシールド、つまり隠し持ち易いようにする為だ。

更に分解は容易なので、もっと小さくして持ち歩くことも出来る。

このモデルガンでも実物同様フォアアーム(先台)のレバーを操作して
外すと、このように3つに分解できる。

mad/08

[ショットガンの扱い]
銃器の規制が緩やかな米国においても、ソウドオフショットガンは規制の
対象なので、最近トーラスなどが散弾を使う拳銃を作っているが、
法に触れないようにバレルには一応ライフリングが切られているという。

逆に日本では、ショットガンの所持は比較的制限が少ないので、ライフルの
ライフリングを半分にして、半分はスムーズボア(つまり単なる筒)とし、
ショットガンとして所持許可を得るケースがあるようだ。

以前雑誌で見かけたものだが、ブラジルでは、38口径以上は所持ができない
のに対し、ショットガンの小型化には規制が無かったらしく、散弾を撃つ
拳銃が売られていたようだ。

拳銃用でも、蛇を撃つためのショットシェルが売られており、バレルの
ライフリングが有るか無いかなど、あまり関係ないように思われるのだが。

[1/6]
今回の1/6は、最近香港でZCガールというフィギュアを作っているところが、
「ZCワールドファイアーアームズコレクション」として、銃だけを2つ
セットで販売しだしたもの。

このモデルは、バレルは長短あって短いものでもマッドマックスより若干
長く、また前後サイトが付けられており、マッドマックスを再現した
のではないようである。

長いバレルのものを2つ入手したので、モデルガンに合わせカットしてみた。
マズル(銃口)はハンドドリルで開け直している。フレームのひし形の模様は
同じなので、元のモデルはハドソンマッドマックスと同じかもしれない。

リリースレバーが可動、中折れも出来、側面に凹凸が再現された
ショットシェルが(ちょっと細いが)薬室に装填できる。

mad/12
それでは今回はこのへんで。

mad/13

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今回は、数奇な運命を辿る米制式ライフル、M14を。
m14/01


[概要]
M14は、米国スプリングフィールド造兵廠で開発された軍用自動小銃。第二次
世界大戦後に米軍の主力ライフル(小銃)として採用され、生産数は138万丁
にも及ぶという。
しかし、主力ライフルだった期間は1957年から1967年?('68年との情報もある
)と比較的短く、その後一部が後方支援,狙撃用として特殊部隊などで使用
し続けられるという、変わった経歴を持っている。
形はM1ガーランドを踏襲しているものの、大きな変更点はフルオート
(全自動=引き金を一度引くと弾がある限り連続発射される)射撃が可能に
なったことで、このためマガジン(弾倉)は8連クリップタイプからボックス
タイプの20連に、またマズル(銃口)にはフラッシュハイダー(消炎器)が
付けられている。
またバットプレート(肩当て)が上に上がり、上からも肩に当たるように
出来るなどの変更点が見られる。ストック(銃床)は、当初木製だったが、
後に民間で作られ、シンサティック(合成樹脂)のものを付けているものも
現れた。

M14は、フルオート機能を廃した競技(民間)用M1A1、直銃床タイプの
ストック,独立グリップをもつM14A1、特別工程を経て高精度にくみ上げ
られたM21狙撃銃などを生み、M16採用後も後方支援,狙撃用として使い
続けられている。

m14/02
今回の1/1は、東京マルイの電動ガン、
シンサティックストックバージョン。


[背景と開発]
米軍がWWⅡ(第二次世界大戦)期に使用したM1ガーランドは、WWⅡ期の
ライフルとしては先進的なセミオート(自動装填)式だった。
ドイツも日本も、主力ライフルはボルトアクションの手動式であり、
連射速度ではM1ガーランドは有利だったと思われる。
M1ガーランドも戦時中にショートバージョンやスナイパーバージョン、
作動方式の異なるものなど、数多く試作,生産されていたが、早くも戦争
終結前の1944年から、新ライフルの開発が始められた。
当時ドイツもヒトラーガーランドと呼ばれるGew43や、MP44(Stg44)を
開発しており、米国も生産性や装填弾数、フルオート化などの要求に対し、
むしろ戦時中だけに急ピッチで開発していたのかもしれない。

m14/07
WWⅡ期のセミオートライフルとM14,
MP44。これらは1/6で、左からGew43,SVT-40 M14、MP44。


開発はレバーアクション式ライフルで有名なウインチェスター、ライフル,
ショットガンで活躍していたレミントン社とスプリングフィールドの競作
という形で始められ、好評だったM1ガーランドの基本機能は崩さず、主に
全自動射撃機能の追加といった小変更が計画されていたようだ。
計画段階ではM1ガーランドより軽量化する予定だったというが、けっきょく
全自動機能も持つ事から、M14では重量増になっている。
国営と民営の会社が競作するというのは奇妙に感じるが、実際スプリング
フィールドのJ・ガーランドが設計したT20が有望とされていたようだ。
しかしその後、同じくスプリングフィールドのアール・ハーヴェイが試作
したT25で、M1ガーランドの30-06弾薬を短くしたT65というカートリッジ
を開発(これが後に.308となる)、これをロイド・コルベットがT20に
組み込み、試作はT47までいったという。
T25では直銃床(後のM16の形式)に近く、T37からM14のスタイルになって
きているという。
このあと、コンペ形式のトライアルが行われたらしく、このときFNの
FALも参考テスト用として買い入れられ、更に米国内のハーリントン&
リチャードソン社でこれを500丁作り、これらもT48というトライアル
モデル名を得たという。
結局T44の木製ハンドガードをプラスチックにしたものがM14として
制定され、開発開始から13年、朝鮮戦争が停戦してからでも4年、M14は
ようやく制式採用,配備が始まる。

 開発期間が長くなったのは、ライフルをほぼそのままフルオート化する、
という技術的な難しさもあったかも知れないが、WWⅡ終結後、ライフル
を大量に生産するどころか、多くの兵士が退役し、ダブついた在庫を
抱える状態になり、新ライフルの出番は無かったためかもしれない。
同時に採用されたカートリッジ、.308は30-06より短いが、パワーの低下
は少なく、命中精度も高い、優れたカートリッジだという。
このため、民間でも狩猟用だけでなく大口径射撃競技にまで使われ、広く
普及した。

m14/16
同じく1/6で、M14,FG42,AK47。
FG42はWWⅡ期に独で開発された、これもアサルトライフルの始祖ともいえるもの。


[アサルトライフル]
アサルトライフルとは、短く威力も少し小さい弾薬を用い、セミ/フルオート
切替え式としたライフルだ。
それまでのサブマシンガン(拳銃弾を用いた機関銃)とライフルを合体させた
ようなもので、当時のサブマシンガンが命中精度という点では必ずしも良く
無かった点を、セミオートでライフルに近い性能を得、それまでのライフルが
フルオートでは撃てなかった点をローパワーな弾で可能にしたものだ。
対戦末期にドイツが開発したMP44(Stg44)が、この新たなジャンルを築き、
続いてソ連がAK47を開発してそのコンセプトを受け継ぎ、その後アメリカも
M16を採用、現在では世界的に歩兵の標準装備となっている。
M14、いや.308を採用したNATO諸国のライフル達は、この概念からは
少し大きく、重く、そして反動がきつく、現在では別のジャンルに数え
られている。

[迷走の原因]
しかし開発開始時点の1944年、アサルトライフルという概念を持ち、それを
次期制式ライフルとする、というビジョンを米国は持っていなかった。
いや、ドイツですら、MP44を全軍に配備できなかった。
当時ドイツでも少数の配備に止まったアサルトライフルをどう評価するか、
戦争中はもちろん、戦後すぐでも難しい問題だったはずである。
特に米国はソ連と違い、このMP44で大きな被害を出すなどの戦闘を経験
しなかったらしい。

ドイツはMP44の開発にあたり、新カートリッジを使った。当時制式の8mm
モーゼル弾は膨大な在庫があり、また物資の不足している戦時下、これが
採用のネックなったことは皮肉だが、この選択はやはり正しく、小銃を
そのままフルオート化するのは、無理があったようである。
この適切な判断が、アサルトライフルに限らず、サブマシンガンMP40や
多目的機関銃MG42など、多くの名作を生み出したのかも知れない。
 その点、米国はライフルの自動装填化で先鞭を付けた自信が生んだ
慢心からか、M14の開発でつまづいたようである。
この計画では、そもそも全自動化にあたって弾薬を見直す必要があった。
開発側もそれに気づき、恐らく途中から、ではあるが新カートリッジを
平行して開発している。
このとき、ライフル,機関銃の弾薬統一(共用化)を取ってライフルの
フルオート化を諦めるか、それとも別のもっとパワーを落とした弾薬と
して、既に使用中のカービンを昇格させるような、全面的な構想の見直し
が計れなかったことが、個別の製品、この場合M14に無理を生じさせた
のではないだろうか。
米国はM2カービンという、いわばアサルトライフルを既に補助的な位置
付けで採用していた。
もし好評だったM1,M2カービンを廃し新ライフルに統一する、ならば、
カービンよりに開発することも検討できたはずだ。
そしてM2のフルオート化の経験だけでなく、ライトマシンガンと位置づけ
られるBARも採用し使っていた経験がある。つまり、パワーと重量、
扱いやすさの妥協点も、米軍の現場サイドは知っていたのではないだろうか。

m14/19
各種カートリッジ。左から、M1ガーランドの30-06、M14の.308、
M16の.223、AK47の7.62×39mm。


また結果論だが、M14の後を継いだM16の採用後も、M3カービンから
長い間採用されていなかったカービンを復活し、M4の名を与えて現在
使用していること知る側から見れば、やはりカービン強化が適当だった
のである。
開発陣は、当初の高すぎる要求性能に付き合った結果、実際に撃つ射手
側から見れば扱いずらく実用性を損ねてしまったのではないだろうか。
結局開発開始から10年以上、プロジェクトはこの”パワーを余り
下げない”新カートリッジの開発もあったが、大きな方向転換をする
ことなく続いていたようなのだ。
この間にAK47が普及していたことを考えると、当初の計画を途中から
でも見直すチャンスはあったと思う。
そしてこれは、その後M16への短期での置き換え、しかも戦争中に
それを行う、という次の失敗、西側諸国のアサルトライフル化への
紆余曲折、という更に大きな無駄につながったのではないだろうか。
また、両者距離をとって向き合い、歩兵が小銃を撃ちあう、というもの
ではなくなったことは、フルオートの個人装備を考えていた時点で
認識していたと思うが、ならばもっと新しい戦闘の形態を考え、それに
合致した装備を考えるべきだったのではないだろうか。

m14/17
米軍正式ライフルたち。上からM1ガーランド、M14、M1カービン、M16。

米軍の判断の誤りは、NATO諸国にも.308を制定させたことで、欧州にも
影響を及ぼした。
セトメの改良型で、西独軍の制式となったG3は、当初ここまで
ハイパワーの弾薬を使うつもりではなかったため、一定期間後レシーバー
を工場で矯正する、という苦しい方法で.308に対応した。
英軍などが使うFALは、切削レシーバーの強度もあって耐久性に問題は
無かったようだが、反動はいかんともしがたく、フルオート機能を
殺したL1A1を作った。
ここでは.308のフルオートライフル、という設定をはっきり否定した
訳である。

m14/18
各国の.308制式銃。左から、M14,FAL,G3,64式小銃。

この迷走の原因を推察するに、一つはライフルの自動装填化,WWⅡの
戦勝という成功体験から離れられなかったこと、
もう一つは「ナンバーワン」が好きで、パワフルなものを喜ぶ国民性
があり、小さく小回りが効いて扱いやすい、というコンセプトを肯首
できなかった、米国自体も戦後の高度成長期であり、そのような気風
を見つめなおす雰囲気に無かった、ということかもしれない。

[M14の存命]
しかし現在、M14はまだ一部ではあるが、軍の武器として使われている。
もちろん礼装用の磨き上げられた飾りとしてではなく、実戦の場で、だ。
ここへきて、.308などの強力なカートリッジを使うライフルが、
バトルライフルという呼び方で存続するようになった。
米軍は.ボルトアクション(手動)式のスナイパー(狙撃手)ライフルも
採用しており、用途としてはこれだけ多品種の装備を持つ必要性に
疑問もあるが、ライフルは上述のようにM16から、M1~M3カービン以来
の米軍制式カービンM4に移ってきているので、空いた隙間を埋める意味で
使われているのかも知れない。
M14も、単なる回顧趣味だけで生き残ったのではなく、命中率の高さ、
大口径のパワーとガスオペレーション(発射ガスの一部をシリンダーに
導き、ピストンを押してその作用で閉鎖機構を解く方式)の信頼性の高さ、
などがあったから、ではないだろうか。
m14/03
M14の機関部。機関部後方、トリガー上方にあるのがセミ/フル切り替えのセレクター。

[1/1]
今回のリアルサイズモデルは、東京マルイの電動式エアガン。
バレル,レシーバーからチャージングハンドル,ダミーボルトまで
金属製で、非常にがっしりとした造り、重量は実物には及ばないが、
電動ガンでは重いほうだと思う。
今回入手したのはシンサティックストック風のODタイプだ。
ボルトは発射に連動しないが、手動で動き、しかもフルストロークの
直線移動だけでなく回転もする。バットプレートは実銃通り上がり、
内部にはクリーニングロッドの代わりにバッテリーが入る。また、サイトも
実銃同様に微調整が可能で、ピープ型のリアサイトが円弧状に上昇する。

m14/20

[1/6]
今回、1/6のM14はドラゴン,21センチュリーのものが揃った。
これら以外にも最近のレイル付きモデルなどが作られている。
21センチュリーのモデルは、シリーズで当てモノとして売られ、両者とも
バイポッド(二脚)が付けられている。バリエーションはストックが
ODカラーと木製風の違いだけでなく、スコープも装備されている。
3種とも、チャージングハンドルが稼働する。

m14/15
左がドラゴン、右の2つが21センチュリー。

1/1のマルイと大きさの比較も。

m14/13

それでは今回はここらへんで。
m14/14

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ar7/01
今回は、コンパクトに納まるユニークな組立て式ライフル、AR-7を。

AR-7は、AR-15(M16)で有名なアーマライト社のデザインしたサバイバル用
ライフルで、ストックにバレル,レシーバー,マガジンを納めて携行できる、
コンパクトパッケージを最大の特色としている。
シンプルなブローバック(吹き戻し)式の自動装填ライフルで、
重量は1.1kgほど、装弾数はマガジンによって異なり、短い10発から
最高50発まで装填できるものがある。

M16A1(奥)とAR-7。
M16A1(過去の記事)はマルシンのモデルガン。
AR-7はWA(ウエスタンアームズ)のモデルガン。
素材は主にABSだが、ボルト,ボルトハンドルがメッキされ、
シルバーになっている。
ar7/02


[アーマライト]
アーマライト社はフェアチャイルド社のアーマライト事業部
(但し名前はArmalite,Inc.)という位置づけだった。
1954年10月に設立され、ロッキード社の顧問だったサリバン、
後に社長になるチャールズ・ドルチェスター、そして技術の主任として
ストーナーが参加した。
サリバンのアルミ合金とグラスファイバー(FRP)を多用した軽量ライフルを作る、
というコンセプトが会社設立のもとになったらしい。

製品化に至らなかったAR-1パラスナイパーからアルミ合金とFRPが使われ、
同じく試作30-06口径のAR-3を経て、自動化されたAR-10,AR-15へと
至るのだが、これらの前にAR-5がセンターファイア・カートリッジの
22ホーネットのボルトアクション(手動式)ライフルとして製品化され、
これが空軍の非常用サバイバル・ギアとして採用、MA-1の制式名を得ている。

AR-15のあと、これをシートメタルで作ろうとしたAR-16(試作)、AR-18
(1963年発表)がある。
アーマライトはショットガンの開発にも取り組み、AR-9という試作12番を経て
AR-17を1964年にリリースしたという。
アーマライトのプロジェクトは、親会社フェアチャイルドの破綻、AR-10,AR-15
の製造権をコルトに売却したため、主力商品を失うなど経営の混迷からか、
サリバンが’60に、ストーナーも’61に脱退し、その後会社(事業部)自体も
売却される。

1/6でアーマライトゆかりのライフルを。
左からM4カービン、XM177、M16A1、AR-7。
ar7/03

[ストーナー]
ここで設計者のストーナーについても。
ユージン・モリソン・ストーナーはハイスクール卒業後にベガエアークラフト社
に入り、そこで航空機用の火器の整備を学び、WWⅡでは米海兵隊に
入って太平洋戦線に赴いたという。
戦後、また航空機器のメーカー(Whittaker=ウェイテカー?)に在籍後、
アーマライトに入ったようだ。
アメリカでは、J・ガーランド、J・ブローニングに並ぶ、20世紀の3大銃器
設計者と呼ぶ者もいるようだ。
アーマライト退社後、ストーナーは、キャデラックゲージ社でストーナーM63を
開発、後にナイツアーマメントの設立にも関わった。

[AR-7]
AR-5の完成は1955年のことらしい。
AR-5もアルミ合金とFRPが多用され、これは水に浮く軽さだったという。
AR-7も水に浮く、という話もあったが、Gun誌の実験でも浮かなかった
ようである。
それも水が浸入してきて徐々に沈む、ということではなかったようなので、
フタの密閉に問題があるとは思えない。
すると個々の問題ではなく、AR-5が水に浮き、AR-7は浮かないもの
だったか、初期のAR-7がバレルをアルミで作って内部に鉄のスリーブ状の
パーツを入れるなどして、大幅に軽量化されていたか、だと思う。

まさか機関部を外して、ストックだけなら浮くので通信(救助要請)用に
水に流せる、といった事ではないと思うが。

AR-5は実際に空軍に納入されたらしいが、少数のみに終わったようだ。
このあと、民間用として22LR(ロングライフル)を使用する自動装填式の
AR-7に発展する。

同じ22LRを使用する、ルガー スタンダードピストル(マルシン ガスガン)、
コルト ウッズマン(MGC モデルガン)と。
ar7/13

AR-7はアーマライトから1960年に発売されたが、その数量は少なかった
らしく、1970年代後半にチャーターアームス社が製造,販売するようになって
大量に出回り、市場にあるものはほとんどこれだとか。
製造はサバイバルアームズ,ヘンリーリピーティングアームズなどでも
行われたとの事。

数多くのバリエーションモデルも作られ、AR-5と同じ手動式や、サイレンサー
装着モデル、ストックを止めピストルグリップを付けた拳銃タイプ、などが
あったという。

その後の紆余曲折についてはあまり詳しい資料に当たらなかったが、
製造は2004年ごろに終了したようである。

WA製作のAR-7はチャーターアームズのものを再現している。
そこで同じチャーターアームズのトイガン、カナマルのブルドッグ(エアガン)と。
ar7/12

‘63製作の映画「007ロシアより愛をこめて」(公開当時の邦題は
「007危機一発」)では、AR-7は007=ジェームス・ボンド(シューン・コネリー)
使用のスパイ用兵器として使用され、一躍注目を浴びたようだ。

[トイガンのAR-7]
WAは、最初モデルガンでAR-7を発売、次にこれをガスガン化し、
バレルやピストルグリップ仕様のものなど、いくつかバリエーションが
あったようだ。
製品にはポスターやシールも同梱されていた。
モデルガンでも、オープンカート式とCP式のものがあり、これらの
カートリッジはウッズマンと同様のものだが、若干長さが長く、専用の紙箱に
入っていた。
当時WAとMGCは協力関係にあり、MGCのキャップ式ブローバックの
技術供与を受けてAR-7は製作されたようだ。

AR-7は生産性を上げるため、スタンプメイドと呼ばれる鋼板打ち抜き方式
による部品を多く使っている。

マガジンは前部が溶接されたユニークな形状、そしてリアサイト,ハンマー,
マガジンキャッチ,トリガーなどがスタンプメイドだ。

スタンプメイドの調整式(下のスクリューを緩めて上下動かす)リアサイト。
WA モデルガンでも、これは再現されている。
ar7/10

特にトリガーは指が当たる部分をワイドに成形、同時にグルーブ(溝)も
作っている。

AR-7はハンマー式で、トリガー(引き金)がハンマーを後退位置で止める
機構はAR-15(M16)と同様(簡略化されているが)だ。
トリガーを引き、撃発後後退してきたハンマーをトリガーの後端がとらえ、
トリガーを引く指の力を緩めると、トリガーの前進によってハンマーは解放、
しかし少し回ったところで今度は上昇してきたトリガーの前端がハンマーを
ロックする。
再度トリガーを引けば、ハンマーは今度こそ完全に落ち、撃発するサイクル
が弾のある限り繰り返される。

WAのモデルガンで、機関部を。
これは実によく本物をコピーしていると思う。
ar7/09

[1/6 AR-7]
今回はちょっと早めの多めで、1/6を。
というのもこの1/6模型、実によく出来ており、更にオプションパーツも充実
しているのだ。
いつものように単品購入で出所は不明だが、どこかの1/6フィギュアに付属
していたらしく、パッケージが透明プラスチックの片面をカバーするものだった。
('09/06/19追記;BBI製のようです。)

まず、1/1と1/6で、ストックにバレル,マガジン,レシーバー(機関部)を
収納した状態。
ar7/05

そして、ストックのバットプレート(肩当ての部分)を外し、中身をとり出す図。
1/1の場合は、中に発砲スチロールが入り、部品同士が当たって傷ついたり
しないように配慮されているのもコピーしてある。
ar7/06

組立ての図。
1/6のバレルは差し込むだけ、で固くて完全に入っていない(ムリしなかった)
が、ボルトまで可動する。
ar7/07

更に1/6にはこのように、ハンドガード?が付いたヘビーバレル、
予備と多弾数のマガジン、スコープとそのマウント、これらが入るケース!
と、至れり付くせりのフルキットである。
ar7/08

ケースに全てを収納し、フタを閉じるとこのように納まる。
ar7/04

[民間用?軍用?]
実は、アーマライトの軽量ライフルプロジェクトは、当初製品開発,販売の
ビジョン、戦略を持っていた。
新素材ライフルの普及には、相当時間がかかると判断していたようである。
そこで戦略として、まず民間市場に出して実績を作り、その評価をもとに
軍用へ展開する、という、実際の流れとは逆の構想を立てていた。

ところが空軍のトライアルが行われるという情報が舞い込み、
当初の計画を変えたため、民間用の開発,販売が遅れたという。
もちろん親会社の関係する軍、それも空軍の特殊用途用のトライアルについて
情報があり、またコネクションも利用して売り込みを図ったのかもしれない。

結果として、販売実績が上がらず、製造権を売り渡したモデルが制式となって
大量生産される、という最悪の構図となってしまった。
しかし、もともと民間用先行でこれらが売れたか、というとそれは大きな
疑問がある。
M16(AR-15)が民間用として人気を獲得したのは米軍全面採用の実績に
よるところが大きいと思うし、当初は民間市場のほうが大きな拒否反応を
起こしたように思う。
木製ストックと鋼鉄のライフルは、今でこそ減ったものの、
依然強い人気があるように見える。
そして、多くのハンターは、今でも手動式のライフルを使う。
スタンプメイドのマシンガンを使ってきた、軍の方が抵抗無く新素材へ
移行でき、当初のアーマライトの読みは、やはり誤りだったから
路線が変わったのではないだろうか。

それでは今回はここらへんで。
ar7/11

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